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木材産業分野における特定技能1号の受入れ要件・業務内容、試験概要、注意点を行政書士が解説

1. 木材産業分野の受入れ要件 木材産業分野で特定技能外国人を受け入れるためには、企業(特定技能所属機関)および受け入れる事業所が、法令ならびに分野固有の上乗せ基準をすべて満たしている必要があります。 また、木材産業分野における特定技能1号の受入れ見込数は、令和10年度末までの5年間で最大4,500人と定められています。令和8年6月末時点の速報値で在留数はまだ74人ですが、受入れ枠に限りがある点も留意しておきましょう。 (1)受入れ機関が満たすべき要件 ① 対象業種の該当性(日本標準産業分類) 受け入れを行う事業所(工場や作業所等)は、日本標準産業分類に基づく以下のいずれかの対象業種を行っていることが必須条件です。 小分類121:製材業、木製品製造業(細分類1211 一般製材業、細分類1212 単板〈ベニヤ〉製造業、細分類1213 木材チップ製造業、細分類1219 その他の特殊製材業) 細分類1222:合板製造業(単板積層材〈LVL〉製造業を含む) 細分類1223:集成材製造業 細分類1224:建築用木製組立材料製造業(プレカット製造業) 細分類1227:銘木製造業 細分類1228:床板製造業 造作材製造業・建具製造業(細分類1221)、パーティクルボード製造業(細分類1225)、繊維板製造業(細分類1226)、木製家具製造業(中分類13)などは特定技能の対象外です。 ただし、事業の一部で対象業種に該当する製品(プレカット材や合板など)を製造・加工している場合は、その製造工程に限り受入れが可能です。 ② 雇用形態 特定技能外国人との契約は直接雇用に限られます。派遣雇用による受入れは一切認められていません。 ③ 法令遵守 過去1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を会社都合で離職(非自発的離職・整理解雇など)させていないことや、雇用主側の理由で行方不明者を発生させていないこと、労働・社会保険・租税関係法令を遵守していることなどが求められます。 (2)木材産業特定技能協議会への事前加入 木材産業分野では、特定技能外国人を適正に受け入れ・保護するための枠組みとして、林野庁が事務局を務める「木材産業特定技能協議会」が設置されています。受入れ企業は、入管へ申請を行う前に、事業所ごとに協議会へ加入しなければなりません。 ① 協議会加入の手順 協議会への入会申請を行うには、分野固有の追加要件である「労働安全対策(作業安全規範)の点検」をクリアする必要があります。 具体的には、手続きは以下のステップで進めます。 STEP 1:安全規範の取組状況確認申請(全木連への申請) 木材産業は製造業の中でも労働災害発生率が高い分野です。そのため、農林水産省が定めた「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範(個別規範:木材産業)」のチェックシートに基づき、事業所ごとの安全対策状況を点検・記入します。これにエビデンス資料(写真や安全診断の実施証拠など)を添付し、一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)に提出します。適切に取り組まれていると認められると、全木連から「確認証」が交付されます。 点検項目の例 チェック 点検項目 点検内容 ☐…

