今井 幸大

技術・人文知識・国際業務ビザ申請の必要書類を徹底解説【認定・更新・変更】

就労ビザの代表格である「技術・人文知識・国際業務」の申請手続きに必要な書類は,就労先企業のカテゴリーや申請の種類(認定・変更・更新)によってそれぞれ異なります。
本コラムでは,
・新たに「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する手続きに必要な書類
・他のビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザへ変更する手続きに必要な書類
・今持っている「技術・人文知識・国際業務」ビザを更新する手続きに必要な書類
について解説していきます。
手続きごとにまとめていますので,Indexから該当するものを選んでご確認ください。

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」とは?

技術・人文知識・国際業務ビザは,就労ビザのなかでも最も代表的なものです。
いわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる仕事を行うための就労ビザです。名称が長いので,「技人国(ギジンコク)」と省略して呼ばれることもあります。
この技術・人文知識・国際業務ビザを取得するには,大きく分けて「本人」「会社」「職務内容」の3つに関する要件を満たす必要があります。

本人側の要件
原則として,大学を卒業し学士の学位があること。
もしくは日本の専門学校を卒業し,専門士の学位を取得していること。会社側の要件
事業の安定性,継続性があること。職務内容の要件
自然科学や人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務,又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務であること。

技術・人文知識・国際業務の詳細については,別コラム「【技術人文知識国際業務ビザ】人事担当者向けコラム」もお読みください。

技術・人文知識・国際業務ビザの申請手続きについて

技術・人文知識・国際業務ビザの申請ができるのは,

  • 本人
  • 本人を採用する企業や団体
  • 取次資格のある行政書士など です。

申請からビザの取得までにかかる期間は,認定申請では約1か月~3か月,変更・更新申請では約2週間~1か月です。申請が増える1~2月あたりでは,審査期間がこれよりも長くなる場合もあります。

また,申請内容によって,手続きの流れや審査のポイントが異なります。
ここからは,申請手続きごとにポイントを解説していきます。

【認定】在留資格認定証明書交付申請

認定申請は,以下の手順でおこないます。

①仕事の内容の照合
②雇用契約書の作成と締結
③就労ビザの申請

まず,日本で行う仕事が,技術・人文知識・国際業務に該当する仕事内容なのかどうかを確認します。
また,自身の学歴や職歴が,日本で行う仕事内容と関連するかどうかの検証も忘れてはいけません。
続いて,入社予定の日本の企業と雇用契約を締結します。
入管は雇用契約の内容も確認します。
業務内容の記載や報酬額が,労働関係法令から見て問題がないか検証する必要があります。
そして,上記で示した必要書類を集め,就労ビザの申請をします。
1~3か月程度待てば,就労ビザが取得できます。

【変更】在留資格変更許可申請

技術・人文知識・国際業務ビザへの変更申請で,一番多いケースとしては留学生からの変更です。
留学生からの変更申請の場合,技術・人文知識・国際業務ビザの要件を確認することだけでなく,留学生として在学していた学校での成績や,アルバイトに従事していた時間も審査対象になりますので,ご注意ください。

【更新】在留期間更新許可申請

ビザの更新手続きは,在留期間が満了する3か月前から行うことができます。
転職せず,職種も変わらない場合は,他に素行等の問題がなければ基本的に更新が可能です。
転職をした場合は,入管法第19条の16に定めるとおり,14日以内に入管へ転職の届出を行う必要があります。
同じ技術・人文知識・国際業務ビザでも,許可された内容から大きく変わる場合は,更新が許可されないケースもあります。転職先の業務内容に不安のある方は,更新申請の前に「就労資格証明書交付申請」を行い,転職先の業務内容が技術・人文知識・国際業務ビザの範囲内なのか確認するのも一つの方法です。

審査中に在留期限を過ぎてしまったらどうなる?
在留期限には「特例期間」という制度があります。これは,在留期間満了日前に更新申請(変更申請)を行っている場合,在留期間満了日から2か月もしくは当該申請の結果受領日まで適法に日本に在留することができるという制度です。
例/在留期限が4月30日 ⇒ 4月25日に更新申請 ⇒ 最長で6月30日まで在留できる※
※6月30日よりも前に審査結果が出た場合,特例期間も短くなります。

所属機関は4つのカテゴリーに分類される

出入国在留管理庁では,就労先となる所属機関(企業や団体など)を規模ごとに4つのカテゴリーに分類しています。
このカテゴリーによって,申請に必要な書類が異なります。

カテゴリー1
以下1~7のいずれか
(1) 日本の証券取引所に上場している企業
(2) 保険業を営む相互会社
(3) 日本又は外国の国・地方公共団体
(4) 独立行政法人
(5) 特殊法人・認可法人
(6) 日本の国・地方公共団体の公益法人
(7) 法人税法別表第1に掲げる公共法人
※上場企業など

