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医療滞在ビザとは?取得のための要件や流れ,必要書類,同伴者についても解説

1.医療滞在ビザとは? 医療滞在ビザは,簡単に説明すれば,日本に相当期間滞在して,医療を受けるためのビザです。 医療滞在ビザの許可を得れば,特定活動ビザの在留カードと、医療を受ける目的で日本に滞在できる旨の「指定書」が交付されることになります。 このように,厳密に言えば「医療滞在」という名前のビザはなく,「特定活動」というビザの中に医療滞在目的のビザがあるのです。 なお,ワーキング・ホリデーやインターンシップなど聞きなれたビザも,「特定活動」ビザの一種です。 ①医療を受けるための短期滞在ビザについて 日本で医療を受けるためのビザは,実は医療滞在ビザだけではありません。 観光ビザという名前で認識されている方も多いと思いますが,「短期滞在」ビザも治療目的での日本における滞在を認めています。 以下,出入国管理及び難民認定法別表第一の三の「短期滞在」ビザの内容となりますので,ご確認ください。 本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポーツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動 このように日本で医療を受けるためのビザには,「医療滞在」ビザと「短期滞在」ビザがあるところ,この2つのビザの主な違いは,日本での在留期間(日本に滞在できる期間)です。 つまり,希望する在留期間が90日を超える場合には「医療滞在」ビザを,90日以内の場合には「短期滞在」ビザを検討することになります。 なお,「短期滞在」ビザには,有効期間内(短期滞在査証発給から3ヶ月)に一度だけ来日可能な1次ビザ(シングルビザ)と有効期限内(最大3年)であれば何度でも来日可能な数次ビザ(マルチビザ)があるところ,医療機関が必要と判断した場合には,数次ビザ(1回の滞在期間は最大90日です)を申請できます。 ただし,この数次ビザを申請する際には,医師による「治療予定表」の提出が必要となります。 2.医療滞在ビザの要件 ここまでの説明で,日本での予定する治療期間により,検討すべきビザが異なることをご理解いただけたと思います。 そこで,本チャプターでは,短期滞在ビザよりも要件が厳格な医療滞在ビザの要件を説明します。 まず,医療滞在ビザの根拠となる規定(特定活動告示25号)をご確認ください。 本邦に相当期間滞在して,病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動および当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動 この規定から医療滞在ビザの要件を読み取ることができるところ,その要件は大きく分けると以下の3つに分解できます。 ア.本邦での活動が「病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動」,及び「当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動」であること このように医療滞在ビザの対象になる活動は,病院又は診療所に入院して医療を受ける活動です(前段)。そのため,ホテルや知人宅に滞在して病院に通院するだけでは,医療滞在ビザは許可されません。 また,相当期間入院した後に,継続治療のために退院後も通院を続ける場合には,この退院後の医療を受ける活動も医療滞在ビザの活動に含まれます(後段)。 「継続して医療を受ける活動」とは,入院前・入院中・退院後の一連の医療が連続的・継続的に行われることを意味し,医療の連続性が要求されます。 この医療の連続性は,医師の診断書により判断されます。 例えば,抗がん剤治療のために入院していたケースで,退院後も予後観察のために通院する場合には医療の連続性がありますが,全く関係のない事故で傷害を負って治療を受ける場合には医療の連続性は否定されるでしょう。 「疾病又は傷害」には,出産も含まれます。 そのため,外国人が日本で出産する場合にも,(他の在留資格に該当しない場合には)医療滞在ビザが検討対象になります。 なお,治療を受けるための「短期滞在」ビザの場合には,入院までは求められていませんので,入院を予定していない場合は,短期滞在ビザを検討すべきです。 イ.「本邦に相当期間滞在」すること 「相当期間」とは,90日を超える期間を意味します。 なお,日本での治療に要する期間は,医師の診断書から判断されます。 上述したように,90日以内に治療を終える場合には,「短期滞在」ビザの対象となります。 ウ.日本での滞在費用および治療費を支弁する能力を有すること こちらが医療滞在ビザの最後の要件となるところ,注意をしていただきたいポイントがあります。 それは,医療滞在ビザで滞在される方は,「国民健康保険」に加入できず,「健康保険の被扶養者」になることもできないという点です。 これは,医療滞在ビザがあくまでも医療のために一時的に日本に滞在することを目的とするものであり,日本に居住することを目的としていないためです。 公的医療保険は居住国で賄うべきというのが,日本の医療保険制度の建前なのです。 なお,一般的には民間医療保険に加入することが多いでしょう。 このように健康保険に加入できず医療費が自己負担にとなるため,医療滞在ビザの要件として,医療費を含む日本での一切の滞在費用を支弁する能力が求められるのです。…

海外赴任中に配偶者ビザを取得,更新するには?

