永住ビザにおける資料提出通知書(追加資料)の特徴
永住ビザ申請を行った後に,“資料提出通知書”という追加資料の提出を求める書面が入管から届くことがあります。
本ページは,
・入管から資料提出通知書が届いたという方
・追加資料の対応をどのようにすべきかお困りの方
・これから永住ビザ申請を考えている方
を対象としたコラムです。
Index
1.永住ビザにおける資料提出通知書(追加資料)とは
資料提出通知書とは,入管へビザ申請を行った後に届く追加資料要求のことです。
入管が永住ビザの審査過程において疑義が生じた場合に,それらを明らかにするため求めるものを指します。
入管が追加資料の要求を書面にまとめたものと考えてください。
例えば,必要書類を完璧に揃えて提出したと思っていたとしても,
- 提出書類に不足があった場合
- 提出書類に不備があった場合
- 提出書類に疑義があった場合
など,様々な場面で資料提出通知書が届くことが想定されます。
入管へ永住ビザ申請をした後,入管から資料提出通知書が届いた場合,びっくりして焦ってしまう方がほとんどです。
“永住ビザが不許可になってしまうのではないか”
このように,ネガティブに考え,混乱してしまう方も少なくありません。
しかし,資料提出通知書が届いたからといって,必ず永住ビザが不許可になるわけではありません。
入管が求めていることに対して,一つ一つ丁寧に対応をしていけば,永住許可を取得できる場合もたくさんあります。
そのため,まずは入管が何を知りたいのかを確認し,落ち着いて進めていくことが先決です。
次のチャプターでは,入管から届いた資料提出通知書の対応方法を見ていきます。
2.入管から届いた資料提出通知書への対応について
上記で見た通り,資料提出通知書が届いたからといって,必ず永住ビザが不許可になるわけではありません。
しかし,この資料提出通知書の対応を誤れば,永住ビザの許可は遠のくことになってしまいます。
では,入管から資料提出通知書が届いた場合,どのように対応すれば良いのでしょうか。
少し専門的な知識が必要となりますが,まずは入管が追加資料を要求している趣旨を理解することです。
例えば,所得証明書の提出を求められた場合,単に所得額を確認したいのか,それとも扶養人数や社会保険料控除,配偶者控除などの控除項目を確認したいのか,入管が所得証明書を追加要求する趣旨はそれぞれ異なります。場合によっては修正申告が必要なケースもあります。単純に役所で取得して提出すればいいと短絡的に考えてしまうと,思わぬ落とし穴があるかもしれません。
この判断には,既に提出した申請書類はもちろんのこと,これまでの在留状況を全体的に俯瞰して分析する必要があり,専門的な知識が必要になります。
そのため,心配であれば専門家にご相談されることをお勧めします。
次に,入管から資料提出通知書が届いた場合には,資料提出期限が定められています。
資料提出通知書には,「上記の期日までに提出されないときは,不利益な処分となることがあります。提出が遅れる等の事情がある方はあらかじめお知らせ下さい。」と記載されています。
入管は資料提出通知書で求めている資料が届くまで審査を進めることができません。
そのため,入管が指定する期日に間に合うように書類提出を行ってください。
万が一,資料提出通知書に記載の提出期限までに資料提出が間に合わない場合は,入管に事情を説明し,期限の延長を求める連絡をしてください。
決して,連絡なしに資料提出の期限を超過してはいけません。
上記のとおり,資料提出通知書の対応策としては,入管からの意図を正しく理解し,提出期限を守りながら対応することが必要です。
真摯に入管対応していれば永住ビザが許可されそうな申請であっても,不誠実な対応をしてしまうことで永住ビザ不許可の憂き目を見るのは非常にもったいないです。
行政書士法人第一綜合事務所では,資料提出通知書の対応のみを業務としてお引き受けすることも可能です。
入管から資料提出通知書が来てお困りのお客様は,お気軽に当社(06-6226-8120)までお問合せください。
3.ご質問の多い資料提出通知書の内容
次に,永住ビザ申請の資料提出通知書に関するよくあるご質問について解説します。
永住ビザ申請の特徴は,提出する資料や公文書が多いという点です。
提出資料が多いということは,書類の抜け漏れや,不備が発生する可能性が高くなります。
そのため,資料提出通知書で追加の書類を求められる可能性が,他の在留諸申請と比べても高くなります。