カテゴリー2
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人
※未上場の大企業など

カテゴリー3
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
※中堅・中小企業など

カテゴリー4
上記のいずれにも該当しない団体・個人
※新設会社など

カテゴリーについては,別コラム「就労ビザのカテゴリーとは?仕組みや対象,区分について解説!」でも詳しく解説していますので,あわせてお読みください。

新たに「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する認定申請に必要な書類

ここからは,新たに「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する,在留資格認定証明書交付申請に必要な書類について解説します。
海外にいる外国人を,「技術・人文知識・国際業務」ビザで日本へ呼び寄せる場合の手続きです。

①カテゴリー1に該当する企業【認定】

1.在留資格認定証明書交付申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用封筒(簡易書留用)
※返信先住所を明記し,404円分の切手を貼付したもの
4.専門士または高度専門士の学位を証明する文書
※学歴要件が専門士または高度専門士の場合
5.四季報の写し,または日本の証券取引所に上場していることを証明する文書の写しなど

②カテゴリー2に該当する企業【認定】

1.在留資格認定証明書交付申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝)1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用封筒(簡易書留用)
※返信先住所を明記し,404円分の切手を貼付したもの
4.専門士または高度専門士の学位を証明する文書
※学歴要件が専門士または高度専門士の場合
5.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し

③カテゴリー3に該当する企業【認定】

1.在留資格認定証明書交付申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用封筒(簡易書留用)
※返信先住所を明記し,404円分の切手を貼付したもの
4.専門士または高度専門士の学位を証明する文書
※学歴要件が専門士または高度専門士の場合
5.履歴書
6.大学などの卒業証書の写しや卒業証明書
7.在職証明書等

※関連業務に従事した期間を証明するもの
※「技術」,「人文知識」に関する業務に従事予定の場合は,計10年以上,「国際業務」に関する業務に従事する予定の場合は,計3年以上を証明することが必要
※在籍していた機関(会社など)が発行したもので,「会社名,会社住所,会社電話番号,具体的な業務内容,在籍期間」などが明示してあるものが望ましい
※従事年数内に大学等での関連科目専攻期間を含む場合は,その証明書も必要
8.雇用契約書や採用内定通知書の写しなど,労働条件を明示する文書
9.役員報酬を定める定款の写しや役員報酬決議の株主総会議事録の写し

※日本法人の役員に就任する場合のみ
10.地位(担当業務),期間,報酬額を明らかにする所属団体の文書
※外国法人の日本支店に勤務,又は会社以外の団体役員に就任する場合のみ
11.法人登記事項証明書
12.事業内容を明らかにする次のいずれかの資料

①会社案内書
※沿革,役員,組織,事業内容(取引先や取引実績を含む)等が記載されたもの
②上記に準じる資料
13.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
14.直近の年度の決算文書の写し

④カテゴリー4に該当する企業【認定】

1.在留資格認定証明書交付申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用封筒(簡易書留用)
※返信先住所を明記し,404円分の切手を貼付したもの
4.専門士または高度専門士の学位を証明する文書
※学歴要件が専門士または高度専門士の場合
5.履歴書
6.大学などの卒業証書の写しや卒業証明書
7.在職証明書等※関連業務に従事した期間を証明するもの

※「技術」,「人文知識」に関する業務に従事予定の場合は,計10年以上,「国際業務」に関する業務に従事する予定の場合は,計3年以上を証明することが必要
※在籍していた機関(会社など)が発行したもので,「会社名,会社住所,会社電話番号,具体的な業務内容,在籍期間」などが明示してあるものが望ましい
※従事年数内に大学等での関連科目専攻期間を含む場合は,その証明書も必要
8.雇用契約書や採用内定通知書の写しなど,労働条件を明示する文書
9.役員報酬を定める定款の写しや役員報酬決議の株主総会議事録の写し

※日本法人の役員に就任する場合のみ
10.地位(担当業務),期間,報酬額を明らかにする所属団体の文書
※外国法人の日本支店に勤務,又は会社以外の団体役員に就任する場合のみ
11.法人登記事項証明書
12.事業内容を明らかにする次のいずれかの資料

①会社案内書
※沿革,役員,組織,事業内容(取引先や取引実績を含む)等が記載されたもの
②上記に準じる資料
13.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
14.直近の年度の決算文書の写し,または,新規事業の場合は,事業計画書

他のビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザへの変更申請に必要な書類

ここからは,すでに他のビザで日本に在留している方で,技術・人文知識・国際業務ビザへ変更する,在留資格変更許可申請で必要になる書類について解説します。
留学生を新卒採用する場合などの手続きです。

①カテゴリー1に該当する企業【変更】

1.在留資格変更許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝)1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用はがき
4.専門士または高度専門士の学位を証明する文書

※学歴要件が専門士または高度専門士の場合
5.四季報の写し,または日本の証券取引所に上場していることを証明する文書の写しなど

②カテゴリー2に該当する企業【変更】

1.在留資格変更許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用はがき
4.専門士または高度専門士の学位を証明する文

※学歴要件が専門士または高度専門士の場合
5.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し

③カテゴリー3に該当する企業【変更】

1.在留資格変更許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用はがき
4.専門士または高度専門士の学位を証明する文書

