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宿泊業の外国人雇用ガイド:ビザの違い・できる仕事・注意点を行政書士が徹底解説

1.宿泊業で外国人を雇用することはできる? 結論から申し上げますと、ホテルや旅館などの宿泊施設で外国人労働者を雇用することは十分に可能です。 ただし、注意が必要なのは、「ホテルならどの在留資格でも雇える」「フロントなら誰でも大丈夫」という単純な話ではない点です。 外国人を雇用する際は、必ず「外国人本人の在留資格」×「任せる業務内容」×「施設の営業許可」の3つが法的に適合しているかを確認しなければなりません。 自社で任せたい仕事に応じて、検討すべき主な在留資格は以下の通りです。 任せたい主な業務内容の例 検討すべき主な在留資格 ポイント 外国語を使ったフロント・企画・広報 技術・人文知識・国際業務/特定技能1号・2号/特定活動46号(N1特定活動)/ 特定活動9号(インターンシップ) 学歴・職歴や専門性を活かす仕事 接客全般・レストランサービス・館内業務 特定技能1号・2号/特定活動46号(N1特定活動)/特定活動9号(インターンシップ) 現場のマルチタスクに対応可能 客室清掃・ベッドメイキング中心 身分系ビザ/資格外活動(留学生等) 就労ビザ(技人国・特定技能)では専任不可 複数の従業員をまとめる管理・指導業務 技術・人文知識・国際業務/ 特定技能2号/特定活動46号(N1特定活動) 熟練した技能や実務経験が必要 それぞれ3章で詳しく解説します。 2.宿泊業で外国人が「できる仕事」と「できない仕事」 (1)任せられる主な業務ラインナップ 適切な在留資格を取得することで、以下のような幅広い業務を任せることができます。 フロント・レセプション業務 企画・広報・マーケティング 通訳・翻訳業務 接客・案内・ベルスタッフ レストラン・宴会場でのサービス提供 施設管理・安全衛生管理など (2)ホテル・旅館で「客室清掃・ベッドメイキング」のみを任せられる? 採用現場で最も多い誤解のひとつが「清掃作業」に関する取り扱いです。 「技術・人文知識・国際業務」の場合 客室清掃やベッドメイキングなどの単純作業・現場作業を専任で行わせることは認められません。 「特定技能(宿泊)」の場合 客室清掃は「関連業務(付随的業務)」として行うことは許可されていますが、「客室清掃のみ」を専任で行わせる雇用は認められません。フロントや接客などの「主たる業務」を行う中で、付随的に清掃を行う必要があります。 客室清掃のみを専任で任せたい場合は、就労制限のない「身分系ビザ(永住者や日本人の配偶者等)」を持つ外国人か、留学生等の「資格外活動許可(週28時間以内)」を得ているアルバイトを雇用する必要があります(次章で詳しく解説します)。 3.宿泊業で活用できる主な在留資格(ビザ)の種類…

