日本の永住権は難しい?永住ビザ申請についてよくあるご質問
日本の永住権の要件は,年々厳しくなっている…。そんな話を耳にされたことがあるかも知れません。
2019年7月には,これまで審査基準にしていなかった内容が,永住ビザ申請の審査に影響を与えるようになりました。
確かに,この事実だけを見ると日本の永住権の取得は,年々難しくなっていると言うことができるでしょう。
しかし,永住権の審査基準の多くは公表されています。
そのため,正しい情報を仕入れ,申請すれば永住権を取得することは難しいわけではないのです。
本ページでは,正確な情報を知っていただくため,永住ビザ申請についてよくあるご質問をまとめています。
ぜひ,ご参考にしてみてください。
Index
Q1.転職が多いのですが,永住権を取得するのは難しいですか。
A1.転職回数は,永住ビザ申請の結果に影響を与える可能性があります。例えば,転職が多い場合は,再就職までの期間を検証する必要があります。たとえ就労ビザの保有期間が5年を経過したとしていても,5年の期間に転職活動の期間を含んでいる時には注意を要します。また,転職してから安定的な就労状況にあるかという点も永住権では審査されます。転職してから時間が経過していない場合には,安定性がないとして永住権の申請が不許可になってしまうリスクがあると言えるでしょう。
Q2.貯金はどれくらいあれば,永住権の申請で有利になりますか。
A2.永住権の審査において,貯金額の基準は定められていません。そのため,貯金がいくらあるから永住権が許可されるというわけではないのです。
上記に関連してご説明すると,入管実務では,実は貯金額よりも年収の方が重視されています。もっとも,就労ビザで勤務する中で,所得に応じた貯金を形成している事実は,生活状況,経済基盤の安定性を示すものとして,永住権の審査上,積極的な一事情に数えられます。
Q3.家族滞在ビザを持っている配偶者や子供も一緒に永住ビザ申請した方が良いですか。
A3.配偶者やお子様が永住権の要件を満たしているようであれば,一緒に永住権の申請をするのが良いでしょう。仮に,何らかの理由があり,単独で永住権を取得した場合には,配偶者やお子様は,永住者の配偶者ビザや定住者ビザに変更をする必要があります(詳細は【解決事例】夫が永住ビザを取得したら妻の家族滞在ビザはどうなる? をご覧ください。)。別々に申請すると,ビザの申請回数が増え,申請毎にそれぞれ書類を用意しなければなりません。やはり,永住権の要件を満たしているのであれば,家族一緒に永住権の申請をするほうが手続上のメリットがあるといえるでしょう。
Q4.交通違反を何度かしてしまいました…。永住権を取得するのは難しいですか。
A4.まずは,交通違反の度合いを検証する必要があります。1,2回程度の軽微な違反であれば,永住権の申請に大きく影響することはないといってよいでしょう。しかし,繰り返し交通違反を行っている場合は,永住権の審査に影響する可能性があります。
なお,交通違反をしてしまって罰金を支払った経歴のある方は,罰金を支払った日から5年を経過しなければ永住許可が認められない可能性が高くなります。
いずれにしても,永住権の審査の如何に関わらず,日頃より安全運転を心掛けることは重要です。
Q5.これまで年金を払ったことがありません。今から年金を払って永住権は取得できますか。
A5.国民年金は,最大25ヶ月間を遡って支払うことができます。入管局によって取扱いが多少異なりますが,過去2年内に支払遅延や未払いがある場合には,永住権が許可される可能性は非常に低くなります。
上記の交通違反のお話と同様に,永住権の審査に関わらず,年金の支払いは公的義務の一つであるため,期限までに支払うことが永住権の許可への近道であることは間違いありません。
Q6.私は仕事の都合で日本を出国することが多いのですが,永住権を取得することはできませんか。
A6.日本からの出国日数が多い場合には,永住権の審査に影響があります。ただし,理由を問わず出国の事実がマイナスに影響するわけではありません。出国の理由を明らかにし,出国理由が合理的なもので,出国の頻度や期間が相当である事を説明するようにしましょう。
実際,当社の事例でも,仕事の都合で1年の半分以上を日本から出国していたケースで,永住権の許可を取得できた案件もございます。
そのため,合理的な出国であることが立証できるケースでは,永住権の許可の可能性はあると判断されます。
Q7.永住権の申請の身元保証人は,収入が少ない人でも大丈夫ですか。
A7.身元保証人の責任からして,理論的には身元保証人世帯が生活するに足る収入+αの収入が必要と言えます。もっとも,身元保証人の年収が低いことで永住権の申請が不許可になる事案は,当社の過去の事例ではありません。
比較として,永住権の身元保証人がいない場合にはどうでしょうか。
この場合には,永住権を取得することはできないと判断されます。
あまり重視されてないと思われる永住権の申請における身元保証人ですが,やはり日本で永住するにあたって,身元保証人は必要と考えられています。なぜなら,身元保証人を誰にもお願いできないとなると,日本の社会に馴染めていないと判断されてしまうからです。
上記の内容をまとめると,永住権の申請における身元保証人は必要であるものの,それほど高いハードルがあるわけではなく,定期的な収入がある方であれば,身元保証人として適格ありと判断して良いでしょう。
Q8.永住ビザ申請の身元保証人には,どのような責任がありますか。
A8.永住許可申請時の身元保証人は,以下の3点を保証することになります。
①滞在費
②帰国旅費
③法令の遵守
身元保証人の保証責任は法的拘束力がなく,道義的責任であると考えられています。
仮に身元保証をした外国人が滞在費や帰国旅費の準備が出来ない場合でも,身元保証人が代わりに支払うことを求められるわけではなく,直ちに法的な責任追及をされるわけではありません。ここでいう身元保証は,民法上の身元保証契約を指しているわけではなく,在留制度独自のものと解釈されています。
永住ビザの身元保証人の詳細については,永住ビザの身元保証人とは でもご説明しておりますので,ご興味のある方はご覧ください。
Q9.過去の永住権の申請の不許可は,再申請の永住権の申請に影響しますか。
A9.虚偽の内容や事実に相違がある書類を入管へ提出していないのであれば,過去の永住権の申請の不許可が影響することは通常ありません。
もっとも,不許可理由を何らリカバーしないままでは,何度永住権の申請をしても結論は変わりません。そのため,永住権が不許可になった場合には,不許可理由の確認はもとより,不許可となった原因への対応が重要となります。
詳細は,永住ビザが不許可になっても諦めない!永住ビザの再申請方法 にてご確認ください。
Q10.永住権の申請中に在留期限を迎えそうです。永住権の申請中でも在留期間の更新許可申請をしないといけませんか。
A10.永住権の申請をしたとしても,現在お持ちの在留期間は進行しています。そのため,永住権の申請中でも,在留期限までに現在お持ちのビザの更新許可申請は行う必要があります。
なお,永住権申請時に現在お持ちの在留期間が残り3ヶ月を切っている場合には,永住権の申請に先立って,または同時に在留期間の更新許可申請を行わなければ,永住権の申請が受理されない扱いになっていますので,ご注意ください。