帰化と永住の違いを解説!
日本に住んでいる外国人の多くは,最終的には永住の取得,あるいは日本国籍を取得する帰化を希望されているかと思います。
本ページでは,永住と帰化の違いやメリット・デメリットをご紹介します。
これから永住の取得や帰化申請を検討されている方はご参考ください。
Index
1.帰化申請とは?
帰化申請とは,外国国籍を持つ方が日本国籍を取得するために行う手続きのことです。
帰化すれば,日本の戸籍が作られ,参政権を取得して選挙で投票することができます。
また,ビザの更新なく日本に住み続けることができるなど,日本人としての権利を得ることとなります。
2.永住ビザとは?
永住ビザとは,外国人が在留期限なく日本に滞在できるビザのことです。
他のビザと大きく異なる点としては,①在留期間の定めがないこと,②日本での活動に制限がないことが挙げられます。
また,日本の金融機関の中には,住宅ローンの審査の際に,永住ビザを持っている事を要件にしていることも珍しくなく,その点も永住ビザを取りたい大きな理由となっている印象です。
永住ビザは,あくまでも「外国人として」日本に住み続けるためのビザであるため,日本国籍となる帰化とは全く別のものです。
2-1.帰化と永住ビザの徹底比較!
本チャプターでは,帰化と永住ビザの違いについて解説していきます。
まずは,以下の表をご覧ください。
永住ビザ | 帰化 | |
国籍の変更 | 変わらない | 日本人となる |
申請先 | 入管 | 法務局 |
申請取次 | 可能 | 不可 |
必要書類 | 帰化申請より少ない | 永住ビザ申請より多い |
審査期間 | 約4ヶ月 | 約1年 |
退去強制処分 | 有 | 無 |
〇申請取次について
永住ビザ申請は,申請取次行政書士などが取次という形で本人に代わって管轄の入管に出頭して行うことができます。
しかし,帰化申請は,申請人本人が管轄の法務局に出頭して行う必要があり,行政書士が書類作成をすることができても、行政書士が代わりに申請することはできません。
なお,帰化しようとする人が15歳未満であれば,親権者や法定代理人が代わりに申請を行うこととなります。
〇必要書類について
永住ビザ申請も帰化申請も,申請人の状況により必要となる書類は変わります。
しかし,一般的には,帰化申請の方が永住ビザ申請よりも,必要書類の分量が多く,必要書類の収集の難易度が高いと言えるでしょう。
なぜなら,帰化申請が日本人の身分事項を証明する「戸籍」を新しく作る作業だからです。
つまり,「戸籍」は日本人の婚姻の記録,養子縁組の記録,両親の名前,子がいる場合は子の出生記録など,対象者に関わるあらゆる身分事項を記録するものであるところ,帰化申請はその「戸籍」に記録すべき身分事項を証明する必要があるため,書類が多くなるのです。
そして,これらの身分事項に関する証明には,本国の公的機関発行の書類を取り寄せる必要があります。
この点が,帰化の手続きが面倒と感じられる要因にもなっています。
〇審査期間について
上記の期間は,あくまで目安であり,永住ビザの審査に5ヶ月~6ヶ月かかることも少なくありません。
他方で,特別永住者の方の帰化申請の場合には,申請から6ヶ月程度で許可されることもあります。
〇退去強制処分について
永住ビザを取得しても,外国人であることに変わりはありません。
そのため,例えば,大きな犯罪をしてしまい懲役刑を受けることになれば,退去強制処分の対象になり,強制的に国外に退去することを命じられることもあります。
他方,帰化した方は,日本人となるので,帰化後に重大犯罪を起こしてしまったからと言って,日本国外に退去を命じられることはありません。
次に,帰化と永住ビザの要件の違いについて,以下の表で簡単に整理します。
帰化 | 永住 | |
住所要件の原則 | 住所要件 = 5年 (就労要件 = 3年) |
住所要件 = 10年 (就労要件 = 5年) |
住所要件の例外 (日本人と結婚している場合) |
婚姻期間 = 3年 住所要件 = 1年 又は 婚姻期間 = 無 住所要件 = 3年 |
婚姻期間 = 3年 住所要件 = 1年 |
この表から,帰化申請の方が,永住ビザ申請よりも要件が緩やかであることが分かると思います。
実は,生計要件(年収要件)についても,帰化申請の方が永住ビザ申請よりもずいぶん緩やかであるため,『永住ビザは無理でも帰化なら可能』というケースは多いです。
要件の詳しい解説は以下のコラムをご覧ください。
2-2.永住と帰化の違い~許可を得るまで~
本チャプターでは,永住と帰化の許可を得るまでの流れの違いを説明します。
① 申請書の作成や必要書類の収集
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② 入管にて申請
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③ 審査完了通知
永住ビザの許可を得るまでの流れは,このようにビザの変更や更新とほとんど変わりません。
① 法務局にて事前相談(必要書類の確認)
