行政書士法人第一綜合事務所

帰化許可申請でよくあるご質問
~収入&健康保険&年金について~

帰化許可申請の手続きを進める中で,ご自身の親族関係,収入,健康保険や年金の加入状況,犯罪歴及び出国歴など,様々な要件を確認する必要があります。

本ページでは,帰化許可申請の手続きを進める中で,特にご質問の多い収入,健康保険,年金制度について,よくあるご質問をまとめています。

これから帰化許可申請をご検討され,ご自身の収入や健康保険及び年金について,ご不安のある方は,下記の質問事項をご参考にしてみてください。

INDEX

Q1.帰化の許可取得のためには,お給料はどのくらい必要ですか。また,預貯金も必要になりますか。

A1.法務省からは明確な金額の設定はされていません。
そのため,「個々の申請者の事情によって異なります」といった回答になってしまいます。帰化許可を取得するための収入面の考え方としては,「安定した収入があるかどうか」が大きなポイントです。
例えば,①「3年前までは働いていて預貯金が1000万円ありますが,現在は無収入です」といった方と,②「預貯金が50万円で毎月お給料が20万円あります」という方であれば,後者の方が申請はスムーズに進む傾向にあります。

なお,収入というのは申請者本人だけの収入に限りません。世帯収入として,同居している方や仕送りをしている方の収入も一緒に考慮される場合もありますので,申請者の状況によって様々な角度から検証する必要があります。

その他にも「収入と支出のバランス」は大切です。上述のとおり,収入が○○円以上であること,といった明確な数字が定められているわけではありませんが,世帯における収入合計と家賃・生活費・返済金・教育費などの支出合計を比較して,毎月赤字続きである場合や,預貯金を切り崩さないと生活できないといった場合も帰化許可の取得が難しくなってきます。

そのため,申請者の個々の事情によって,収支状況や預貯金などを検討することが肝要です。

Q2.私は一人暮らしの学生で収入はアルバイトのみですが,帰化許可の取得は可能でしょうか。

A2.まず前提として,通学先が遠方にあるため一人暮らしをしている学生の場合,一人暮らしで借りている部屋はあくまで通学のための仮住まいで,その生活の本拠は家族が住んでいる場所にあるとされます。

単身で日本に留学に来ているケースでは,家族は海外に住んでいますので,生活の本拠は海外にあると判断され,日本での継続在留要件(原則5年以上)を満たしません。そのため,このケースでは学生は単身で帰化申請はできません。

一方で,家族も日本に住んでいて,大学が遠方にあるため一人暮らしをしているようなケースでは,その生活の本拠は日本にあると判断されるため,単身でも帰化申請が可能になります。この場合の生計要件については,離れて暮らす家族の収入を合算して判断されます。国籍法第5条第4項は,「自己又は生計を一にする配偶者その他親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」と規定しており,「自己の資産又は技能」とはされていません。そのため,申請者が父母や配偶者からの援助を受けて生活していたとしても,帰化許可の可能性があります。

一人暮らしの学生のケースでは,学業に励みながらご自身のアルバイト収入だけで学費や生活費をすべて賄うということはなかなか困難です。こういったケースでは,自身のアルバイト収入の他にご両親の収入を証明し,さらに,申請人に対してご両親から毎月仕送りがされている証明として通帳のコピー等を提出することで生計要件をクリアすることができます。

上記の内容を立証することができれば,一人暮らしの学生であっても,帰化許可の取得は可能です。

Q3.私は夫の扶養に入っているので収入がありません。帰化許可の取得は可能でしょうか。

A3.帰化申請の生計要件として,国籍法第5条第4項に,「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」と定められています。つまり,帰化申請を進める際は,生計要件に関しては「世帯ごと」に審査されるということです。そのため,帰化申請者本人が無職であったとしても,ご家族の方の協力を得ることができるのであれば,帰化許可取得の可能性はあります。

Q4.無職でも帰化許可の取得は可能でしょうか。

A4.帰化申請の生計要件は,国籍法第5条第4項で定められている生計要件は世帯収入としての審査になります。

帰化申請者が無職で単身世帯,かつ,その他親族等からの仕送りが無い場合,国籍法第5条第4項の要件を満たしていないということになり,帰化許可取得の見込みは原則ありません。

