【特定技能ビザ】期間更新の必要書類と注意点
2019年に施行された特定技能制度では,既に1年以上の就労期間を迎えている外国人もおり,特定技能ビザの期間更新を必要とする該当者が増えてきました。
初めて特定技能ビザを申請する時と比べて,特定技能ビザの期間更新は,省略可能な書類もあります。
本記事では,特定技能ビザの期間更新に必要な書類を受入れ機関の種類や分野ごとに分けてご紹介していきます。
特定技能ビザの期間更新をする際に,参考にして頂ける内容ですので,ぜひ最後までお付き合いください。
Index
1.「特定技能ビザ」期間更新手続きの流れ
まずは,特定技能ビザを更新する際の手続きの流れについて紹介します。
➀必要書類の準備
特定技能ビザの期間更新の申請は,保有しているビザ有効期限の3ヶ月前から行うことができます。
申請に必要な書類の中には,役所などで取得する書類もあり,それらは3ヶ月の有効期限があります。
そのため,申請予定日に合わせて計画的に特定技能ビザの期間更新の準備を進める必要があります。
②入管へのビザ申請
必要書類を全て揃えたら,本人・代理人または申請等取次者の資格をもつ行政書士などが,入管またはオンラインにて特定技能ビザ更新の申請を行います。
申請した際には受理票が発行されます。
受理票は,審査状況の照会などに必要となるので大切に保管して下さい。
➂審査終了の通知
申請する入管の場所や申請の混雑状況にもよりますが,2週間から1ヶ月程度の審査期間を経て,審査終了の通知が届きます。
審査終了の通知は,「入管へ申請した場合ははがき」で,「オンラインで申請した場合はメール」にて届きます。
④特定技能ビザの受け取り
入管で申請した場合は,申請した入管へ出向いて,新しい在留カードの受け取りをします。
その際に,次のものを持参して下さい。
- 現在保有の特定技能ビザの在留カード原本
- パスポート原本
- 指定書
- 手数料納付書(4000円の印紙を貼付したもの)
- 受理票
- 通知はがき
オンライン申請の場合は,保有している在留カードを「東京出入国在留管理局在留管理情報部門オンライン申請手続班」へ郵送することで,新しい在留カードを郵送にて受け取ることができます。
郵送する際には,次のものを同封して下さい。
- 現在保有の特定技能ビザの在留カード原本
- 指定書
- 手数料納付書(4000円の印紙を貼付したもの)
- 新しい在留カードを受け取るための返信用封筒
2.「特定技能ビザ」外国人の必要書類
特定技能ビザの期間更新するための必要書類を紹介していきます。
- 申請書
特定技能外国人の人定情報や申請内容などを記載する書類です。 - 特定技能外国人の報酬に関する説明書
特定技能外国人が受け取る報酬額が適正であることを証明する書類です。
報酬の算出根拠などの内容を中心に記載します。 - 特定技能雇用契約書の写し
- 雇用条件書の写し
受入れ機関と特定技能外国人が合意した契約書の写しを提出します。 - 個人住民税の課税証明書
取得できる最新年度のものが必要です。 - 住民税の納税証明書
全ての納期が到来している直近年度のものが必要です。 - 給与所得の源泉徴収票の写し
取得した「直近年度の個人住民税の課税証明書」に対応する年度のものが必要です。
例(令和3年度の個人住民税の課税証明書に対応する源泉徴収票は,令和2年給与所得分
になります。) - 国民健康保険被保険者証の写し
申請時に国民健康保険に加入している場合のみ提出が必要です。 - 国民健康保険料(税)納付証明書
申請時に国民健康保険に加入している場合のみ提出が必要です。 - 国民年金の支払い状況が確認できる書類
申請時に国民年金に加入している場合のみ提出が必要です。
国民年金保険料領収証書の写しまたは被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会
回答票を含む。)の提出が必要です。 - 公的義務履行に関する誓約書
申請時に,税金や社会保険料の支払いについて,やむを得ない理由で未納分がある
場合は,誓約書を提出することで証明書の提出を免除することができます。 - 前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類
前回の申請時に「公的義務履行に関する誓約書」を提出した場合は,未納分の税金や社会
保険料の支払いを履行する必要があります。
3.「特定技能ビザ」受入れ機関の必要書類
3-1法人の場合
以下,原則必要な書類を記載しています。
ただし,特定技能のビザ申請では,当該申請を行う1年もしくは2年以内に該当する申請人もしくは任意の申請人に関する特定技能の申請を行っている場合などで,省略できる書類が多数あります。
書類準備を始める前に,法務省ホームページにある“「特定技能(1号)」の在留期間更新許可申請に係る提出書類一覧”を確認するようにしてください。
- 特定技能所属機関概要書
特定技能外国人を受入れする企業の決算状況(3年度分)や労働者の離職状況などを記載する書類です。
非自発的離職者が発生している場合は,特定技能外国人の雇用ができなくなる可能性がある点に注意が必要です。 - 登記事項証明書
