海外からのインターン生受け入れ:4つのビザ(特定活動9号・12号・文化活動・短期滞在)の違いと選び方を解説

研究開発やグローバル人材の獲得、社内活性化を目的に、海外の大学生をインターンシップ生として受け入れる企業が増加しています。
しかし、企業担当者様から特に多く寄せられるのが「自社の受入プランの場合、どのビザ(在留資格)を申請すればいいのか分からない」というお悩みです。
実は、入管法においてインターンシップのための万能なビザは存在せず、「報酬の有無」と「滞在期間」の組み合わせによって主に4つのビザを使い分ける必要があります。
本コラムでは、入管業務専門の行政書士が、各ビザの違い・注意点を網羅して解説します。
Index
1. インターンシップにおけるビザ選択チャート
自社のインターンシップ計画に合わせて、以下のチャートで必要なビザをご確認ください。

4つのビザの比較一覧表
| 在留資格の種類 | 報酬(給与) | 滞在期間 | 主な特徴・対象 |
| 特定活動9号 | あり | 90日超〜1年以内 | 大学の単位・教育課程と連動した本格的な有償受入れ |
| 特定活動12号 | あり | 3ヶ月以内 | 大学の夏季休暇等を利用した有償受入れ(サマージョブ) |
| 文化活動 | なし | 90日超 | 学術・文化的な実習を無償で行う長期受入れ |
| 短期滞在 | なし | 90日以内 | 90日以内の無償就労体験 |
2. 「実費支給」は「報酬(給与)」になる?
ビザ選びで企業様が混乱しやすいのが、「交通費や住居費を企業が負担する場合、有償扱いになるのか?」という点です。
交通費、住居費、食費などの実際の費用を補填する「実費弁償」は「報酬」には当たりません。
- 実費のみ支給する場合⇒法的には「無償」扱いとなり、「短期滞在」または「文化活動」ビザの対象となります。
- 実費以外に手当を支給する場合⇒法的に「有償(報酬あり)」扱いとなり、「特定活動9号」または「特定活動12号」の取得が必須となります。
3. 4つのビザの特徴とメリット・注意点
① 特定活動9号:有償/1年以内
海外大学生の有償受入れで代表的なビザです。
- メリット:最長で1年間、自社の戦力として本格的な実習・業務に携わってもらえる。
- 注意点:大学との直接契約や明確な実習計画、指導員の配置など、入管の「インターンシップガイドライン」に基づく厳格な受入体制の構築が必要です。
詳しくはインターンシップビザ「特定活動9号」取得ガイド|受入条件・ガイドライン・必要書類を行政書士が解説をご参照ください。
② 特定活動12号:有償/3ヶ月以内
大学の夏休みなどの長期休業期間を利用し、3ヶ月以内の短期間・有償で受け入れる制度です。
- メリット:特定活動9号と異なり「大学の単位取得や教育課程の一部」でなくても申請可能です。
- 注意点:大学の長期休業中であることを証明する資料が必要です。
③ 文化活動ビザ:無償/90日超
報酬を支払わず、90日を超える長期間で学術や技術習得などの実習を行う場合に使います。
- メリット:報酬を支払わない形での長期受け入れが可能。
- 注意点:無償であるため、滞在中の生活費をどのように支弁するか(学生本人の預金残高や奨学金など)の経費支弁能力の証明が厳しく審査されます。
④ 短期滞在ビザ:無償/90日以内
報酬なし・90日以内の短期で受け入れる場合の手続きです。
- メリット:日本の入管への事前申請(COE交付)が不要で、現地の大使館で申請するため手続きが比較的スピーディなのが特徴です。査証免除国の学生であれば事前申請なし(ノービザ)で入国が可能です。
- 注意点:日数の延長は一切できません。
出入国管理施行規則の改正に伴い、従来定められていた「15日・30日・90日」という一律の区分に加え、個別の受入期間に合わせた「日単位」での柔軟な期間指定も2026年9月上旬より可能となります。詳しくは「短期滞在ビザ」の基礎知識と「日単位指定」法改正を行政書士が解説をご参照ください。
4. ビザの手続きについて
①4つのビザの申請で必要な書類一覧
これら4つのビザで海外から大学生を招くために必要となる書類を、それぞれご紹介します。
【特定活動9号】
在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格認定証明書交付申請書:1通
- 海外大学生の証明写真:1葉(縦4cm×横3cm)
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記。460円分の切手(簡易書留用)を貼付)※電子COEの場合は不要
- 海外大学生の在学証明書:1通
- 海外大学と企業のインターンシップに係る契約書の写し:1通
- 大学からのインターンシップ実施に係る承認書、推薦状
- 日本での活動内容,期間,報酬等の待遇を記載した資料:1通
- インターンシップ実施計画書:1通
- インターンシップでの過去の在留歴を明らかにする資料
※過去にインターンシップで日本に在留したことがない場合は、その旨を文書(書式自由)にして提出 - 在籍する海外大学の修業年限を明らかにする資料
- その他、ガイドラインに規定する項目に係る説明書
【特定活動12号】
在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格認定証明書交付申請書:1通
- 海外大学生の証明写真:1葉(縦4cm×横3cm)
