渡邉 直斗

オーバーステイ(不法滞在)とは?解消方法を徹底解説

オーバーステイ(不法滞在)とは?解消方法を徹底解説

オーバーステイ(不法滞在)は、ビザの期限が切れただけと簡単にお考えの方もいるかもしれません。しかし、オーバーステイは法律違反であり、最悪のケースでは日本に再び入国できなくなる可能性があります。
オーバーステイ状態になっている一人でも多くの方が本記事を読み、オーバーステイの状況を解消いただければと思います。
本記事をご覧いただくと下記の内容が解決できます。
ぜひ、ご自身に該当する内容をご覧ください。

  • オーバーステイとは?
  • 解消方法について
  • 上陸拒否期間について
  • 発覚理由

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1.オーバーステイとは?

オーバーステイとは、在留期間を過ぎた外国人がそのまま日本に留まっている状態を指します。どんな事情があったとしても、在留期間が1日でも越えてしまうとオーバーステイ(不法滞在)になります。
また、オーバーステイは違法になるため、逮捕されたり強制送還の対象となってしまいます。

オーバーステイには大きく不法入国で在留するタイプと在留期間を超えて滞在するタイプの2つが存在します。
それぞれのタイプについて、くわしく見ていきましょう。

①不法入国で在留

1つ目は、有効なパスポート等を所持しないで日本に入国する「不法入国」で在留するものを指します。不法入国でのオーバーステイが発覚した場合、悪質とみなされたり強制送還されたりする可能性が高いです。
強制送還をされると、以降は日本に入国しにくくなったり、入国拒否期間が設定されたりします。
不法入国の場合はできるだけ早く、適切な対処が必要です。

②在留期間を超えて滞在

2つ目は、在留期間を超えて滞在してしまうもので、よく見られるタイプです。
短期間の滞在を目的としている
中長期在留者がうっかり期限を超過している
変更・更新手続きを怠っている
上記のいずれの類型であっても、滞在期間を超えている状態でこちらも違法であることに変わりはありません。
そのため、強制送還の可能性はありますが、気付いてからできるだけ早く誠意的な対応を行えば在留資格を得られる可能性が少しだけあがります。
オーバーステイ状態に気付いたら、専門家へ相談して今後の対処法を相談しましょう。

2.オーバーステイの解消方法

1日でも在留期間を過ぎてしまうと、オーバーステイになり、違法な状態になってしまいます。オーバーステイ状態と気が付いた場合、素早い対応が必要になります。
仮に在留期間を過ぎた際には、素早く誠意を持った対応をすることを心がけましょう。

ここでは3つの解消方法を紹介します。

①退去強制処分

退去強制処分は、強制的に国外に退去させるものであり、できれば避けたい解消方法です。ただ、退去強制処分は、オーバーステイを隠して放置し続けた場合の処分になるため、正確には解消方法とは言えないでしょう。
退去強制処分を受けると1度目で5年間、2度目以降で10年の上陸拒否となります。上陸拒否期間が経過した場合、必ず日本に再入国できるわけではありません。
オーバーステイなどの違反経歴は在留資格の審査の際にチェックされます。その審査結果によっては上陸拒否期間が終わっていたとしても再入国ができない可能性があります。

②出国命令制度(母国に一定期間帰国する)

出国命令制度は、自分で在留期間を超えている事に気付き、警察や出入国在留管理局へ出頭した場合に利用できる解消方法です。出国命令制度で一度日本を出た場合、上陸拒否期間は1年になります。
退去強制処分の場合と同様に、上陸拒否期間が経過したからといって必ず日本に再入国できるわけではありません。ただ、退去強制処分よりも再入国できる可能性は高いです。
出国命令制度を利用する際には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 自ら警察や出入国在留管理局局に出頭し、速やかに帰国する意思がある
  • オーバーステイ以外の退去強制事由に該当しない
  • 日本国内にて犯罪行為が理由の懲役や禁固刑を受けていない
  • 過去に退去強制処分や出国命令を受けていない
  • 速やかに日本から出国することが見込まれる

すべての要件を満たしていれば、出国命令制度の対象者としての認定を受けられる可能性があり、認定されれば入管に収容される心配はありません。認定を受けるまでの期間は2週間〜1ヶ月程度かかります。

③在留特別許可を受ける

在留特別許可とは、日本から退去強制で出国する方を対象に特別に認められる在留許可です。
本来は退去強制事由に該当する場合でも、日本人と結婚していたり日本国籍を持つ子どもがいたりといった特別な事情がある場合に例外的に日本に滞在できます。違反調査の中でどうしても日本を出国できない事情がある場合に限り認められるものです。
簡単に許可が下りるものではなく、個別条件などによって異なりますが、以下の条件に当てはまれば許可が下りる可能性があります。

  • 日本人と結婚している・日本国籍を持つ子どもの親などの特別な事情がある
  • オーバーステイに以外の犯罪歴がない
  • 在職状況や収入状況など生活が安定している