「第二次出入国在留管理基本計画」を行政書士が解説〜外国人政策の厳格化が外国人と企業に与える影響〜

1.データで見る現状:413万人時代に突入した在留外国人 新計画の文書では、近年の在留外国人数の大幅な増加が具体的なデータで示されています。 外国人入国者数の急増:2025年の外国人入国者数は約4,243万人に達し、過去最高を記録しました。 在留外国人の現状:2025年末時点での在留外国人数は約413万人(日本の総人口の3.35%、前年から0.31%増)に達しました。国籍・地域別では中国(約93万人)が全体の22.6%を占め、次いでベトナム、韓国、フィリピン、ネパールと続きます。 就労目的の在留資格の増加:専門的・技術的分野で就労する中長期在留者は増加傾向にあり、2025年末時点で「技術・人文知識・国際業務」が約47.6万人、「特定技能」が約39.0万人に達しています。 永住者の増加:一定の要件を満たした「永住者」の数も一貫して増加しており、2025年末時点で約94.7万人と、在留外国人全体の23.0%を占めています。 急増する申請に対する「迅速な審査」と、実態に即した「適正な管理」の重要性が、かつてないほど高まっています。 2.第二次出入国在留管理基本計画の「5つの重要ポイント」 新計画に盛り込まれた数多くの施策の中から、企業や外国人の皆様の実務に直結する変更点を5つに絞って詳しく解説します。 ポイント1:在留管理のDX推進とマイナンバー情報の連携 入管は「入管DX(デジタルトランスフォーメーション)」を強力に推し進めています。その目玉として、2026年6月から在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード等」の運用が開始されました(詳しくは【2026年6月】特定在留カードで在留更新の「二度手間」を解消!入管のあとに市役所へ行く必要がなくなる本当のメリットをご参照ください)。 さらに、2027年からは「公共サービスメッシュ」(行政機関同士がデータを安全にやり取りするためのネットワークシステム)を活用した、マイナンバーによる情報連携がスタートする予定です。これにより、国民健康保険料、国民年金保険料、地方税などの納付情報が入管に提供され、在留審査に活用されます。各種手続きのオンライン化や手数料のキャッシュレス決済も進められており、優良な企業・外国人にとっては利便性が大きく向上します。 ポイント2:永住許可制度の「適正化(厳格化)」 永住許可を受けた後でも、公租公課(税金や社会保険料)の支払いなどの義務を適正に履行しない事案が確認されたため、2024年の法改正でルールが厳格化されました(詳しくは【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説をご参照ください)。故意に公租公課を支払っていないと判断されると永住資格が取り消される可能性があります。 ただ、永住資格の取り消しについては、対象者や家族に与える影響が大きいため、今後、具体的な取消事例などを示したガイドラインが作成・周知され、予見可能性と透明性が高められます。 また、これから永住審査はより厳格に運用される方針です。永住者が社会に適応して安定した生活を送れるよう、一定水準以上の日本語能力を有していることや、日本のルールを学ぶ学習プログラムの受講を条件とすることも含め、永住ガイドライン上の独立生計要件や国益要件等の見直しが検討される予定です(詳しくは永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説をご参照ください)。 ポイント3:「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」「留学」の実態調査と審査適正化 これらの在留資格において、制度の趣旨と異なる活動を行う事案への対策として、実態把握の強化と厳格な審査が行われます。 「経営・管理」ビザ:事業実態のない事案を防ぐため、2025年10月に上陸許可基準等が見直されました。資本金・出資総額の要件が改められたほか、経営者の経歴(職歴・学歴)や常勤職員の雇用義務などが新設されています(詳しくは【2025.10.16~】経営管理ビザの許可基準が厳格化!資本金3,000万円に|行政書士が解説をご参照ください)。今後は実態調査等を通じた、より厳格な審査・処分が行われます。 「技術・人文知識・国際業務」ビザ:専門的な知識を要しない現場の単純業務に従事させるといった不適切な事案に対し、実態を把握した上で、受入れ機関(企業)の責任や指導の在り方を含めて厳正な措置が講じられます。また、従事可能な業務範囲に係る案内の充実を含めた運用の改善もなされる予定です。 留学生のアルバイト(資格外活動):週28時間の上限違反を防ぐため、2026年4月から日本語教育機関と連携した実態把握・指導が開始されています。マイナンバーの情報連携に合わせて所得情報も活用し、複数のアルバイト先を掛け持ちしているケースも正確に把握されるようになります。 さらに、ワーキングホリデーやインターンシップなど多様な活動が含まれる「特定活動」ビザ(詳しくは在留資格「特定活動」とは?種類一覧から要件・最新動向まで行政書士が徹底解説!をご参照ください)についても、運用状況を精査した上で制度の在り方が再検討される予定です。自社の従業員が「特定活動」で在留している場合、今後の制度変更の動向を注視しておく必要があります。 ポイント4:育成就労制度の運用開始(2027年4月〜) 「技能実習制度」が発展的に解消され、人材育成と人材確保を目的とする「育成就労制度」に切り替わります(2027年4月運用開始に向け準備中、詳しくは育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリットをご参照ください)。 悪質な送出機関や監理支援機関の排除を徹底するための二国間取決め(MOC)の作成や、外国人育成就労機構を含む支援・保護体制の整備が進められます。今後は地域協議会の設置・活用や地方公共団体の関与が促され、地方の受入れ企業に対する配慮施策も実施される予定です。 また、外国人の受入れ状況や転籍状況等を国が継続的かつ的確に把握し、特定の分野や地域への過度な集中を防ぐため、必要に応じて受入れの停止や受入れ見込数の再設定などを不断に検討し、適正な運用が確保されるとしています。 ポイント5:水際対策・不法滞在者対策の強化と難民等への適切な保護・支援 新計画では、「2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人」という政府目標を見据え、安全・安心な社会を実現するため、入国前(水際)から出国・送還に至る各段階での対策を抜本的に強化することが示されています。…