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② 申請書の作成や必要書類の収集
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③ 法務局にて申請書類の点検及び申請受理
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④ 法務局にて面接
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⑤ 許可の決定(官報掲載)
これだけ見ても,帰化申請の方が永住ビザの申請よりも手続きが多いことが分かります。
さらに,③初めての申請書類の点検で,法務局の担当官の方が「問題なし」と判断して帰化申請を受理してくれるとは限らず,何度も申請書類の点検が必要となるケースも多いです。
無事,帰化申請が受理されれば,申請から約3ヶ月後に面接を行うこととなります。
帰化の許可が下りれば,官報(日本政府発行の新聞)に氏名が掲載されます。
不許可の場合には,不許可通知が届きます。
なお,不許可の理由は教えてもらうことができませんので,事後検証のためにも,申請書類一式のコピーを保管しておくことをおすすめします。
2-3.永住と帰化の違い~許可を得た後~
続いて,永住と帰化の許可を得た後の手続きの違いを説明します。
① 入管にて永住者の在留カードの受領
この点も,ビザの変更や更新と変わりません。
① 法務局にて帰化許可通知書と身分証明書の受領
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② 在留カード・特別永住者証明書の返納
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③ 申請人の住所地の市区町村役所にて帰化の届出
官報に氏名が掲載されると,法務局から許可の連絡が来ます。
指定された期日までに法務局に行き,帰化許可通知書と身分証明書を受領することになります。
次に,官報に帰化後の名前が告示された日から14日以内に,出入国在留管理庁長官に在留カードを返納する必要があります。
特別永住者の方は,市区町村役場に特別永住者証明書を返納します。
そして,帰化者は,(戸籍の編製のため),官報掲載時から1ヶ月以内に,(印鑑を持参して)住所地又は本籍地の市町村役場へ「帰化届」と「帰化者の身分証明書」を提出することとなります。
2-4.帰化OR永住のメリット・デメリット
ここまで帰化と永住の違いを説明しましたが,どちらにメリット・デメリットがあるかは,人それぞれだと思います。
以下,帰化した者と永住ビザを取得した者で異なる点を説明します。
① パスポート
永住を取得しても国籍が変わることはありませんので,これまでと同じパスポートを持ち続けることになります。
これに対し,帰化をすれば日本のパスポートを取得できます。
日本は多くの国とビザ免除協定を結んでおり,協定国にはビザなしで渡航することができます。
海外旅行が好きな方は,この点はメリットと言えるかもしれません。
他方で,日本は二重国籍を認めていませんので,帰化を許可された場合は,原則として本国の国籍を放棄しなければなりません。
つまり,帰化をすれば,それまで持っていたパスポートが失効する事を意味します。
母国と日本がビザ免除協定を結んでいなければ,親族に会うために帰省するたびに,ビザを取得する必要があります。
② 参政権
日本国憲法によれば,国政選挙への外国人の選挙権・被選挙権は認められていません。
そのため,永住を取得しても,日本の選挙に議員として立候補することも,投票することもできません。
他方,帰化をすれば日本人となり,日本人に認められる権利は平等に認められることになるため,選挙で投票することができますし,帰化した元外国人が国会議員になることも可能です。
③ 再入国許可
永住を取得しても法的には外国人ですので,海外から再入国する際には必ず再入国許可(みなし再入国許可を含む)を得なければなりません。
再入国期限までに再入国できなかった場合は,永住資格を喪失することになります。
一方で,帰化をすれば日本人になるため,どれだけ長く海外に住んでいても,自由に日本に帰国することができます。
3.帰化と永住の違いのまとめ
審査期間や要件など,帰化と永住ビザの違いをご理解いただけましたでしょうか。
帰化も永住ビザも,どちらもメリット・デメリットがあります。
“自分は帰化するべきか?それとも永住を取得すべきか?”
そのようなお悩みをお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
帰化申請や永住ビザの申請は,一生に関わる大切な問題です。
行政書士法人第一綜合事務所は,無料で帰化申請,永住ビザの申請に関するご相談を承っています。
英語,中国語,ベトナム語に対応のスタッフも常勤していますので,母国語でご相談いただく事も可能です。
帰化申請,永住ビザで困ったら,お気軽に弊社までお問い合わせください。
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