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ウクライナ人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とウクライナ)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ウクライナで先に結婚手続きを行うことをウクライナ方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ウクライナ人との国際結婚手続きで注意すること ウクライナ人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について ウクライナは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は,在日ウクライナ大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため,ウクライナ人配偶者の来日が必要になります。 ②婚姻可能な年齢について ウクライナ人の婚姻可能な年齢は,男性は18歳以上,女性は17歳以上と法定されています。 14歳以上の未成年者が婚姻することも可能ですが,その場合は裁判所の許可が必要になります。 ③再婚禁止期間について ウクライナの家族法には,再婚禁止期間は定められていません。もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はウクライナ人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とウクライナ人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ウクライナ人の方にご準備いただく書類> ・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付) ・出生証明書(日本語訳を添付) ・パスポート ※ 在日ウクライナ大使館で取得が可能です。取得するには,ウクライナ人配偶者の出生証明書,独身証明書が必要になります。 ②ウクライナへの婚姻報告について 日本の市区町村役場で婚姻届が受理された後,戸籍謄本(婚姻事項が記載されたもの)と婚姻届受理証明書を外務省でアポスティーユ認証してもらい,夫婦揃って在日ウクライナ大使館に出頭し,婚姻の登録手続を行います。婚姻が登録されることにより,婚姻登録証明書が発行されます。通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。 4.国際結婚手続きにおける必要書類(ウクライナ方式) 次は,日本人とウクライナ人がウクライナ方式で婚姻をする場合についてです。 ウクライナ方式で婚姻手続きを行う際には,まず,日本人配偶者の書類の準備から始めます。…

【特定技能ビザ】漁業分野の試験概要と雇用形態

1. 特定技能「漁業分野」について まずは,特定技能の漁業について,業務区分からご紹介していきます。 1-1 業務区分 特定技能「漁業」には,次の表のとおり2つの業務区分があります。 それぞれに対応する技能実習制度の職種・作業で,「技能実習2号を良好に修了」した外国人は,漁業技能測定試験の合格をしなくても,特定技能ビザを取得する要件を満たします。 また,特定技能制度は,技能実習制度と違い「漁業」の業務区分が作業ごとに分けられていません。 そのため,例えば「漁船漁業職種・かつお一本釣り漁業作業」の技能実習を修了した外国人が漁業の特定技能ビザを取得した場合は,技能実習中は従事できなかった他の作業への従事も可能となります。 特定技能制度(業務区分) 技能実習制度(職種) 技能実習制度(作業) 漁業 (漁具の製作・補修,水産動植物の探索,漁具・漁労機械の操作,水産動植物の採捕,漁獲物の処理・保蔵,安全衛生の確保等) 漁船漁業 ・かつお一本釣り漁業 ・延縄漁業 ・いか釣り漁業 ・まき網漁業 ・ひき網漁業 ・さし網漁業 ・定置網漁業 ・かに・えびかご漁業 養殖業 (養殖資材の製作・補修・管理,養殖水産動植物の育成管理,養殖水産動植物の収穫(穫)・処理,安全衛生の確保等) 養殖業 ほたてがい・まがき養殖 なお,どちらの業務区分においても,同じ職場の日本人従業員が通常行う業務に,付随的に従事することは関連業務として認められています。 認められる関連業務例は,次のとおりです。 〇漁業 漁具の積込み・積下し,漁獲物の水揚げ,漁労機械の点検,船体の補修及び自家原料を使用した製造・加工・出荷・販売等 〇養殖業 梱包・出荷及び自家原料を使用した製造・加工・出荷・販売等 1-2 外国人の要件 〇技能試験と日本語試験に合格 漁業技能測定試験と日本語能力試験N4以上,または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル程度の結果を証明することで,漁業の特定技能ビザを申請するための要件を満たすことが出来ます。 〇技能実習2号を良好に修了 漁業の該当職種・作業にて,「技能実習2号を良好に修了」を良好に修了した外国人は,特定技能ビザ申請にあたり,技能試験と日本語試験が免除されます。 1-3…

