行政書士法人第一綜合事務所

韓国人の帰化申請を徹底解説!

出入国在留管理庁の発表によると,日本にいる外国人数の合計は2020年6月末時点で,288万5,904人,韓国人はその中の15.1%(43万5,459人)とされています。また,一括りに「韓国人」といっても,その半数以上(27万8,465人)は日本で生まれ,「特別永住者」として日本人と同じように生活をされています。
このような背景から,帰化申請をする外国人の中でも韓国人の数は一番多く,割合としては,2020年の帰化許可者数全体の45%が韓国人(※)というデータが公表されています。
本ページでは,そんな「韓国人の帰化申請」にクローズアップし,少し専門的な解説をしていきます。

※こちらの統計には朝鮮人も含まれています。

1.韓国人の帰化申請は,他の国の人より大変?!

帰化申請は,申請人の国籍によって大変さが変わるのでしょうか?

結論から言うと,答えは「YES」です。
そして残念ながら,韓国は比較的帰化申請が大変な国であると言えます。

これだけを聞くと,「え,国籍で帰化申請の難易度が変わるの??」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし,そこはご安心下さい。ここで言う「帰化申請の大変さ」とは,国籍によって許可率が変わるということではなく,帰化のために必要な「本国書類の収集が大変である」という意味です。

それはどういうことかと言うと,帰化申請に必要な「本国書類(身分関係を示す証明書)」は国によって異なるのですが,韓国の本国書類は特に種類や分量が多く,収集や翻訳が大変だということです。

では次のチャプターでは,その本国書類がどのようなものかを,詳しく見ていきます。

2.韓国人の帰化申請は,「本国書類」が6種類

韓国人が帰化申請のために必要な本国書類は,現行法上の証明書5種(以下,「家族関係登録証明書」といいます)と除籍謄本で,合計6種類あります(大きな視点で見ると,家族関係登録証明書は一般証明と詳細証明の区分がある他,除籍謄本も形式で分けると更に細分化が可能ですが,ここでは大きく6種類に分けて解説します)。
なお,帰化申請で提出する家族関係登録証明書は必ず「詳細証明」で取得しましょう。

(ア)基本証明書

最初に必要となるのが「基本証明書」です。
こちらは,その人の出生や死亡といった基本の人的事項が記載されています。こちらの書類は婚姻手続きで必要な書類でもあるので,取得したことがある方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか?
帰化申請において,この書類が必要になるのは,基本的には帰化申請をする本人のみです。しかし,例外として,ご両親が2008年以降に死亡している場合は,その死亡事実の記載がある基本証明書も必要となります。

(イ)家族関係証明書

次に必要になるのが「家族関係証明書」です。こちらも婚姻手続きのために取得された方もいらっしゃると思います。内容としては,①親②配偶者③子の3世代分の家族の繋がりが確認できます。
なお,「(ア)基本証明書」と違い,家族関係証明は本人分に加えて,両親の分も必要となりますのでご注意ください。

(ウ)婚姻関係証明書

3番目に必要となるのが「婚姻関係証明書」です。婚姻関係証明書では,その人の配偶者など,結婚関連の記録を確認することができます。中には「配偶者ビザ」の申請で取得された方もいらっしゃるかもしれません。
注意点としては,こちらも「(イ)家族関係証明書」と同じく,申請人本人分に加えて両親分が必要になります。

(エ)入養関係証明書

4番目に必要な証明書は,「入養関係証明書」と呼ばれる書類です。こちらは養子縁組に関する事項が記載されているもので,養子縁組をしたことが無い方も一律に取得が必要です。(イ),(ウ)の証明書と違い,申請人本人分の取得のみで問題ありません。

(オ)親養子入養関係証明書

5番目に必要な書類は,「親養子入養関係証明書」です。「(エ)入養関係証明書」と何が違うの?と思われるかもしれませんが,こちらは日本でいう「特別養子縁組」にあたる制度の縁組記録が確認できるものです。2つは全く違う事項を証明した証明書ですので,(エ)とは別に取得しなければなりません。なお,こちらの証明書も両親分は取得不要です。

(カ)除籍謄本

最後に解説する証明書は「除籍謄本」と呼ばれる書類で,こちらが韓国人の帰化申請での最難関パートと言えます。名前からして,他の証明書とは毛色が違うことが分かるかもしれません。実は,韓国はかつて日本と同じように,戸籍制度によって国民の身分関係の管理を行っていました。しかし,2008年1月1日施行の「家族関係登録等に関する法律」によって戸籍制度は廃止,全ての戸籍が除籍(除かれた戸籍)となると同時に,国民の身分関係は上記(ア)~(オ)の証明書で証明されることになりました。
つまり除籍謄本とは,制度が変わる前の古い記録で,帰化申請では,身分関係を確実に特定するために,申請人本人の出生時からの全ての除籍謄本の提出が求められます。
そして,この「出生時からの全ての除籍謄本」というのが曲者で,申請人の年齢が高くなるにつれて,手書きの古い書式の除籍謄本も必要になり,翻訳や解読が難航する傾向にあります。

ここまでが,韓国本国書類の説明です。
簡単にまとめると,韓国人の帰化申請では,①現行制度における身分関係の証明書(家族関係登録証明書5種)と,②旧制度に基づく証明書(除籍謄本)の両方が必要になります。
そして,特に,旧制度の証明書である除籍謄本は,生まれた時から戸籍制度が廃止された時までの全期間の記録が必要になるので,人によっては分量が膨大になり,翻訳や解読が大きなハードルになる,ということです。

3.韓国人の帰化申請は,特別永住者だと書類が違う??