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記。460円分の切手(簡易書留用)を貼付)※電子COEの場合は不要
- 海外大学生の在学証明書:1通
- 申請人の休暇の期間を証する資料:1通
- 申請人が在籍する外国の大学と日本の受け入れ機関との間で交わした契約書の写し:1通
- 申請人の日本での活動内容、期間、報酬等の待遇を記載した資料:1通
【文化活動ビザ】
在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格認定証明書交付申請書:1通
- 海外大学生の証明写真:1葉(縦4cm×横3cm)
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記。460円分の切手(簡易書留用)を貼付)※電子COEの場合は不要
- 日本での具体的な活動の内容、期間及び当該活動を行おうとする機関の概要を明らかにする資料
(1)申請人又は受入れ機関が作成した日本での活動内容及びその期間を明らかにする文書:1通
(2)申請人が当該活動を行おうとする機関の概要を明らかにする資料(パンフレット等)適宜 - 次のいずれかで、学術上又は芸術上の業績を明らかにする資料
(1)関係団体からの推薦状:1通
(2)過去の活動に関する報道 適宜
(3)入賞、入選等の実績 適宜
(4)過去の論文、作品等の目録 適宜
(5)上記(1)~(4)に準ずる文書 適宜 - 申請人が日本に在留した場合の経費支弁能力を証する文書
(1)申請人本人が経費を支弁する場合は、次のいずれかの資料
a. 給付金額及び給付期間を明示した奨学金給付に関する証明書:1通
b. 申請人本人名義の銀行等における預金残高証明書 適宜
c. 上記a~bに準ずる文書 適宜
(2) 申請人以外の者が経費を支弁する場合は、経費負担者に係る次の資料
a. 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの):各1通
※1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
※1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば、いずれか一方でかまいません。
※転居等により、お住まいの区役所・市役所・役場から発行されない場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署にお問い合わせください。
b. 経費支弁者が外国にいる場合は、経費支弁者名義の銀行等における預金残高証明書 適宜
c. 上記a~bに準ずる文書 適宜
【短期滞在ビザ】
短期滞在の場合は、日本の入管ではなく、海外現地にある日本大使館・領事館(在外公館)へ本人がビザ発給申請を行います。
短期滞在ビザの必要書類は、現地国・地域の日本大使館・領事館によって異なる場合や、追加書類を求められる場合があります。実際に申請を行う際は、現地在外公館の公式サイトを事前にご確認ください。
- ビザ申請書(在外公館指定の様式)
- パスポート
- 海外大学生の証明写真:1葉(縦4cm×横3cm)
- 受入企業からの招へい理由書:1通
- 身元保証書:1通
- 滞在日程表:1通
- 海外大学生の在学証明書:1通
- 受入企業の会社概要(パンフレット等):1通
- 往復航空券の予約確認書:1通
②「在留資格認定証明書」とは?
海外の大学生をインターンシップで招く場合には、「在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility: COE)」が必要になります(現地で申請する「短期滞在」以外の場合)。
ビザを申請するにあたり、「在留資格認定証明書」とはそもそも何なのかについてご説明します。
法律に適した形で日本に在留するためには、「在留資格」と「上陸許可」の2つの許可が必要になります。
「在留資格」は上陸後の身分や活動内容が適法であるかを表すもので、「上陸許可」とはそもそも日本に入国をさせても良いのかを許可するものです。
日本に上陸し、在留資格をスムーズに取得するために事前に入管から交付されるものが「在留資格認定証明書」です。
なお、近年では入管のオンライン申請が普及したことで、紙の証明書だけでなく「電子COE(メールでの交付)」の利用が可能になっています。電子COEを活用することで、海外への原本郵送にかかる手間や期間を大幅に短縮できます。
③「在留資格認定証明書交付申請」の手続きについて
「在留資格認定証明書交付申請」の手続きは、海外の学生の受入計画が確定し、必要な契約や招へい準備が整った後に行います。
ビザ申請は受入企業の担当者様が行うことも可能ですが、特に中長期・有償の「特定活動9号」で受け入れる場合は、通常の就労ビザと異なり、入管ガイドラインに沿った受け入れ体制の構築や、実習計画書・評価項目の作成などが必要となります。そのため、専門家のサポートなしで社内準備を進めるのが非常に難しいビザの一つと言えます。
在留資格認定証明書の審査は、1ヶ月から3ヶ月の時間を要しますので、インターンシップ計画に遅れない様、計画的に準備する必要があります。
5.このコラムに関するQ&A
インターンシップで海外の大学生を受け入れる際に、よくあるご質問の代表例を記載しています。
Q1.大学との協定はどのように結ぶのですか?