【特定技能】ビルクリーニング分野の内容と技能試験

1. ビルクリーニングでの特定技能ビザ取得状況 日本政府は特定技能制度の施行から5年間の間に,ビルクリーニング業での特定技能外国人の受入れ見込み数を37,000人と公表しており,特定技能14業種の中でも,4番目に多い数字です。 しかし,入管庁の公表によると,2021年9月末時点で,日本のビルクリーニング業で就労している特定技能外国人の数は,日本全体で487人に留まっています。 特定技能外国人の全体数が38,337人であるため,ビルクリーニング業の特定技能外国人は,全体のわずか1%程度です。 ビルクリーニング業での低い外国人雇用状況を受け,受入れ機関や登録支援機関,技能実習の監理団体へ外国人受入れについての情報提供を行う「ビルクリーニング外国人受入支援センター」も設置されるなど,外国人受入れ数を増加させるための活動も活発に行われています。 これらの事実を考慮すると,ビルクリーニング業での特定技能外国人の受入れ人数は,今後増えていくことは間違いないでしょう。 2.「特定技能」ビルクリーニングの業務内容 ビルクリーニング業では,特定技能外国人が,建築物内部の清掃業務全般(床・天井・内壁・トイレ・洗面所等)に従事することが認められています。 また,関連業務として,次のような業務にも従事することが認められます。 資機材倉庫の整備作業 建物外部洗浄作業(外壁,屋上等。ただし高所作業を伴う窓ガラス外壁清掃作業は除く) 客室整備作業(ベッドメイク含む) 建築物内外の植裁管理作業(灌水作業等) 資機材の運搬作業(他の現場に移動する場合等) 参照:出入国在留管理庁(特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領) なお,上記業務に住宅内部の清掃を目的として従事することはできず,関連業務に従事する割合が清掃業務を超えることも認められません。 3.「特定技能」ビルクリーニングの協議会 ビルクリーニング業の特定技能協議会は,協議会員の相互連絡や情報共有などを目的として設立されており,初めて特定技能外国人の受入れを開始してから,4ヶ月以内に加入する必要があります。 また,協議会の目的達成のために,次の事項について協議または情報共有を行うとしており,協議会員は必要に応じて,協議会からの要請に協力する必要があります。 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知 受入れに係る人権上の問題等への対応 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発 特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援(特定技能所属機関が支援義務を果たせない場合における情報提供等の必要な協力) 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析 地域別の人手不足の状況の把握・分析 前号を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(看過しがたい偏在が生じた場合の協議会による大都市圏等での受入れの自粛要請や大都市圏等の特定技能所属機関による特定技能外国人引抜きの自粛要請等を含む。) 特定技能所属機関に対する構成員であることの証明 円滑かつ適正な受入れのために必要なその他の情報,課題等の共有・協議等 上記事項に掲げるもののほか,上記の目的を達成するために必要なこと 参照:厚生労働省(ビルクリーニング分野特定技能協議会設置要綱) なお,特定技能外国人を受入れする企業は「建築物製造業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録もしている必要がある点について注意してください。 4.特定技能ビザ取得の外国人の要件 外国人が,ビルクリーニング業で特定技能ビザを取得するためには,次の2つのいずれかの要件を満たす必要があります。 4-1 技能試験・日本語試験に合格…