では次に,在日韓国人の大半を占める特別永住者特有の方の申請書類の違いについて解説していきます。特別永住者の方は,特別永住者を除くその他の一般外国人(以下,「一般外国人」といいます)と比較して,帰化申請における提出書類に違いがあります。

(ア)省略できる書類

まず,特別永住者の方が提出を省略できる書類には以下のものがあります。

① 帰化の動機書
② 最終学歴の卒業証明書(もしくは卒業証書の写し)
③ 在勤及び給与証明書

① ②については代替書類も不要で,完全に提出は免除されています。
一方,③については,一般外国人であれば所定のフォーマットでの作成が必要なところ,当該証明書に代えて給与明細書及び社員証又は保健証のコピーを提出すればOK,という取り扱いがなされています。

この中でも,③「在勤及び給与証明書」の提出省略は,特別永住者の方にとって特に大きな意味があると言えます。
そもそも「在勤及び給与証明書」とは,現在の職場でいつから働き,給料や控除の内訳はどうなっているのか,という内容を勤務先に証明してもらう書類です。
ではなぜこの書類取得の省略に意味があるのかというと,特別永住者の多くは通称名を使って日常生活を送っており,職場で自分の国籍を公にしていないことも珍しくありません。そのため,職場に帰化申請をしている(外国籍である)ことを知られたくない,という希望が多いからです。
つまり,在勤及び給与証明書の取得が省略できることで,職場に帰化申請の事実を知られるリスクを減らすことが出来るのです。
なお,これら書類の提出免除以外にも,法人役員であれば法人に関する証明書の取得対象年数が少なくなる(3年分→2年分)という優遇措置もあります。

(イ)余分に必要な書類

(ア)では,特別永住者であることで受けられる優遇措置を説明しました。ここからは逆に,一般外国人では取得する頻度が低いものの,特別永住者であれば大半の方が取得しなければならない,という書類をご紹介します。

・戸籍の届書記載事項証明書(各種)

戸籍の届書記載事項証明書とは,日本の役所に提出された出生届等の届出の内容を証明するものです。
これは,特別永住者だから出さないといけない,というものではありません。しかし,日本で生まれて日本の役所に出生届を出したという方であれば,役所にその記録が残っていることから,出生届の記載事項証明書を取得しなければならず,特別永住者の方はほぼ100%このケースに当てはまります。そのため,記載事項証明書(特に出生届書記載事項証明書)は事実上,ほぼ全員の特別永住者にとっての必要書類になる,という訳です。
なお,この記載事項証明書は出生届だけでなく,死亡届や婚姻届,養子縁組届など,該当する届出がある場合には原則すべての届出について記載事項証明書の取得が必要になります。

この証明書は通常,取得のために「特段の事情」が必要とされる証明書で,普段の生活で目にすることはほとんどありません。そのため,ここも帰化申請の書類取得のハードルを上げる1つの要因と言えそうです。

(ウ)申請人に一般外国人がいる場合の注意点

これはかなり専門的な知識となりますが,もし特別永住者の方が一般外国人と結婚をしている場合で,その一般外国人の配偶者も一緒に帰化申請をしたいという場合,(ア)で説明をした特別永住者の優遇措置はどうなるでしょうか?
実はこの場合,優遇措置は取られず,特別永住者であっても一般外国人の必要書類に合わせた書類を取得しなければなりません。つまり,「在勤及び給与証明書」の発行を会社に依頼する必要があるほか,必要な証明書の年度も2年分ではなく3年分必要になるといった不利益も生じてしまいます。
この辺りは,事前に計画立てて帰化申請をする必要がありますね。

4.韓国人の帰化申請のまとめ

さて,ここまで読み進めていただき,いかがでしたでしょうか?
韓国人の帰化申請というと,この他にも,一般外国人の韓国人男性にとっては「兵役義務」も気になるところでしょう。また,細かい部分を掘り下げると,韓国人の帰化申請について疑問点はまだまだあるかもしれません。
帰化申請は自力で行うことも可能ですが,それには膨大な時間と労力,精神力を必要とする作業になります。具体的な帰化申請の流れと必要書類については,帰化許可申請の必要書類は?を参照ください。
帰化申請はスタートからゴールまでがとても長く,申請人にとってはその期間中の不安は絶えません。

頼れるパートナーをお探しの方は,ぜひ一度,行政書士法人第一綜合事務所にご相談ください。