※学歴要件が専門士または高度専門士の場合
5.履歴書
6.大学などの卒業証書の写しや卒業証明書
7.在職証明書等※関連業務に従事した期間を証明するもの

※「技術」,「人文知識」に関する業務に従事予定の場合は,計10年以上,「国際業務」に関する業務に従事する予定の場合は,計3年以上を証明することが必要
※在籍していた機関(会社など)が発行したもので,「会社名,会社住所,会社電話番号,具体的な業務内容,在籍期間」などが明示してあるものが望ましい
※従事年数内に大学等での関連科目専攻期間を含む場合は,その証明書も必要
8.雇用契約書や採用内定通知書の写しなど,労働条件を明示する文書
9.役員報酬を定める定款の写しや役員報酬決議の株主総会議事録の写し

※日本法人の役員に就任する場合のみ
10.地位(担当業務),期間,報酬額を明らかにする所属団体の文書
※外国法人の日本支店に勤務,又は会社以外の団体役員に就任する場合のみ
11.法人登記事項証明書
12.事業内容を明らかにする次のいずれかの資料

①会社案内書
※沿革,役員,組織,事業内容(取引先や取引実績を含む)等が記載されたもの
②上記に準じる資料
13.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
14.直近の年度の決算文書の写し

④カテゴリー4に該当する企業【変更】

1.在留資格変更許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用はがき
4.専門士または高度専門士の学位を証明する文書

※学歴要件が専門士または高度専門士の場合
5.履歴書
6.大学などの卒業証書の写しや卒業証明書
7.在職証明書等※関連業務に従事した期間を証明するもの

※「技術」,「人文知識」に関する業務に従事予定の場合は,計10年以上,「国際業務」に関する業務に従事する予定の場合は,計3年以上を証明することが必要
※在籍していた機関(会社など)が発行したもので,「会社名,会社住所,会社電話番号,具体的な業務内容,在籍期間」などが明示してあるものが望ましい
※従事年数内に大学等での関連科目専攻期間を含む場合は,その証明書も必要
8.雇用契約書や採用内定通知書の写しなど,労働条件を明示する文書
9.役員報酬を定める定款の写しや役員報酬決議の株主総会議事録の写し

※日本法人の役員に就任する場合のみ
10.地位(担当業務),期間,報酬額を明らかにする所属団体の文書
※外国法人の日本支店に勤務,又は会社以外の団体役員に就任する場合のみ
11.法人登記事項証明書
12.事業内容を明らかにする次のいずれかの資料

①会社案内書
※沿革,役員,組織,事業内容(取引先や取引実績を含む)等が記載されたもの
②上記に準じる資料
13.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
14.直近の年度の決算文書の写し,または,新規事業の場合は,事業計画書

今持っている「技術・人文知識・国際業務」ビザの更新申請に必要な書類

ここからは,今すでに持っている「技術・人文知識・国際業務」ビザの期限を延長する,在留期間更新許可申請に必要な書類について解説します。
転職せずに今の会社で引き続き働く場合などの手続きです。

①カテゴリー1に該当する企業【更新】

1.在留期間更新許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝)1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用はがき
4.四季報の写し,または日本の証券取引所に上場していることを証明する文書の写しなど

②カテゴリー2に該当する企業【更新】

1.在留期間更新許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用はがき
4.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し

③カテゴリー3に該当する企業【更新】

1.在留期間更新許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用はがき
4.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
5.住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書  各1通

※1年間の総所得および納税状況が記載されたもの

④カテゴリー4に該当する企業【更新】

1.在留期間更新許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの
3.返信用はがき
4.住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書  各1通

※1年間の総所得および納税状況が記載されたもの
5.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
6.直近の年度の決算文書の写し,または,新規事業の場合は,事業計画書

技術・人文知識・国際業務ビザの必要書類まとめ

技術・人文知識・国際業務ビザの取得には,上記で見たとおり数多くの書類が必要です。
確実にビザを取得できるように,漏れがないように気をつけましょう。

もう一つ大切な視点は,就労ビザの申請は,提出した書類の中身が重要になるということです。
所定の書類を提出すれば自動的に就労ビザが取得できるわけではありません。入管の審査官は,提出された書類の中身を読み込んで審査しています。
そのため,提出した書類の中身に問題があれば審査は止まりますし,場合によっては就労ビザが不許可になるという憂き目を見ることになってしまいます。

そうならないためには,まずは就労ビザの審査ポイントを理解することが重要です。
その上で,提出する書類が就労ビザの要件に適っているか,事前に判断することが必要です。

もしご自身での就労ビザ手続きに不安がある場合は,行政書士法人第一綜合事務所にお任せください。
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就労ビザ申請手続きのプロである私たちが,ビザ取得までしっかりサポートいたします。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

特定行政書士 今井 幸大

・日本行政書士会連合会(登録番号第18080677号)
・東京都行政書士会(会員番号第11843号)
東京都出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,永住権取得,国際結婚手続き,帰化許可申請など国際業務を専門としている。

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