【特定技能ビザ】農業分野の試験概要と繁忙期雇用

1. 農業分野の特定技能ビザについて まずは,特定技能制度での農業の業務区分や特定技能ビザ申請のための要件について見ていきましょう。 農業で特定技能外国人が,従事可能な業務区分は「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の2種類です。 特定技能外国人が就労する際には,許可を取得した業務区分に含まれる業務への従事のみが認められるため,例えば,耕種農業全般に従事する特定技能外国人が,畜産農業の業務に携わることは認められていません。 1-1 業務区分 特定技能「農業」の業務区分は,次の表のとおり2つのみで,対応する技能実習制度の作業で技能実習2号を良好に修了した外国人については,特定技能ビザを取得するための要件を満たすため,新たに農業技能評価試験を受験する必要はありません。 特定技能制度(業務区分) 技能実習制度(作業名) 耕種農業全般 (栽培管理,農産物の集出荷,選別等の業務) 施設園芸 畑作・野菜 果樹 畜産農業全般 (飼養管理,畜産物の集出荷,選別等の業務) 養豚 養鶏 酪農 なお,特定技能の2つの業務区分のどちらで就労する場合でも,関連業務として,運搬業務,販売業務,冬季の除雪作業などに付随的に従事させることは認められています。 1-2 外国人の要件 〇技能試験と日本語試験に合格 農業の技能を証明するための農業技能評価試験と日本語能力試験N4以上,または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル程度の結果を取得することで,農業の特定技能ビザ申請のための要件を満たすことができます。 〇技能実習2号を良好に修了 農業の該当職種にて,技能実習2号を良好に修了した外国人については,技能試験や日本語試験を受験せずに,特定技能ビザの申請をすることができます。 1-3 受入れ機関の主な要件 特定技能の他業種と同様に,個人事業主または法人のいずれでも,特定技能外国人の受入れ機関となることが認められますが,次にあげる事項については,最低限遵守していることが求められます。 〇日本人と同等程度の報酬の支払い 雇用する特定技能外国人への報酬は,同程度の経験をもつ同じ職場の日本人従業員と差異をつけることは認められていません。 〇特定技能外国人への支援体制を確保 特定技能外国人を雇用するためには,日本での生活や職場での困りごとに対応できる相談体制や,役所関係の手続き補助,銀行口座開設等をサポートする義務的支援を適正に実施できる体制を準備する必要があります。 なお,受入れ機関にて,支援体制を準備できない場合は,登録支援機関へ義務的支援の全てを委託することも認められています。 〇1年以内の非自発的離職者・行方不明者が無いこと 過去1年以内に受入れ機関の都合で退職した従業員や,外国人の行方不明者があった場合,特定技能外国人を雇用することは認められません。 〇5年以内に法令違反が無いこと 過去5年以内に,入管法に関わらず,日本国内の全ての法令に対する違反歴がある場合は,特定技能外国人の雇用が認められません。 〇特定技能外国人と違法な契約が無いこと…

特定技能ビザへの切り替え方法と注意点

1. 留学ビザから特定技能(1号)ビザへの切り替え 本チャプターでは,留学ビザから特定技能(1号)ビザへの切り替えを見ていきましょう。 1-1 外国人の要件 〇技能試験と日本語試験に合格 特定技能ビザへ切り替えをするためには,技能試験と日本語試験の合格が必要です。 技能試験については,それぞれの分野で区分ごとに設定された試験に,合格する必要があります。 日本語試験については,全分野共通で,日本語能力検定N4以上に合格または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル程度の結果を取得することで,要件を満たすことができます。 詳しい内容は,【特定技能ビザ】全14分野の試験内容をご確認ください。 〇納税・納付義務の履行 特定技能ビザへの切り替え申請をする時点で,納期が到来している税金については,全て完納している必要があります。 留学生については,次の4つの税金について、納付状況の確認できる資料の提出が必要な点について留意してください。 なお,租税条約等により免税を受けていた場合には,その旨示す必要があります。 所得税 住民税 国民健康保険(税) 国民年金の保険料 1-2 注意点 〇引き続き家族帯同が可能 留学ビザを保持する外国人には,一定の要件の下で,家族滞在ビザが認められています。 他方で,特定技能(1号)ビザの外国人は,家族の帯同が認められていません。 では,留学ビザから特定技能(1号)ビザに切り替えた場合には,家族滞在ビザは失効してしまうのでしょうか。 留学ビザから特定技能(1号)ビザに切り替えた場合には,実は家族も「家族滞在ビザ」から「特定活動ビザ」に切り替えて,引き続き日本に在留することが認められています。 〇確定申告が必要な場合 外国人留学生は,日本での学費や生活費を稼ぐために,複数のアルバイトを掛け持ちしているケースも少なくありません。 そのような場合には,確定申告を済ませておく必要があります。 加えて,それぞれのアルバイト先から,源泉徴収票の取得をしておく必要もあるので,紛失してしまった場合などには,早めの再発行依頼をしておく必要があります。 〇留学中のアルバイト時間数 外国人留学生は,入管庁より,資格外活動許可を取得することで,原則,週28時間以内のアルバイトが認められています。 学則により定める長期休業期間中は,週40時間までのアルバイトが認められる場合もありますが,いずれの場合でも,上限の時間数を厳守している必要があります。 特定技能ビザを申請する際に,上限を超えた時間数のアルバイトをしていたことが発覚した場合は,特定技能ビザの取得ができなくなる可能性がありますので注意してください。 2.技能実習ビザから特定技能(1号)ビザへの切り替え 技能実習生が特定技能(1号)ビザを取得するための要件は,留学生と同様に試験に合格する方法もありますが,「技能実習2号を良好に修了した」という実績でも要件を満たすことができます。 2-1 外国人の要件 〇技能試験と日本語試験に合格…

