依田 隼弥

フランス人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

フランス人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

フランスは親日国の一つで,両国間の文化交流も盛んにおこなわれています。
国際結婚のお相手の国としてフランスは珍しい国ではありませんが,インターネットではあまり情報が出回っていない印象を受けます。
本ページでは,日本人とフランス人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士が解説します。

無料相談のお問い合わせ先

WEBからのお問い合わせはこちらから

1.国際結婚手続きの用語解説

本ページでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の項目に進んでください。

①国際結婚の成立とは?

国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とフランス)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,フランスで先に結婚手続きを行うことをフランス方式と言います。

②婚姻要件具備証明書とは?

外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。

2.フランス人との国際結婚手続きで注意すること

フランス人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。

①婚姻要件具備証明書について

フランスは婚姻要件具備証明書が発行される国ですので,日本方式で婚姻を行う場合は,在日フランス大使館発行の婚姻要件具備証明書が必要になります。

②婚姻可能な年齢について

フランス人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳です。
なお,女子が妊娠しているなど重大な理由がある場合は,検事の承認と父母の同意により,18歳未満の者でも婚姻が可能になる場合があります。

③再婚禁止期間について

フランスでは,再婚禁止期間は定められていません。
もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はフランス人との婚姻にも適用されます。

3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)

本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人とフランス人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。

①フランス人の婚姻要件具備証明書の申請における必要書類

まずは,在日フランス大使館または領事館にて婚姻要件具備証明書(Certificat de Capacité à Mariage)を取得する必要があります。
大使館に当事者二人で出頭し,申請してください。申請から4~6週間ほどで婚姻要件具備証明書が発行されます(郵送受取可)。

<フランス人の方にご準備いただく書類>
・パスポートのコピー
・在留カードのコピー(在留カードをお持ちの場合)
・住所証明書(在留カードをお持ちでない場合)
・出生証明書
・国籍証明書

<日本人の方にご準備いただく書類>
・パスポートのコピー
・戸籍謄本 ※日本の外務省でアポスティーユを受けてください。
・戸籍謄本のフランス語訳文

②日本の市区町村役場において必要となる書類

婚姻要件具備証明書を取得した後は,日本の市区町村役場に婚姻届を提出します。
婚姻届が受理された時点で婚姻が成立します。

<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<フランス人の方にご準備いただく書類>
・①で取得した婚姻要件具備証明書及び日本語訳文
・パスポート

③フランスへの婚姻報告について

婚姻届が受理された後,在日フランス大使館に婚姻の報告手続きを行います。
概ね2ヶ月程度で,婚姻証明書(copie integrale d’acte de mariage)と家族手帳(Livret de Famille)が交付されます(郵送受取可)。

<ご用意いただく書類>
・婚姻届記載事項証明書 ※日本の外務省でアポスティーユを受けてください。
・婚姻届記載事項証明書のフランス語訳文

4.国際結婚手続きにおける必要書類(フランス方式)

次は,日本人とフランス人がフランス方式で婚姻をする場合についてです。
フランス方式の場合は,日本方式の場合とは反対に,在フランス日本大使館または領事館にて日本人の必要書類を取得するところから始まります。

①日本人が婚姻手続きのための必要書類を取得する方法

まず,在フランス日本大使館または領事館へ以下の書類を提出します。
・婚姻適齢(男性18歳,女性16歳)以降の戸籍謄本および改正原戸籍謄本
 ※日本の外務省でアポスティーユを受けてください。
 ※婚姻歴や転籍歴がある方は,転籍前の除籍謄本も必要になります。
・提出先のフランスの市役所から交付された必要書類リスト
・パスポート

必要書類に不備がなければ,大使館から以下の書類が発行されます。
・出生証明書(EXTRAIT D’ACTE DE NAISSANCE)
・独身証明書(CERTIFICAT DE CAPACITE MATRIMONIALE)
・慣習証明書(CERTIFICAT DE COUTUME)
・婚姻および離婚証明書(CERTIFICAT DE MARIAGE ET DE DIVORCE) ※再婚の場合のみ

②フランスの市役所での婚姻手続き

必要書類を提出して不備がなければ,市役所にて10日間の掲示が行われます。
掲示期間内に婚姻について誰からも異議がなければ,インタビューを受け,結婚式の日取りが決定されます。
結婚式当日に,両当事者と証人が市役所に出頭し,婚姻の宣言を行うことによって婚姻が成立し,婚姻証明書が発行されます。

<フランス人が用意する書類>
・居住証明書
・出生証明書
・パスポート

<日本人が用意する書類>
・婚姻適齢(男性18歳,女性16歳)以降の戸籍謄本および改正原戸籍謄本
 ※日本の外務省でアポスティーユを受けてください。
・上記戸籍謄本のフランス語訳文
・出生証明書(EXTRAIT D’ACTE DE NAISSANCE)
・独身証明書(CERTIFICAT DE CAPACITE MATRIMONIALE)
・慣習証明書(CERTIFICAT DE COUTUME)
・婚姻および離婚証明書(CERTIFICAT DE MARIAGE ET DE DIVORCE) ※再婚の場合のみ
・パスポート

③日本への婚姻報告について

フランスの市役所で婚姻手続きが完了した後,在フランス日本大使館・領事館または日本の市区町村役場で,婚姻届(報告的届出)を提出してください。

<ご用意いただく書類>
・婚姻届書(フランス人配偶者の署名,証人欄の記入は不要)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
・婚姻証明書(日本語訳を添付) ※フランス外務省でアポスティーユを受けてください。

5.まとめ

フランス人との国際結婚手続きは,キリスト教の教義に則って行われるため,形式を守ることが何よりも大切になります。
手続きを始める前に,必要書類や手順を確認しておき,来日してから,あるいは渡仏してから遺漏がないように準備しておくことをお勧めします。

本ページが,フランス人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。

国際結婚手続きを行政書士に相談する方はコチラ

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・東京都行政書士会(会員番号第15335号)
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

ご相談は無料です。
お気軽にご相談ください。