就労ビザの申請で「理由書」は必要?書き方のポイントを行政書士が解説!
外国人雇用で就労ビザを取得する場合,申請書類のひとつとして「理由書」の提出を強くおすすめします。ただ,理由書は入管庁からフォーマットなどは提供されておらず,自由書式で作成する必要があります。審査をスムーズに審査を進めてもらうために「書いたほうがよいこと」がいくつかあります。本コラムでは「理由書」の書き方について,就労ビザ申請専門の行政書士がわかりやすく解説します。
- 理由書が必要となる理由
- 理由書の書き方
「申請人」:就労ビザを取得する外国人のことです
「所属機関」:外国人を雇用する企業,団体のことです
Index
1.就労ビザ申請で必要になる「理由書」とは?
就労ビザの申請で提出が必要になる「理由書」とは,読んで字の如く『申請人を採用することに決めた理由を説明するもの』です。
説明する相手は,もちろん入管の審査部門です。審査官に「この申請人に就労ビザを交付しても良い」と判断してもらう材料として提出するものです。
申請人のスキルや経歴,人柄だけでなく,
・従事させる業務が適法であること
・外国人を採用することになった背景
など,企業側の事情や状況についてもわかりやすく説明する必要があります。
2.入管の審査部門が重視するポイント
就労ビザの審査で入管が重視しているポイントは,就労活動が適正かどうかという点です。
日本人の場合と違って外国人は,本人にいくらやる気があったとしても,従事できる仕事内容が法律によって制限されています。あらかじめ決められている枠に収まらない業務は「不法就労」になります。入管では,不法就労に該当しないかどうかを念入りに審査しています。
ここでひとつポイントになるのは,「白黒ハッキリしない,疑わしいものは許可されない」という点です。
虚偽の申告をしないことは大前提ですが,虚偽ではなくても,入管の審査部門で『これは怪しいな』と判断されてしまえば,就労ビザの許可は取れないのです。
日本は,採用したあと本人の適性を見て業務内容を変えていく「メンバーシップ型」の働き方が主流ですが,就労ビザは業務内容ごとに区分けされている「ジョブ型」がベースになっています。
外国人を雇用する際は『とりあえず採用して,適性を見てから配属先を決める』ということができない点に注意が必要です。
3.理由書の書き方
ここからは「理由書」の具体的な書き方について解説していきます。
理由書には決まったフォーマットはありません。これまで数多くの就労ビザ申請で許可を取得してきた行政書士法人第一綜合事務所では,以下の4つを軸に理由書を作成しています。
ぜひ参考にしてください。
(1)申請人の概要について書く
まずは申請人の概要がわかるように書きます。
- 氏名
- 国籍または地域
- 生年月日
- 学歴(大卒,専門卒の場合は学部や専攻も必要です)
- 職歴(在籍期間と業務内容も必要です)
申請人が就労ビザの要件を満たしている人物であるということがわかるように書きます。
(2)所属機関の概要について書く
所属機関の概要も書きます。
- 企業名,団体名
- 本社所在地
- 主な事業内容
- 設立年月日
- 資本金,直近期の売上高
(3)申請人の業務内容について書く
申請人が実際に従事する業務内容をわかりやすく書きます。
- 配属予定の部署名,実際の勤務地
- 担当する業務内容の詳細(複数ある場合はそれぞれの業務割合も記載する必要があります)/li>
- 申請人の学歴または職歴と関連性があること
先に述べた通り,就労ビザで雇用する外国人は「ジョブ型雇用」になります。業務が明確に決まっていることが前提ですので,その業務内容を書いてください。
ちなみに,入管の審査官は業種や職種に精通している方ばかりではありません。業界を全く知らない人でもイメージできるように書きましょう。
(4)申請人の採用理由について書く
申請人を採用することにした理由を書きます。
- 募集することになった背景
- 申請人とのファーストコンタクト
- 申請人を採用することで見込める効果
- 他の人ではなく申請人でなければならない理由
どのようなステップで申請人の採用に至ったのか?をわかりやすく書きましょう。
4.就労ビザ申請で必要になる「理由書」まとめ
いかがでしたか?理由書のポイントと書き方についてご理解いただけたかと思います。
繰り返しになりますが,大事なことは「事実の誤解が生じないように書く」ことです。「許可を取るために事実と異なることを書く」ことは,言うまでもなく虚偽申請です。虚偽申請は不法就労を助長する行為として厳しく罰せられます。
『このケースはどうだろう…』と気になることがあれば,就労ビザに詳しい専門家へぜひともお尋ねください。
行政書士法人第一綜合事務所では,大阪と東京をメインにビザ申請を専門としている日本でも数少ない行政書士法人です。初回のご相談は無料ですので,どうぞお気軽にお問い合わせください。