コラム

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高度人材ポイント制を利用した永住ビザの取得方法

1. 高度人材とは? はじめに,入管が定める高度人材の定義をご紹介します。 「国内の資本・労働とは補完関係にあり,代替することが出来ない良質な人材」 「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに,日本人との切磋琢磨を通じて 専門的・技術的な労働市場の発展を促し,我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」 平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書より 上記の定義を端的にまとめるとすると,『新しいアイデアやスキルによって,日本経済を発展させることのできる優秀な人材』と言い換えることができます。 高度人材には大きく3つのジャンルが用意されており,各ジャンルでの評価項目も異なるため,自分に合った活動を確認する必要があります。 ①知識又は技術を要する業務に従事する活動又は教育をする活動する活動→(例)ITエンジニアなど ②研究,研究の指導又は教育をする活動する活動→(例)大学教授など ③事業の経営を行い又は管理に従事する活動→(例)会社経営者など そして,高度人材として認定されるためには,入管が定めるポイント計算表で計算を行った結果,一定点数以上のポイントを有することが必要になります。 ①高度人材ポイント制について では,実際に高度人材として認定されるためにはどのようにすればいいのでしょうか。 それは,下記ポイント表において「70点」以上のポイントを達成することが一つの条件となります。 詳しくは,以下のページをご覧ください。 >>高度専門職 取得条件 はコチラ 上記のページを見て頂ければ分かる通り,「学歴」,「職歴」,「年収」,「日本語能力」など項目ごとにポイントが設定されており,各項目を満たすことでポイントが積み重なります。 そして,高度人材として認定されるためには,まず「70点」を目指していくことになります。 ②高度人材の優遇措置について 高度人材として認定され,高度人材の在留資格を取得した際にはどんなメリットがあるのでしょうか。 高度人材の優遇措置として,入管は以下の7つを定めています。 ① 親の帯同の許容 ② 配偶者の就労 ③ 家事使用人の帯同の許容 ④ 複合的な在留活動の許容 ⑤ 現行の最長期間である在留期間「5年」の付与 ⑥ 入国・在留手続の優先処理 ⑦ 永住許可要件の緩和…

永住ビザ申請の許可率・不許可率!最新データを解析!

1.永住ビザ申請の許可率・不許可率を知るためには? 永住ビザ申請の許可率・不許可率を知るためには,どのようにデータ収集をすれば良いのでしょうか。 永住ビザを含め,外国人の在留資格に関するデータが分かるのが,出入国在留管理庁が集計し,公表している「出入国管理統計」です。 法務省で取り扱う事務のうち,入管で取り扱った入国審査,在留資格の審査,退去強制手続き等の統計情報が公表されています。 永住ビザ申請の許可・不許可数についても年単位と月単位で明らかにしています。 ですから,永住ビザ申請に関する審査実態を知るには,非常に有用な情報となります。 ご興味のある方は,出入国在留管理庁のホームページからご覧になれます。 ただ,膨大なデータ量ですので読み解くのに時間がかかるかもしれません。 そこで,今回は弊社で最新の数値を分かりやすくまとめました。 2.永住ビザは取得しやすい? 許可率・不許可率! 永住ビザは文字通り「日本に住み続ける」ことが出来る在留資格です。 在留期間及び在留活動(就く仕事等)に制限がなくなります。 それだけに,他の在留資格と比べて多くの要件を満たす必要があります。 >>永住ビザの要件 はコチラ ですので,永住ビザ申請は,留学生ビザや各種の就労ビザの申請と比べると不許可になる確率も上がります。 出入国管理統計によると,2021年に各地の入管が扱った永住許可申請(既決分)の総数は64,149件。 そのうち許可は36,691件。 不許可は25,451件。 「その他」の扱いが2007件となっています。 処理数の総数(64,149件)に対する永住ビザ申請の許可率は57・1%。不許可率は39・6%ということになります。 つまり,永住ビザ申請は5人のうち2人が不許可になってということです。 ちなみに,同じ2021年の出入国管理統計を見ると,永住以外のビザ申請の許可率は94・4%です。 このように比較することで,永住ビザ申請がいかに厳しい申請かご理解いただけたのではないでしょうか。 2021年はご存知のように,新型コロナウィルス感染症の影響で外国人の入国が制限されるという特殊な状況にありました。 永住ビザ申請の許可率を過去に遡って見てみました。 年 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 処理件数…