取得してから3ヶ月が有効期限となる点について注意が必要です。
また,過去に提出した証明書と変更が無いなどの,一定の条件を満たせば提出を免除することができます。 - 業務執行に関与する役員の住民票の写し
提出する登記事項証明書に記載がある役員の中で,特定技能外国人の受入れに関する業務執行に関与する役員全員の住民票を提出する必要があります。
なお,提出する住民票には本籍地の記載が必須で,マイナンバーは記載しない点について注意が必要です。 - 特定技能所属機関の役員に関する誓約書
業務執行に関与しない役員については,誓約書を提出することで住民票の提出を免除することができます。 - 労働保険料の支払い状況を証明できる書類
労働保険料の支払い状況確認のため,次のいずれかの書類が必要です。 - 社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
申請の日の属する月の前々月までの24ヶ月分の提出が必要です。 - 税務署発行の納税証明書(その3)
税目に源泉所得税,及び復興特別所得税,法人税,消費税,及び地方消費税の3つの記載があるものが必要です。
特に,「源泉所得税,及び復興特別所得税」については記載漏れが多い項目のため,抜けが無いよう注意が必要です。 - 法人住民税の市町村発行の納税証明書
直近2年分の提出が必要です。 - 公的義務履行に関する説明書
過去2年間の特定技能ビザ申請時に,税金や社会保険料などの支払いを証明するための書類を提出している場合は申請時も未納などが無い場合に限り,「公的義務履行に関する説明書」を提出することで,新たな証明書の提出を免除できます。
➀労働保険事務組合に事務委託している場合
労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し,及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知はがき)の写し
②労働保険事務組合に事務委託していない場合
労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し,及び通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知はがき)の写し
3-2個人事業主の場合
次の8つの書類は法人の場合と同じく提出必須書類です。
- 特定技能所属機関概要書
- 個人事業主の住民票の写し
- 労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し,及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知はがき)の写し
- 労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し,及び通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知はがき)の写し
- 個人事業主の税務署発行の納税証明書(その3)
- 個人事業主の個人住民税の市町村発行の納税証明書
- 公的義務履行に関する説明書
- 社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
- 健康保険・厚生年金保険の適用事業所でない場合は,「社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し」の代わりに,次のいずれかの書類の提出が必要です。
①個人事業主の国民健康保険被保険者証の写し
②個人事業主の国民健康保険料(税)納付証明書
③個人事業主の国民年金保険料領収証書の写しまたは被保険者記録照会(納付Ⅱ)
4.「特定技能ビザ」分野ごとの必要書類
介護
- 介護分野における業務を行わせる事業所の概要書
特定技能所属機関概要書とは別で,「施設・事業の類型」など介護分野のみで必要な情報を記載する書類です。 - 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
ビルクリーニング
- 次のいずれかの提出が必要
①建築物清掃業登録証明書
②建築物環境衛生総合管理業登録証明書 - 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
建設
造船・舶用工業
- 造船・舶用工業事業者の確認通知書
過去の申請で提出済みのものと変更が無い場合は提出が不要です。 - 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 造船・舶用工業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)
- 協議会の構成員であることの証明書(登録支援機関)
次の2つは,登録支援機関に支援業務を委託する場合に提出が必要な書類です。
自動車整備
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 自動車整備分野に係る協議会の構成員であることの証明書(登録支援機関)