航空分野における特定技能外国人の受入要件・業務内容・試験内容、注意点を解説

1.航空分野の受け入れ要件 特定技能外国人を採用・受入・雇用するためには、「受入企業(特定技能所属機関)に求められる基準」「外国人本人に求められる基準」、そして航空分野特有の「航空分野特定技能協議会への加入・協力義務」のすべてを満たす必要があります。 (1)受入企業の要件 特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、一般的な労働法令や社会保険関係法令の遵守に加え、航空分野特有の厳格な要件(告示基準)をクリアしなければなりません。 ① 事業者・事業場に関する要件(業務区分別) 航空分野では、業務区分(空港グランドハンドリング/航空機整備)ごとに受入企業が備えるべき許認可や事業場要件が明確に規定されています。 空港グランドハンドリング区分の場合 空港管理規則(昭和27年運輸省令第44号)第12条第1項若しくは第12条の2第1項の承認を受けた者(航空法第100条第1項の許可を受けた者を含む)、同規則第13条第1項の承認を受けた者、又はこれらに準ずる条例・規則等に基づき空港管理者により営業を行うことを認められた事業者であって、空港グランドハンドリングを営む者であること。 成田空港での特例措置: 国家戦略特別区域航空物流外国人材活用事業として、空港敷地外の保税蔵置場又は総合保税地域において空港グランドハンドリング(貨物取扱業務に限る)を行う事業者については、上記の空港管理規則に基づく営業承認要件の適用除外を受けます。ただしその場合は、千葉県及び成田国際空港株式会社が設置する「成田国際空港に関する国家戦略特別区域航空物流外国人材活用協議会」等の構成員に加入している必要があります。 航空機整備区分の場合 航空法(昭和27年法律第231号)第20条第1項第3号、第4号若しくは第7号の能力について同項の国土交通大臣の認定を受けた者(いわゆる「認定事業場」)、又は当該認定事業者から業務の委託を受けた者であること。 ② 雇用契約および待遇に関する要件 日本人と同等以上の報酬額: 特定技能外国人の報酬額は、同じ業務に従事する日本人従業員と同等以上でなければなりません。 直接雇用の原則(派遣不可): 航空分野における特定技能外国人の受入形態は、「直接雇用」のみ認められています。派遣形態による受入や、自社で雇用した特定技能外国人を他社へ派遣することは固く禁止されています。 在籍型出向の例外受入: 一方で、航空分野では密接な企業間での教育・研修や技能向上を目的として「在籍型出向」形態による受入が認められています。 「在籍型出向」とは 外国人が元の会社(出向元)と雇用関係を保ったまま、グループ会社や協力会社などの別の会社(出向先)に出向して勤務する形態です。 ただし、出向期間中の所定内賃金等の待遇を出向元と同等以上に維持・向上すること、出向期間(1号の場合は1年につき通算4か月を超えない範囲)の事前確認、出向元・出向先双方が適切に把握されていること等の厳しい条件が課されます。また、事前に入管・国土交通省への届出が必要となります。 ③ 適切な支援体制および法令遵守要件 1年以内に同種業務に従事する労働者を非自発的離職させていないこと、及び自社の責めに帰すべき事由による行方不明者を発生させていないこと。 1号特定技能外国人に対する「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、事前ガイダンス、出送迎、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、定期面談(3か月に1回以上)等の支援を適切に実施すること。支援の全部を「登録支援機関」に委託することも可能です。 (2)「航空分野特定技能協議会」について 特定技能外国人を受け入れる企業(及び支援を委託される登録支援機関)にとって重要な法的要件が、「航空分野特定技能協議会」への事前加入および協力義務です。 ①航空分野特定技能協議会の目的と概要 航空分野特定技能協議会は、特定技能外国人の適正な受入及び保護を図ること、並びに各地域の特定技能所属機関が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、構成員相互の連絡や必要措置を講じることを目的に国土交通省によって設置されています。 ②航空分野特定技能協議会の活動内容 航空分野特定技能協議会規約の第3条において、以下のような活動内容が定められています。 受入制度の趣旨や優良事例の周知 受入に係る人権上の問題等への対応策の検討 特定技能所属機関及び登録支援機関に対する法令遵守の啓発 倒産時等における特定技能外国人への転職支援 就業構造や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析 地域別の人手不足状況の把握・分析…