A1. 受け入れるビザの種類(受入プラン)によって、大学との協定が必要かどうかが異なります。
- 「特定活動9号」および「文化活動」で受け入れる場合:産学連携(産学協定)を結ぶ必要があります。
産学連携とは、主に企業と大学などの教育・研究機関が連携する取り組みのことで、大学と企業の共同研究・開発などが挙げられます。
連携可能な大学を探し、商談を行い、書面を交わしての成約となるのがおおよその流れになります。 - 「特定活動12号」や「短期滞在」で受け入れる場合: 大学の休暇期間を利用した一時的な受入れであるため、必ずしも大学との協定締結や教育課程への組み込みは必須とされていません(企業と学生間の契約や招へい手続き等で実施可能です)。
もっとも、海外の大学に直接アプローチするのは、ハードルが高く、関係性のない仲介業者等を挟んでインターンシップの協定を締結した結果、日本の企業がトラブルに巻き込まれてしまうことも珍しくはありません。
行政書士法人第一綜合事務所では、企業と海外大学とのインターンシップ協定締結のご支援も行っておりますので、まずはご希望の条件等を無料相談でお知らせください。
Q2.インターンシップの対象となる海外の学生への報酬はいくらくらいが妥当ですか?
A2. 報酬を支払うビザ(特定活動9号・12号)で受け入れる場合、地域の最低賃金を下回ることはできません。
これらのビザは、最低賃金からスタートし、学生の能力に応じて昇給されることが多い印象です。
Q3.インターンシップの期限を延長することは可能ですか?
A3. 延長(在留期間の更新)ができるかどうかは、取得しているビザ(在留資格)の種類によって異なります。
① 特定活動9号の場合
インターンシップ期間の上限に抵触しない限りは一旦帰国し、再度呼びよせることで、インターンシップを延長することが可能です。
② 特定活動12号の場合
サマージョブは「大学の夏季休暇等の期間内(3ヶ月以内)」という条件の下で許可されるビザであるため、休暇期間を超えて日本に滞在・延長することはできません。
③ 文化活動ビザの場合
条件を満たせば、日本に滞在したまま「在留期間更新許可申請」を行うことで延長が可能です。
大学からの実習期間延長の承認書や、延長期間中の生活費(経費支弁能力)を証明する書類を添えて入管に申請します。
④短期滞在ビザの場合
原則として延長(更新)は認められません。 短期滞在ビザは「人道上の真にやむを得ない事情(病気や災害等)」がない限り、日数の延長や他ビザへの変更は不可とされています。インターンシップの期間を延ばしたい場合は、一度出国する必要があります。
Q4. インターンシップ期間中にアルバイトをすることは可能ですか?
A4. ビザの種類(特定活動・文化活動・短期滞在)を問わず、できません。
- 特定活動(9号・12号):事前に入管へ提出した受入計画書に基づく特定の受入企業・業務内容に対してのみ許可されています。自社内であっても契約外の別業務を行ったり、他社でアルバイトをしたりすることは認められません。
- 短期滞在・文化活動:そもそも「就労(報酬を得る活動)」自体が法的に禁止されているため、アルバイトを行うことは不法就労となります。
Q5.すでに日本国内に滞在している留学生をインターンシップで受け入れる場合も、このコラムのビザ申請手続きが必要ですか?
A5.すでに日本の大学等に通う「留学ビザ」を持つ外国人材を受け入れる場合は、原則として留学生が保有する「資格外活動許可(通常期:週28時間以内/夏休み等:週40時間以内)」の範囲内で受け入れます。
6. まとめ:自社のインターンシップに最適なビザの選定にお悩みなら行政書士法人第一綜合事務所へ
海外からのインターンシップ生の受け入れは、企業のグローバル化や優秀な人材確保に向けた非常に有効な施策です。
しかし、「自社のプログラム内容でどのビザが通るか分からない」「ガイドラインに沿った実習計画の作成が難しい」とお悩みの企業担当者様も少なくありません。
行政書士法人第一綜合事務所では、企業の受入プランのヒアリングから適切なビザの選定、海外大学との協定サポート、入管へのビザ申請までトータルでご支援しております。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。




