永住ビザ申請の盲点とは?最新ガイドラインに基づく50問50答!

日本の永住権の審査基準は、年々厳格化の一途をたどっています。2019年7月改訂による社会保険・年金の支払い状況のチェック厳格化をはじめ、直近では在留手数料の大幅な値上げや、取得後の公的義務違反による「永住許可取消制度」の導入など、入管行政のスタンスは過去にないほど厳しくなっています。
実際、最新の統計データでは永住申請の許可率は約50%となっており、「およそ2人に1人が不許可」になるのが2026年現在の実態です。
一見すると「日本の永住権取得は相当難しいのではないか」と感じるかもしれません。しかし、永住許可に関するガイドラインや審査基準の多くは国から公表されています。
出入国管理庁のガイドラインは時代の変化や法改正に応じて都度変わるため、常に最新の情報をキャッチアップすることが不可欠です。本コラムの内容は、2026年2月24日に改訂された最新の「永住許可に関するガイドライン」に完全準拠しています。また、ガイドラインに関しては令和8年2月24日に改訂の「永住許可に関するガイドライン」を行政書士が解説!審査厳格化への具体的な対策もご参照ください。
「現在の厳しい審査基準(実態)」を正確に把握し、税金・年金の納期遅れや各種届出といった盲点を申請前に完全にクリアしておけば、一回の申請で許可を勝ち取ることは決して不可能ではありません。
本コラムでは、正確な情報を知っていただくため、永住ビザ申請についてよくあるご質問50個に国際業務専門の行政書士が回答しました。
ご自身の状況と照らし合わせながら、ぜひ、ご参考にしてみてください。
Index
1.就労・年収・資産に関する質問
Q1.転職が多いのですが、永住権を取得するのは難しいですか。
A1.転職回数は、永住ビザ申請の結果に影響を与える可能性があります。例えば、転職が多い場合は、再就職までの期間を検証する必要があります。たとえ就労ビザの保有期間が5年を経過したとしていても、5年の期間に転職活動の期間を含んでいる時には注意を要します。永住審査では「転職してから安定的な就労状況にあるか」という点も見られるため、転職してから時間が経過していない場合には、安定性がないとして永住権の申請が不許可になってしまうリスクが高まります。
なお、転職時に必要となる入管への「所属機関に関する届出」を期限内に提出しているかも厳しく見られます。詳しくは【解決事例】永住ビザと転職との関係についてをご参照ください。
Q2.どれくらいの年収があれば永住権は許可されますか。
A2.ガイドライン上、明確な金額の基準は公表されていませんが、実務上は「単身者で直近5年間、継続して年収300万円以上」が目安とされています。扶養家族(配偶者や子供、海外の親など)がいる場合は、扶養1人につき約70万〜80万円が上乗せして必要になると考えてください。例えば、妻と子供1人を扶養している場合は、年収450万円程度が安定の目安となります。
Q3.貯金はどれくらいあれば、永住権の申請で有利になりますか。
A3.永住権の審査において、貯金額の基準は定められていません。そのため、貯金がいくらあるから永住権が許可されるというわけではないのです。
上記に関連してご説明すると、入管実務では、実は貯金額よりも年収の方が重視されています。もっとも、就労ビザで勤務する中で、所得に応じた貯金を形成している事実は、生活状況、経済基盤の安定性を示すものとして、永住権の審査上、積極的な一事情に数えられます。
Q4.現在無職で、資産運用や不動産収入だけで暮らしています。独立生計要件を満たせますか。
A4.はい、満たせる可能性はあります。「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が要件であるため、会社に属していなくても、不動産収入や株式の配当、十分な資産があり、将来にわたって公共の負担(生活保護など)にならずに安定した生活が見込まれることを客観的に証明できれば、要件を満たしていると認められる可能性があります。
Q5.会社の経営状態が赤字なのですが、経営者である私の永住申請に影響しますか。
A5.経営者や会社役員(在留資格「経営・管理」など)の場合、個人の年収だけでなく、経営する会社の決算状況も厳しく審査されます。一時的な赤字であれば理由書等で弁明の余地がありますが、債務超過や連続赤字の場合は「事業の継続性・安定性がない」とみなされ、個人の生計維持能力にも疑義を持たれるため、不許可になる可能性が非常に高くなります。現在「経営・管理」ビザをお持ちの方は経営管理ビザから永住ビザへの申請で重要になるポイントを解説もぜひご参照ください。
Q6.派遣社員ですが、永住権は取得できますか。
