依田 隼弥

就労ビザの19種類を徹底解説!取得条件・申請方法・注意点を分かりやすく解説

外国人が日本で働く場合,大前提として「働くことができるビザを持っている」ことが必要です。日本人の場合は原則としてどんな仕事にも就けますが,外国人はそもそも働くことが制限されているのです。

【働くことができるビザ】

  • 就労ビザ(19種類あります)※本コラムで解説します
  • 永住ビザ
  • 定住者ビザ
  • 配偶者ビザ(日本人の配偶者等,永住者の配偶者等)

※上記以外のビザでも,「資格外活動許可」を取得することで,週28時間以内で働けるケースもあります。

本コラムでは,就労ビザ19種類について,ビザの趣旨と該当する職種について専門行政書士が解説していきます。全体像を掴んでいただけるように解説しますので,それぞれの就労ビザの詳細については,リンク先のページにてご確認ください。

1.就労ビザとは?

就労ビザとは,外国人が日本で働くことを目的とした在留資格の総称で,働く内容=就労活動によって19種類に分けられています。どんな仕事でもできるオールマイティな「就労ビザ」というものはありません。
どの就労ビザに該当するかは,どのような仕事をするのか,就労活動の内容に応じて判断する必要があります。

ビザと在留資格の違い
ここで,「ビザ」と「在留資格」を整理しておきましょう。
「ビザ」と「在留資格」は,正確には「同じもの」ではありません。
ビザは,日本語で「査証」と呼ばれ,日本へ入国するための「許可証」のようなものです。出発する国にある日本大使館や領事館で発行されます。ビザがあるからといって自動的に日本に入れるわけではなく,在留資格が決定されることで正式に日本での滞在が許可されます。
在留資格は,日本に滞在するための目的や活動に応じて付与される資格です。資格ごとに滞在できる期間や活動できる内容が定められています。
この在留資格のことを,便宜上「ビザ」と呼んでいます。本コラムで解説する「就労ビザ」は,「就労活動ができる在留資格」のことです。

2.就労ビザの種類(19種類)【仕事内容の違いに注目】

本チャプターでは,就労ビザの種類と該当する職種,許可される在留期間について解説していきますので,就労ビザの該当性の判断にお役立てください。
それでは,19種類の就労ビザを解説していきます。

(1)外交ビザ

外交ビザは,日本と諸外国の外交関係を維持・発展するために設けられた就労ビザです。
一般的にはあまり馴染みがないかもしれませんが,外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族の方などが該当します。
また,外交ビザは一般的な就労ビザのように,「1年」や「3年」といった在留期間が具体的に定められているわけではなく,外交活動を行う期間中は継続して在留が認められているのが特徴です。

(2)公用ビザ

公用ビザは,日本と諸外国との友好関係を維持・発展させることを目的に設けられた就労ビザです。
(1)の外交ビザ同様,一般的にはあまり馴染みがないと思います。
外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される方及びその家族の方などが該当します。
在留期間は,5年,3年,1年,3月,30日又は15日と定められています。

(3)教授ビザ

教授ビザは,学術研究の向上発展を目的に,大学の教授などを外国から受け入れるために設けられた就労ビザです。
大学の教員等を対象とする就労ビザで,大学の教授,准教授,講師,助手などの方が該当します。
もっとも,教授ビザは就労ビザの一種と位置づけられていますので,たとえ教授職にあったとしても,収入を得ずに大学等で研究や教育活動をする場合には,教授ビザには該当しません。
この場合には,「文化活動」ビザに該当することになるので,注意が必要です。
在留期間は,5年,3年,1年,3月と定められています。

(4)芸術ビザ

芸術ビザは,芸術分野を通じて,国際交流を図ることを目的に設けられた就労ビザです。
その名のとおり芸術家を対象とする就労ビザで,作曲家,作詞家,画家,彫刻家,工芸家,写真家などの方が該当します。
芸術ビザは就労ビザの一種であるため,収入を伴わない芸術活動をおこなう場合には,芸術ビザではなく文化活動ビザに該当することになります。
在留期間は,5年,3年,1年又は3月と定められています。

(5)宗教ビザ

宗教ビザは,外国の宗教団体から派遣される宗教家を受け入れるために設けられた就労ビザです。
僧侶,司教,宣教師等の宗教家の方が該当します。
在留期間は,5年,3年,1年又は3月と定められています。

