冨田 祐貴

特定技能ビザの申請費用の相場は?

特定技能ビザの申請費用の相場は?

2019年4月1日に施行された改正出入国管理法。
改正の目玉であった特定技能の制度がスタートして,2年が経過しました(記事作成日:2021年4月21日)。
当初,5年間で約34万5000人の特定技能外国人の受け入れを見込んでいましたが,新型コロナウイルス感染症の影響もあり,特定技能外国人の受け入れは思うように進んでいないのが現状です。
しかし,我が国の生産年齢人口の減少を考えると,特定技能ビザをはじめ,外国人材の活用は不可避と言っても過言ではありません。
そこで本ページでは,今後益々注目が高まると予想される特定技能ビザに注目し,実際のデータをもとに申請費用にフォーカスして見ていきます。

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1.特定技能ビザ申請の書類作成は誰に依頼する?

特定技能ビザ申請の書類作成は,登録支援機関が行うものと誤解されている方も多くおられますが,実は登録支援機関は法律上,書類作成を行うことができません。
この結論は,特定技能ビザ申請の書類作成を登録支援機関が無料で行ったとしても,変わりません。

なぜ,登録支援機関は,特定技能ビザ申請の書類作成をできないのでしょうか。
その根拠は,行政書士法に見ることができます。

第一条の二(業務)
行政書士は,他人の依頼を受け報酬を得て,官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて,電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
第十九条(業務の制限)
行政書士又は行政書士法人でない者は,業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし,他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について,当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は,この限りでない。

つまり,入管に提出する書類作成は,行政書士法によって行政書士の業務とされているため,登録支援機関が特定技能ビザ申請の書類作成をすると行政書士法違反に問われてしまうのです。

これと混同しやすいのが,入管への申請取次の制度です。
まずは,申請取次に関して,入管法の根拠の一つを見てみましょう。

第六条の二(在留資格認定証明書)
法第七条の二第一項の規定により在留資格認定証明書の交付を申請しようとする者は、別記第六号の三様式による申請書一通を地方出入国在留管理局に出頭して提出しなければならない。
(略)
4 第一項の規定にかかわらず、地方出入国在留管理局長において相当と認める場合には、本邦にある外国人又は法第七条の二第二項に規定する代理人(以下「外国人等」という。)は、地方出入国在留管理局に出頭することを要しない。この場合においては、次の各号に掲げる者(第一号及び第二号については、当該外国人等から依頼を受けた者)が、当該外国人等に代わつて第一項に定める申請書並びに第二項に定める写真及び資料の提出を行うものとする。
一 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益社団法人又は公益財団法人の職員(以下「公益法人の職員」という。)若しくは法第二条の五第五項の契約により特定技能所属機関から適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託された登録支援機関の職員(以下「登録支援機関の職員」という。)で、地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの
二 弁護士又は行政書士で所属する弁護士会又は行政書士会を経由してその所在地を管轄する地方出入国在留管理局長に届け出たもの
三 当該外国人の法定代理人

ご覧のとおり,行政書士のみならず,登録支援機関の職員の方であって,入管局長が適当と認めた方にあっては,特定技能ビザの“申請取次”が可能とされています。

ここまでのお話をまとめると,

  • 特定技能ビザ申請の『書類作成』は,登録支援機関はできない。
  • 登録支援機関が特定技能ビザの申請書類を作成すると行政書士法違反に問われる。
  • 特定技能ビザの申請取次は,登録支援機関もできる。

ということになります。

なお,行政書士は法律上,特定技能ビザの書類作成,申請取次のいずれも対応することが可能です。

2.特定技能ビザの申請費用の相場

本チャプターでは,行政書士に依頼した場合の特定技能ビザの申請費用について見ていきます。
主要な行政書士事務所3社を比較していますのでご覧ください。

税込価格 A社 B社 C社
COE申請 148,500円 165,000円 220,000円
変更申請 148,500円 165,000円 165,000円
更新申請 55,000円 55,000円 55,000円

特定技能ビザの申請費用の相場としては,
COE申請,変更申請については,16万5000円(税込)程度というのがボリュームゾーンのようです。

技術・人文知識・国際業務などの就労ビザは,概ね10万円程度の事務所が多くなっていますので,他の就労ビザと比較すると特定技能ビザの申請費用は,少々割高になっています。
他の就労ビザと比べると,特定技能ビザは入管へ提出する書類が多く,そのため行政書士の特定技能ビザの申請費用は割高になっていると考えられます。