A6.派遣社員(や契約社員)であっても、年収基準(目安300万円以上)を満たしており、現在の雇用契約が長期にわたって継続する見込みがあるなど、生計の安定性を証明できれば取得は可能です。ただし、正社員(無期雇用)と比べると雇用の安定性という点で審査が慎重に行われる傾向があるため、過去の継続勤務年数や今後の契約見込みをしっかり立証する必要があります。
Q7.自己破産をした経験があるのですが、永住権の取得は無理ですか。
A7.過去に自己破産をしている場合、「独立の生計を営むに足りる資産を有すること」という要件を満たしていないと判断されるため、非常に厳しくなります。自己破産から相当な期間(一般的に5〜10年以上)が経過し、現在は完全に経済状態が立ち直っており、十分な年収と安定した生活基盤があることを証明できない限り、許可は難しいと思われます。
Q8.副業による収入は、年収要件の計算に含まれますか。
A8.現在の在留資格(就労ビザ)で認められている範囲内での副業(資格外活動許可を得ている場合や、資格の範囲内の活動である場合)であれば、確定申告を行い正しく納税していることを前提に、合算して年収として認められます。ただし、在留資格の範囲を超えた資格外の違法な就労による収入は、年収に含まれないだけでなく、素行不良として即不許可の対象となります。
Q9.日本の大学を卒業して就職しました。就労ビザになって何年で年収要件を満たせますか。
A9.原則として、就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)に変更してから「引き続き5年以上」の在留が必要です。そのため、新卒1年目の年収がどれだけ高くても、就労ビザでの在留が5年に達するまでは原則として申請できません(高度専門職などの特例を除きます)。また、直近5年分の年収・課税証明書をチェックされるため、就職初期の年収が目安(300万円)を下回っている場合は、就労5年が経過してもさらに数年待つ必要があるケースもあります。
Q10.母国の親をたくさん扶養に入れています。年収要件に影響しますか。
A10.はい、影響します。税金を安くする目的で、同居していない海外の親族を何人も扶養家族に入れているケースが多く見られますが、入管は「扶養人数が多い=その分生活費がかかるため、より高い年収が必要」と判断します。目安として、扶養家族1人につき年収基準が約70万〜80万円上がります。年収が350万円であっても、扶養が3人いれば生計維持能力不足とみなされる可能性が高いです。また、実態のない不適切な扶養は「素行善良要件」にも悪影響を与えます。
2.公的義務(税金・年金・医療保険・届出)に関する質問
Q11.これまで年金を払ったことがありません。今から年金を払って永住権は取得できますか。
A11.いいえ、今から遡って完納したとしても、それだけでは永住権は許可されません。最新のガイドラインでは、「申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価される(=不許可事由になる)」と明記されています。国民年金は、最大25ヶ月間を遡って支払うことができます「納期限の日に遅れずに支払っていたか」という「期限の順守」が厳しく審査されるため、未払い分を一括納付しても、過去2年間に遅延履歴があれば不許可の可能性が高いです。今から期限を守った納付実績を2年(就労ビザ等の場合)積み上げる必要があります。
Q12.会社の健康保険(社会保険)ではなく、国民健康保険に入っていますが大丈夫ですか。
A12.ご本人に帰責性がないケースにおいて、国民健康保険に加入していること自体は問題ありませんが、「保険料を毎月の納期限通りに支払っているか」は厳しく審査されます。国民健康保険は会社引き落としではないため、納付書の期限を1日でも遅れてコンビニ等で支払った履歴があると、それだけで「公的義務の適正な履行」をしていないとみなされ、不許可になる原因になります。直近2年間(申請内容によってはそれ以上)の全期間において、すべての期日で期限内に納付している証明(領収書の控えや口座振替の通帳のコピーなど)が必要です。
Q13.住民税の支払いを数回忘れていて、催促されてから支払いました。影響はありますか。
A13.はい、大いに影響します。年金や健康保険と同様に、住民税(個人住民税)も「当初の納期限内に支払っていたか」が審査されます。会社員で給与から天引き(特別徴収)されている場合は会社が遅れずに納付しているため問題ありませんが、自分で納付書で支払う(普通徴収)期間がある場合、納期限を過ぎてからの支払いは「遅延」とみなされ、原則として永住審査では消極的(マイナス)に評価されます。
Q14.「出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務」とは具体的に何を指しますか。
