松原 桃子

帰化申請にかかる期間について帰化の専門家が解説!

帰化申請にかかる期間について帰化の専門家が解説!

日本国籍を取得する手続き「帰化許可申請」は,いったいどれぐらいの期間で許可が出るのかご存知ですか?
帰化許可申請は行政手続きの一種ではありますが,法務省から正式な『これぐらいの期間でやります』という標準処理期間が定められていません。そのため,申請人の在留資格や身分,申請する法務局の混雑状況などで審査期間の長短が生じます。
『結婚する前に帰化したい』『就職する前に帰化したい』など,ある特定のタイミングまでに帰化したいと考えている方もいらっしゃると思います。希望する時期までに許可を取りたい方は,早めに準備を進めましょう。
このコラムでは,帰化申請の許可が出るまでの期間について,帰化申請を専門に扱う行政書士法人のプロがわかりやすく解説します。

このコラムでわかること

  • 帰化許可申請の準備から許可までにかかる期間の目安

1.帰化申請の許可が出るまでにかかる期間はどれぐらい?

管轄の法務局へ帰化許可申請を行って,官報に掲載される(=許可となる)までにかかる期間は,概ね1年程度です。いま持っている国籍から離脱して,日本国籍を取得する手続きですので,入管局でのビザ申請よりも慎重な審査となるため時間がかかります。
ただ,冒頭でも述べた通り,在留資格や身分などによって審査期間は前後します。

当社でサポートさせていただいたお客様の事例

  • 永住ビザを保有している方が1人で帰化申請:1年程度で許可
  • 日本人の配偶者等ビザを保有している方が1人で帰化申請:1年程度で許可
  • 特別永住者の方が1人で帰化申請:8ヶ月程度で許可

審査期間は上記の通り「概ね1年程度」ですが,帰化申請の場合,法務局で申請が受付になるまでの「準備期間」にもそれなりに時間がかかります。本国や役所から取り寄せる書類が多い方だと,準備期間に数か月かかる場合もあります。トータルで見ると,帰化申請は1年以上かかる手続きになります。

2.帰化申請にかかる期間の内訳を流れに沿って理解!

ここからは,帰化申請の流れに沿って,どれぐらい期間がかかるのか見ていきましょう。

【Step①】管轄の法務局へ相談予約を入れる(スタート)

まずは,現在お住まいの住所地を管轄する法務局へ,帰化申請の事前相談を予約します。
帰化申請の事前相談は予約制となっており,混雑状況によって予約が取れる時期が変わります。人口が多い東京などでは2~3ヶ月待ちになる場合もあります。逆に人口が少ない法務局では,事前相談できる日が毎日ではなく,「毎週火曜日の午前中」のように決められている場合もあります。
まずは,管轄の法務局へ電話して空き状況を確認してみましょう。

【Step②】予約した法務局にて事前相談

予約した日時に法務局へ行って,事前相談をします。
ここで,帰化申請で提出が必要な書類について説明を受けられます。
何かわからないことや聞きたいことがあれば,このときに質問しましょう。聞きたいことを漏れなく確認できるように,あらかじめメモなどを用意しておくといいかもしれません。

【Step③】帰化申請に必要な書類を収集

事前相談で必要書類のリストがもらえたら,そのリストに沿って書類を準備します。
必要書類には以下の3タイプがあります。

①手元にある(あるはずの)書類
②役所から取り寄せる書類
③作成する書類

①は,大学の学位記や日本語能力試験の合格証,過去のパスポート,日本の運転免許証などです。
普段からよく使うものであればコピーを取るだけなのですぐ用意できると思いますが,学位記や過去のパスポートなどは探す必要があるので時間がかかるかもしれません。

②は,日本の市役所や税務署,法務局などで取り寄せる書類と,本国で発行される書類などです。
日本にある大使館や領事館では発行できない本国書類もあり,本国にいる親族などに取得を依頼しなければいけない場合もあります。役所から取り寄せる書類には通常,有効期限が設定されています。『本国書類の取り寄せに時間がかかりすぎて,先に取得した日本の役所書類の有効期限が切れてしまった…』のようなことも珍しくありません。
このStep②で時間がかかりすぎてしまい,帰化申請を諦める方もいらっしゃいます。計画的に取得していけるかどうかがひとつポイントになります。