(6)報道ビザ

報道ビザは,外国の報道機関から派遣される特派員等を受け入れるために設けられた就労ビザです。
新聞記者,雑誌記者,編集者,報道カメラマン,アナウンサーの方などが該当します。
なお,日本の報道機関との契約に基づき報道活動をおこなう場合には,報道ビザではなく「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当することになるので注意が必要です。報道ビザの在留期間は,5年,3年,1年又は3月と定められています。

(7)高度専門職ビザ

高度専門職ビザは,高度外国人材の受入れを促進するため,高度外国人材に対しポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置を講ずるために設けられた就労ビザです。
「高度学術研究活動」,「高度専門・技術活動」,「高度経営・管理活動」の3つに分類され,それぞれの特性に応じて,「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイント制を設けています。
このポイントの合計点数が一定の点数以上に達した場合,出入国管理上の優遇措置を受けることができるというメリットがあります。
具体的な優遇措置は次の通りです。

【高度専門職1号でポイントが70点以上の場合】
①複合的な在留活動の許容
②在留期間「5年」の付与
③在留歴に係る永住許可要件の緩和
④配偶者の就労
⑤一定の条件の下での親の帯同
⑥一定の条件の下での家事使用人の帯同
⑦入国・在留手続の優先処理
を受けることができます。

また,高度専門職1号を取得している方が3年以上日本に滞在し,素行が善良であり,かつ日本国の利益に合致しているなどの要件を満たした場合は「高度専門職2号」ビザを取得することができます。
高度専門職2号を取得すると,優遇措置が拡充されます。

【高度専門職2号の優遇措置】
①「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことが可能
在留期間が無期限となる
③高度専門職1号の優遇措置③から⑥までも同様に受けることが可能

高度専門職ビザの在留期間は,高度専門職1号が5年,高度専門職2号が無期限です。

詳しくは,別コラム「高度専門職ビザの取得条件とは?」をご覧ください。

(8)経営・管理ビザ

経営・管理ビザは,企業の経営者や管理者,また外国人起業家を受け入れるために設けられた就労ビザです。
会社経営者・管理者の方などが該当します。
しかし,単に会社を設立し,会社経営者になれば経営管理ビザを取得できるわけではありません。
事業が安定的かつ継続的に営まれることや事業所の要件など,ビザ取得のためには様々な要件をクリアする必要があります。
そのため,経営管理ビザは他の就労ビザと比較すると難易度の高いビザと考えられており,行政書士への依頼が多いのも特徴と言えるでしょう。
当社でも経営管理ビザのご依頼数は多く,様々なケースにご対応しております。
詳細は,経営管理ビザ 要件 のページをご覧ください。

なお,経営管理ビザの在留期間は,5年,3年,1年,4月又は3月です。

(9)法律・会計業務ビザ

法律・会計業務ビザは,法律や会計業務のうち,法律で『資格を持っている人だけが行える』とされている業務を行うための就労ビザです。
具体的には,私たち行政書士,その他に弁護士,司法書士,公認会計士,税理士,社会保険労務士などの資格が該当します。

在留期間は,5年,3年,1年又は3月です。

(10)医療ビザ

医療ビザは,医療関係業務に従事する専門家を外国から受け入れるために設けられた就労ビザです。
医療関係業務に従事する専門家という文言からもわかるとおり,医療関係の資格を取得し,資格を有することが法律上必要とされている業務に従事する外国人を対象とした就労ビザです。
医療ビザに該当するのは,医師,歯科医師,薬剤師,看護師,准看護師,保健師,助産師,歯科衛生士,診療放射線技師,理学療法士,作業療法士,視能訓練士,作業療法士,臨床工学技士,理学療法士,義肢装具士の方です。

在留期間は,5年,3年,1年又は3月です。

(11)研究ビザ

研究ビザは,研究者を外国から受け入れるために設けられた就労ビザです。
政府関係機関や企業などで,研究の業務を行う方が該当します。
研究ビザとの比較として,収入を伴わない研究活動は,文化活動ビザとなる点には注意が必要です。
また,大学などでの研究活動は,教授ビザになる点にも注意が必要です。

在留期間は,5年,3年,1年又は3月です。

(12)教育ビザ

教育ビザは,教育分野の国際化進展に対応するため,小・中・高等学校,中等教育学校,特別支援学校,専修学校または各種学校もしくはそれに準ずる教育機関の語学・その他の教育を行う教師の方を受け入れるために設けられた就労ビザです。
小学校・中学校・高等学校等の語学教師の方などが該当します。
大学や大学に準じる機関,また高等専門学校で教育活動をおこなう場合には,教育ビザではなく,教授ビザとなる点に注意が必要です。