永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説

1. 【速報】永住ガイドラインが厳格化へ:いつから?なぜ? まずは、今回の永住ガイドライン改定がどのようなスケジュール感と背景で進められているのか、整理します。 (1)実施スケジュールの整理 読売新聞の報道によると、新しい永住ガイドラインの運用は、現場の混乱を防ぐため2段階のスケジュールで順次適用される予定とされています。 第一段階(2026年10月1日から) 「年収要件(日本人世帯平均以上)」の新基準を先行適用 第二段階(2027年4月1日から) 「年金受給見込額」「配偶者特例の見直し」「国益適合・素行善良要件の明確化」等を本格適用 (2)なぜ今、永住要件が厳格化されるのか? 近年、公的義務の履行(税金・年金の納期遵守)などで永住審査はただでさえ厳しく、直近の許可率も5割に落ち込んでいます。 (詳しくは【2026年最新データ】永住申請の許可率は約50%?半分近くが不許可になる理由と一発許可のための対策を専門家が解説をご参照ください。) 「なぜさらに厳しくするのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。その背景には、日本の在留外国人数の増加と、永住者を巡る社会問題が存在します。 入管が発表した統計によると、2025年末時点で、在留外国人総数は4,125,395人(約412.5万人)に達し、過去最多を更新し続けています。 このうち、中長期在留者の構成比を見ると、以下のような実態が浮き彫りになります。 在留外国人数の内訳データ(入管【令和7年末公表資料】より) 在留資格 在留外国人数(人) 構成比(%) 永住者 947,125 23.00% 技術・人文知識・国際業務 475,790 11.50% 留学 464,784 11.30% 技能実習 456,618 11.10% 特定技能 390,296 9.50% 家族滞在 352,875 8.60% 定住者…

【令和8年熊本地震】被災された外国人の方へ:2026年11月27日までの免責措置と在留手続きの特例措置を解説

1. 【特定非常災害指定】法令上の届出・申請等に関する免責措置(令和8年11月27日まで) 令和8年8月7日に、今回の熊本地震が「特定非常災害」に指定されたことに伴い、「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置法(特措法第4条)」が適用されます。 (1)措置の概要 今回の地震の影響により、入管法や技能実習法等に規定されている各種届出や申請・監査等の義務を期限内に履行することが困難であったと認められる場合、令和8年11月27日までに当該義務を履行すれば、不履行についての不利益(ペナルティや罰則等)を受けないこととされました。 「地震の影響でカードの更新や住所の届出が期限内にできなかった」 「会社の被災で各種変更届や定期報告が遅れている」 といった場合でも、この期間までに順次手続を行えば問題ありませんので、焦らず対応を進めてください。 (2)措置の対象となる主な手続(全25項目) 特措法第4条に基づき免責対象となる主な手続は以下の通りです。 外国人本人に関する手続(入管法・特別永住者特例法) 住居地の届出: 新規上陸、在留資格変更、引越しに伴う住所変更届出 在留カード・特別永住者証明書: 有効期間の更新、紛失・滅失・汚損等による再交付申請、返納 所属機関に関する届出: 勤務先や通学先の変更・離脱等の届出 在留資格の取得申請: 出生等に伴う在留資格取得の申請 受入企業(特定技能所属機関等)に関する手続 特定技能所属機関による各種届出(法第19条の18関連) 技能実習の計画変更・記載事項変更に伴う届出等 登録支援機関に関する手続 登録支援機関の変更届出、支援業務の休止・廃止の届出、定期報告 監理団体に関する手続(技能実習法) 監理事業の休止・廃止の届出 監理団体による定期監査・訪問指導の実施 指定外部役員や外部監査人による確認・外部監査業務の実施 2.令和8年熊本地震に伴うその他の特例措置について 法律上の免責措置(特措法)とは別に、入管では被災した外国人労働者や受入企業を救済するための柔軟な運用上の特例措置を実施しています。 (1)個別対応の実施 通常、在留手続きは定められた期間内に行う必要があります。しかし、今回の地震で被災したことにより、在留期間内に申請ができなかった方については、入管は、当面の間、在留期間を経過した場合であっても個別に手続きを行うとしています。「期限が切れてしまったから不法滞在になってしまうのではないか」とご不安に思われるかもしれませんが、慌てる必要はありません。 災害というやむを得ない事情が考慮されますので、まずは身の安全を確保し、お近くの入管に申請のための相談を行ってください。 (2)申請先についての特例 通常の手続きでは、ご自身の住居地を管轄する地方出入国在留管理局で申請を行うのが原則です。しかし、被災したことにより、本来の住居地から一時的に移動や避難をされている方については、現在の滞在先を管轄する入管で申請を行うことが特例として認められています。 手続きのために、交通機関が麻痺している中を無理に元の住所地の入管へ戻る必要はありません。上記取扱いに関してご不明な点がある場合は、お近くの地方出入国在留管理局にお問合せいただくことで、皆様の事情に寄り添った対応を受けることができます。 (3)会社被災等に伴う「資格外活動許可」の特例付与 今回の地震の影響で勤務先の事業所が被災し、本来の在留資格に基づく就労活動が一時的に困難となった外国人の方(就労ビザ保持者)に対しては、生活維持および就労機会を確保するための救済措置として「資格外活動許可」の特例付与が行われます。 他社での一時的な就労: 勤務先の休業等により働けない期間中、一時的に他社でパート・アルバイト等の就労を行うための資格外活動許可が柔軟に付与されます。…