造船・舶用工業分野で外国人を雇用する要件・業務内容・試験内容を行政書士が解説

1.造船・舶用工業分野の要件 造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、出入国管理及び難民認定法(入管法)や特定技能基準省令に基づく全分野共通の要件に加え、国土交通省の告示により定められた本分野固有の基準を厳格に満たす必要があります。 (1) 特定技能所属機関(受入企業)に求められる主な要件 受入企業は、単に雇用契約を結ぶだけでなく、自社および契約内容が法令基準に適合していることを証明しなければなりません。主に以下の4点と、次章で述べる「協議会への事前加入」が満たすべき要件となります。 ① 造船・舶用工業分野に係る事業者であることの確認 受入企業は、造船法第6条第1項の事業を営む者、小型船造船業法第2条第1項に規定する小型船造船業を営む者、あるいはその他の造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であることが求められます。在留資格の申請前に、国土交通省海事局船舶産業課から「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること」の確認を受け、確認通知書を取得する必要があります。 ② 雇用形態と労働条件の基準 直接雇用の限定: 特定技能外国人の雇用形態は「直接雇用」に限られます。労働者派遣事業者からの派遣受入や他社への派遣は一切認められていません。 日本人と同等以上の報酬待遇: 報酬額は、同じ業務に従事する日本人労働者と同等以上でなければなりません。また、外国人であることを理由とした差別的取扱いの禁止、所定労働時間の日本人と同等化、一時帰国希望時の有給休暇取得保障が義務付けられています。 法令遵守と適正な履行体制: 過去5年以内に労働法規や出入国関連法令の違反がないこと、過去1年以内に同種業務の日本人労働者を会社都合退職(非自発的離職)させていないこと、受入企業の責に帰すべき行方不明者を発生させていないことが求められます。また、報酬の支払いは預貯金口座への振込等で行う必要があります。 ③ 支援体制の整備と支援計画の策定(特定技能1号) 受入企業は、1号特定技能外国人が日本で安定的・円滑に生活・就労できるよう、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、実施しなければなりません。支援内容は、入国前の生活情報提供、入出国時の送迎、住居確保の支援・保証人の手配、生活オリエンテーションの実施、公的手続の同行、日本語学習機会の提供、定期面談の実施など10項目に及びます。受入企業自らが支援を行う場合は、過去2年間に中長期在留者(就労資格)の受入・管理実績があること等の条件を満たす必要があります。自社での支援体制構築が困難な場合は、入管に登録された「登録支援機関」へ支援計画の全部の実施を委託することが可能です(詳しくは【登録支援機関の総まとめ】行政書士の解説!をご参照ください)。 ④ 共生施策への協力(市区町村への「協力確認書」提出) 地域社会における外国人との共生を推進するため、受入企業は特定技能外国人が活動する事業所および居住地が属する市区町村に対し「協力確認書」を提出し、自治体が実施する防災、ゴミ出しルール、地域イベント等の共生施策に協力する旨を在留諸申請時に申告する必要があります。 (2) 「造船・舶用工業分野特定技能協議会」について 造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる企業および登録支援機関には、「造船・舶用工業分野特定技能協議会(以下、協議会)」への加入と、協議会に対する必要な協力が義務付けられています。加入や協力を行わない場合、特定技能外国人の受入手続を行うことができません。 ① 協議会の設置目的と位置付け 協議会は、国土交通省海事局船舶産業課を事務局として設置された機関です。その目的は、構成員相互の緊密な連携と情報共有を図り、造船・舶用工業の実情に応じた特定技能および育成就労制度の適正な実施、ならびに外国人の保護に資する取組を推進することにあります。 ② 協議会の主な活動内容 協議会規約第3条に基づき、以下の活動が行われています。 制度趣旨・優良事例の周知と人権問題への対応: 制度の適正運用のための情報周知や、受入に伴う人権上の課題・予防策の検討。 法令遵守の啓発と公租公課納付の推進: 受入企業に対する労働・入管法令の遵守啓発、および外国人労働者・受入企業双方に対する税金・社会保険料(公租公課)の納付啓発。 倒産時等の転職支援: 受入企業が倒産等により雇用を継続できなくなった際、企業自らが支援義務を果たせない場合において、協議会が連携して情報提供や転職支援の協力を行う。 大都市圏等への集中回避・過度な引き抜きの防止(重要):…

海外からのインターン生受け入れ:4つのビザ(特定活動9号・12号・文化活動・短期滞在)の違いと選び方を解説

1. インターンシップにおけるビザ選択チャート 自社のインターンシップ計画に合わせて、以下のチャートで必要なビザをご確認ください。 4つのビザの比較一覧表 在留資格の種類 報酬(給与) 滞在期間 主な特徴・対象 特定活動9号 あり 90日超〜1年以内 大学の単位・教育課程と連動した本格的な有償受入れ 特定活動12号 あり 3ヶ月以内 大学の夏季休暇等を利用した有償受入れ(サマージョブ) 文化活動 なし 90日超 学術・文化的な実習を無償で行う長期受入れ 短期滞在 なし 90日以内 90日以内の無償就労体験 2. 「実費支給」は「報酬(給与)」になる? ビザ選びで企業様が混乱しやすいのが、「交通費や住居費を企業が負担する場合、有償扱いになるのか?」という点です。 交通費、住居費、食費などの実際の費用を補填する「実費弁償」は「報酬」には当たりません。 実費のみ支給する場合⇒法的には「無償」扱いとなり、「短期滞在」または「文化活動」ビザの対象となります。 実費以外に手当を支給する場合⇒法的に「有償(報酬あり)」扱いとなり、「特定活動9号」または「特定活動12号」の取得が必須となります。 3. 4つのビザの特徴とメリット・注意点 ① 特定活動9号:有償/1年以内 海外大学生の有償受入れで代表的なビザです。 メリット:最長で1年間、自社の戦力として本格的な実習・業務に携わってもらえる。 注意点:大学との直接契約や明確な実習計画、指導員の配置など、入管の「インターンシップガイドライン」に基づく厳格な受入体制の構築が必要です。 詳しくはインターンシップビザ「特定活動9号」取得ガイド|受入条件・ガイドライン・必要書類を行政書士が解説をご参照ください。…