在留期間は,5年,3年,1年又は3月です。

(13)技術・人文知識・国際業務ビザ

就労ビザの代表格とされているのがこの「技術・人文知識・国際業務」ビザです。
技術・人文知識・国際業務ビザは,自然科学分野の専門技術者,人文科学分野の専門職従事者,外国人の思考,感受性を活かして国際業務に従事する方を受け入れるために設けられた就労ビザです。
出入国在留管理庁が公表したデータによると,2023年6月末の在留外国人のうち,就労ビザの中では技術・人文知識・国際業務ビザを保有している外国人は技能実習ビザに次いで多く,34万6,116人に上ります。
実に,日本に滞在する外国人全体の約10%が技術・人文知識・国際業務ビザを保有している計算です。
機械工学等の技術者,設計者,企画,財務,マーケティング,営業,通訳・翻訳,語学学校の講師,海外取引業務, 服飾のデザイナーなどの方が該当します。

在留期間は,5年,3年,1年又は3月です。

(14)企業内転勤ビザ

企業内転勤ビザは,外国の親会社・子会社・孫会社,関連会社にあたる事業所から期間を定めて派遣される転勤者を受け入れるために設けられた就労ビザです。
近年の企業活動の国際的展開の加速に伴い,当社への問い合わせも増加しています。

在留期間は,5年,3年,1年又は3月です。

(15)介護ビザ

介護ビザは,深刻な介護職の人出不足に対応するために,介護福祉士の資格を取得した外国人向けに設けられた就労ビザです。
かつては,専門学校など養成施設で介護福祉士の資格を取得した場合のみ介護ビザが認められていましたが,
2020年4月に介護ビザの基準省令が改正され,介護福祉士の資格を取得したルートに限らず介護ビザが認められることになりました。
これにより,実務経験や福祉系高校で介護福祉士の資格を取得した場合でも,介護ビザを取得できます。

在留期間は,5年,3年,1年又は3月です。

(16)興行ビザ

興行ビザは,芸能人,プロスポーツ選手などを受け入れるために設けられた就労ビザです。
歌手,ダンサー,俳優,ファッションモデル,プロスポーツ選手,サーカスの動物飼育員,スポーツ選手のトレーナー,振付師,演出家などが該当します。
在留期間は3年,1年,6月,3月又は30日です。

(17)技能ビザ

技能ビザは,熟練技能労働者を外国から受け入れるために設けられた就労ビザです。
外国料理の調理師,貴金属加工職人,パイロット,外国に特有の建築士・土木技師,外国製品の修理技能士,動物の調教師,スポーツの指導者,ソムリエなど産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を有する方が該当します。

在留期間は,5年,3年,1年又は3月です。

(18)特定技能ビザ

日本の深刻な人材不足に対応するために,2019年4月からスタートした就労ビザです。
特に人材不足が著しい介護,ビルクリーニング,素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業,建設,造船・舶用工業,自動車整備,航空,宿泊,農業,漁業,飲食料品製造業,外食業の12分野について,一定の要件を満たすことで「特定技能1号」ビザを取得することが可能になりました。これまでごく一部でしか認めていなかった,いわゆる“現場作業”が行える就労ビザです。

特定技能1号では在留できる年数が通算5年と上限があり,家族の帯同が認められていません。指定の試験に合格するなど一定の条件を満たせば「特定技能2号」ビザへの切り替えも可能です。特定技能2号ビザでは,在留年数の上限がなく家族の帯同も認められます。

【特定技能2号の対象分野が拡大されました】
これまでは,特定技能1号から2号へ移行できる分野が「建設」「造船・船用工業」の2つのみでした。
2023年の法改正により,「介護」以外のすべての分野で特定技能2号へ移行できるようになりました。
※介護分野は,特定技能2号ではなく既存の介護ビザへ移行することで引き続き活動できます。

在留期間は,特定技能1号が,1年,6月,4月で,通算5年を上限としています。
特定技能2号については,3年,1年,6月で,通算年数に上限を設けていません。

(19)技能実習ビザ

技能実習ビザは,先進国としての役割を果たしつつ,国際社会との調和ある発展を図っていくため,技能,技術又は知識の開発途上国等への移転を図り,開発途上国等の経済発展を担うことを目的として創設されました。目的から考えると就労ビザと言えるかという点には,疑問もありますが,雇用契約を基礎とする活動をしていることから,今回は就労ビザの一つとして記載をしています。
日本に滞在する技能実習生は,2023年6月末の出入国在留管理庁のデータによれば,35万8,159人と就労ビザの中で最も多く,在日外国人の11%に上ります。