A14.外国人住民に義務付けられている、入管への各種変更手続きのことです。
具体的には、
- 住居地を変更したときの市区町村への届出(引っ越し)
- 転職・退職や所属会社の手続き(所属機関に関する届出)
- 配偶者ビザの方が離婚・死別したときの届出
などが該当します。これらを「変更があった日から14日以内」という法律上の期限内に正しく提出しているかどうかが、永住許可の「国益適合要件」として厳格にチェックされます。
Q15.転職した際、入管への「所属機関に関する届出」を出していなかったことに気づきました。今から出せば大丈夫ですか。
A15. 提出していないことに気づいた時点で直ちに提出すべきですが、法律上の期限(14日以内)を大幅に過ぎてからの提出は「届出義務の不履行」とみなされ、永住審査で大きなマイナス(不許可事由)になります。未提出のまま永住申請をすると高確率で不許可になります。遅れて提出した場合は、その後数年間、適正な在留実績と義務の順守を証明できる期間を置いてから申請し直す必要があります。
Q16.ふるさと納税や住宅ローン控除を利用して節税していますが、永住審査に影響しますか。
A16. 日本の法律(税法)に則って適正に行われている「ふるさと納税」や「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」などの税額控除は、全く問題ありません。これらを利用して住民税や所得税が減額・非課税になっていたとしても、合法的な手続きであるため、永住審査で不利になることはありません。
Q17.過去に国民年金の「免除」や「猶予」の手続きをしていました。未払い扱いになりますか。
A17.日本の年金機構に正式に申請し、承認された「免除」や「若年者納付猶予」「学生納付特例」の期間については、違法な「未払い」とはみなされません。ただし、免除期間があるということは「その期間は経済的に自立していなかった」可能性があるため、独立生計要件(年収要件など)の審査において過去の状況として考慮されることはあります。現在は免除がなくなり、正規の保険料を期限内に支払っている状態であることが必要です。
Q18.配偶者(夫・妻)が年金や税金を滞納している場合、私単独の永住申請にも影響しますか。
A18.はい、影響を及ぼします。永住申請では、申請者本人だけでなく「世帯全体(同居する家族)」の公的義務の履行状況も確認されます。あなたが正しく税金や年金を納めていても、同居する配偶者が国民年金や住民税を滞納・遅延している場合、「世帯として公的義務を適正に履行していない」と判断され、あなたの申請が不許可になるケースが非常に多いです。家族全員の納付状況を確認してください。
Q19.永住許可が「取り消される」新制度が始まると聞きましたが、どのような内容ですか。
A19.入管法改正により、「永住許可を受けた後」であっても、故意に税金や社会保険料を滞納したり、入管法上の届出義務(住居地の届出など)を怠ったりした場合に、永住許可を取り消すことができる制度が導入されます(2027年4月1日施行)。これにより、「永住権を取る時だけ真面目に払う」という抜け道は通用しなくなり、永住取得後も継続して日本社会のルールと公的義務を守り続けることが法的に求められるようになりました。
詳しくは【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説をご参照ください。
Q20.確定申告の期限が遅れて「期限後申告」になってしまいました。永住審査に影響しますか。
A20.はい、影響します。個人事業主や副業をしている方、あるいは会社員でも医療費控除等で確定申告をする際、法定の申告・納税期限(原則3月15日)を過ぎてから申告・納税を行う「期限後申告」は、税法上の公的義務を適正な期間内に履行していないとみなされます。税金関連の遅延も、ガイドラインにある「当初の納税期間内に履行されていない」に該当するため、原則として消極的な評価につながります。
3.過去の素行・交通違反・刑罰に関する質問
Q21.交通違反を何度かしてしまいました。永住権を取得するのは難しいですか。
A21.まずは、交通違反の度合いを検証する必要があります。過去5年間で1、2回程度の軽微な違反で、その場ですぐに反則金(青切符)を支払っている場合であれば、永住権の申請に大きく影響することはないといってよいでしょう。しかし、短期間に繰り返し交通違反を行っている場合は、「遵法精神が欠如している」とみなされ、素行善良要件を満たさないとして不許可になるリスクが高まります。
Q22.スピード違反で「赤切符」を切られ、罰金を支払いました。永住申請への影響はありますか?