1.配偶者ビザとは? 配偶者ビザとは,国際結婚により日本人の配偶者となった外国人配偶者が日本で長期的に生活する時に取得するビザです。 この場合の国際結婚は,法律上両国で有効に成立している必要があるので,内縁の状態や海外で夫婦と同等に認められているパートナー制度だけでは日本の配偶者ビザは認められません。 配偶者ビザの要件やポイントに関しては以下で詳しく解説していますので参考にしてください。 >>配偶者ビザ 申請方法 はコチラ 2.海外赴任中に配偶者ビザを取得する際に抑えるべきポイント では,海外赴任をしていた夫婦が日本に戻ってくる場合はどのような手続きが必要になるのでしょうか。 前記させていただきました「1,配偶者ビザとは」で見ていただいた配偶者ビザを取るための要件(両国での婚姻)はクリアしているという前提で,その申請プロセスや注意するポイントを以下個別にみていきましょう。 ①日本に帰国しないと配偶者ビザは申請できない? 海外赴任中のご夫婦が日本で配偶者ビザの取得を目指す場合には,日本へ帰国しないとビザ申請ができないとお考えの方は多いのではないでしょうか。 実は,海外赴任中のご夫婦の場合,日本人配偶者が帰国をしなくても配偶者ビザの申請を行うことは可能です。 この場合,法務省令で定められている「申請代理人」が配偶者ビザの申請を行うことになります。 さらに誤解が多い点として,わたくしたち行政書士に依頼すれば申請代理人が不要になると勘違いをされている方がおられますが,行政書士に依頼した場合であっても,申請代理人は必要です。 というのもの,行政書士はこの申請代理人にはなれないからです。 ですが,行政書士に頼む意味が無いということではありません。 精度の高い資料や申請代理人とのやり取りをプロに任せることは,エラーや入管への追加の対応が起きないので,スムーズに申請まで行け,その分結果が出るのが早くなるメリットがあります。 ②海外赴任の夫婦の場合,配偶者ビザの申請代理人は誰がなるの? 上記「①日本に帰国しないと配偶者ビザは申請できない?」で見た通り,海外在住のご夫婦の配偶者ビザ申請には,申請代理人が必要です。 入管法施行規則別表第四で,配偶者ビザの申請代理人は「日本に居住する本人の親族」と定められています。 そして,親族の範囲は,民法で定められています。 民法では,配偶者,6親等内の血族,3親等内の姻族が親族と定められています。 上記の表の通り,申請代理人が認められる範囲は,意外と広範にわたることがご理解いただけたでしょうか。 ③日本で所得証明書を提出できない場合でも,配偶者ビザの取得は可能? 入管のホームページをみると,配偶者ビザの申請時,「日本での滞在費用を証明する資料」の提出が求められていることがわかります。 もちろんご夫婦が海外赴任中でも書類の提出が免除されるわけではありません。 一般的には,配偶者ビザ申請をする際には,所得課税証明書を入管に提出するのですが,海外赴任中のご夫婦の場合には,日本での所得がないことは珍しくありません。 国内での所得がない以上,役所では所得を把握することができないため,非課税証明書が発行されます。 しかし,これをそのまま提出してしまうと,一見して無職である(収入がない)ように見えてしまいます。 このような場合には,毎月の給与明細や預金通帳の写し,雇用予定証明書又は採用内定通知書,あるいは左記に準ずる資料を入管へ提出することになります。 3.海外赴任中に既に持っている配偶者ビザを更新する際に抑えるべきポイント 海外赴任中に既に持っている配偶者ビザを更新する場合も,上記で説明した申請代理人や収入を示す資料は必要です。 重複する部分に関しては,「2.海外赴任中に配偶者ビザを取得する際に抑えるべきポイント」を参照していただければと思います。 以下からは,更新時に見られるポイントを見ていきます。 ①日本人配偶者のみ海外赴任しており同居をしてない場合は更新できない? 夫婦共に日本で生活していた時に取得した配偶者ビザを更新する際,日本人パートナーのみが海外赴任している場合はどうでしょうか。 一口に海外赴任と言っても赴任期間や日本への帰国の頻度など様々です。 今まで日本で生活していたが,期限の決まった海外赴任であれば,パートナーを日本に残して出国されることも十分想定されます。…