【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説

1.【現行制度】2026年現在でも「永住資格」が取り消されるケースとは? このコラムで取り扱う取り消し制度は、2024年(令和6年)6月14日に成立した改正入管法(令和6年法律第60号)による「永住許可制度の適正化」の一環です。その後、2025年(令和7年)10月1日に公布された政令(令和7年政令第340号)により、施行日が2027年(令和9年)4月1日と正式に確定いたしました。そのため、新基準が適用されるのはこの施行日以降となります。 この法改正のニュースが大々的に報じられたため、「これまでは永住資格は絶対に取り消されなかったのに、2027年4月の改正から初めて取り消されるようになる」と誤解されている方が少なくありません。しかし、それは事実ではありません。2026年現行の入管法においても、永住資格が取り消されるケース、あるいは「退去強制(強制送還)」となって日本から出国しなければならないケースは定められています。 まずは、2026年現在のルールを整理しておきましょう。現行法で在留資格(永住権を含む)が取り消される(または退去強制となる)代表的なケースは以下の通りです。 取り消し・退去強制の事由 具体的なケース 不正な手段での許可取得 偽造書類の提出など、偽りその他不正の手段で永住許可を受けた場合 住居地届出の違反 引っ越しをした日から90日以内に新住居地の届出を怠った場合や、虚偽の住居地を届け出た場合(正当な理由がある場合を除く) 重大な犯罪等(退去強制) 1年を超える実刑(拘禁刑)に処せられた場合や、薬物犯罪で有罪判決を受けた場合など 2026年現行法の在留資格取り消しについては、在留資格取消しが不安な方へ。日本で暮らし続けるための具体的な対策もご参照ください。 住居地の届出忘れには現行法でも要注意 実務上、意外と多いのが「引っ越し後の住居地届出(市区町村の役所等での手続き)の遅れ」です。「仕事が忙しくてつい忘れていた」「手続きが必要だとは知らなかった」という理由で90日を過ぎてしまうケースがあります。しかし、入管法上、正当な理由なく90日以内に新住居地を届け出ないと、現行法であっても在留資格の取り消し対象となる可能性があります。引っ越しをした際は、必ず速やかに手続きを行う習慣をつけましょう。 2.【2027年4月施行】入管法改正で何が変わる?追加される取り消し事由の詳細 それでは、2027年4月から施行される改正入管法において、具体的にどのような「取り消し事由」が追加されるのでしょうか。 まず背景として、永住者は在留期間の更新手続き(ビザの更新)がないため、一部の悪質なケースにおいて、「永住許可を申請する時だけ公租公課(税金、年金、健康保険などの公的負担金)をまとめて支払い、許可された後は支払わない」といった、制度の趣旨に反する事態が発生していました。そこで、法務大臣による適切な在留管理を行うために、以下の2つの取り消し事由が新たに追加されることになったのです。 (1)故意による公租公課の未納・入管法上の義務違反 改正法では、入管法に規定される義務を正当な理由なく遵守しなかった場合や、公租公課を「故意に支払わない」場合が、新たな取り消し事由となります。ここでいう「故意に」とは、支払う義務があることを十分に分かっており、かつ支払う能力(お金)があるにもかかわらず、あえて支払いを無視するような悪質なケースを指します。 また、「事後的に払えば問題ないだろう」と安易に考えるのは危険です。滞納処分(給与や預貯金の差押えなど)によって結果的に公租公課が徴収されたとしても、「故意に支払わなかった」という事実は変わらないため、取り消しなどの対象になり得るとされています。 (2)特定の刑罰法令違反による拘禁刑 改正法では、窃盗、詐欺、恐喝、傷害などの一定の刑罰法令違反によって「拘禁刑」に処せられた場合も、新たに取り消しの対象となります。2026年現行法では主に「無期又は1年を超える拘禁刑(実刑)」などが退去強制の対象でしたが、改正法では、たとえ1年以下の拘禁刑であったとしても、特定の犯罪であれば「永住資格の取り消し」の対象となるようにルールが厳格化されます。 すべての犯罪が対象になるわけではありません 「交通違反をしただけで永住権がなくなるのでは?」と心配される方がいますが、今回追加されるのは窃盗や詐欺などの故意に行う犯罪(故意犯)が中心です。過失による交通事故を起こして処罰された場合や、道路交通法違反で「罰金刑」で済んだような場合は、この新しい取り消し事由の対象とはなりません。とはいえ、法令を遵守して生活することが大前提であることは言うまでもありません。 3.万が一、取り消し事由に該当してしまったらどうなる? 「もし税金の滞納などで取り消し事由に該当してしまったら、すぐに母国へ強制送還されて、日本での生活がすべて終わってしまうのか?」とパニックになる方もいらっしゃるでしょう。しかし、万が一該当した場合でも、いくつかの救済措置や適正な手続きのステップが用意されています。 (1)適正な手続き(事実調査と意見聴取)の実施 いきなり取り消されることはありません。法務大臣(入国審査官等)により、違反事実の調査が行われ、対象となっている本人から意見や言い分を聞く機会(意見聴取)が必ず与えられます。この場で、代理人を通じて意見を述べたり、未納に至った事情の証拠を提出したりすることができます。 (2)日本への定着性の配慮 国会での議論を経て、改正法の附則第25条には「永住者の在留資格をもって在留する外国人の適正な在留を確保する観点から、これまでの公租公課の支払い状況や、現在の生活状況など、その外国人の置かれている状況に十分配慮する」という趣旨の規定が盛り込まれました。長く日本で生活しており本国に帰る場所がないといった事情も含め、取り消しの対象となるかどうかは慎重に判断されます。 (3)「定住者」等への変更と再申請の道 審査の結果、「永住者」としては不適当と判断された場合でも、ただちに強制送還されるとは限りません。引き続き日本に在留することが適当でないと認める場合(今後も支払う意思が明らかな場合など)を除き、「定住者」などの別の在留資格への変更が認められる仕組みになっています。そして、「定住者」等に変更された後であっても、その後公的義務が適正に履行されていることなどが確認できれば、再度、永住許可を受けることも可能です。 このように、最悪の事態を避けるための制度的配慮は存在しています。だからこそ、もしトラブルを抱えてしまった場合は、一人で抱え込んだり隠したりせず、すぐに専門家に相談して正しい対応をとることが重要です。 4.よくある質問を専門家が徹底解消!(Q&A) 法律が厳格化されるというニュースは独り歩きしやすく、誤解からくる不安を抱えている方も多いでしょう。ここでは、入管が公表している「永住許可制度の適正化Q&A(外部リンク)」資料等をもとに、永住権取り消しに関わる疑問にお答えします。…