宿泊業で特定技能外国人を雇用する要件と注意点

1.「宿泊業」特定技能外国人の要件 まずは,どのような外国人が特定技能ビザを取得できるか見ていきましょう。 宿泊業で,特定技能ビザを取得するためには,外国人が,技能試験と日本語試験に合格する必要があります。 それぞれ,宿泊業技能測定試験,および日本語試験(日本語能力検定N4以上,または国際交流基金日本語基礎テスト)の受験が必要です。 なお,宿泊業にて,技能実習2号を良好に修了した外国人については,日本語試験の合格は不要ですが,宿泊業技能測定試験の合格は必須な点について,注意が必要です。 〇宿泊業技能測定試験 宿泊業技能測定試験については,過去にミャンマーでの開催実績がありますが,現在のところ,国内のみで実施されています。 宿泊業技能測定試験の国内試験は,受験日に17歳以上で,有効なビザをもつ全ての外国人に受験資格があり,宿泊業技能測定試験の管轄機関である,「一般社団法人宿泊業技能試験センター」のホームページより,受験申込をする必要があります。 事前に,「マイページ登録」をして,申し込み可能な受験日に登録し,7,000円の受験料を支払うことで,受験可能となります。 試験当日は,「フロント業務」「広報・企画業務」「接客業務」「レストランサービス業務」「安全衛生その他基礎知識」の5つのカテゴリーから,試験問題が出題されます。 また,試験には,「実技試験」と「学科試験」があり,実技試験は,試験官の質問に答える形式で実施されます。 試験合格後,宿泊業での就職先が内定後した場合は、外国人と,受入れ企業の双方が,一般社団法人宿泊業技能試験センターへ申請することで,合格証明書を取得することができます。 申請承認後,受入れ企業が,1名につき、11,000円(税別)の発行手数料を支払った後に,合格証明書が受入れ企業に送付されます。 合格証明書は,入管庁へ特定技能ビザの申請をする際の提出必須書類のため,必ず取得する必要があります。 〇日本語試験 日本語試験については,国内外で年に2回のみ開催される日本語能力検定でN4以上に合格,若しくは,毎月開催の国際交流基金日本語基礎テストでA2レベル程度の結果を取得する必要があります。 国際交流基金日本語基礎テストは,開催頻度が多く,受験結果も5営業日以内に知ることができるため,特定技能ビザ申請の計画を立てやすいです。 また,不合格の際の再受験の機会も多いため,特定技能ビザの申請要件を満たすためには,国際交流基金日本語基礎テストの受験をお勧めします。 なお,日本語試験の要件について,宿泊業を含む全ての業種で「技能実習生2号を良好に修了」した外国人は,一定の日本語能力があると見なされるため,宿泊業での特定技能ビザを申請するにあたり,日本語試験の要件は免除されます。 特定技能ビザの試験については,【特定技能ビザ】全14分野の試験内容 のページもご確認ください。 今後の展望として,2022年以降,宿泊業は,「特定技能2号」の対象分野となる見込みで,特定技能2号ビザを取得できれば,実質無期限の就労や,家族帯同が可能となります。 特定技能2号ビザを取得するための,試験内容などを含めた要件は,現在のところ,発表されていません。 2.「宿泊業」受入れ企業の要件 ①宿泊業の特定技能協議会へ加入 特定技能外国人を受入れる企業は,雇用開始後,4ヶ月以内に宿泊業の特定技能協議会へ加入する義務があります。 また,登録支援機関に特定技能外国人の支援を委託している場合は,登録支援機関も受入れ企業同様,雇用開始後,4ヶ月以内に協議会への加入が必要となります。 宿泊業の特定技能協議会への加入は,「観光庁」ホームページの案内を参考に,郵送にて手続きをする必要があります。 ②旅館・ホテルの営業許可 受入れ企業は,旅館またはホテルの営業許可を取得している必要があります。簡易宿泊や下宿の営業許可を取得していても,特定技能外国人を雇用することはできない点に注意が必要です。 ③日本人と同等程度の報酬 特定技能外国人を雇用するためには,職場で同じ業務に従事している日本人と同等以上の報酬の契約を締結する必要があります。 特定技能ビザの申請をする際には,特定技能外国人の宿泊業での経験年数や業務内容などに加え,報酬を決定する際に参考にした,同じ職場の日本人従業員の情報も提出する必要があります。…