技能実習ビザは,入国1年目(技能実習1号),入国2年・3年目(技能実習2号),入国4年・5年目(技能実習3号)に区分され,技能実習1号から技能実習2号へ,技能実習2号から技能実習3号へ移行するためには,所定の技能評価試験に合格することが必要となります。

在留期間は,技能実習1号は法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)とされ,技能実習2号,技能実習3号は,法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲)とされています。

【新しい制度に変わります】
技能実習制度は,実習生が他の機関へ転籍できないことを逆手にとって,劣悪な環境に置き労働を強いるようなことも行われていました。耐えかねた実習生が失踪してしまうというケースもたびたび発生し,人権侵害にあたるとして国際的にも問題視されていました。
日本政府としては,技能実習生制度を廃止して,新たに外国人人材の確保と人材の育成を図る「育成就労制度」を導入することを決定しています。

3.就労ビザを取得するために必要な手続き

ここからは,就労ビザを取得するために必要となる手続きの流れについて解説します。
手続きには2つのパターンがあります。

【パターン①】
海外から来日して働く=在留資格認定証明書交付申請

【パターン②】
すでに他のビザで日本にいて就労ビザに切り替える=在留資格変更許可申請

パターン①は現在海外に在住している外国人が新規にビザを取得して来日するパターンです。
パターン②は,留学生が卒業後に帰国せずそのまま日本で就職する場合に「留学」ビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザへ変更するケースなどです。
それぞれパターンごとに見ていきましょう。

【パターン①】海外から来る:在留資格認定証明書交付申請

①雇用契約の締結(必要な場合)
雇用契約が必要な場合は,先に,求職中の外国人と雇用する日本の企業との間で雇用契約を交わします。
就労ビザは業務内容によって種類が決まります。従事する業務内容は明確にしておきましょう。
在留資格認定証明書交付申請で,締結済みの雇用契約書コピーを提出する必要があります。
そのため,雇用契約はビザ申請よりも前に交わす必要があります。

②申請書類の準備
在留資格認定証明書交付申請に必要な書類を準備します。申請人となる外国人本人だけでなく,就労先企業に関する書類も必要です。

【必要書類の例】

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm):1葉
  • 日本での活動内容に応じた外国人本人に関する資料 ※就労ビザによって異なります
  • 日本での活動内容に応じた就労先企業に関する資料 ※就労ビザによって異なります
  • 返信用封筒:1通(簡易書留郵便の切手貼付)

③管轄の入管へ在留資格認定証明書交付申請
申請書類の準備ができたら,外国人本人の住居予定先または勤務先のいずれかを管轄する地方出入国在留管理局へ申請します。この時点では,まだ外国人本人は来日していないので,就労先企業の担当者が申請代理人となって申請します。(当社にご依頼いただいた場合は,当社にて入管へ提出いたします。)

④交付された在留資格認定証明書を外国人本人に送る
入管での審査で「OK」となると,「在留資格認定証明書(=COE)」が交付されます。このCOEを外国人本人へ送ります。以前はCOEの原本が必要でしたが,現在はスキャンしたPDFデータでも現地で使えるようになりました。

⑤海外にある日本の在外公館で査証申請
COEを受け取った外国人本人は,現地にある日本の在外公館(大使館・総領事館など)で,査証の発給申請を行います。
※在外公館によってフローが異なりますので,外国人本人より現地で確認してもらってください。

⑥在外公館から査証が発給される
査証が発給されたら,いよいよ日本へ向けて出発です。COEが交付された日から3ヶ月以内に日本へ入国する必要があるので,スケジュールには注意が必要です。日本へ入国後,予定していた業務内容で就労できます。なお,入国から14日以内に市区町村で住民登録を忘れずに行ってください。

在留資格認定証明書交付申請は,申請から交付までおおむね1~3か月程度かかります。この審査期間を織り込んで,早めに準備して申請しましょう。

【パターン②】他のビザから切り替える:在留資格変更許可申請

すでに他のビザで日本に在留していて,就労ビザに切り替える場合の手続きについて解説します。
①雇用契約の締結(必要な場合)
雇用契約が必要な場合は,先に,求職中の外国人と雇用する日本の企業との間で雇用契約を交わします。
就労ビザは業務内容によって種類が決まります。従事する業務内容は明確にしておきましょう。
在留資格変更許可申請で,締結済みの雇用契約書コピーを提出する必要があります。
そのため,雇用契約はビザ申請よりも前に交わす必要があります。