【2026年最新データ】永住申請の許可率は約50%?半分近くが不許可になる理由と一発許可のための対策を専門家が解説

1. 【2026年最新】直近の永住許可率と審査実数の推移 まずは、2026年に入ってから発表された直近4ヶ月間の永住申請における審査結果のデータを見てみましょう。実際にどれだけの人が申請し、どのくらいの割合で許可されているのかが明確になります。また、もっと前の永住許可状況について知りたい方は永住ビザ申請の許可率・不許可率!最新データを解析!もご参照ください。 表1:2026年1月から2026年4月の永住許可数の推移 審査月 (2026年) 審査結果が 出た総数(既済) 許可された数 (許可) 永住許可率 不許可・その他 1月 6,302件 2,938件 46.6% 3,364件 2月 6,388件 3,158件 49.4% 3,230件 3月 6,921件 3,680件 53.2% 3,241件 4月 5,620件 3,053件 54.3% 2,567件 表2:2026年1月~4月の4か月間の通算データ 申請の種類 総審査数 許可された数 許可率 在留期間更新…

【2026年3月末最新データ】特定技能の「受入見込数」と「充足率」を徹底解説!採用計画の重要ポイント

1. 特定技能制度の「受入見込数」とは? 特定技能制度の意義は、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することにあります。 制度の適正な運用を図るため、政府は「基本方針」および「分野別運用方針」を策定しており、この分野別運用方針の中で、原則として5年ごとに各分野の「受入見込数」が定められます。この受入見込数は、単なる目標値ではなく「外国人受入れの上限数」として厳格に運用される数字です。 (1)特定技能1号全体の受入見込数と2026年3月末時点での充足率 令和6年(2024年)3月の分野別運用方針の設定において、各産業分野における人手不足の状況が改めて精査されました。政府の方針として、単に人手不足だからといって安易に外国人を受け入れるのではなく、各分野において更なる生産性の向上や国内人材確保の取組みを行うことが強く求められています。 その結果、令和11年(2029年)3月末までの5年間を対象とした特定技能1号全体の受入見込数は805,700人と設定されました。そして、最新のデータ(令和8年3月末速報値)によると、特定技能1号全体の在留外国人数は404,527人となっています。受入見込数に対する全体の「充足率」は50.2%となり、制度全体としてはおおむね順調なペースで受入れが進んでいると言えます。 (2)「育成就労」の受け入れ見込み数 ちなみに、従来の技能実習制度に代わり2027年4月から新たに運用開始予定の「育成就労制度」においても、特定技能制度と同様に受入見込数が設定されました。全17分野で合計426,200人の上限が設けられています。育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号水準」の技能を持つ人材を育成することを目的としています。つまり、育成就労は、特定技能へ移行して長く活躍してもらうための「前段階(育成期間)」として明確に位置づけられた制度なのです。 これにより、特定技能1号の805,700人と合わせて、政府は2029年3月末までの5年間で合計1,231,900人の外国人材を受け入れる計画を立てたことになります。特定技能へのステップアップを前提としたこの巨大な育成・受入れ枠の動向は、今後の採用計画において注視していく必要があります。 2. 受入充足率が高い分野トップ3 特定技能1号全体の充足率は約50%ですが、産業分野別に見ると採用の進み具合には大きなばらつきが生じています。特に以下の3分野は充足率が非常に高く、今後の動向に最大限の警戒が必要です。 産業分野 受入見込数 在留外国人数 充足率 状況 警戒 (トップ3) 【停止中】外食業 50,000人 47,714人 95.4% 一時的な交付停止措置中 飲食料品製造業 133,500人 96,367人 72.2% 在留数は全分野で最多 建設 76,000人 51,055人 67.2% JAC加入やCCUS登録が必要 やや警戒(50%超) 介護 126,900人 74,745人 58.9%…