入管手続きにおける行政書士の役割

1.行政手続における行政書士の役割 入管手続きにおける行政書士の役割を見ていく前に,まずは行政手続全般における行政書士の役割を見ていきましょう。 行政書士の他に「士業」(さむらいぎょう,しぎょうと言われる○○士と名前のつくもの)と言われる職業には,弁護士,司法書士,税理士などがあります。ざっくり分類すると,弁護士は刑事手続や民事紛争に関する訴訟手続などを,司法書士は不動産や法人に関する登記手続などを,税理士は税に関する手続を業務としています。 では,行政書士はと言うと,「官公署に提出する書類の作成,手続の代理」がその業務とされています(他にも行政書士の権限とされている業務がありますが,ここでは割愛します。)。 つまり行政書士は,役所に提出する書類を作成し,提出する権限があります。 業務独占資格と言って,行政書士以外の者が,他人からお金をもらって役所に提出する書類を作成した場合は,行政書士法違反になります。 そのため,行政書士と弁護士以外の人から,報酬をくれれば入管手続きを引き受けると言われても,それ自体が法律違反になることから,絶対に依頼しないようにしましょう。 行政書士は依頼人に代わって提出書類を作成し提出することによって,難解複雑な行政手続きを迅速かつ円滑に行うことが期待されています。 依頼者にとって便利であることはもちろんですが,行政側にとってもスムーズに手続を進めることができる点でメリットがあります。 つまり,行政書士には,行政機関と申請人の橋渡しをすることによって,両者の利便性を図る役割があるのです。 2.行政書士の独占業務「入管業務」とはどのような手続きか? 入管業務とは,適法に外国人が日本に滞在できるように,在留審査のための書類を作成して地方出入国在留管理局へ提出する業務のことを言います。 具体的には,外国人が日本の企業に就職するための在留資格の変更や,国際結婚をして日本で結婚生活を送る場合の在留資格の申請などが代表例です。 法的に入管業務ができる資格者は,行政書士と弁護士だけです。 3.申請取次行政書士とは? 入管手続きの申請ができる行政書士のことを申請取次行政書士といいます。 申請取次行政書士は,行政書士が所属する都道府県ごとの行政書士会を経由して地方出入国在留管理局長に届け出ることによって登録されます。 届出だけなので行政書士なら誰でも登録できるように思われますが,日本行政書士会連合会が主催する出入国管理に関する研修を受け,さらに効果測定と呼ばれる試験を受けて合格した行政書士のみが登録ができる制度になっています。 有効期間は3年で,更新の度に研修・効果測定を受けることになります。 申請取次行政書士は,めまぐるしく変わる入管法を勉強し,研鑽を積まなければなりません。 これによって,入管業務に必要な知識を行政書士が備えていることを制度上担保しているわけです。 ①申請取次行政書士のできる手続き 入管手続きも行政機関の一つですので,行政書士が申請書類を作成し,入管に提出することができます。 どの行政書士でも申請書類を作成することはできるのですが,入管にその書類を提出することができるのは,一部の行政書士に限られています。 それが,申請取次行政書士です。 入管業務を専門にしている行政書士であれば,ほとんどが申請取次行政書士として登録していると思いますが,中には登録していない行政書士の方もおられます(当事務所では,もちろん所属行政書士全員が申請取次行政書士として登録しています。)。 申請取次行政書士でない行政書士に依頼した場合には,申請書類は作成してもらえるのですが,申請をするには自分で入管に行かなければならないということになってしまいますので,相談の際に申請取次行政書士かどうかは確認するようにしましょう。 ②申請取次行政書士に依頼するメリット 申請取次行政書士に依頼すると,様々なメリットがあります。 まずは,申請取次行政書士に依頼することにより,申請人である外国人が自ら出入国在留管理局に行く必要がなくなります。 そのため,煩わしい入管手続きの時間を,学業や仕事などに当てることができるのです。 また,日本語がよくわからなくても,申請取次行政書士に依頼することによりスムーズに入管手続きを進めることができます。 4.行政書士は申請人を代理できない!? では,申請取次行政書士に申請を依頼した場合,依頼を受けた行政書士は申請人の代理人か?と問われると,答えはNOです。 弁護士は訴訟代理人と言われるように,依頼人の代理人となるわけですが,申請取次行政書士は,申請「代理」ではなく,申請「取次」なのです。 代理というのは,代理人が本人に代わって本人のために行為をすることをいい,代理人が行なった行為は本人に効果が及びます。 入管法でも在留資格ごとに申請代理権が定められており,例えば「日本人の配偶者等」の場合は,日本にいる外国人本人の親族と定められています。 海外にいる外国人は,日本にいる親族に申請をお願いできるわけです。 しかし,行政書士は,入管法に代理人として規定されていません。 その点は,誤解が多いので注意してください。…