A22.「赤切符」による違反は、軽微な反則金(青切符)とは異なり、刑事罰である「罰金刑」に該当します。最新のガイドラインでは「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと」が要件となっています。罰金刑を受けた場合、罰金を納付した日から「5年間」が経過するまでは、永住許可が認められない可能性が高くなります。 罰金刑を受けてから5年以上の適正な在留期間を空けて再申請する必要があります。
Q23.過去に自転車の運転で警察に注意され、警告票(黄色い紙)をもらいました。これは履歴に残りますか。
A23.自転車の運転審判や指導警告(黄色い警告票)は、前科(罰金刑など)や自動車の運転免許の点数制度のような形では入管の標準的な審査書類に直接現れないことが多いですが、警察のデータには一定期間記録されます。悪質なケースで刑事事件(罰金等)に発展していない限り、1回程度の警告で即不許可になることは通常ありませんが、近年は自転車の取り締まりも厳格化されているため、普段から法律を守る姿勢が大切です。
Q24.知人と口論になり、警察を呼ばれて厳重注意を受けました。前科や逮捕歴がない場合も影響しますか。
A24.逮捕されておらず、裁判にもなっていない(前科がない)「口頭注意・厳重注意」の段階であれば、永住審査の書類上だけで即座に弾かれる可能性は低いです。ただし、警察が介入して何らかの書面(始末書など)が作成されている場合、入管がバックグラウンドチェックを行う過程で把握される可能性はゼロではありません。「日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」という素行善良要件の精神に基づき、身の潔白と平穏な生活を維持することが重要です。
Q25.「拘禁刑」とは何ですか? 過去に「懲役」や「禁錮」の判決を受けた場合はどうなりますか。
A25.刑法の改正により、従来の「懲役刑」と「禁錮刑」が一本化され「拘禁刑」という名称に変更されました。これに伴い、永住ガイドラインの文言も「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと」にアップデートされています。過去に執行猶予付きであっても懲役・禁錮(現在の拘禁刑)の判決を受けた場合、執行猶予期間が無事に満了した日から数えて「10年間」が経過しなければ、永住許可の要件(素行善良)を満たすとは認められません。実刑であった場合は、出所後から10年以上の経過が必要です。
Q26.家族滞在ビザの配偶者が、週28時間を超えてアルバイトをしていました。私の永住申請に影響しますか。
A26. はい、大きく影響します。家族滞在ビザや留学生の「資格外活動許可」で認められている就労時間は「週28時間以内」と法律で厳格に定められています。これを破るオーバーワークは「不法就労」(入管法違反)です。扶養者であるあなた自身が家族の適正な在留を管理・監督していなかったとみなされ、「国益適合要件(法律の順守)」や「素行善良要件」に反するとして、あなた自身の永住申請が不許可になります。
Q27.万引きや置き引きで書類送検され、最終的に「起訴猶予(不起訴)」になりました。永住はできますか。
