仲野 翔悟

入管オンライン申請手続きについて解説!

2019年7月25日より漸くスタートした入管オンライン申請手続きですが,利用者が外国人を雇用している所属機関の職員等に限定されていることなど,多くの課題が残されていました。
そこで,更なる利便性の向上及び入国管理局の窓口混雑の緩和等の観点から,2022年3月16日より新たな制度の運用が始まりました。
本ページでは,2022年3月16日よりスタートした入管オンライン申請手続きについて,ご説明いたします。

1.入管オンライン申請手続きの対象となる申請

入管オンライン申請手続きは,永住許可申請や短期滞在ビザからの変更許可申請などを除き,ほとんどの申請が対象とされています。
具体的には,以下の申請が入管オンライン申請の対象となっています。

【対象となる申請手続き】
① 在留資格認定証明書交付申請
② 在留資格変更許可申請
③ 在留期間更新許可申請
④ 在留資格取得許可申請
⑤ 就労資格証明書交付申請
⑥ ②~④と同時に行う再入国許可申請
⑦ ②~④と同時に行う資格外活動許可申請

【対象となる在留資格】
① 入管法別表第1の在留資格(外交・短期滞在を除く)
② 日本人の配偶者等 永住者の配偶者等 定住者

外交・短期滞在・特定活動(出国準備期間)の在留資格を有する方,又は,当該在留資格への変更を希望する方については,入管オンライン申請手続きは認められません。

2.入管オンライン申請手続きを利用できる方

① 申請人から依頼を受けた所属機関(企業・学校等の教育機関・監理団体等)の職員
② 取次資格を有する弁護士・行政書士
③ 取次資格を有する公益法人の職員・登録支援機関の職員
※ 所属機関から依頼を受ける必要があります
④ 申請人である外国人本人
⑤ 申請人の法定代理人(申請人が20歳未満の場合の親権者など)
⑥ 申請人の親族(配偶者・子・父又は母)
※ 在留資格認定証明書交付申請の場合には,例えば日本人の配偶者等の在留資格を希望する者の配偶者・子・父又は母が,日本に居住している場合に限り,入管オンライン申請手続きを利用できます。
※ 変更及び更新申請等の場合には,原則として,申請人が16歳未満の場合又は疾病その他の事由により自ら申請できない場合に限り,入管オンライン申請手続きを利用できます。

3.入管オンライン申請手続きの利用方法(事前の準備手続き)

入管オンライン申請手続きには,事前の準備手続きが必要となるところ,入管オンライン申請手続きを利用する人により,その事前の準備手続きの内容が異なります。

①行政書士の場合(利用者情報登録必要)

行政書士の場合には,事前の準備手続きとして,利用者情報登録という手続きが必要となります。
利用者情報登録は,オンラインで24時間365日手続き可能であり,手数料もかかりません。
行政書士が利用者情報登録をする際に必要なものは,パソコンと届出済証明書だけであるため,行政書士にとっては利用しやすい手続きとなっています。

②申請人である外国人等の場合(利用者情報登録必要)

ビザの変更・更新等を希望する外国人本人の場合にも,行政書士と同様に利用者情報登録が必要となりますが,利用者情報登録の際に必要となるものや利用者情報登録の有効期間が異なります。

外国人本人による利用者情報登録に必要となるのは,

  • マイナンバーカード
  • 在留カード
  • PC(=スマートフォン非対応)
  • 公的個人認証サービスのクライアントソフト(JPKI)
    ※以下のリンクからダウンロードできます。
    https://www.jpki.go.jp/download/
  • ICカードリーダライタ(=ICカード記録の電子情報を読むための機器)

です。

利用者情報登録のためにはマイナンバーカードの読み取りが必要です。
スマートフォンのマイナポータルアプリによるマイナンバーカード読み取りには対応していないため,マイナンバーカードに対応したICカードリーダライタが必要となる点に注意が必要です。

マイナンバーカードを利用した利用者情報登録の有効期間は,マイナンバーカードの電子証明書の有効期間となります(マイナンバーカード自体の有効期間とは異なります。)。
また,利用者情報登録の有効期限を経過した後も利用を継続する場合には,電子証明書が登載されたマイナンバーカードを再取得の上,改めて利用者情報登録を行う必要があります。

