尾島 諒

【解決事例】夫が永住ビザを取得したら妻の家族滞在ビザはどうなる?

来日して15年目のAさん(韓国人男性)は,技術・人文知識・国際業務ビザを持っていましたが,このたび念願の永住ビザを取得しました。Aさんは5年前にBさん(韓国人女性)と結婚し,現在は2人の子ども(4歳と生後7ヶ月,ともに日本生まれ)と家族4人で生活しています。

Aさんが就労ビザから永住ビザへ変更した後も,Bさんと2人のお子様はこれまでと変わらず家族滞在ビザで日本に在留しています。
Bさんと2人のお子様が家族滞在ビザのままで問題がないか確認するため,Aさんは当社の無料相談を利用されました。

1.はじめに

就労ビザの方が永住ビザを取得した場合,ご家族のビザはこれまでと同じ家族滞在ビザのままで良いのでしょうか。

本ページでは,家族で一緒に永住ビザの申請を行わなかったケースで生じる問題点,対応方法を記載していきます。

2.家族滞在ビザとは?

家族滞在ビザは,一定の在留資格をもって日本に在留する外国人の扶養家族を受け入れるために設けられているビザです。
本事例に当てはめると,技術・人文知識・国際業務ビザを持つAさんのご家族であるBさん,2人のお子様を受入れるためのビザということが出来ます。

今回は,Aさん(技術・人文知識・国際業務ビザ)が永住ビザを取得した結果,ご家族のBさん,2人のお子様(家族滞在ビザ)のビザに影響があるか否かというご相談事例です。

その答えは,上記で示した家族滞在ビザの定義にあります。
家族滞在ビザとは,“一定の在留資格”をもって日本に在留する外国人の扶養家族を受け入れるために設けられているビザでした。
ここでいう一定の在留資格とは,「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「文化活動」「留学」を意味し,永住者は入っていません。

つまり,「一定の在留資格」を持っていた外国人の在留資格が「永住者」に変更されると,その方の扶養を受けている家族は在留資格を変更しなければならない,ということになります。

まとめると,
①Aさん(技術・人文知識・国際業務ビザ),Bさん(家族滞在ビザ),お子様(家族滞在ビザ)の状況から,
②Aさんが永住ビザを取得したことによって,Bさんとお子様は家族滞在ビザの要件に該当しなくなる。
③その結果,Bさんとお子様は在留資格を変更しなければならない。
ということになります。

3.家族滞在ビザから何のビザに変更すれば良い?

(1)配偶者について

「一定の在留資格」をもっていた外国人の方が永住ビザを取得した場合,その配偶者の方は「永住者の配偶者等」にビザの種類を変更することになります。ここでは,永住者の配偶者等のビザについての要件は割愛しますが,家族滞在ビザの要件を満たしている方であれば,通常は問題になることはありません。

(2)お子様について

お子様については,定住者ビザに変更することになります。定住者ビザには告示定住と告示外定住(告示に定めのない定住者)という種類がありますが,扶養者が永住者になったことによるお子様のビザは,定住者ビザ(告示定住)となります。

(参考)
〇出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号)

(略)
六 次のいずれかに該当する者(第一号から第四号まで又は第八号に該当する者を除く。)に係るもの
イ 日本人,永住者の在留資格をもって在留する者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)に定める特別永住者(以下「特別永住者」という。)の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
(略)

4.複雑な状況を回避するためには…

扶養者の方が永住ビザを取得した場合には,上述のとおり,家族滞在ビザの方はビザ変更の必要性が生じます。

家族滞在ビザは,上記で示した“一定の在留資格”に紐づいているビザです。そのため,“一定の在留資格”に変更があれば,家族滞在ビザの方も影響を受けることになってしまいます。
このような複雑な状況を回避するため,当社では家族全員で永住ビザの申請を行うことをお勧めしています。

今回の事例は,仮に家族全員で永住ビザを申請していれば生じない問題です。
また,ビザ申請の件数も,家族全員で永住許可申請をする場合とそうでない場合では異なります。

<家族全員で永住申請をする場合>

①Aさん,Bさん,お子様2名の永住許可申請

<今回の事例>

①Aさん 永住許可申請
②Bさん 永住者の配偶者等へのビザ変更申請
③お子様 定住者へのビザ変更申請
④Bさん,お子様の永住許可申請
※なお,②,③,④は同時申請を行うことも可能です。

こうして比較をすると,家族全員で永住ビザの申請をすることのメリットを感じていただけるかと思います。
もっとも,婚姻期間(配偶者)や年齢(お子様)などの影響から,家族全員で同時に永住ビザの申請ができない場合もあります。

具体的な判断については,本ページで全てご紹介することは困難なため,どのようにすれば家族全員が最短で永住ビザが取得できるかは,国際業務専門の行政書士に一度ご相談をしてみて下さい。

5.まとめ

今回は,少し変わった切り口にはなりますが,重要な内容を記載させていただきました。
家族全員での永住許可申請を躊躇する理由は,当社でヒアリングをしてみたところ,要件がよくわからないからというのが多いようです。

確かに,単独で就労ビザからの永住ビザ取得をする局面とは異なり,配偶者のこと,お子様のこと等,検討すべき点は増えます。
そのような場合には,ぜひ国際行政書士を交えて,今後のビザの設計をしてみて下さい。
ご相談は無料で受けている行政書士事務所も多くありますし,無料相談を受けるだけで解消できる疑問が数多くあるかと思います。

永住ビザの申請は,外国人にとって日本での生活の集大成となるとても大切な申請です。
曖昧な知識ではなく,確実な知識を得て,永住ビザが取得できるように準備を整えていきましょう。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 尾島 諒

・日本行政書士会連合会(登録番号第24260162号)
・大阪府行政書士会(会員番号第8842号)
愛知県出身。大阪オフィスに所属し,外国人ビザ申請,永住権取得,国際結婚手続き,帰化許可申請など国際業務を専門としている。

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