A27.不起訴(起訴猶予)になった場合、裁判で有罪判決を受けたわけではないため法律上の「前科」にはなりませんが、入管は警察・検察の捜査履歴を把握することができます。「実際に犯罪行為を行い、容疑が事実であったが諸事情で起訴されなかっただけ」というケース(起訴猶予)では、素行が善良であるとは認められにくく、不許可になる可能性が非常に高いです。事案の重大性によりますが、数年から相当期間(目安として5年前後)の無事故無違反の期間を置いてからでないと申請は厳しいでしょう。
4.在留期間・出国日数に関する質問
Q28.私は仕事の都合で日本を出国することが多いのですが、永住権を取得することはできませんか。
A28.日本からの出国日数が多い場合には、永住権の審査に影響があります。ただし、理由を問わず出国の事実がマイナスに影響するわけではありません。出国の理由を明らかにし、出国理由が合理的なもので、出国の頻度や期間が相当である事を説明するようにしましょう。
実際、当社の事例でも、仕事の都合で1年の半分以上を日本から出国していたケースで、永住権の許可を取得できた案件もございます。
そのため、合理的な出国であることが立証できるケースでは、永住権の許可の可能性はあると判断されます。
Q29.原則として「引き続き10年以上本邦に在留」とありますが、途中でビザが切れた期間がある場合はどうなりますか?
A29.「引き続き」とは、在留資格が途切れることなく連続して日本に在留していることを意味します。うっかり更新を忘れて在留期限が過ぎてしまい、一度出国してビザを取り直したような場合や、数ヶ月間ビザがないブランク期間が生じた場合は、それまでの在留期間カウントは「リセット」されます。その時点から新たに1年目としてカウントし直し、再び10年を待つ必要があります。
Q30.現在のビザの在留期間が「3年」なのですが、永住申請はできますか。
A30.ガイドライン上は「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること」となっていますが、2026年6月時点で最新のガイドラインの注記において、「在留期間『3年』を有する場合は、当面の間『最長の在留期間をもって在留している』ものとして取り扱う」とされています。そのため、在留期間が「3年」であれば永住申請を行う資格があります。「1年」の場合は申請できません。なお、この経過措置は期限(令和9年3月31日まで)が設定されているため、その後の取り扱いには注意が必要です。
5.身元保証人に関する質問
Q31.永住権の申請の身元保証人は、収入が少ない人でも大丈夫ですか。
A31.身元保証人の責任からして、理論的には身元保証人世帯が生活するに足る収入+αの収入が必要と言えます。もっとも、身元保証人の年収が低いことで永住権の申請が不許可になる事案は、当社の過去の事例ではありません。
Q32.永住ビザ申請の身元保証人には、どのような責任がありますか。
A32.永住許可申請時の身元保証人は、以下の3点を保証することになります。
- 滞在費
- 帰国旅費
- 法令の遵守
身元保証人の保証責任は法的拘束力がなく、道義的責任であると考えられています。
仮に身元保証をした外国人が滞在費や帰国旅費の準備が出来ない場合でも、身元保証人が代わりに支払うことを求められるわけではなく、直ちに法的な責任追及をされるわけではありません。ここでいう身元保証は、民法上の身元保証契約を指しているわけではなく、在留制度独自のものと解釈されています。
Q33.身元保証人は、外国人の友人でもなれますか?