宿泊業の外国人雇用ガイド:ビザの違い・できる仕事・注意点を行政書士が徹底解説

1.宿泊業で外国人を雇用することはできる? 結論から申し上げますと、ホテルや旅館などの宿泊施設で外国人労働者を雇用することは十分に可能です。 ただし、注意が必要なのは、「ホテルならどの在留資格でも雇える」「フロントなら誰でも大丈夫」という単純な話ではない点です。 外国人を雇用する際は、必ず「外国人本人の在留資格」×「任せる業務内容」×「施設の営業許可」の3つが法的に適合しているかを確認しなければなりません。 自社で任せたい仕事に応じて、検討すべき主な在留資格は以下の通りです。 任せたい主な業務内容の例 検討すべき主な在留資格 ポイント 外国語を使ったフロント・企画・広報 技術・人文知識・国際業務/特定技能1号・2号/特定活動46号(N1特定活動)/ 特定活動9号(インターンシップ) 学歴・職歴や専門性を活かす仕事 接客全般・レストランサービス・館内業務 特定技能1号・2号/特定活動46号(N1特定活動)/特定活動9号(インターンシップ) 現場のマルチタスクに対応可能 客室清掃・ベッドメイキング中心 身分系ビザ/資格外活動(留学生等) 就労ビザ(技人国・特定技能)では専任不可 複数の従業員をまとめる管理・指導業務 技術・人文知識・国際業務/ 特定技能2号/特定活動46号(N1特定活動) 熟練した技能や実務経験が必要 それぞれ3章で詳しく解説します。 2.宿泊業で外国人が「できる仕事」と「できない仕事」 (1)任せられる主な業務ラインナップ 適切な在留資格を取得することで、以下のような幅広い業務を任せることができます。 フロント・レセプション業務 企画・広報・マーケティング 通訳・翻訳業務 接客・案内・ベルスタッフ レストラン・宴会場でのサービス提供 施設管理・安全衛生管理など (2)ホテル・旅館で「客室清掃・ベッドメイキング」のみを任せられる? 採用現場で最も多い誤解のひとつが「清掃作業」に関する取り扱いです。 「技術・人文知識・国際業務」の場合 客室清掃やベッドメイキングなどの単純作業・現場作業を専任で行わせることは認められません。 「特定技能(宿泊)」の場合 客室清掃は「関連業務(付随的業務)」として行うことは許可されていますが、「客室清掃のみ」を専任で行わせる雇用は認められません。フロントや接客などの「主たる業務」を行う中で、付随的に清掃を行う必要があります。 客室清掃のみを専任で任せたい場合は、就労制限のない「身分系ビザ(永住者や日本人の配偶者等)」を持つ外国人か、留学生等の「資格外活動許可(週28時間以内)」を得ているアルバイトを雇用する必要があります(次章で詳しく解説します)。 3.宿泊業で活用できる主な在留資格(ビザ)の種類…