外食業で特定技能外国人を雇用する方法と注意点

1.外食業で特定技能ビザを取得する2つの方法 外食業において特定技能ビザを取得するには,外国人自身が「技能実習生2号を良好に修了」しているか,「技能試験と日本語試験に合格」している必要があります。 1-1技能実習生2号を良好に修了 「医療・福祉施設給食製造職種」の技能実習を2年10ヶ月以上修了した上で,外国人技能実習評価試験の専門級(実技試験のみ可)合格証明書を特定技能ビザ申請の際に提出すると,技能実習2号を良好に修了したとみなされます。 もし,外国人技能実習評価試験の専門級に合格できなかった場合でも,技能実習中の実習評価について,受入れ企業と監理団体に評価調書を発行してもらうことで,技能実習2号を良好に修了したとみなされます。 もっとも,特定技能外食業分野へ移行できる技能実習の職種が「医療・福祉施設給食製造職種」のみであるため,「技能実習生2号を良好に修了」した外国人が外食業分野へ移行するケースは少ないのが現状です。 1-2技能試験と日本語試験に合格 外食業特定技能1号技能測定試験の合格,および日本語能力検定N4以上に合格または国際交流基金日本語基礎テストの結果により,特定技能ビザ申請のための,技能基準と日本語基準の要件を満たすことができます。 外食業において特定技能ビザの取得を目指す外国人のほとんどが,国内外で実施されている,技能試験と日本語試験に合格する必要があるため,公開されている学習テキストなども参考にし,ビザ申請前に余裕のある受験計画を立てる必要があります。 特定技能ビザの試験については,【特定技能ビザ】全14分野の試験内容のページもご確認ください。 なお,他業種にて,技能実習生2号を良好に修了した外国人については,日本語試験が免除されますので,その点についても併せてご確認ください。 2.受入れ企業が必要な準備 〇協議会加入 受入れ企業は,農林水産省が主体の「食品産業特定技能協議会」に加入する必要があります。 協議会は,協議会員の相互連絡や情報共有の促進,特定技能の制度趣旨や優良事例の周知,人手不足状況の把握などの必要な対応などを協議し,対策を講じていくことを目的として設立されました。 協議会加入のタイミングは,初めて特定技能外国人を受入れてから4ヶ月以内です。 協議会加入に際して費用は発生せず,農林水産省の協議会ページより,加入申請後,通常2週間~1ヶ月程度で,協議会に加入することができます。 〇各役所等で取得が必要な書類 表の中に記載した書類は,特定技能ビザ申請にあたり,受入れ企業が各役所等で取得する必要のある書類です。 これら以外にも,特定技能ビザ申請に際し,追加書類の取得を求められる場合もあります。 登記事項証明書 業務執行に関与する役員の住民票の写し 労働保険料等納付証明書(未納なし証明書) 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し 税務署発行の納税証明書 法人住民税の市町村発行の納税証明書 〇特定技能外国人の支援体制を整える 特定技能外国人を雇用する際には,ビザの申請・更新業務,特定技能外国人への支援業務や四半期ごとの定期報告など,多くの業務が発生します。 自社で特定技能外国人を支援するか,登録支援機関に支援を委託するか,いずれかの手段を取る必要があります。 3.外食業で特定技能外国人が従事可能な業務 外食業で特定技能外国人の雇用ができるのは,日本標準産業分類の「飲食店」または「持ち帰り・配達飲食サービス業」に該当する企業です。 具体的には,食堂,レストラン,テイクアウト専門店,宅配専門店,仕出し料理店などが受入れ企業として想定されます。 また,従事可能な業務は,飲食物調理,接客,店舗管理など,外食業全般の業務です。 それ以外にも,日本人従業員が従事している業務(農産物の生産,配達作業など)があれば,付随的に従事可能とされています。 なお,風営法に規定された,風俗営業にかかわる事業所では就労することができず,接待業務に従事することも認められていません。 4.外食業で特定技能外国人を雇用する際の注意点…