②申請書類の準備
在留資格変更許可申請に必要な書類を準備します。申請人となる外国人本人だけでなく,就労先企業に関する書類も必要です。

【必要書類の例】

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm):1葉
  • パスポート,在留カード(提示)
  • 日本での活動内容に応じた外国人本人に関する資料 ※就労ビザによって異なります
  • 日本での活動内容に応じた就労先企業に関する資料 ※就労ビザによって異なります
  • 収入印紙:4,000円分(許可後に納付します)

③管轄の入管へ在留資格変更許可申請
申請書類が準備できたら,申請人となる外国人本人の住居地を管轄する入管へ,在留資格変更許可申請を行います。変更申請は,就労先企業の担当者が申請代理人になることはできません。
(当社にご依頼いただいた場合は,当社にて入管へ提出します)

④結果の通知
審査が完了すると,ハガキで通知が届きます。このハガキ自体には「許可」「不許可」について記載はありません。ハガキに書かれている書類等を持参して,指定日までに入管へ出頭します。「許可」の場合は,入管窓口で新しい在留カードが交付されます。

申請から結果の通知まで早ければ数週間,遅いと数か月かかることもあります。なお,審査中に在留期限を迎えても,結果が出るまで最長2か月間は引き続き在留したまま同じ活動が行えます。

4.就労ビザの審査にかかる日数とは?

就労ビザの審査には,いったいどれぐらいの日数がかかるのでしょうか?
出入国在留管理庁のホームページでは,目安となる「標準処理期間」が公表されていますが,実務上はその期間よりも長期化している印象です。行政書士法人第一綜合事務所では,大阪入管と東京入管へ毎週申請していますので,そのなかで平均的な期間も以下お伝えします。

在留資格認定証明書交付申請(海外から来る)
・入管公表の標準処理期間:1~3か月
・当社の実務上で平均的な期間:2~4か月

在留資格変更許可申請(他のビザから変更する)
・入管公表の標準処理期間:2週間~1か月
・当社の実務上で平均的な期間:1か月以上(経営管理や特定技能は2か月以上)

在留期間更新許可申請(いまのビザの期限を延長する)
・入管公表の標準処理期間:2週間~1か月
・当社の実務上で平均的な期間:1~2か月

留学生の卒業シーズンなど,申請が集中する時期に申請した場合は,さらに長期化することもあります。外国人を雇用する場合,ビザ申請にかかる期間もふまえた採用計画を立てることをおすすめします。

5.就労ビザの有効期間と更新方法について

就労ビザには有効期間があり,「在留カード」に印字されています。期限までしか日本に滞在することができないのですが,入管へ更新の申請をすることで,その期限を延長することもできます。
有効期間はどのように決まって,どうすれば延長できるのかを解説します。

(1)就労ビザの有効期間

就労ビザの有効期間は,就労ビザの種類によって異なります。申請書に「希望する在留期間」を記入することはできますが,実務上はビザの種類,申請内容や就業先の会社の規模,申請人となる外国人本人の経歴などあらゆる状況から総合的に判断されます。
会社員の方でおなじみの「技術・人文知識・国際業務」ビザでは,就職や転職してしばらくは「1年」の期間が許可され,何度か更新していくと「3年」「5年」と長くなっていく方が多いです。ただし,就業先が上場企業の場合では,いきなり「5年」で許可されることもあります。

(2)就労ビザの更新方法

就労ビザには有効期間がありますが,期限前までに「在留期間更新許可申請」を行うことで,期間を延長することができます。この在留期間更新許可申請は,在留期限のおおむね3か月前から申請できます。
更新前と更新後で,何も変更点がない場合は,審査も早く完了する傾向にあります。
一方で,就業先や業務内容が変わっている場合は,改めてそれに関する書類を提出する必要があり,審査も長くなります。
更新を繰り返すことで継続して長く日本で働くことが可能ですが,「特定技能1号」ビザなど,更新の上限が法律で決められている就労ビザもあります。