帰化申請の必要書類は?

1.帰化申請の書類はなんのために必要? なぜそんなに書類が多いのか? それは,帰化申請が国籍を変更する(外国籍の方が「日本人」になる)という重大な手続きだからです。 なぜその書類が必要なのか,仕組みを知っておくと,書類の作成・収集をスムーズに行えます。 ①帰化の条件(身分、生計、素行等)を満たすため 帰化は申請すれば誰でも許可されるわけではありません。 国籍法で定められた要件に当てはまるか,審査されます。 国籍法では,「引き続き」日本に住み続けているか(住所条件),日本の法律を守って真面目に生活できるか(素行条件),日本でお金に困らず安定した生活を送れるか(生計条件)など,帰化するための条件を6つ定めており,国籍法に既定の無い要件(日本語能力)も含めると合計7つの条件があります。 >>帰化申請 条件 はコチラ 帰化申請の条件を満たしているかどうかは,申請する側が書類を提出することで証明しなければなりません。 帰化申請の必要書類は確かに膨大で,「面倒だな」「なぜここまで大量の書類が必要なの?」とうんざりするかもしれません。 ですが,必要書類は申請者にとって,「私は日本人になるのにふさわしい」あるいは「日本人になるのにふさわしくない人物ではない」と証明するための頼もしい味方(武器)なのです。 帰化申請は孤独な旅です。 「旅の味方を増やす」と考えると,書類の作成・収集に前向きになれるかもしれません。 ②書類は法務局の指示で作成・収集する 帰化申請を担当するのはビザで馴染みのある入管ではなく,申請者の住所地を管轄する各地の法務局です。 帰化申請は住所地を管轄する法務局で「事前相談」をすることから始まります。 事前相談では,法務局の担当官が申請者の個別の事情を詳しく聞き取ります。 この段階で「帰化の条件を満たしていない」と判断されると,帰化申請は険しい道のりになることが予想されます。 帰化の条件を満たしていると判断されたら,「このような書類を作成し,このような書類を集めて提出してください」と指示されます。 その指示をよく理解して「法務局が求める」書類を間違いなく提出することが重要です。 帰化申請の審査には面接もありますが,基本的には提出された書類を元に行われます。 ご自身が帰化申請を審査する法務局の担当官になったと想像してみてください。 窓口に来た外国人の方は,もちろんあなたの知り合いではありません。 例えば「私は○○国籍です」と言っているけど,ホントにそうなのか? 確かめるためには,その人の本国から身分関係の書類を取り寄せてもらって調べなければなりません。 日本には戸籍制度がありますので,日本人として戸籍を作るためには申請者本人以外にも配偶者や両親,兄弟等の身分関係の書類も必要になります。 「仕事があります。頑張ります」と言っているけど,「ホントに日本で生活して行けるの?」かを確かめるためには,給与明細や就労証明等を見なければなりません。 このように考えてみると,「なぜその書類が必要なのか」が理解しやすいかもしれません。 提出した書類に事前相談時に話したことと異なる記載があったり,指示された書類がそろっていなかったりすると,事前相談の段階や,申請が受理されてからも何度も再提出を求められ,時間と手間がかかりますのでご注意ください。 また,書類の作成・収集は必ず法務局の担当官や私達のような行政書士の説明を受けてから行ってください。 せっかく書類を取り寄せても不必要な場合は無駄足になりますし,書類の内容や国によっては,「書類を取り寄せる」ことそのものがその国での国籍離脱を意味することもあります。 ③家族構成や職業、国籍によって異なる 国籍法では,必要書類は,「帰化に必要な条件を備えていることを証するに足りる書類」(国籍法施行規則第2条3項)とのみ定められています。 これは,申請者の家族構成や職業,国籍,その他個別の事情によって「日本人になるにふさわしい」と証明しなければならない事柄や必要書類が異なるからです。 極端な例ですが,独身で日本に「引き続き」10年以上在住しており,日本の大企業に就職して十分な収入がある。母国に居る家族を含めて身分関係の書類をスムーズに取り寄せられる。過去にオーバーステイや犯罪歴もない――という方と, 配偶者も子どももいる。世界中を転々としており,現在は求職中。母国での社会的身分が不安定で,身分関係の書類を思うように集められないかもしれない。さらには,心ならずも過去に日本でオーバーステイしてしまったことがある――という方では,…