ロシア人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とロシア)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ロシアで先に結婚手続きを行うことをロシア方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ロシア人との国際結婚手続きで注意すること ロシア人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①適用法について ロシアは連邦制を採用しておりますが,婚姻に関する事項は,政府が定める家族法に従うことになっています。もっとも,一部の婚姻要件については,地方自治体の立法により特別条項を設けることができるとされているため,ロシア方式に従った婚姻手続きを行う場合は,婚姻挙行地になる自治体の制度にも注意を払う必要があります。 ②婚姻要件具備証明書について ロシアは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は,在日ロシア大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため,ロシア人配偶者の来日が必要になります。 ③婚姻可能な年齢について ロシア人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳以上と法定されています。 なお,婚姻締結地の立法によって,女子の妊娠など特別事情がある場合は婚姻を許可することができるとされている場合もあります。 ④再婚禁止期間について ロシアの家族法には,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はロシア人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とロシア人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ロシア人の方にご準備いただく書類> ・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付) ・国外パスポート ※ 在日ロシア大使館または領事館で取得が可能です。取得するには,ロシア人配偶者の国外パスポートと国内パスポートが必要になります。 ②ロシアへの婚姻報告について ロシアでは,外国の法律に則って行われた婚姻手続きは,ロシア国内でも法的に有効とみなされており,日本で成立した婚姻をロシア側に届ける制度が存在しません。そのため,日本で成立した婚姻を大使館・領事館に届ける必要はありません。したがって,日本方式で婚姻した場合は,ロシアの婚姻証明書は発行されません。 もっとも,日本で婚姻が成立した旨の証明書(婚姻届受理証明書)を大使館・領事館に提出すれば,婚姻を確認した旨の書類を発行してもらうことができ,通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。…

特定技能ビザで外国人を雇用するメリット

1.特定技能ビザ(1号)と技能実習生を比較したメリット 特定技能ビザ(1号)と技能実習生は,どちらも単純労働を主とする現場で外国人雇用が可能なビザです。 しかし,実際には多くの相違点があります。 それぞれの違いについて,表で比較すると共に,メリットもご紹介していきます。   技能実習 特定技能1号 目的 発展途上国への技術移転を通した国際貢献 日本の人手不足の分野での外国人材の受入 費用 給与以外の費用が嵩む傾向にある 給与は高いがそれ以外の費用は抑えられる 受入れ対象 85職種 14分野 制度運用 煩雑な運用業務 運用が楽 業務範囲 技能実習計画で決められた業務 同じ業務に従事する日本人と同様 受入れ人数枠 制限あり 無制限 ※ただし,介護と建設は常勤職員数まで 転職 不可能 可能 給与 安い 高い ・特定技能ビザの制度目的が明確である 特定技能ビザを使うことで,人手不足の解消という明確な目的のもと,外国人の雇用を実現することができます。 これまで単純労働の現場では,主に,技能実習生が雇用されてきましたが,労働者として就労させることはできませんでした。 しかし実際には,技能実習生の受入れを検討している企業は,単純労働力として外国人を雇用したいと考えている企業も少なくないのが実情です。 そのような背景から,制度目的と技能実習生を雇用する意図が合致せず,外国人の雇用を断念する企業も多く見られました。 入管法改正によって特定技能ビザの制度目的が明確となったことから,受入れ企業も安心して外国人の受入れすることができるようになりました。 ・特定技能外国人の受入費用が安い 技能実習生と比べ,特定技能外国人を受入れする際に発生する費用は少ない場合が多いです。…