「第二次出入国在留管理基本計画」を行政書士が解説〜外国人政策の厳格化が外国人と企業に与える影響〜

1.データで見る現状:413万人時代に突入した在留外国人 新計画の文書では、近年の在留外国人数の大幅な増加が具体的なデータで示されています。 外国人入国者数の急増:2025年の外国人入国者数は約4,243万人に達し、過去最高を記録しました。 在留外国人の現状:2025年末時点での在留外国人数は約413万人(日本の総人口の3.35%、前年から0.31%増)に達しました。国籍・地域別では中国(約93万人)が全体の22.6%を占め、次いでベトナム、韓国、フィリピン、ネパールと続きます。 就労目的の在留資格の増加:専門的・技術的分野で就労する中長期在留者は増加傾向にあり、2025年末時点で「技術・人文知識・国際業務」が約47.6万人、「特定技能」が約39.0万人に達しています。 永住者の増加:一定の要件を満たした「永住者」の数も一貫して増加しており、2025年末時点で約94.7万人と、在留外国人全体の23.0%を占めています。 急増する申請に対する「迅速な審査」と、実態に即した「適正な管理」の重要性が、かつてないほど高まっています。 2.第二次出入国在留管理基本計画の「5つの重要ポイント」 新計画に盛り込まれた数多くの施策の中から、企業や外国人の皆様の実務に直結する変更点を5つに絞って詳しく解説します。 ポイント1:在留管理のDX推進とマイナンバー情報の連携 入管は「入管DX(デジタルトランスフォーメーション)」を強力に推し進めています。その目玉として、2026年6月から在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード等」の運用が開始されました(詳しくは【2026年6月】特定在留カードで在留更新の「二度手間」を解消!入管のあとに市役所へ行く必要がなくなる本当のメリットをご参照ください)。 さらに、2027年からは「公共サービスメッシュ」(行政機関同士がデータを安全にやり取りするためのネットワークシステム)を活用した、マイナンバーによる情報連携がスタートする予定です。これにより、国民健康保険料、国民年金保険料、地方税などの納付情報が入管に提供され、在留審査に活用されます。各種手続きのオンライン化や手数料のキャッシュレス決済も進められており、優良な企業・外国人にとっては利便性が大きく向上します。 ポイント2:永住許可制度の「適正化(厳格化)」 永住許可を受けた後でも、公租公課(税金や社会保険料)の支払いなどの義務を適正に履行しない事案が確認されたため、2024年の法改正でルールが厳格化されました(詳しくは【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説をご参照ください)。故意に公租公課を支払っていないと判断されると永住資格が取り消される可能性があります。 ただ、永住資格の取り消しについては、対象者や家族に与える影響が大きいため、今後、具体的な取消事例などを示したガイドラインが作成・周知され、予見可能性と透明性が高められます。 また、これから永住審査はより厳格に運用される方針です。永住者が社会に適応して安定した生活を送れるよう、一定水準以上の日本語能力を有していることや、日本のルールを学ぶ学習プログラムの受講を条件とすることも含め、永住ガイドライン上の独立生計要件や国益要件等の見直しが検討される予定です(詳しくは永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説をご参照ください)。 ポイント3:「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」「留学」の実態調査と審査適正化 これらの在留資格において、制度の趣旨と異なる活動を行う事案への対策として、実態把握の強化と厳格な審査が行われます。 「経営・管理」ビザ:事業実態のない事案を防ぐため、2025年10月に上陸許可基準等が見直されました。資本金・出資総額の要件が改められたほか、経営者の経歴(職歴・学歴)や常勤職員の雇用義務などが新設されています(詳しくは【2025.10.16~】経営管理ビザの許可基準が厳格化!資本金3,000万円に|行政書士が解説をご参照ください)。今後は実態調査等を通じた、より厳格な審査・処分が行われます。 「技術・人文知識・国際業務」ビザ:専門的な知識を要しない現場の単純業務に従事させるといった不適切な事案に対し、実態を把握した上で、受入れ機関(企業)の責任や指導の在り方を含めて厳正な措置が講じられます。また、従事可能な業務範囲に係る案内の充実を含めた運用の改善もなされる予定です。 留学生のアルバイト(資格外活動):週28時間の上限違反を防ぐため、2026年4月から日本語教育機関と連携した実態把握・指導が開始されています。マイナンバーの情報連携に合わせて所得情報も活用し、複数のアルバイト先を掛け持ちしているケースも正確に把握されるようになります。 さらに、ワーキングホリデーやインターンシップなど多様な活動が含まれる「特定活動」ビザ(詳しくは在留資格「特定活動」とは?種類一覧から要件・最新動向まで行政書士が徹底解説!をご参照ください)についても、運用状況を精査した上で制度の在り方が再検討される予定です。自社の従業員が「特定活動」で在留している場合、今後の制度変更の動向を注視しておく必要があります。 ポイント4:育成就労制度の運用開始(2027年4月〜) 「技能実習制度」が発展的に解消され、人材育成と人材確保を目的とする「育成就労制度」に切り替わります(2027年4月運用開始に向け準備中、詳しくは育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリットをご参照ください)。 悪質な送出機関や監理支援機関の排除を徹底するための二国間取決め(MOC)の作成や、外国人育成就労機構を含む支援・保護体制の整備が進められます。今後は地域協議会の設置・活用や地方公共団体の関与が促され、地方の受入れ企業に対する配慮施策も実施される予定です。 また、外国人の受入れ状況や転籍状況等を国が継続的かつ的確に把握し、特定の分野や地域への過度な集中を防ぐため、必要に応じて受入れの停止や受入れ見込数の再設定などを不断に検討し、適正な運用が確保されるとしています。 ポイント5:水際対策・不法滞在者対策の強化と難民等への適切な保護・支援 新計画では、「2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人」という政府目標を見据え、安全・安心な社会を実現するため、入国前(水際)から出国・送還に至る各段階での対策を抜本的に強化することが示されています。…