A33.いいえ、なれません。永住申請の身元保証人になれるのは、法律上「日本人」または「永住者の在留資格を持つ外国人」に限られています。いくら親しい友人であっても、その方が「技術・人文知識・国際業務」や「家族滞在」などの一般の在留資格である場合は、身元保証人になることはできません。
Q34.身元保証人が見つかりません。身元保証人なしで永住申請することは可能ですか。
A34.いいえ、不可能です。 永住許可申請において、身元保証人の書類(身元保証書、本人確認書類など)の提出は必須要件となっています。身元保証人が用意できない場合、申請書類そのものが受理されないか、受け付けられたとしても不許可になるでしょう。なぜなら、「誰も身元保証人を引き受けてくれない=日本の社会やコミュニティに十分馴染めておらず、信用がない」と入管に判断されてしまうからです。
Q35.会社の上司や同僚に身元保証人をお願いしたいのですが、会社に迷惑がかかりますか。
A35.前述の通り、入管法の身元保証人は道義的責任にとどまるため、保証人になった上司や同僚個人、あるいは勤務先の会社に対して金銭的な請求や法的なペナルティがいくことはありません。会社や個人に直接的な迷惑やリスクが及ぶことはないため、その旨を丁寧に説明してお願いするとよいでしょう。提出書類も基本的には「身元保証書」と「運転免許証のコピー等の本人確認書類」のみで、以前より簡素化されています。
永住ビザの身元保証人の詳細については、永住ビザの身元保証人とはでもご説明しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。
6.配偶者・家族・各種特例に関する質問
Q36.家族滞在ビザを持っている配偶者や子供も一緒に永住ビザ申請した方が良いですか。
A36.配偶者やお子様が永住権の要件を満たしているようであれば、一緒に永住権の申請をするのが良いでしょう。仮に、何らかの理由があり、単独で永住権を取得した場合には、配偶者やお子様は、永住者の配偶者ビザや定住者ビザに変更をする必要があります(詳細は【解決事例】夫が永住ビザを取得したら妻の家族滞在ビザはどうなる?をご覧ください。)。
別々に申請すると、ビザの申請回数が増え、申請毎にそれぞれ書類を用意しなければなりません。やはり、永住権の要件を満たしているのであれば、家族一緒に永住権の申請をするほうが手続上のメリットがあるといえるでしょう。
Q37.日本人と離婚した場合、配偶者ビザからの永住特例は使えなくなりますか。
A37. はい、使えなくなります。「日本人の配偶者」としての緩和特例(婚姻3年+在留1年)は、申請時および審査中を通じて「実体を伴う婚姻関係が継続していること」が前提です。申請前、あるいは申請中に離婚(または死別)した場合は特例の対象外となり、原則通り「引き続き10年以上在留(うち就労5年以上)」の一般要件を満たさなければ永住は許可されません。
ただし、日本人の実子を扶養している場合などは、「定住者」資格へ変更したのち、定住者からの緩和特例(5年在留)を狙う道はあります。
Q38.「定住者」の在留資格を持っています。何年で永住申請ができますか。
A38. 「定住者」の在留資格を保有している方は、原則10年の在留要件が緩和され、「定住者の在留資格で引き続き5年以上本邦に在留していること」で永住申請を行うことができます。日系人の方や、日本人・永住者と離婚後に定住者ビザへ変更された方などがこれに該当します。詳しくは定住者ビザからの永住ビザ申請のポイントをご参照ください。
Q39.難民認定を受けている場合、永住申請の要件はどう緩和されますか。
A39.難民の認定、または補完的保護対象者の認定を受けた方については、ガイドライン上、以下の緩和措置があります。
- 独立生計要件(資産や技能の要件)の適用が免除されます(公共の負担になるおそれがあっても不許可事由になりません)
- 在留期間が緩和され、「認定後引き続き5年以上本邦に在留していること」
以上二点で申請が可能になります。
Q40.「我が国への貢献があると認められる者」の5年緩和特例とは、具体的にどんな人ですか。
A40.外交、社会、経済、文化、教育、スポーツ、科学技術などの分野で、日本国にとって顕著な功績があったと認められる外国人に対する特例です。具体的には、国際的な賞(ノーベル賞など)の受賞者、日本の大学で教授として長年高度な研究成果を上げた人、世界規模のスポーツ大会で極めて優秀な成績を収めた指導者や選手、日本経済の発展に多大な貢献をした著名な実業家などが該当します。一般的な会社員の方がこの特例を適用されるハードルは極めて高いです。