また,永住ビザ申請は,来日以来のこれまでの在留状況についても審査されるため,入管がホームページに記載していない資料の提出を求められる可能性もあります。
本チャプターでは,下記の2つのパターン毎によくある資料提出通知書の内容を確認していきます。
①申請時に提出した書類に不足がある場合
Ⅰ.所得課税証明書/納税証明書(住民税)の提出
⇒該当年度の1月1日時点で住所登録を行っていた市区町村役場へ発行の依頼をしてください。
Ⅱ.源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税に係る納税証明書(その3)
⇒現在お住まいの住所を管轄する税務署へ発行を依頼してください。
Ⅲ.被保険者記録照会回答票(納付Ⅰもしくは納付Ⅱ)
⇒現在お住まいの住所を管轄する年金事務所へ発行を依頼してください。
Ⅳ.国民年金保険料領収書の写し
⇒該当年度に支払った領収書を提出してください。
なお,領収書が手元に残っていない場合は,被保険者記録(照会区分03)という書類を年金事務所で取得してください。
Ⅴ.国民健康保険料納付証明書
⇒該当年度に住所登録を行っていた市区町村役場へ発行の依頼をしてください。
Ⅵ.国民健康保険料領収書の写し
⇒振込での支払いの場合は該当年度に支払った領収書を,口座引き落としでの支払いの場合は引き落とし記録のある通帳のコピーを提出してください。
なお,振込での支払いで,領収書が手元に残っていない場合は,入管へ電話で確認するようにしてください。
実務上は,手元に残っていないことについての理由書の提出を求められることが一般的です。
②審査上追加で資料提出を求める場合
Ⅰ.現在勤めている勤務先(現職)と以前勤めていた勤務先(前職)の雇用契約書もしくは労働条件通知書の写し
⇒現職と前職の雇用条件(特に業務内容)について,確認されるケースに多くみられます。
過去に在留諸申請を行った際の申請書や添付書類と内容の相違が無いか確認することが必要です。
Ⅱ.扶養者に対しての仕送りが分かる資料の写し
⇒税法上の扶養控除をうけている被扶養者に対して,定期的に仕送りしているかどうかを確認されるケースに多くみられます。
また,その金額が申請人(扶養者)の収入と比較して,適正な金額であるかどうかも確認する必要があります。
Ⅲ.直近3ヶ月間の給与明細書の写し
⇒提出している所得課税証明書や源泉徴収票では収入の確認が足りないため,直近の収入を確認されるケースに多くみられます。
給与明細書の内容を確認し,公租公課や社会保険料の控除がされているかも同時に確認が必要です。
Ⅳ.親族一覧表
⇒日本や海外にいる親族の状況について確認されるケースに多くみられます。
日本に住んでいる親族については,正しく在留をしているかどうか,生活保護などの受給が無いかどうかも確認される場合があります。
Ⅴ.生活状況確認書
⇒入管が用意した生活状況確認書というフォーマットに記載することになります。
実務上は,申請人に犯罪歴がある場合や,生活保護を受給していた履歴がある場合に,提出を求められる傾向にあります。
Ⅵ.理由書(消極的事由に関すること)
例:過去に留学生時代に週28時間以上のアルバイト経験があった。
過去に重度な交通違反や犯罪歴があった。
過去に長期的な出国があった。
過去に著しく収入が減少している年度があった。
過去に就労ビザを保有しながら長く働いていない期間があった。
上記は,永住ビザ申請の際に求められる追加資料のほんの一例です。
申請人の個々の状況によって,入管から求められる資料提出通知書の内容は異なります。
4.永住ビザにおける資料提出通知書(追加資料)の特徴のまとめ
本ページでは,永住ビザ申請における資料提出通知書について解説してきました。
資料提出通知書で求められている書類が多かったり,求められている書類の内容が分からないこともあるかと思います。
しかし,杜撰な対応をしてしまうと永住ビザが不許可になってしまう可能性もあります。
永住ビザ申請を取得できれば,
- ビザ更新から解放されます
- 活動制限がなくなります
- 日本での社会的信用が増します
など多くのメリットを享受することができます。
永住ビザを取得した際のメリットは,永住ビザのメリット をご覧ください。
もし,資料提出通知書がお手元に届き,お困りの方がいらっしゃいましたら,行政書士法人第一綜合事務所の無料相談をご利用ください。