永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説

1. 【速報】永住ガイドラインが厳格化へ:いつから?なぜ? まずは、今回の永住ガイドライン改定がどのようなスケジュール感と背景で進められているのか、整理します。 (1)実施スケジュールの整理 読売新聞の報道によると、新しい永住ガイドラインの運用は、現場の混乱を防ぐため2段階のスケジュールで順次適用される予定とされています。 第一段階(2026年10月1日から) 「年収要件(日本人世帯平均以上)」の新基準を先行適用 第二段階(2027年4月1日から) 「年金受給見込額」「配偶者特例の見直し」「国益適合・素行善良要件の明確化」等を本格適用 (2)なぜ今、永住要件が厳格化されるのか? 近年、公的義務の履行(税金・年金の納期遵守)などで永住審査はただでさえ厳しく、直近の許可率も5割に落ち込んでいます。 (詳しくは【2026年最新データ】永住申請の許可率は約50%?半分近くが不許可になる理由と一発許可のための対策を専門家が解説をご参照ください。) 「なぜさらに厳しくするのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。その背景には、日本の在留外国人数の増加と、永住者を巡る社会問題が存在します。 入管が発表した統計によると、2025年末時点で、在留外国人総数は4,125,395人(約412.5万人)に達し、過去最多を更新し続けています。 このうち、中長期在留者の構成比を見ると、以下のような実態が浮き彫りになります。 在留外国人数の内訳データ(入管【令和7年末公表資料】より) 在留資格 在留外国人数(人) 構成比(%) 永住者 947,125 23.00% 技術・人文知識・国際業務 475,790 11.50% 留学 464,784 11.30% 技能実習 456,618 11.10% 特定技能 390,296 9.50% 家族滞在 352,875 8.60% 定住者…

【令和8年熊本地震】被災された外国人の方へ:2026年11月27日までの免責措置と在留手続きの特例措置を解説

1. 【特定非常災害指定】法令上の届出・申請等に関する免責措置(令和8年11月27日まで) 令和8年8月7日に、今回の熊本地震が「特定非常災害」に指定されたことに伴い、「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置法(特措法第4条)」が適用されます。 (1)措置の概要 今回の地震の影響により、入管法や技能実習法等に規定されている各種届出や申請・監査等の義務を期限内に履行することが困難であったと認められる場合、令和8年11月27日までに当該義務を履行すれば、不履行についての不利益(ペナルティや罰則等)を受けないこととされました。 「地震の影響でカードの更新や住所の届出が期限内にできなかった」 「会社の被災で各種変更届や定期報告が遅れている」 といった場合でも、この期間までに順次手続を行えば問題ありませんので、焦らず対応を進めてください。 (2)措置の対象となる主な手続(全25項目) 特措法第4条に基づき免責対象となる主な手続は以下の通りです。 外国人本人に関する手続(入管法・特別永住者特例法) 住居地の届出: 新規上陸、在留資格変更、引越しに伴う住所変更届出 在留カード・特別永住者証明書: 有効期間の更新、紛失・滅失・汚損等による再交付申請、返納 所属機関に関する届出: 勤務先や通学先の変更・離脱等の届出 在留資格の取得申請: 出生等に伴う在留資格取得の申請 受入企業(特定技能所属機関等)に関する手続 特定技能所属機関による各種届出(法第19条の18関連) 技能実習の計画変更・記載事項変更に伴う届出等 登録支援機関に関する手続 登録支援機関の変更届出、支援業務の休止・廃止の届出、定期報告 監理団体に関する手続(技能実習法) 監理事業の休止・廃止の届出 監理団体による定期監査・訪問指導の実施 指定外部役員や外部監査人による確認・外部監査業務の実施 2.令和8年熊本地震に伴うその他の特例措置について 法律上の免責措置(特措法)とは別に、入管では被災した外国人労働者や受入企業を救済するための柔軟な運用上の特例措置を実施しています。 (1)個別対応の実施 通常、在留手続きは定められた期間内に行う必要があります。しかし、今回の地震で被災したことにより、在留期間内に申請ができなかった方については、入管は、当面の間、在留期間を経過した場合であっても個別に手続きを行うとしています。「期限が切れてしまったから不法滞在になってしまうのではないか」とご不安に思われるかもしれませんが、慌てる必要はありません。 災害というやむを得ない事情が考慮されますので、まずは身の安全を確保し、お近くの入管に申請のための相談を行ってください。 (2)申請先についての特例 通常の手続きでは、ご自身の住居地を管轄する地方出入国在留管理局で申請を行うのが原則です。しかし、被災したことにより、本来の住居地から一時的に移動や避難をされている方については、現在の滞在先を管轄する入管で申請を行うことが特例として認められています。 手続きのために、交通機関が麻痺している中を無理に元の住所地の入管へ戻る必要はありません。上記取扱いに関してご不明な点がある場合は、お近くの地方出入国在留管理局にお問合せいただくことで、皆様の事情に寄り添った対応を受けることができます。 (3)会社被災等に伴う「資格外活動許可」の特例付与 今回の地震の影響で勤務先の事業所が被災し、本来の在留資格に基づく就労活動が一時的に困難となった外国人の方(就労ビザ保持者)に対しては、生活維持および就労機会を確保するための救済措置として「資格外活動許可」の特例付与が行われます。 他社での一時的な就労: 勤務先の休業等により働けない期間中、一時的に他社でパート・アルバイト等の就労を行うための資格外活動許可が柔軟に付与されます。…