在留特別許可は、通常の在留審査とは手続きも提出書類も異なるため、自分で手続きを行うのではなく、専門家へ依頼するのがおすすめです。

3.オーバーステイで課せられる上陸拒否期間

オーバーステイが理由で日本から出国した方には、上陸拒否期間が課せられます。上陸拒否期間は、日本に入国できません。
注意すべきは、上陸拒否期間が経過したからといって必ずしも日本に再入国できるかは分からない点です。在留資格審査の際に、上陸拒否期間があった点は必ずチェックされるため、上陸拒否期間を課された理由や回数によっては再入国できません。
上陸拒否期間は、1年・5年・10年の3つに分かれています。それぞれくわしく見ていきましょう。

①上陸拒否期間1年

上陸拒否期間1年は、出頭した上でオーバーステイ以外の法令違反がなかったりした場合に課されます。上陸拒否期間の中では、最も軽いものです。
初めてのオーバーステイで、出頭しているので誠意を持って対応しているとみなされる場合が多いです。1年の上陸拒否期間を経過すれば再入国できる可能性が高いです。

②上陸拒否期間5年

上陸許可期間5年は、退去強制処分で日本を出国した際に課されます。初回で課される場合が多く、オーバーステイを繰り返している場合は、もう一つ重い上陸拒否期間10年が課されます。
自ら出頭していないため、誠意がない・反省していないと思われてしまう可能性があります。

③上陸拒否期間10年

上陸拒否期間10年は、オーバーステイを複数回繰り返した際に課されます。上陸拒否期間の中では最も重いものであり、10年経過したとしても、日本に再入国できない可能性が高いです。
悪質だと判断された場合、日本に入国できなくなる場合もあるので注意が必要です。

④恒久的に日本に入国できない可能性も

上陸拒否期間は一定の期間経過すれば、再入国できる可能性があります。しかし、オーバーステイを何度も繰り返したり悪質性が高いと判断されたりした場合は恒久的に入国できなくなります。
オーバーステイで裁判にかけられると懲役1年以上を言い渡されるかもしれません。懲役刑や執行猶予がついた場合、日本への入国が永久に拒否されてしまう可能性があります。
「オーバーステイ=即刻起訴」ではありませんが、起訴される可能性が十分にある点も知っておきましょう。

詳しくは、上陸特別許可を専門行政書士が解説 をご覧ください。

4.オーバーステイが発覚する理由

在留期間を意図して超過するだけではなく、ちょっとしたうっかりミスで超過してしまう場合もあります。オーバーステイが発覚する理由としては、大きく以下の5つがあります。

  • 出頭
  • 在留カードの提示義務違反
  • 通報
  • 警察の職務質問
  • 密告

オーバーステイは、いつまでも隠し通すことはできません。気付いたり指摘されたりした場合は、速やかに出頭するなど誠意を持った対応を見せましょう。

①出頭

オーバーステイに自分で気付いた場合や他人から指摘を受けて自ら出頭した場合です。たとえ出頭したとしても、オーバーステイであることに変わりなく、在留が合法にはなりません。
しかし、オーバーステイが初めてで出頭すれば処罰や上陸拒否期間は軽くなる場合が多く、再入国できる可能性も高いです。出頭を選ぶと、出国命令制度や在留特別許可などの解消方法についても選択肢が増えます。

②在留カードの提示義務違反

在留カードは、日本在留の外国人が を義務付けられているものです。入国審査官や警察官に求められた際には必ず提示しましょう。
この時に、オーバーステイであると発覚する可能性があります。「在留カードを所持していない」状態は在留カードの提示義務違反に該当します。
在留カードの提示拒否は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金が課されます。これは、あくまでも在留カードの提示義務違反に対する罰則です。
オーバーステイの罰則とは別になるため、別途オーバーステイに関する罰則を受ける可能性も知っておきましょう。

③通報

就労先などの通報から発覚することもあります。企業などの雇用主がオーバーステイの方を雇用すると不法就労助長罪に問われます。
そのため、企業は外国人を雇う際には、在留カードの確認を行っている場合がほとんどです。この時に在留カードを提示しなかったり、提出しても在留期間が超過していたりすると警察や出入国在留管理局に通報されるかもしれません。
入管法では、オーバーステイの方がいれば報奨金制度と通報制度が規定されています。ただ、通報自体は企業の義務ではないため、必ずしも通報されるわけではありません。
オーバーステイであると指摘された場合、すぐに出頭するのがおすすめです。指摘されても放置したり通報されたりした場合、退去強制処分や起訴される可能性があります。

5.オーバーステイのまとめ

オーバーステイについての不安はすっきりと解消していただけましたでしょうか?
ご不明点がございましたら、行政書士法人第一綜合事務所までお気軽にお問い合わせください。
オーバーステイが発覚した場合、放置すると起訴されたり最悪の場合恒久的に入国できなくなったりする可能性があります。速やかに出頭するなどの対処を行うと、再入国できる可能性が高くなり、オーバーステイを解消する方法にも選択肢が生まれます。一人で手続きなどをするのが不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。

本ページが、オーバーステイで不安を抱えている方の一助になれば嬉しく思います。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 渡邉 直斗

・日本行政書士会連合会(登録番号第19260365号)
・大阪府行政書士会(会員番号第7712号)
兵庫県出身。大阪オフィス長として,大学や自治体,企業向けのセミナーにも登壇。外国人ビザ申請,国際結婚,帰化許可申請などの国際業務を専門としている。

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