6.就労ビザで働く外国人を雇用する際の注意点

外国人を雇用する場合,企業側が注意すべき点は大きく2つあります。

【企業側が注意すべきこと】
①貴社で予定している業務の内容に該当する就労ビザがあるかどうか確認する
②採用する外国人が,どんなビザを持っているか確認する

それぞれ見ていきましょう。

①貴社で予定している業務の内容に該当する就労ビザがあるかどうか確認する
世の中には様々な業務が存在しますが,そのすべてに対して就労ビザが用意されているわけではありません。就労ビザが用意されていない業務内容だった場合,就労ビザで働かせることはできません。永住ビザや配偶者ビザなど,そもそも就労活動の制限がないビザを持っている外国人を雇用するか,日本人を雇用するしかありません。

②採用する外国人が,どんなビザを持っているか確認する
ビザには,就労活動が制限されているビザと,制限されていないビザがあります。

  ビザ(在留資格)の種類
就労活動に制限がない ・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・定住者
・永住者
就労活動に制限がある 上記以外すべてのビザ

就労ビザを持っていたとしても,そのビザで認められた業務内容以外は従事できません。「どんなビザを持っているのか」は,必ず確認するようにしましょう。

7.就労ビザのよくある質問

ここでは,就労ビザに関するよくあるお問い合わせをご紹介いたします。

【Q】すでに「技術・人文知識・国際業務」ビザを持っている外国人であれば,採用するにあたって改めてビザ申請する必要はないですよね?


【A】同じ技術・人文知識・国際業務ビザに相当する業務内容であれば,貴社で採用するにあたって改めてビザ申請する必要はありません。
ただし,採用前に以下の2点は確認することをおすすめします。
・貴社で予定している業務の内容が「技術・人文知識・国際業務」ビザの範囲内かどうか
・採用する外国人が,貴社で予定している業務に従事できる学歴や経験を持っているがどうか
現在のビザは前職で許可されたものです。更新する際に,改めて貴社の業務内容で審査されることになり,その際に不許可になるリスクがあります。更新が不許可になるだけでなく,そもそも「技術・人文知識・国際業務」ビザで従事できない業務内容だった場合,資格外活動を行わせたとして,採用した企業側も厳しく処罰されることになります。

【Q】法人営業職で採用した外国人を,組織改編の人事異動で工場勤務にしたいと考えています。ビザの変更は必要ですか?


【A】異動後の業務内容によっては,ビザの変更が必要です。また,業務内容によっては「該当するビザが存在しない」場合もあります。世の中には様々な業務が存在しますが,そのすべてに対して就労ビザが用意されているわけではありません。日本人なら当然にできる業務内容であっても,外国人には認められていないものも数多くあるのです。このあたりは判断が非常に難しい領域ですので,ぜひ専門家にご相談ください。

他にも,気になることがございましたら,ぜひ行政書士法人第一綜合事務所の無料相談をご利用ください。

ご相談は無料です。
お気軽にご相談ください。

8.就労ビザ19種類のまとめ

本コラムでは,19種類ある就労ビザについて解説してきました。
それぞれの就労ビザについて,特徴は掴んでいただけたでしょうか。
活動内容によって様々な種類が用意されていることをご理解いただけたかと思います。

【おさらい】

  • 日本で働くには,働くことができるビザ(または許可)が必要
  • オールマイティに働ける就労ビザはなく,仕事内容によって19種類に分類されている
  • 海外から来日する新規のビザ申請(在留資格認定証明書交付申請)は,就労先が申請代理人になる

厚生労働省の「外国人雇用についての届出状況の取りまとめ」によると,2023年10月末現在,外国人労働者数は204万8675人で,過去最高を記録しています。
ここ数年,コロナ禍の影響により,在留外国人数は減少しましたが,外国人労働者数は予想に反し,増加傾向にありました。
その背景には,日本の生産年齢人口の減少が要因として考えられます。
我が国の生産年齢人口は,1995年をピークに減少に転じており,今のところ回復する見込みもありません。
そのため,外国人労働者を採用する企業がもっと増えていくことが予想されています。
外国人労働者に関する就労ビザの知識は,外国人本人だけではなく,外国人労働者を受け入れる企業にも求められます。
行政書士法人第一綜合事務所では,就労ビザの申請だけでなく,外国人を雇用している企業様へ適性を図るための業務監査も承っています。また,新たに外国人を雇用される企業様へは,体制構築のご支援も行っております。

就労ビザ,外国人材の雇用に関するご相談がございましたら,お気軽に行政書士法人第一綜合事務所までお問い合わせください。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・東京都行政書士会(会員番号第15335号)
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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