外国人料理人のビザとは?要件,必要書類,注意点を解説!

1.外国人料理人のビザとは? 外国人料理人のビザとは,一般的には,就労ビザの一種である「技能」ビザを指します。 入管法の文言を引用すると,技能ビザを持って日本で出来る活動は,「日本の企業等との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する活動」とされています。 しかし,これだけでは具体的な内容が分かりませんね。 技能ビザで認められている具体的な仕事は,上陸基準省令という省令によって,更に以下の9つに分類されています。 1:外国人料理人 2:建築技術者 3:外国特有製品の製造・修理 4:宝石・貴金属・毛皮加工 5:動物の調教 6:石油・地熱等掘削調査 7:航空機操縦士 8:スポーツ指導者 9:ワイン鑑定等 今回のコラムでご説明する外国人料理人のビザは,1つ目のカテゴリーに該当するもので,正確には上陸基準省令で「料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務」としてその活動内容が定められています。 2.外国人料理人が日本で働くための要件 本チャプターでは,外国人料理人のビザを取得するためにどのようなポイントに気を付けないといけないかを解説していきます。 ①外国人料理人が調理する料理 前記の通り,外国人料理人のビザ取得のためには,まずその料理人の調理対象となる料理が,外国で考案され,日本において特殊なものでなければなりません。 これは,そのお店が自称する料理ジャンルではなく,実際に提供する料理の内容によって判断する必要があります。 例えば,一口に「中華料理」と言っても,本場さながらの本格的な四川料理を調理するのであれば,それは外国人料理人のビザで想定されている調理業務に当てはまります。 他方で,ラーメン屋や,いわゆる町中華のような,焼きめしや中華カレー等,外国で考案されたものでない独自メニューを主に提供しているようなお店では,外国人料理人のビザで想定されているものには当てはまらず,ビザ取得は出来ません。 ②外国人料理人の実務経験年数 「技能」のビザを取得するためには,外国人料理人に熟練した技能が求められます。 そして,その熟練した技能を図る基準として,「その技能について10年以上の実務経験」が要件とされています。 これは単に外国人料理人として10年以上の実務経験があれば足りるのではなく,日本で従事しようとする料理の分野と同じ分野での実務経験が必要です。 例えば,スペイン料理の料理人として日本に呼び寄せる場合,単に料理人としての経験年数で見るのではなく,「スペイン料理の料理人」として10年以上の実務経験を有しているかどうかを見ることが必要となります。 つまり,スペイン料理の料理人として8年,イタリア料理の料理人として3年の実務経験があった場合,料理人としての経験は合計で10年以上であっても,スペイン料理の料理人としての実務経験単体が10年に満たないため,技能ビザの要件を満たさないことになります。 なお,この10年の実務経験については,外国の教育機関で当該料理の調理コースを専攻した年数も実務経験年数に含まれます。 そのため,上記の例を再度持ち出すと,スペイン料理の実務経験が8年であっても,外国の教育機関で2年以上スペイン料理の調理を専攻していれば,この外国人料理人は10年の実務経験要件を満たすことになります。 ちなみに,タイ料理人については上記実務経験要件10年の例外措置があります。 具体的には,日本とタイの間で経済協定が締結されており,①タイ料理人として5年以上の実務経験,②初級以上のタイ料理人としての技能水準に関する証明書の取得,③ビザ申請直前1年においてタイでタイ料理人して妥当な報酬を受けていたこと,という3つの要件を満たせば,タイ料理の実務経験年数が10年に満たない場合でも,実務経験の要件を満たすことになります。 ③外国人料理人の日本での報酬 他の多くの就労ビザと同様に,報酬額に関する要件が外国人料理人のビザにも設けられています。 具体的には,ビザ取得を希望する外国人の報酬を,日本人が同じ仕事に従事する場合に受ける報酬と同等額以上にしなければならない,というものです。 これは,外国人であることを理由として,賃金に不利な差を設けることを禁止する趣旨です。 賃金規定の整備がされている企業であれば,当該賃金規定に則った報酬を支払うことが求められ,そのような社内規定がない場合にあっては,社内で比較対象となる従業員,または業界内の相場と比較した時に妥当な金額であると説明出来るよう,設定が必要です。 ④外国人料理人を受け入れる店舗の規模,設備 入管法や上陸基準省令の条文には,店舗の規模や設備についての明確な規定はありません。 しかし,外国人料理人が,日本で料理人としての仕事を継続的・安定的に行えるものとして入管から認められるためには,一定の店舗規模や設備が確保されていることは重要です。…