他方,帰化申請者本人は無職,配偶者が給与所得者の2人世帯の場合は,帰化申請することができる可能性があります。

なぜなら,帰化申請者が無職であったとしても,同居親族の収入や親族からの資金援助等によって生計要件を満たしていれば,帰化許可の取得は可能だからです。

Q5.私は母子家庭であり,収入が少なく児童扶養手当を受給していますが,帰化許可の取得は可能でしょうか。

A5.実は,収入が少ない方にとっては,児童手当や児童扶養手当を受給していることはプラスの判断材料になる可能性があります。なぜなら,たとえ児童手当や児童扶養手当であったとしても,生計要件充足のための一資料になるからです。

なお,この場合,帰化申請の際に,児童手当決定通知書の写しや児童手当等が振り込まれている通帳の写しを提出する必要があります。

Q6.私は現在生活保護を受給していますが,帰化許可の取得は可能でしょうか。

A6.稼働能力がある方が生活保護を受給している場合,帰化許可の取得は極めて難しいです。帰化許可取得に関して,生活保護の要件はありませんが,生活保護を受給している場合には,国籍法第5条第4項で定められている生計要件に該当しないケースが多いからです。

そのため,生活保護に至った経緯など,慎重に検討をする必要があります。

なお,帰化申請者が生活保護を受給していなくても,日本に住んでいる親族で生活保護を受給している人がいる場合は,生活状況及び仕送り状況等を鑑みて,慎重に判断していくことが必要になります。

Q7.私は,国民年金に未納期間があります。帰化申請を行っても許可になる可能性はないでしょうか。

A7.帰化申請において,過去に国民年金の未納期間がある場合,必ずしも帰化申請が不許可になるわけではありませんが,許可の可能性は下がります。国民年金に未納期間のある方が帰化許可申請をするためには,実務上,過去の未納分について,支払可能期間分は納付し,領収書を提出する等して保険料を支払っていることを証明する必要があります。

ただし,所得金額が一定基準以下の方については,免除・減免手続きや納付猶予手続きを行うことが可能です(この場合,免除・減免に係る証明書や納付猶予に係る証明書を提出する必要があります)。当該手続きを行っていれば,未納と判断されることはありません。

この際に注意すべきは,帰化申請における独立生計要件です。たとえ年金の免除・減免を受けること自体が未納と判断されなくても,独立生計要件に問題ありと判断される恐れがありますので,その他の要件も考慮し,総合的な判断をする必要があります。

Q8.私は配偶者の扶養に入っており,一度も自分自身で年金を支払ったことがありませんが,帰化許可の取得は可能でしょうか。

A8.申請者の配偶者が社会保険に加入しており,申請者が国民年金3号被保険者として手続きを行っている場合,年金手続きを行っている資料を提出すれば,未納と判断されることはなく,帰化許可取得は可能です。

もちろん,年金加入の手続きを行っていない場合は不許可になる可能性がありますので,ご自身で帰化許可申請の手続きを進められる際は,ご自身の加入状況の把握は必須です。

Q9.私は正社員ですが,会社が社会保険に加入していないため,私自身も社会保険には加入できていません。このような状況でも,帰化許可を取得することは可能でしょうか。

A9.正社員の方が社会保険に加入していない場合,適正に手続きを行う必要があります。しかし,社会保険に加入していない理由が会社都合の場合は,必ずしも社会保険に加入していなければならないということではありません。

社会保険の代わりに国民健康保険及び国民年金に加入していることを示すことができれば,帰化許可取得は可能です。

Q10.私が代表として経営している法人は,社会保険への加入義務があるにもかかわらず未加入です。そのため,私は国民健康保険と国民年金に加入しています。私は帰化許可の取得は可能でしょうか。

A10.ご自身が経営をしている会社が法人であり,社会保険の強制適用事業所であれば,社会保険への加入手続きを行わなければなりません。

そして,社会保険加入の手続き中であることを証明する書面を提出すれば,帰化許可申請を進めていくことは可能です。