交通違反は帰化申請の審査にどれぐらい影響する?専門行政書士が解説
日本国籍を取得する帰化申請では,過去の犯罪歴についても審査されます。この「犯罪歴」には,交通違反も含まれることをご存知でしょうか?
本コラムでは,交通違反が帰化申請の審査にどれぐらい影響するのか?について,専門行政書士が解説します。
日本の運転免許証を取得していて,日頃から車やバイクを運転される方はぜひお読みください。
Index
交通違反がないことは帰化の要件のひとつ
日本への帰化については「国籍法」という法律で要件などが定められていますが,その中に「素行が善良であること」という規定があります。(国籍法第5条第3項)。
この「素行が善良であること」とは,「日本の法律やルールを守って生活している」ことを意味しています。
日本には様々な法律やルールがありますが,道路交通法もそのうちの1つです。「素行が善良である」のなかには,「交通違反がない」ということが含まれているわけです。
ただ,交通違反と言っても,シートベルト装着違反や駐車違反などの「軽微な違反」もあれば,飲酒運転やあおり運転など「悪質な違反」もあります。
悪質な違反は1回でも不許可になり得ますが,軽微な違反であれば1~2回までは特に問題とならずに許可される場合もあります。
帰化申請の審査に影響する交通違反の回数,違反の内容について,次のセクションから詳しく解説します。
交通違反の回数や重さによって影響が変わる
帰化申請で不許可リスクとなる交通違反の「目安」は,以下の通りです。
②直近2年間で3回以上の違反歴がある
③過去5年間で1回でもスピード違反や飲酒運転などの重大な違反で刑事罰を受けたことがある
上記①②③のどれか1つにでも該当する場合は,しばらく年数をあけてから帰化申請するように,法務局からアドバイスされる可能性が高いです。
軽微な違反であっても,短い期間で複数回あれば,やはり不許可リスクが高まります。
交通違反の有無を確認するには?
過去の交通違反の有無は,「運転記録証明書」を取得することで確認できます。
日本の運転免許証をお持ちの方は,帰化申請の際にこの「運転記録証明書」も提出することになります。
ここからは,運転記録証明書について解説していきます。
運転記録証明書とは
運転記録証明書は「自動車安全運転センター」という機関にて発行しています。
「1年」「3年」「5年」の3つの期間で指定でき,帰化申請では「5年」の運転記録証明書を提出します。
運転記録証明書には,氏名,生年月日,免許証番号のほか,過去の違反日,違反内容,違反点数などが記載されています。
運転記録証明書には,物損事故など行政処分がない事故については記載されません。しかし,実際の審査では警察機関に照会するなどして,ここに記載がないことも詳しく調べられることになります。
法務局での事前相談や書類点検の際に聞かれた際には,隠さず事実を正確に伝えましょう。
運転記録証明書の取得方法
続いて,運転記録証明書の取得方法について解説します。
運転記録証明書は,各都道府県にある「自動車安全運転センター」へ発行の申請を行います。
申請は以下の3つの方法から選べます。
【1.自動車安全運転センターの窓口で申請する】
自動車安全運転センターの窓口で,手数料の納付と申請が行えます。
ただし,ここで即時発行はできません。申請後,2週間前後で証明書が郵送される仕組みになっています。
ご自宅や勤務先の近くに自動車安全運転センターがある方以外は,わざわざ行くメリットはほぼありません。
次の2または3がおすすめです。
【2.郵便局(ゆうちょATM)で申請する】
郵便局またはゆうちょATMから申請することができます。
①最寄りの交番または警察署で「運転経歴に係る証明書 申込用紙」をもらう。
②申込用紙に必要事項を記入して,名前の横に印鑑を押す。
③郵便局の窓口または払込取扱票に対応したゆうちょATMで,手数料を納付する。
※ATMでの払い込みの場合,窓口よりも手数料が安くなります。
④2週間前後で証明書の原本が郵送される。
この払込取扱票で手数料を納付することで,発行の申請も兼ねています。
自動車安全運転センターでは,払込取扱票に書かれた内容をそのまま読み取ることになるので,丁寧に記入しましょう。
払込取扱票の通信欄を使って,送付先を自宅以外に指定することも可能です。その場合は自動車安全運転センターから内容確認の電話がかかってくる場合があります。
【3.スマートフォンアプリから申請する】
スマートフォンのアプリを使って,オンラインで申請することも可能です。
①専用アプリ(無料)をスマホにインストールする。
②スマホのアプリで必要情報を入力する。
③スマホのアプリ上で決済する。
⑤スマホのアプリから発行申請する。
⑥2週間前後で証明書の原本が郵送される。
詳しくは自動車安全運転センターのインターネット申請の説明 ページをご覧ください。
よくあるご質問
帰化申請における交通違反の影響について,お客様からよくいただくご質問を紹介します。
免許停止になったことがあると帰化できませんか?
⇒「必ず不許可になる」というわけではありません。
免許停止処分を受けた理由によって,帰化申請の審査への影響度合いが異なります。
運転記録証明書に記載されているうちは,審査でマイナス評価となります。法務局での事前相談で,申請を待つようにアドバイスされる場合もあります。
5年経過して,運転記録証明書に記載されなくなってから申請すると,帰化の可能性は上がります。
5年経過しておらず,運転記録証明書に記載されている場合は,ほぼ不許可となってしまうでしょう。当社にご相談いただいた場合でも,しばらく期間をあけてから申請することをおすすめしています。
また,5年経過したとしても,それだけでクリアになるわけではなく,上申書で反省を示す,それ以降一度も違反がないなどの状況でようやく許可の可能性が上がってきます。
帰化申請の審査中に交通違反をしてしまったら不許可になりますか?
⇒「必ず不許可になる」というわけではありません。
帰化申請が受理され,結果が出るまで1年近くかかりますが,この間の交通違反も審査に影響します。
もし交通違反をしてしまった場合は,すみやかに法務局の担当事務官へ報告してください。違反内容によっては,大きく影響しない場合もありますし,申請を一旦取り下げるように進言されることもあります。
仮に報告しなかったとしても,審査の課程で必ず発覚します。そして,この場合はほぼ確実に不許可となってしまうので,必ずすぐに報告しましょう。
帰化申請と交通違反まとめ
帰化申請における交通違反の影響について解説しましたが,いかがでしたか?
交通違反の内容や頻度によっては,帰化申請に大きく影響することがお分かりいただけたかと思います。
日常の生活や仕事上,どうしても車やバイクの運転をする必要がある方は,交通違反に十分ご注意ください。
帰化申請を検討されている方で,交通違反で気になることがありましたら,お気軽に行政書士法人第一綜合事務所の無料相談をご利用ください。帰化許可に向けて最適なプランを提案いたします。