永住ビザの要件をかんたん解説

1.永住ビザとは? 永住ビザとは,安定的,長期的に日本に滞在するビザのことを指します。 永住ビザを取得した外国人は,日本に無期限に滞在することができるようになります。 また,永住ビザを取得することで就労制限が無くなり,これまで以上に日本で幅広い活動をすることができるようになります。 良いこと尽くめの永住ビザですが,永住ビザを取得するためには多くの要件を満たす必要があります。 本コラムで永住ビザの原則的な要件と特例要件を一通りチェックしていきましょう。 2.永住ビザの原則的な要件 永住ビザの要件は,入管法22条2項と,入管庁公表の「永住許可に関するガイドライン」によって規定されています。 (入管法22条2項) 法務大臣は,その者が次の各号に適合し,かつ,その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り,これを許可することが出来る。ただし,その者が日本人,永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては,次の各号に適合することを要しない。 一 素行が善良であること 二 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。 これらを読み解くと,永住ビザの要件は,①「素行が善良であること」,②「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」,③永住申請者の「永住が日本国の利益に合する」と認められることの3つに分けることができます。 そして,これらの永住ビザの要件は,それぞれ次のように省略して呼ばれます。 ①素行善良要件 ②独立生計要件 ③国益適合要件 以下,ガイドラインの内容も踏まえ,それぞれの永住ビザの要件と実務上の運用について解説します。 2-1 永住ビザの要件①「素行善良要件」 「素行善良要件」とは,法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に避難されることのない生活を営んでいること。 「永住許可に関するガイドライン」より 分かりやすく言い換えるとすると,普段の生活の中で,人に迷惑をかけずに生活していますか?ということです。 具体的には, 日本の法律に違反して,懲役,禁錮又は罰金刑になっていないこと。 過去の在留の中で多数回の交通違反をしていないこと。 留学生や家族滞在等のビザの方が入管から資格外活動の許可を得て仕事をしていること,あるいは,オーバーワークをしていないこと。 この他にも,素行善良要件のケースはたくさん考えられますが,実際にはケースバイケースで判断されるため,明確な基準は存在しません。 ただ一つ言えることは,この素行善良要件については,日常生活において法律に違反するような行動をしていなければ,特に気にする必要はないということです。 2-2 永住ビザの要件②「独立生計要件」 「独立生計要件」とは,日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。 「永住許可に関するガイドライン」より つまり,永住者として自立して生活することができる能力をチェックするための要件です。 具体的には,申請人が自分で生計を立てるための収入源を持っていること, または,同居している家族が世帯全体の生活を支えられるほどの収入源を持っていることです。 独立生計要件を考える上で重要となるのは,年収と対象期間の2つです。 年収について,入管は明確な基準は公表していませんが2人世帯までであれば300万円以上の年収が許可・不許可を分けるボーダーラインとされています。…

帰化と永住の違いを解説!

1.帰化申請とは? 帰化申請とは,外国国籍を持つ方が日本国籍を取得するために行う手続きのことです。 帰化すれば,日本の戸籍が作られ,参政権を取得して選挙で投票することができます。 また,ビザの更新なく日本に住み続けることができるなど,日本人としての権利を得ることとなります。 2.永住ビザとは? 永住ビザとは,外国人が在留期限なく日本に滞在できるビザのことです。 他のビザと大きく異なる点としては,①在留期間の定めがないこと,②日本での活動に制限がないことが挙げられます。 また,日本の金融機関の中には,住宅ローンの審査の際に,永住ビザを持っている事を要件にしていることも珍しくなく,その点も永住ビザを取りたい大きな理由となっている印象です。 永住ビザは,あくまでも「外国人として」日本に住み続けるためのビザであるため,日本国籍となる帰化とは全く別のものです。 2-1.帰化と永住ビザの徹底比較! 本チャプターでは,帰化と永住ビザの違いについて解説していきます。 まずは,以下の表をご覧ください。   永住ビザ 帰化 国籍の変更 変わらない 日本人となる 申請先 入管 法務局 申請取次 可能 不可 必要書類 帰化申請より少ない 永住ビザ申請より多い 審査期間 約4ヶ月 約1年 退去強制処分 有 無 〇申請取次について 永住ビザ申請は,申請取次行政書士などが取次という形で本人に代わって管轄の入管に出頭して行うことができます。 しかし,帰化申請は,申請人本人が管轄の法務局に出頭して行う必要があり,行政書士が書類作成をすることができても、行政書士が代わりに申請することはできません。 なお,帰化しようとする人が15歳未満であれば,親権者や法定代理人が代わりに申請を行うこととなります。 〇必要書類について 永住ビザ申請も帰化申請も,申請人の状況により必要となる書類は変わります。 しかし,一般的には,帰化申請の方が永住ビザ申請よりも,必要書類の分量が多く,必要書類の収集の難易度が高いと言えるでしょう。…

永住ビザの申請代行でおすすめの行政書士とは?