上記に関連して特定技能ビザの申請費用について他の特徴を付け加えると,

  • 建設分野については,上記の特定技能ビザの申請費用の相場から5万円程度,加算料金が掛かる事務所が多い
  • 特定技能ビザの件数によって,ボリュームディスカウントしている事務所もある
  • 支援計画書作成補助やコンサルティングを実施する場合には,別料金が掛かる行政書士事務所が多い

おまけとして,

  • 登録支援機関をしている事務所の月額支援料は,2万5000円から3万5000円がボリュームゾーン

となっています。

3.行政書士法人第一綜合事務所の特定技能ビザの申請費用

本チャプターでは,行政書士法人第一綜合事務所の特定技能ビザの申請費用についてご紹介します。

税込価格 特定技能ビザの申請のみの場合 登録支援業務も合わせ行う場合
COE申請 143,000円 110,000円
ビザ変更 143,000円 110,000円
ビザ更新
(リピーター)
55,000円 55,000円
ビザ更新
(新規)
88,000円 55,000円

当社特定技能ビザの申請費用は,ボリュームゾーンに位置しています。
端的に言えば,極端に安いわけでも高いわけでもありません。

このように特定技能ビザの申請費用は,どこの行政書士事務所へ依頼しても大きくは異なりませんが,業務内容については,事務所毎に大きく異なっています。

そこで,当社の特定技能ビザにかかる業務の特徴を5つあげてみます。

〇支援計画書の作り方,見直しコンサルティング

これは,お客様からのニーズが多かったことから,スタートした業務です。
誤った支援計画書がまだまだ多いため,ご要望があれば支援計画書の作り方のご説明,現状の支援計画書の見直しコンサルティングを行っております。

〇特定技能ビザ申請のフロー構築

人材会社の方から,特定技能のビザ申請の準備がどうすればスムーズに進むかご相談を頂戴するケースが増えています。
そのようなお困りごとにご対応するため,現状のフローの見直しを行い,適正なフローをご案内しております。

〇登録支援機関の業務内容の適正化

当社は行政書士法人でありながら,登録支援機関としても業務をしております。
3ヶ月毎の定期届出をはじめ,登録支援機関のオペレーションに困っておられる法人様からのご相談を多数頂戴しております。
これまでの当社の登録支援機関としての実績,経験をもとに,登録支援機関の業務内容のご相談をお受けしています。

〇交通費は全国一律なので広範囲の申請に対応可能

特定技能ビザへの変更申請は,技能実習生からの変更のパターンが多く,その住所地は様々です。
例えば,鹿児島県と北海道在住の技能実習生2名を宮城県の会社で特定技能ビザへ変更しようとした際,管轄は福岡入管,札幌入管となりますが,このような広範囲の特定技能ビザ申請に対応している行政書士事務所は多くありません。
また,通常は出張費等が掛かるのが一般的ですが,当社が頂戴する交通費は,全国一律3000円のみです。
そのため,特定技能ビザ申請に関する交通費を心配することなく,ご依頼をいただける体制を整えております。

〇人材会社,登録支援機関の顧問多数

当社は人材会社様,登録支援機関様の顧問に数多く就任しております。
上記で見たような日々の業務から,特定技能ビザの申請まで,幅広くご支援しています。
また法務顧問以外にも,英語,中国語,ベトナム語にも内製で対応しており,顧問会社様の管理を言語面でもサポートしています。

いかがでしたでしょうか。
費用面では,当社は大きな特徴はありませんが,特定技能ビザの申請の依頼をきっかけに,様々な検証をしております。
また,全国一律の交通費も当社の大きな特徴となっており,特定技能ビザの申請を数多く行う人材会社様などには好評をいただいております。

4.特定技能ビザの申請費用のまとめ

本ページでは,特定技能ビザの申請費用を中心に見てまいりました。

当社が調査する中で気づいたことは,特定技能ビザの申請費用は,

  • 就労ビザより5万円程度高い
  • 各行政書士事務所によって大きな価格差はない
  • 対して,業務内容は大きく異なる

という印象を持ちました。

現在は,新型コロナウイルスの影響もあり,特定技能ビザの申請件数は思うように伸びてはいないようですが,今後の日本の人口減少を考えると,増加していくことは確実視されます。

特定技能外国人の受け入れにご興味がございましたら,ご相談は無料で承っておりますので,お気軽に行政書士法人第一綜合事務所までお問い合わせください。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 冨田 祐貴

・日本行政書士会連合会(登録番号第19261319号)
・東京都行政書士会(会員番号第14030号)
兵庫県出身。東京オフィス長として,企業向けのセミナーにも登壇。外国人ビザ申請,国際結婚,帰化許可申請など国際業務を専門としている。

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