永住ビザ申請の許可率・不許可率!最新データを解析!

1.永住ビザ申請の許可率・不許可率を知るためには? 永住ビザ申請の許可率・不許可率を知るためには,どのようにデータ収集をすれば良いのでしょうか。 永住ビザを含め,外国人の在留資格に関するデータが分かるのが,出入国在留管理庁が集計し,公表している「出入国管理統計」です。 法務省で取り扱う事務のうち,入管で取り扱った入国審査,在留資格の審査,退去強制手続き等の統計情報が公表されています。 永住ビザ申請の許可・不許可数についても年単位と月単位で明らかにしています。 ですから,永住ビザ申請に関する審査実態を知るには,非常に有用な情報となります。 ご興味のある方は,出入国在留管理庁のホームページからご覧になれます。 ただ,膨大なデータ量ですので読み解くのに時間がかかるかもしれません。 そこで,今回は弊社で最新の数値を分かりやすくまとめました。 2.永住ビザは取得しやすい? 許可率・不許可率! 永住ビザは文字通り「日本に住み続ける」ことが出来る在留資格です。 在留期間及び在留活動(就く仕事等)に制限がなくなります。 それだけに,他の在留資格と比べて多くの要件を満たす必要があります。 >>永住ビザの要件 はコチラ ですので,永住ビザ申請は,留学生ビザや各種の就労ビザの申請と比べると不許可になる確率も上がります。 出入国管理統計によると,2021年に各地の入管が扱った永住許可申請(既決分)の総数は64,149件。 そのうち許可は36,691件。 不許可は25,451件。 「その他」の扱いが2007件となっています。 処理数の総数(64,149件)に対する永住ビザ申請の許可率は57・1%。不許可率は39・6%ということになります。 つまり,永住ビザ申請は5人のうち2人が不許可になってということです。 ちなみに,同じ2021年の出入国管理統計を見ると,永住以外のビザ申請の許可率は94・4%です。 このように比較することで,永住ビザ申請がいかに厳しい申請かご理解いただけたのではないでしょうか。 2021年はご存知のように,新型コロナウィルス感染症の影響で外国人の入国が制限されるという特殊な状況にありました。 永住ビザ申請の許可率を過去に遡って見てみました。 年 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 処理件数…