③所属機関の職員の場合(利用申出必要)

所属機関の職員の場合には,利用者情報登録ではなく,利用申出という手続きが必要となります。
利用申出の手続きは,事前に地方出入国在留管理官署に出頭し,又は郵送により行う必要があります。
利用申出により取得できる認証IDは,個人に対して付与されているため,他の方が同じ認証IDを利用することはできません。
そのため,認証IDを取得した担当者が異動などにより変わる場合には,追加利用申出を行う必要があります。

次に,オンライン申請を利用できる対象所属機関には制限があり,

1.申請等取次者の承認要件を満たしていること
2.外国人の受入れの開始,終了等の届出を行っていること
  外国人雇用状況届出を行わなければならない事業主においては,同届出を行っていること
3.誓約書の提出があること
4.カテゴリー3の機関においては,経営状況,財務状況等の観点から,安定的・継続的に事業が運営されていることが認められること
5.カテゴリー4の機関においては,経営状況,財務状況等の観点から,安定的・継続的に事業が運営されることが見込まれること

という要件を全て満たしている必要があります。
なお,カテゴリーの詳細説明については,就労ビザのカテゴリーによって提出書類が変わる!?をご覧ください。
また,利用申出人についても,申請等取次者証明書を有していること,又は申請等取次者の承認要件を満たしていること,という要件が求められます。

利用申出の有効期間は,承認後パスワードを設定してから1年間です。
利用の継続を希望する場合には,有効期限の1ヶ月前までに定期報告を行う必要があります。

定期報告は,有効期限の1ヶ月前までに新規利用申出を行った地方出入国在留管理官署に出頭し,又は郵送により行います。
審査におおむね1ヶ月程度かかりますので,計画的に準備を進めてください。

4.入管オンライン申請手続きの利用方法

事前の準備手続きにより認証IDが付与されれば,入管オンライン申請手続きが可能になります。
入管オンライン申請は,24時間365日受付可能です。
しかし,在留期限満了日当日の申請は受け付けられない点に注意が必要です。

ちなみに申請書以外の添付書類についても,オンラインで提出することができます。
ただし,申請時に添付できる書類はPDFファイル1つのみで,ファイルサイズは10MB以下という制限があります。

申請時に全ての添付書類を提出できない場合は,添付資料の全部,又は不足分を後日にオンラインで追加提出したり,管轄の地方出入国在留管理官署宛てに郵送で提出することも可能です。

5.結果受領手続き

入管へのオンライン申請手続きが完了し,無事入管の審査をクリアした場合には,在留資格認定証明書もしくは在留カードを受領する必要があります。

在留資格認定証明書については,原則として郵送により交付されることになります。
一方,在留カードについては,郵送又は窓口での交付のいずれかを選択できます。

6.入管オンライン申請手続きのまとめ

利用範囲が拡大した入管オンライン申請手続きですが,ビザ申請の専門家である行政書士にとっては,とても利用しやすい制度となりました。
その一方で,外国人本人による入管オンライン申請手続きには,事前準備としての利用者情報登録のためにマイナンバーカードやICカードリーダライタが必要といった少々面倒なところがあります。
また,所属機関の職員による入管オンライン申請手続きには,事前準備としての利用申出のハードルがあります。

本ページでは,できる限り分かりやすく簡潔に入管オンライン申請手続きについて説明しました。

行政書士法人第一綜合事務所では,入管オンライン申請手続きの制度変更に対応して,これまで以上にお客様のご負担を減らした上で迅速な申請手続きを行う体制を整えております。また,企業理念として掲げているとおり,手続きのみを価値とするのではなく,お客様の本当のご希望を叶えることに目的をおいており,申請手続きに留まらないコンテンツをご用意しております。

入管へのビザ申請をご検討の際には,ご遠慮なく弊社までお問い合わせください。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 仲野 翔悟

・日本行政書士会連合会(登録番号第23260654号)
・大阪府行政書士会(会員番号第8637号)
大阪府出身。大阪オフィスに所属し,外国人ビザ申請,永住権取得,国際結婚手続き,帰化許可申請など国際業務を専門としている。

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