Q41.子供が日本で生まれ、現在「家族滞在」ビザです。子供単独で永住申請できますか。
A41.両親がまだ永住者ではない場合、子供単独で永住権を取得することは原則として難しいです。子供が永住申請できるのは、
- 両親(またはどちらか片方)が同時に永住申請を行う場合
- すでに両親が永住権を取得している場合 です。
親が永住者であれば、その実子は「日本に引き続き1年以上在留していること」で永住申請ができる特例対象となります。
Q42.「10年のうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上」の条件について、技能実習や特定技能1号の期間は含まれますか。
A42.ガイドラインに明記されていますが、在留資格「技能実習」および「特定技能1号」の期間は、この「就労資格での5年以上」の期間に含めることができません。
例えば、技能実習で3年、その後特定技能1号で5年、合計8年日本にいたとしても、それらはカウント対象外です。その後「特定技能2号」や「技術・人文知識・国際業務」などの対象となる就労ビザに変更し、その資格で「引き続き5年以上」在留しなければ、原則10年の要件を満たすことはできません。
Q43.日本人の配偶者ビザを持っていますが、日本在留1年で永住申請できる特例があると聞きました。本当ですか。
A43.はい、本当です。日本人、永住者、または特別永住者の配偶者の場合、「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること」という緩和特例があります。
例えば、海外で結婚して2年暮らした後に日本に入国し、日本で1年暮らせば(合計婚姻3年+日本在留1年)、原則10年の在留を待たずに永住申請が可能です。ただし、現在持っている配偶者ビザの在留期間が「3年」以上である必要があります(2027年3月31日まで「3年」も最長扱いとなるため)。
Q44.高度専門職ビザ(またはポイント70点以上)の外国人は、何年で永住申請ができますか。
A44.高度専門職省令に基づくポイント計算で「70点以上」を有している方は、その状態を維持して「引き続き3年以上」日本に在留していれば永住申請が可能です。さらに、ポイントが「80点以上」ある方、または「特別高度人材(J-Skip)」の基準に該当する方は、「引き続き1年以上」の在留で永住申請ができるという強力な緩和特例が設けられています。詳しくは高度人材とは?ポイント制度、計算方法、永住権の申請方法を徹底解説もご参照ください。
7.審査期間・許可率・手数料などその他のご質問
Q45.過去の永住権の申請の不許可は、再申請の永住権の申請に影響しますか。
A45.虚偽の内容や事実に相違がある書類を入管へ提出していないのであれば、過去の永住権の申請の不許可が影響することは通常ありません。
もっとも、不許可理由を何らリカバーしないままでは、何度永住権の申請をしても結論は変わりません。そのため、永住権が不許可になった場合には、不許可理由の確認はもとより、不許可となった原因への対応が重要となります。
詳細は、永住ビザが不許可になっても諦めない!永住ビザの再申請方法をご参照ください。
Q46.永住許可申請に必要な書類は、自分で集めるもの以外に会社に用意してもらうものはありますか。
A46.はい、勤務先の会社に用意してもらう書類があります。主に「在職証明書」が必要です。また、会社員の場合は直近数年分の住民税の納付状況を証明するために、会社が給与から天引きして納付していることを示す資料(課税証明書・納税証明書)が必要ですが、これは自身で市区町村役場から取得します。
経営者や役員の場合は、会社の決算書や登記事項証明書なども必要になります。永住申請の必要書類について詳しくは【2026年最新】永住権の条件と必要書類・申請の流れを完全解説!もご参照ください。
Q47.永住権の申請中に在留期限を迎えそうです。永住権の申請中でも在留期間の更新許可申請をしないといけませんか。
A47.永住権の申請をしたとしても、現在お持ちの在留期間は進行しています。そのため、永住権の申請中でも、在留期限までに現在お持ちのビザの更新許可申請は行う必要があります。