【令和8年3月末速報値】特定技能1号が40万人を突破!分野別人数とこれからの外国人材採用のポイント

1. 【令和8年3月末速報値】特定技能在留外国人数の現状 国内人材の確保がますます困難になる中、特定技能制度を活用して即戦力となる外国人材を受け入れる企業は業種を問わず増えています。まずは、令和8年3月末時点の最新データから、日本における外国人材の受入れ状況の全体像を把握しておきましょう。 (1)特定技能1号は「404,527人」まで増加 特定技能制度の利用は年々右肩上がりで増加しており、令和8年3月末現在の速報値では、特定技能1号の在留外国人数は404,527人(令和7年末時点では382,341人)に達しました。また、より熟練した技能を要し、家族帯同や在留期間の更新に上限がない「特定技能2号」についても12,420人(令和7年末時点では7,955人)となっており、外国人材の長期的な定着が着実に進んでいます。 (2)分野別人数ランキング:どの業界で採用が進んでいるのか? 2026年現在、特にどの業界で特定技能外国人が活躍しているのでしょうか。特定技能1号において、人数の多い上位5分野は以下の通りです。 順位 産業分野名 特定技能1号 在留外国人数 1 飲食料品製造業 96,367人 2 介護 74,745人 3 工業製品製造業 59,038人 4 建設 51,055人 5 農業 39,950人 これら上位の業界では、すでに多くの企業が外国人材を事業運営の「貴重な戦力」として位置づけており、他社に先んじた人材獲得競争が激化しています。 2. 令和8年追加の「新規分野」の動向とトレンド 特定技能制度の大きな特徴は、経済情勢や人手不足の状況に合わせて柔軟に対象分野が追加される点にあります。直近の令和8年1月の閣議決定でも新たな分野の追加が発表され、大きな話題を呼びました。この章では、新たに追加された分野の2026年最新の受入れ数データと、これから本格化する新規分野の動向について述べます。 (1)自動車運送業や林業などの最新状況 2024年に追加が閣議決定された自動車運送業(333人)、鉄道(59人)、木材産業(34人)、林業(8人)など、新たな分野ですでに受入れの実績が出始めています。 特定技能「自動車運送業」については、特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は?で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。 (2)これから始まる「特定技能1号のみ」の3分野 2026年1月の閣議決定ではさらに、特定技能1号に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が新規に追加されました。これらの新分野については、各分野の省庁による独自の追加ルール(上乗せ基準)が正式に定められ、準備が整い次第、運用が開始される予定であり、速報値でも在留者数が0人ですが、今後の動向に大きな注目が集まっています。 新規分野での在留資格申請は、行政側の審査要領や運用ルールも手探りの部分が多く、入管の審査官も慎重に審査を行います。「必要書類の不備」や「要件の解釈違い」によって、予期せぬ不許可や度重なる追加資料要求となり、採用計画が大幅に遅れるケースが発生しやすいのが実務上の盲点です。 これら新規分野での採用は、早期の情報収集と専門家による綿密な要件確認が成功の鍵を握ります。 3.…