1.永住ビザを依頼するなら,こんな行政書士がおすすめです! 永住ビザを行政書士に依頼する際の決め手として,「料金」と考える方も多いのではないでしょうか? しかし,一言に「料金」と言っても,サービス内容により安いか高いかという判断は全く異なります。 なぜなら,行政書士に同じ永住ビザの依頼をしても,事務所によっては役所での書類は自分で集める必要があったり,追加資料が発生する度に追加料金が発生したりと,サービス内容が同じではないからです。 そのため,サービスが良く依頼者の負担が少ない行政書士と,サービスが悪く依頼者の負担が多い行政書士を「料金」だけで単純比較することはおすすめできません。 また,永住ビザの申請は,行政書士が案件をお受けしてから結果が出るまで,おおよそ半年くらいの時間を要します。 そのため,行政書士選びに失敗すれば,長期間のストレスを抱えることになり,最悪のケースでは,コミュニケーションがうまくいかず不許可という憂い目を見ることになってしまいます。 そこで本チャプターでは,永住ビザの申請代行でおすすめの行政書士を同業者目線で記載しています。 ぜひ,永住ビザの申請を行政書士へ依頼する際の参考にしてください。 1-1.永住ビザの申請実績が十分にある行政書士がおすすめ 永住ビザの許可率を紹介します。 年によりばらつきはありますが,直近5年間(2017年~2021年)の許可率は,平均すれば約54.8%です。 思っていたよりも厳しいと感じる方が多いのではないでしょうか。 実は,そう感じるのは自然なことと言えます。 その前の5年間(2012年~2016年)の許可率は,平均すれば約69.9%であり,以前よりも許可率が下がっているためです。 このように,入管の審査は不変のものではありませんので,その時々の入管の審査の傾向を正確に把握することが,永住ビザの申請においては極めて重要です。 もっとも,入管に問い合わせをすれば,審査の傾向が分かるという訳ではありません。 入管の審査の傾向は,永住ビザの申請の“経験”から判断するほかないのです。 その意味において,永住ビザの申請代行においては,国際業務を専門としていることは当然のこと,永住ビザの申請代行の実績が十分にある行政書士をおすすめします。 1-2.役割が明確な行政書士がおすすめ 永住ビザ申請に限った話ではありませんが,行政書士がどこまで対応してくれるのか,依頼者は何をしなければならないのか,この点を依頼時に明確にしてくれない行政書士は,おすすめしません。 行政書士に依頼する方のニーズは様々で,申請書類の作成が難しいから依頼するという方のみならず,仕事や家事で忙しいから依頼する方もたくさんいらっしゃいます。 「忙しいから依頼したのに,あれもこれも自分でしないとダメなの?」と後悔することのないように,行政書士に依頼する前に,依頼した場合に自分が何をする必要があるかを確認していただくことをおすすめします。 1-3.永住ビザの申請に必要な公文書の収集をしてくれる行政書士がおすすめ 永住ビザ申請に必要となる公文書の収集は,手間がかかるものです。 特に,日頃このような書類収集をしたことがない一般の方にとっては,ご負担は大きくなります。 なぜなら,永住ビザ申請に添付する書類は,一つの役所のみで書類収集ができるわけではなく,市区町村役場,税務署,年金事務所など,実に多くの役所において公文書を取得する必要があるからです。 しかし,永住ビザ申請を行政書士に依頼した場合でも,“書類収集はお客様で!”という行政書士事務所もあります。 その分だけ報酬が極端に安いのであれば,少しでも費用を抑えたいという方には良いかもしれません。 一方で,公文書は行政書士が取得してくれると思っていた場合や,公文書取得の大変さを理解していない場合には,想定外の労力が掛かってしまいます。 そのため,行政書士に永住ビザの申請を依頼する場合には,公文書の取得は誰がするのか明確にしておく事をおすすめします。 個人的には,せっかく行政書士に依頼するのであれば,公文書の収集代行もしてくれる行政書士を良いと思います。 1-4.ネガティブ要素をフォローする説明書の作成をしてくれる行政書士がおすすめ 永住ビザ申請においては,年収や出国歴などの審査ポイントがたくさんあります。 永住ビザ 要件 はコチラ 永住審査ポイントについてネガティブな要素があったとしても,それを補う資料や説明書を付ければ,永住ビザを取得できるケースがあります。 他方で,永住審査ポイントについて,ネガティブな要素があるにも関わらず,その点をフォローしないで永住ビザ申請を行うと不許可の可能性は高くなります。 そのため,永住ビザの申請前には,ネガティブな要素の検証が必要になります。…