なお、永住権申請時に現在お持ちの在留期間が残り3ヶ月を切っている場合には、永住権の申請に先立って、または同時に在留期間の更新許可申請を行わなければ、永住権の申請が受理されない扱いになっていますので、ご注意ください。
Q48.永住申請の審査期間はどれくらいかかりますか。
A48.入管の公表データ(最新の在留審査処理期間統計)によると、永住許可申請の審査期間の目安は以下の通りです。
- 法務省が定める標準処理期間(目標値): 4ヶ月~6か月
- 実際の全国平均処理日数:約270日〜280日前後(約9ヶ月〜10ヶ月)
近年、審査の厳格化や申請件数の増加に伴い、公式の目標値(4ヶ月)を大きく上回る時間を要するのが実態です。さらに、申請する入国管理局(管轄)によって審査スピードに大きな差が生じています。
Q49.永住申請の許可率はどれくらいですか。他のビザ申請と比べても難しいのでしょうか。
A49.入管が発表した最新の統計データ(2026年1月〜4月の通算データ)によると、永住申請の許可率は「50.8%」となっています。つまり、「およそ2人に1人が不許可になる」という非常に厳しい結果が出ています。
他の主要な在留資格の手続きと比較すると、永住審査の難しさは一目瞭然です。
- 在留期間更新許可申請の許可率: 97.30%
- 在留資格変更許可申請の許可率: 94.90%
- 永住許可申請の許可率: 50.8%
通常のビザ更新や変更は9割以上が許可されるのに対し、永住申請は半分近くが不許可になります。入管の審査官は書類を機械的にチェックしているわけではなく、「この外国人を本当にこのまま日本に住まわせても問題ないか」を、独立生計や公的義務の履行状況(期限内の納付など)から極めて厳格に総合判断しているためです。「長く日本に住んでいてトラブルも起こしていないから大丈夫だろう」と油断せず、完璧な書類準備を行って申請することが重要です。詳しくは【2026年最新データ】永住申請の許可率は約50%?半分近くが不許可になる理由と一発許可のための対策を専門家が解説もご参照ください。
Q50.2026年の法改正で、ビザの更新や永住申請の手数料が大幅に値上げされると聞きましたが本当ですか。
A50.はい、本当です。2026年5月29日に成立した改正入管法により、入国管理局に支払う在留手数料の法定上限額が大幅に引き上げられました。
これに伴い政府から公表された手数料案(2026年10月1日施行予定の政令案)では、一律料金から「許可される在留期間が長くなるほど高くなる料金体系」へとシフトする方針が示されています。
【手続き別の手数料案(窓口申請の場合)】
※あくまでも「案」であり、確定ではございません
- 在留期間更新・資格変更許可: 現行 6,000円 ⇒ 最大 75,000円(期間により変動)
- 永住許可: 現行 10,000円 ⇒ 200,000円
今後は「長く日本にいる権利を得る人ほど、相応の在留管理コストを負担する」という仕組みに変わるため、永住許可は現行の20倍となる20万円程度への引き上げが予定されています。最新の状況は2026年5月29日成立の!改正入管法による「在留手数料の大幅値上げ」の影響を専門家が解説をご参照ください。
ここまで、「永住許可に関するガイドライン」に完全準拠した形で、よくある50個の質問に回答してきました。いかがでしたでしょうか。
審査期間が約9ヶ月〜10ヶ月、混雑する東京入国管理局では1年半以上に及ぶこともある永住申請において、一度不許可になってしまうと、膨大な時間、そして労力が無駄になってしまいます。さらに、過去の不許可記録は入管にすべて残るため、2回目の再申請のハードルは初回よりも高くなってしまいます。
だからこそ、都度変わるガイドラインの意図を正しく理解し、最初から「一発許可」を狙える完璧な書類を揃えて申請することが極めて重要です。
「自分の年収や扶養人数で要件を満たしているか不安」
「過去にうっかり税金や年金を遅れて払ってしまった時期がある」
「転職したばかりだけれど、永住申請を進めても大丈夫だろうか」
少しでも不安や疑問がある方は、自分だけで判断して申請する前に、まずは入管行政の最新トレンドや実務に精通している行政書士法人第一綜合事務所へご相談ください。あなたやご家族が日本でこれからも安心して暮らしていけるよう、最適な戦略で永住権獲得の手続きを全力でバックアップいたします。