- 支援責任者・支援担当者などの外国人の支援を行う役職員については,次のいずれかの提出が必要
①自動車整備士技能検定1級または2級の合格証の写し
②実務経験証明書 - 支援経験に応じて,次のいずれかの書類を提出する必要があります。
①初めて自動車分野で特定技能外国人への支援を実施する場合
自動車整備分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)
②自動車分野で特定技能外国人への支援を開始後4ヶ月以上経過している場合
自動車整備分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員となることの証明書 (登録支援機関)
次の3つは,登録支援機関に支援業務を委託する場合に提出が必要な書類です。
航空
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 航空分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
宿泊
- 旅館業許可証(旅館・ホテル営業許可書)の写し
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 宿泊分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)
- 協議会の構成員であることの証明書(登録支援機関)
農業
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 農業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)
※特定技能外国人を雇用する派遣会社は別途,追加の書類が必要です。
漁業
- 次のいずれかの提出が必要
①許可証の写し
②免許の指令書の写し
③その他許可または免許を受け漁業または養殖業を営んでいることが確認できる公的な書類の写し - 次のいずれかの提出が必要
①当該組合の漁業権の内容たる漁業または養殖業を営むことを確認できる当該組合が発行した書類の写し
②その他当該組合に所属して漁業または養殖業を営んでいることが確認できる書類の写し - 次のいずれかの提出が必要
①漁船原簿謄本の写し
②漁船登録票の写し - 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機 関)
- 漁業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓 約書(登録支援機関)
※特定技能外国人を雇用する派遣会社は別途,追加の書類が必要です。
飲食料品製造業
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 飲食料品製造業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)
- 協議会の構成員であることの証明書(登録支援機関)
外食業
- 保健所長の営業許可証または届出書の写し
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)
- 協議会の構成員であることの証明書(登録支援機関)
5.注意点
〇申請書類の書式
特定技能ビザの申請書類の書式は変わることがあります。
そのため,以前提出した際の書式をそのまま使用した場合は,新書式で追加された項目が記載されていないことも想定されるため,注意が必要です。
〇犯罪歴
受入れ機関の犯罪歴はもちろんのこと,役員や外国人の支援担当者などに犯罪歴がある場合は,特定技能の受け入れが認められない可能性がある点に注意が必要です。
〇特例期間
特定技能ビザの期間更新申請をして,審査が終了する前に,在留期限を迎えてしまった場合でも,特例期間として「保有しているビザの有効期限から2ヶ月間もしくは審査結果を受領するまで」は就労を継続しながら在留することが認められています。
なお,特例期間を過ぎると日本での在留ができなくなるため,特定技能ビザの期間更新は,期間に余裕をもって進めて下さい。
〇申請書類の不備
特定技能ビザの期間更新のためには,受入れ機関の種類や,分野ごとに違う多くの書類を準備する必要があります。
それぞれ,取得必要な年度や記載事項に指定があるので,間違った書類を提出すると追加書類の提出や修正などが必要となり,審査の遅延に繋がる点に注意して下さい。
6.まとめ:【特定技能ビザ】期間更新の必要書類と注意点
本記事では,特定技能ビザの期間更新に必要な書類を中心にご紹介しました。
分野ごとに必要な書類が異なる点や,申請書類の内容が更新されることもあるため,特定技能ビザの期間更新の際には,最新情報を確認するようにしてください。
また,ご紹介した必要書類以外にも,審査の必要に応じて別途書類の必要を求められる可能性がある点にも留意して下さい。
申請する入管の場所や時期によっては,審査に通常よりも時間を要するため,特定技能ビザの期間更新は早めに申請することをお勧めします。