【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説

1.【現行制度】2026年現在でも「永住資格」が取り消されるケースとは? このコラムで取り扱う取り消し制度は、2024年(令和6年)6月14日に成立した改正入管法(令和6年法律第60号)による「永住許可制度の適正化」の一環です。その後、2025年(令和7年)10月1日に公布された政令(令和7年政令第340号)により、施行日が2027年(令和9年)4月1日と正式に確定いたしました。そのため、新基準が適用されるのはこの施行日以降となります。 この法改正のニュースが大々的に報じられたため、「これまでは永住資格は絶対に取り消されなかったのに、2027年4月の改正から初めて取り消されるようになる」と誤解されている方が少なくありません。しかし、それは事実ではありません。2026年現行の入管法においても、永住資格が取り消されるケース、あるいは「退去強制(強制送還)」となって日本から出国しなければならないケースは定められています。 まずは、2026年現在のルールを整理しておきましょう。現行法で在留資格(永住権を含む)が取り消される(または退去強制となる)代表的なケースは以下の通りです。 取り消し・退去強制の事由 具体的なケース 不正な手段での許可取得 偽造書類の提出など、偽りその他不正の手段で永住許可を受けた場合 住居地届出の違反 引っ越しをした日から90日以内に新住居地の届出を怠った場合や、虚偽の住居地を届け出た場合(正当な理由がある場合を除く) 重大な犯罪等(退去強制) 1年を超える実刑(拘禁刑)に処せられた場合や、薬物犯罪で有罪判決を受けた場合など 2026年現行法の在留資格取り消しについては、在留資格取消しが不安な方へ。日本で暮らし続けるための具体的な対策もご参照ください。 住居地の届出忘れには現行法でも要注意 実務上、意外と多いのが「引っ越し後の住居地届出(市区町村の役所等での手続き)の遅れ」です。「仕事が忙しくてつい忘れていた」「手続きが必要だとは知らなかった」という理由で90日を過ぎてしまうケースがあります。しかし、入管法上、正当な理由なく90日以内に新住居地を届け出ないと、現行法であっても在留資格の取り消し対象となる可能性があります。引っ越しをした際は、必ず速やかに手続きを行う習慣をつけましょう。 2.【2027年4月施行】入管法改正で何が変わる?追加される取り消し事由の詳細 それでは、2027年4月から施行される改正入管法において、具体的にどのような「取り消し事由」が追加されるのでしょうか。 まず背景として、永住者は在留期間の更新手続き(ビザの更新)がないため、一部の悪質なケースにおいて、「永住許可を申請する時だけ公租公課(税金、年金、健康保険などの公的負担金)をまとめて支払い、許可された後は支払わない」といった、制度の趣旨に反する事態が発生していました。そこで、法務大臣による適切な在留管理を行うために、以下の2つの取り消し事由が新たに追加されることになったのです。 (1)故意による公租公課の未納・入管法上の義務違反 改正法では、入管法に規定される義務を正当な理由なく遵守しなかった場合や、公租公課を「故意に支払わない」場合が、新たな取り消し事由となります。ここでいう「故意に」とは、支払う義務があることを十分に分かっており、かつ支払う能力(お金)があるにもかかわらず、あえて支払いを無視するような悪質なケースを指します。 また、「事後的に払えば問題ないだろう」と安易に考えるのは危険です。滞納処分(給与や預貯金の差押えなど)によって結果的に公租公課が徴収されたとしても、「故意に支払わなかった」という事実は変わらないため、取り消しなどの対象になり得るとされています。 (2)特定の刑罰法令違反による拘禁刑 改正法では、窃盗、詐欺、恐喝、傷害などの一定の刑罰法令違反によって「拘禁刑」に処せられた場合も、新たに取り消しの対象となります。