【登録支援機関の総まとめ】行政書士の解説!
特定技能外国人受入れニーズの高まりと共に,登録支援機関の数は増加しています。
本記事は,これから登録支援機関の登録申請を検討されている方にとって有益な内容となっておりますので,最後までご覧ください。
Index
1. 登録支援機関とは?
登録支援機関とは,特定技能制度で義務付けられている特定技能外国人への支援業務を受入れ機関からの委託を受けて実施する機関です。
登録支援機関は,特定技能外国人の日本での生活をサポートすることを主な業務としています。
登録支援機関の登録が認められた機関は,既に日本全国で,7,500件以上(2022年10月時点)あり,個人事業主でも登録が認められることから,登録支援機関の数は現在でも増え続けています。
2.登録支援機関は儲かる?
正しい知識をもち上手に運用をすることで,登録支援機関としての業務で大きな利益を出している機関もあります。
ただし,登録支援機関の業務の多くは,日本語レベルが高いとは言えない外国人労働者の日本での生活サポートをすることであるため,多くの手間暇がかかり簡単な業務ではありません。
そのため,上手に運用している登録支援機関は,少ない数の受入れ機関(事務所近辺だとなお良い)に,1社あたり数十人~数百人など多くの外国人を受入れする機関と契約をしている場合が多いと言えるでしょう。
事故や怪我などの突発的な対応も支援業務のひとつであるため,遠方にある受入れ機関の支援や数人程度の受入れ機関と多く契約することは,支援業務を遂行する上で大きな負担となるため,あまりお勧めできません。
また,既に技能実習生などの受入れ実績が豊富な機関であれば,そのノウハウを生かして,登録支援機関となることも可能です。
登録支援機関は技能実習生とは違い,株式会社でも許可取得ができるため,グループ企業の支援業務を担う登録支援機関設立や,関係先の特定技能外国人を支援する目的でも要件さえ満たせば許可を得ることができます。
このように,登録支援機関としての業務は,単に利益を得るためだけでなく,支援業務を通じて関係先との距離を縮めることもできるため,金銭的な利益以外のメリットを得ることもできるのではないでしょうか。
3.登録支援機関が行う支援内容とは?
登録支援機関に実施義務のある特定技能外国人への支援内容は次のとおりです。
- 事前ガイダンス
- 出入国の際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続きへの同行
- 日本語学習の機会提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(受入れ機関都合での解雇時)
- 定期面談・行政機関への通報
一見難しく見えますが,技能実習生を受入れしたことのある機関であれば既に馴染の多い内容も多いのではないでしょうか。
内容は主に,特定技能外国人が日本で生活するのに困らないためのサポートであるため,ガイダンスなど母国語の通訳が必要な支援もありますが,送迎や公的手続きのサポートなど基本的には,専門的な知識を要する支援でないものが多いです。
4.登録支援機関の登録要件は?
登録支援機関の登録認定を得るためには,最低でも次の要件を全て満たしている必要があります。
- 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
- 以下のいずれかに該当すること
・登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に中長期在留者の受入れ実績があること
・登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に報酬を得る目的で,業として,外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
・選任された支援担当者が,過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること
・上記のほか,登録支援機関になろうとする個人又は団体が,これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること - 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
- 支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
- 刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと
- 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないこと
上記をわかりやすく説明すると,下記の内容となります。
- 特定技能外国人のサポート全般を担う支援担当者を選任すること
- 登録支援機関または登録支援機関の職員に,外国人のサポート経験があること
- 過去1年間に受入れした技能実習生や特定技能外国人に失踪者がいないこと
- 支援業務にかかる費用を特定技能外国人に負担させないこと
- 過去5年以内に各種法令違反をしていないこと
5.登録支援機関の拒否事由とは?