「短期滞在ビザ」の基礎知識と「日単位指定」法改正を行政書士が解説

1.そもそも「短期滞在ビザ」とは? 一般的に「観光ビザ」や「親族訪問ビザ」「ビジネス出張ビザ」などと呼ばれているものは、すべて法律上の正式名称である「短期滞在」という一つの在留資格に含まれています 。日本の入管法において「観光ビザ」という独立した資格は存在しません 。 短期滞在ビザの対象となる主な来日目的は以下の通りです。 観光・保養・スポーツ: いわゆる一般的な観光旅行など 親族訪問・知人訪問: 海外の家族や婚約者に会いに来る、冠婚葬祭への出席など 短期の商用(ビジネス): 出張、商談、市場調査、アフターサービスなど パスポートに「Temporary Visitor」とスタンプが押されている場合や、オンラインで申請する電子ビザシステム「JAPAN eVISA」を利用して入国した場合も、すべて法律上は一括して「短期滞在ビザ」として扱われます 。また、短期滞在ビザの対象者は「中長期在留者」から除外されるため、空港等で在留カードが交付されません。 在留カードが交付されないことに伴い、短期滞在ビザの外国人は日本滞在中に「常にパスポートを携帯する義務」が課せられます。これを怠ると処罰の対象となるため、注意が必要です。 2.2026年9月施行:短期滞在ビザ「在留期間」の法改正内容 改正の概要 規則別表第2を改正し、短期滞在の在留資格に伴う在留期間を「90日、30日 又は15日(法務大臣が個々の外国人について90日を超えない範囲内で日を単位 とする期間を指定する場合にあつては、当該指定する期間)」に改める。 今回、e-Govで公開されたこちらのパブリックコメント(出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令案)により、2026年9月上旬に短期滞在ビザの在留期間の決定方法が大きく変わります。 これまでのルールと、法改正によって導入される新しいルールを比較してみてみましょう。 項目 改正前(従来の運用) 改正後(2026年9月上旬施行) 在留期間のパターン 原則として「15日」「30日」「90日」の3種類のみ 従来の期間に加え、「法務大臣が個々の外国人について90日を超えない範囲内で、日を単位とする期間を指定する」ことが可能に 期間の決まり方 画一的に「15日」「30日」「90日」のいずれかが付与される 来日目的や個別の事情に合わせて、「45日」「60日」など柔軟な日数が指定される 今回の規則改正(規則別表第2「短期滞在」の項の改正)により、一律の期間設定だけでなく「個々の外国人ごとに日単位で期間を指定できる仕組み」へと移行します。これは、より柔軟な出入国管理を行うための審査適正化の一環と言えます。 3.法改正がもたらす盲点と実務上の注意点 今回の「日単位での期間指定」が可能になる改正は、一見すると柔軟で便利に思えますが、実務においては非常にシビアなタイムリミット管理を迫られる盲点となります。 これまでのように「とりあえず一番長い90日をもらえるだろう」という安易な予測が通用しなくなるため、以下の2点に強く留意する必要があります。 注意点①:「特例期間」が適用されないリスクが高まる 日本に短期滞在ビザで入国した後に、別の在留資格(配偶者ビザや就労ビザなど)へ国内で変更申請を行う場合、審査中に在留期限が到来しても最長2ヶ月間は日本に滞在できる「特例期間」という救済制度があります 。 しかし、この特例期間は「短期滞在ビザの在留期間が30日以下」の場合には法律上、適用されません…