2026年現行法では主に「無期又は1年を超える拘禁刑(実刑)」などが退去強制の対象でしたが、改正法では、たとえ1年以下の拘禁刑であったとしても、特定の犯罪であれば「永住資格の取り消し」の対象となるようにルールが厳格化されます。 すべての犯罪が対象になるわけではありません 「交通違反をしただけで永住権がなくなるのでは?」と心配される方がいますが、今回追加されるのは窃盗や詐欺などの故意に行う犯罪(故意犯)が中心です。過失による交通事故を起こして処罰された場合や、道路交通法違反で「罰金刑」で済んだような場合は、この新しい取り消し事由の対象とはなりません。とはいえ、法令を遵守して生活することが大前提であることは言うまでもありません。 3.万が一、取り消し事由に該当してしまったらどうなる? 「もし税金の滞納などで取り消し事由に該当してしまったら、すぐに母国へ強制送還されて、日本での生活がすべて終わってしまうのか?」とパニックになる方もいらっしゃるでしょう。しかし、万が一該当した場合でも、いくつかの救済措置や適正な手続きのステップが用意されています。 (1)適正な手続き(事実調査と意見聴取)の実施 いきなり取り消されることはありません。法務大臣(入国審査官等)により、違反事実の調査が行われ、対象となっている本人から意見や言い分を聞く機会(意見聴取)が必ず与えられます。この場で、代理人を通じて意見を述べたり、未納に至った事情の証拠を提出したりすることができます。 (2)日本への定着性の配慮 国会での議論を経て、改正法の附則第25条には「永住者の在留資格をもって在留する外国人の適正な在留を確保する観点から、これまでの公租公課の支払い状況や、現在の生活状況など、その外国人の置かれている状況に十分配慮する」という趣旨の規定が盛り込まれました。長く日本で生活しており本国に帰る場所がないといった事情も含め、取り消しの対象となるかどうかは慎重に判断されます。 (3)「定住者」等への変更と再申請の道 審査の結果、「永住者」としては不適当と判断された場合でも、ただちに強制送還されるとは限りません。引き続き日本に在留することが適当でないと認める場合(今後も支払う意思が明らかな場合など)を除き、「定住者」などの別の在留資格への変更が認められる仕組みになっています。そして、「定住者」等に変更された後であっても、その後公的義務が適正に履行されていることなどが確認できれば、再度、永住許可を受けることも可能です。 このように、最悪の事態を避けるための制度的配慮は存在しています。だからこそ、もしトラブルを抱えてしまった場合は、一人で抱え込んだり隠したりせず、すぐに専門家に相談して正しい対応をとることが重要です。 4.よくある質問を専門家が徹底解消!(Q&A) 法律が厳格化されるというニュースは独り歩きしやすく、誤解からくる不安を抱えている方も多いでしょう。ここでは、入管が公表している「永住許可制度の適正化Q&A(外部リンク)」資料等をもとに、永住権取り消しに関わる疑問にお答えします。…

【2026年最新データ】永住申請の許可率は約50%?半分近くが不許可になる理由と一発許可のための対策を専門家が解説

1. 【2026年最新】直近の永住許可率と審査実数の推移 まずは、2026年に入ってから発表された直近4ヶ月間の永住申請における審査結果のデータを見てみましょう。実際にどれだけの人が申請し、どのくらいの割合で許可されているのかが明確になります。また、もっと前の永住許可状況について知りたい方は永住ビザ申請の許可率・不許可率!最新データを解析!もご参照ください。 表1:2026年1月から2026年4月の永住許可数の推移 審査月 (2026年) 審査結果が 出た総数(既済) 許可された数 (許可) 永住許可率 不許可・その他 1月 6,302件 2,938件 46.6% 3,364件 2月 6,388件 3,158件 49.4% 3,230件 3月 6,921件 3,680件 53.2% 3,241件 4月 5,620件 3,053件 54.3% 2,567件 表2:2026年1月~4月の4か月間の通算データ 申請の種類 総審査数 許可された数 許可率 在留期間更新…