登録申請の拒否事由については,数多くありますがその中でも特に注意が必要な注意点について,下記をご確認下さい。
- 過去5年以内に日本の各種法令・規定に違反がある
- 登録支援機関となる個人または役員未成年や破産手続き中であるなど適格でない
- 過去1年以内に外国人の失踪者がいる
- 登録支援機関または登録支援機関の職員に,外国人のサポート経験がない
- 支援する外国人の母国語での相談体制がないこと
- 支援委託契約の費用・内訳を明示していない
登録支援機関の登録要件を満たした上での申請準備をすることで,該当することを避けられる項目がほとんどですが,「外国人のサポート経験」については,当該職員の退職などで資格を失う可能性もあるため特に注意が必要です。
なお,支援委託契約の費用・内訳の正しい明示方法や,過去の法令違反や指導を受けた履歴などが登録申請に影響するかどうかなどの細かな内容については,行政書士事法人第一綜合事務所でも,相談を受け付けしております。
6.登録支援機関の登録申請の流れ
登録支援機関の登録申請の主な流れは次のとおりです。
②申請書類の作成
③審査
④登録
①要件の適合性確認
これまで紹介した「登録要件」や「拒否事由」に基づいて,登録申請が可能かどうかの判断を行います。
②申請書類の作成
登録申請に必要な書類・情報を収集して,申請書類の作成を行います。
③審査
登録申請をしてから,審査結果が出るまで,約2ヶ月の期間がかかります。
審査期間中も,追加書類の提出などを求められた場合には,さらに長い審査期間がかかる点には注意が必要です。
④登録
登録申請の審査が終わり,無事に許可が出ると「登録支援機関登録通知書」が郵送されます。
登録通知書に記載されている有効期間中は,登録支援機関としての支援業務を行うことが認められます。
7.登録支援機関の登録申請の必要書類は?
登録支援機関の申請を行う機関が,登録申請に際して収集する必要のある書類は次のとおりです。
- 登記事項証明書
- 定款または寄附行為の写し
- 支援責任者の履歴書
- 支援担当者の履歴書
- 役員の住民票の写し
※特定技能外国人の支援業務の執行に直接関与しない役員の住民票は不要
- 住民票の写し
- 支援責任者の履歴書
- 支援担当者の履歴書
- 主たる事務所の住所を立証する資料
作成する登録申請書類と併せて,上記の書類を入管へ提出します。
8.登録支援機関の登録申請の手数料
登録申請には,申請手数料として28,400円の収入印紙が必要です。
不許可の場合でも,収入印紙の返還はされない点には留意して下さい。
9.登録支援機関Q&A
既に外国人の受入れノウハウがあり,母国語の通訳対応や支援業務を自社で内製化できる場合は,自社支援をした方が,特定技能外国人の受入れにかかる経費を節約できます。
一方で,特定技能制度に関する法律は頻繁に更新されるなど,支援業務以外の面でも常に情報収集が欠かせないため,自社支援の場合は選任の担当者が必要になることが多いでしょう。
受入れ人数にも拠りますが,外国人受入れ経験のある選任の担当者がいる場合は自社支援,その他の場合には登録支援機関に頼るのをおすすめします。
登録支援機関登録通知書の有効期限は,5年間です。
手続きには2ヶ月程度の期間がかかるとされているため,有効期限が切れる前に余裕をもって更新手続きをしましょう。
なお,更新手続きの際には,手数料として11,100円が発生します。
登録支援機関を運用して行くにあたり,支援体制(対応する支援言語追加など)変更や登録支援機関の事務所変更・追加など,登録事項に変更がある場合には,随時「登録事項変更に関する届出書」の提出が必要となります。
変更に関する事由が発生した時点より14日以内の届出が必要なため,遅延の無いように届出をして下さい。
なお,登録事項変更に関する届出については,出入国在留管理庁の「登録支援機関による登録事項変更に関する届出」のページを参照して下さい。
10.行政書士法人第一綜合事務所のコンサルティング
弊社では,これから登録支援機関の登録申請を行おうとする方に,コンサルティング業務を行っております。
このコンサルティング業務は,実際に登録支援業務ができる体制を構築することを目的としております。
本サービスを開始するに至った背景は,高いニーズがあったからです。
弊社も登録支援機関であること,また多数の弊社での外国人支援の実績などを共有することで,スムーズに支援業務を実施していただけるかと思います。
ご興味をお持ちの方は,登録支援機関のコンサルティング業務をご希望の旨をお伝えください。
11.登録支援機関についてのまとめ
本記事では,これから登録支援機関の登録申請を予定されている方に役立つ内容を紹介しました。
特定技能外国人を受入れする需要が高まる中で,登録支援機関に支援委託をするニーズについても,しばらくは続くことが予想されます。
今後,登録支援機関の登録申請を検討されている方は,ぜひ本記事の内容をお役立て下さい。