外国人のペット同伴入国手続き完全ガイド|ビザ申請と並行すべき理由と検疫の注意点

1. 日本の犬・猫輸入は厳しい? 日本は、世界でも数少ない「狂犬病が発生していない国」です。しかし、周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されています。そのため、海外から狂犬病ウイルスが侵入することを防ぐため、農林水産省(動物検疫所)によって極めて厳しい水際対策が敷かれています。 出発国による2つの区分:指定地域と指定地域外 犬・猫の入国手続きは、来日前に滞在していた国が「指定地域」か「指定地域外」かによって難易度が劇的に変わります。世界のほとんどの国は「指定地域外」に該当するため、高度な準備が求められます。 区分 対象となる主な国・地域 必要な主な手続き(犬・猫の場合) 指定地域外 上記以外のすべての国・地域(アメリカ本土、欧州、アジア諸国など) マイクロチップ装着、狂犬病予防接種(2回)、抗体検査、180日間の待機等 指定地域 アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム マイクロチップ装着、指定地域での在住証明等※抗体検査やその後の180日待機は不要ですが、指定地域に180日以上滞在している等の条件があります 2. 【犬・猫】ペットを日本に連れてくるためのステップ 犬や猫を日本に輸入するための手続きは、出発国が「指定地域」か「指定地域外」かによって大きく異なります。それぞれのルートにおける公式なステップを解説します。 (1) 「指定地域外」から連れてくる場合の7つのステップ 「指定地域外」から犬や猫を連れてくる場合、以下の7つのステップを必ず順番通りに進める必要があります。一つでも順序を間違えると、大幅なスケジュールの遅れや追加の検査・接種が発生し、最悪の場合は最初からやり直しになるリスクもあるため注意が必要です。 順番を間違えてマイクロチップ装着前にワクチンを打ってしまった場合の救済措置(条件付き受け入れ)などの例外も存在しますが、この原則の順番通りに進めることが最も確実で安全です。 マイクロチップの装着国際規格(ISO 11784/11785)に適合するチップを、現地の動物病院の獣医師に埋め込んでもらいます。この時に発行される識別番号が、今後のすべての申請書類の「身分証明」となります。 狂犬病予防接種(計2回)チップ装着が完了したら、次に同じ現地の動物病院で「狂犬病の予防接種」を合計2回受けます。1回目を接種した後、30日以上の間隔を空け、かつ1回目の有効期限内に2回目を接種しなければなりません。接種後、担当獣医師からワクチン名や製造元、有効期限が明記された「狂犬病予防注射済証」を必ず受け取って保管してください。 狂犬病抗体価検査民間病院ではなく「日本の農林水産大臣が指定する検査機関」に対して「狂犬病抗体価検査」を申請します。現地の獣医師にペットの血液(血清)を採血してもらい、獣医師が記入した検査申請書とともに指定の検査機関へ郵送します。後日、この機関から「抗体価検査結果証明書」が返送され、基準値(0.5 IU/ml 以上)をクリアします。 180日間の現地待機前ステップの採血日を「0日」として、現地で180日間待機します。 事前届出日本到着の40日前までに、到着予定の空港・港を管轄する動物検疫所に「輸入届出」を行います。 出国直前の臨床検査と政府証明書出発直前に獣医師の健診を受け、現地の政府機関(米国のUSDAなど)から裏書き(エンドースメント)を取得します。 日本到着時の輸入検査日本に到着した際、税関の手前にある「動物検疫所カウンター」にて輸入検査を受けます。ここで、現地政府から取得した「エンドースメント完備の証明書原本」、事前に取得した「届出受理書」、そして機内で記入する「携帯品・別送品申告書」のすべてを検疫官に提出します。空港で書類とチップの照合を行います(問題がなければ通常は数時間、遅くとも12時間以内には一緒に帰宅できます)。 (2) 「指定地域」から連れてくる場合の7つのステップ 農林水産大臣が指定する狂犬病清浄国・地域(アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム)からの輸入です。指定地域外の場合に課されるワクチン接種や抗体検査、180日の待機といったハードルの高い手続きは免除されますが、代わりに「指定地域での厳格な滞在歴」と「安全な輸送」が厳しく問われます。 特に注意すべきなのが「180日」ルールです。指定地域からの特例として認められるには、その地域に「出生以来」または「輸出前180日間以上」滞在している必要があります。この180日の滞在期間を満たしていない場合は「指定地域外」からの輸入扱いとなります。 公式には以下の7つの手順を踏む必要があります。 マイクロチップの装着国際規格(ISO 11784/11785)に適合するチップを、現地の動物病院の獣医師に埋め込んでもらいます。この時に発行される識別番号が、今後のすべての申請書類の「身分証明」となります。 滞在証明「出生以来」「輸出前180日間以上」「日本から輸入して以来」のいずれかの期間、指定地域のみに在住していたことの証明が必要です。 事前届出日本への渡航日が決まったら、日本到着の40日前までに日本で到着予定の空港・港を管轄する「動物検疫所」へ「輸入届出」を行います。これはインターネット上の「動物検疫システム(NACCS)」、またはFAXや郵送を使って「犬・猫の輸入の届出書」を提出する手続きです。内容に問題がなければ、日本の動物検疫所から「届出受理書」がデータ等で発行されるため、必ず印刷して手元に用意しておきます。…