【Step④】帰化申請書類の作成

必要書類が揃ったら,帰化の申請書類を作成します。
申請書類には法務省指定のフォーマットがありますが,このフォーマットはデータではなく「紙」で渡されます。このため,手書きで記入するか,紙を見ながらWord等の文書作成ソフトでそっくりに作成していく必要があります。
このStep③も,書き方がわからず時間がかかってしまう方が少なくありません。もちろん,法務局で書き方を教えてもらえますが,それにも予約が必要です。混雑している法務局では,書類の書き方相談でも1ヶ月以上先になってしまう場合があります。

【Step⑤】法務局で帰化申請の受付

〔スタートから1~2ヶ月〕
すべての必要書類が揃ったら,法務局へ申請予約を入れて,書類一式を持参します。
なお,法務局によっては「法務局で書類一式のチェックを受けてからでないと申請予約が取れない」という運用にしているところもあります。
この場合は,申請予約の前にチェック予約を入れて,チェックがOKになったら改めて申請の予約を入れるという流れになり,1~2ヶ月長くなります。

【Step⑥】法務局で面接

〔スタートから3~4ヶ月〕
帰化申請が受付となってから2ヶ月ほど経過すると,担当官から面接の連絡があります。
指定された日に法務局へ行って,面接を受けます。

【Step⑦】法務省に回付され審査

面接が終わると,法務局から法務省本省へ書類一式が回付され,法務省でも審査されます。
ここから10ヶ月近く審査期間となります。

【Step⑧】帰化許可の連絡

〔スタートから13~14ヶ月〕
帰化申請が許可になると官報に掲載され,担当官から直接連絡があります。
この時点で,日本国籍は「取得済」となります。

【Step⑨】市役所で帰化手続き

法務局からの「帰化者の身分証明書」を持参して,市役所で戸籍編成の手続きを行います。
もう外国人ではありませんので,在留カードは入管局へ返納します。

以上が,流れと期間の内訳です。
トータル1年以上かかることがイメージできましたでしょうか。

3.審査期間が長引かないように注意すべきこと

帰化申請で審査の対象となるのは,提出した書類と法務局での面接内容だけではありません。
審査期間中の生活態度も審査の対象になります。

生活態度とは
出国の有無,交通違反の有無,転職の有無,結婚・離婚の有無 …など,
申請人の生活全般に関わることを指します。

帰化申請後,結果を受領するまで審査は続いています。
帰化申請後に出国が極端に多い場合は,その分審査が重ねて行われるため,結果受領が遅くなる可能性があります。また,数ヶ月連続で出国している場合は,不許可処分になる可能性もあります。
そのため,帰化申請後の生活態度は,審査期間はもちろん,結果にも影響する可能性があります。出国や転職は,ご自身でコントロールすることが難しいケースもありますが,なるべく帰化申請後に生活を大きく変えないようにされることをお勧めします。

4.期間をできるだけ短くするには?

トータル1年以上かかってしまう帰化申請ですが,申請前の「準備期間」であれば短縮することも不可能ではありません。
この準備期間の短縮に効果的なのが,行政書士にサポートを依頼することです。行政書士であれば申請書類の作成や,日本の役所から公文書を取得するお手伝いができます。また,法務局によっては,行政書士が作成した書類であれば初回相談でチェック~受付まで一気に進めてもらえる場合もあります。
ただ,行政書士に依頼する場合は,帰化申請に精通した行政書士に依頼してください。申請書の作成方法や必要書類の集め方に精通した行政書士であれば,準備期間をグッと短縮できることでしょう。

5.帰化申請にかかる期間についてまとめ

帰化申請にかかる期間について解説しましたが,イメージできましたでしょうか。
まとめると,

  • 書類の準備:1~2ヶ月
  • 申請から面談まで:2~3ヶ月
  • 面接から許可の連絡まで:10ヶ月
  • 【合計】12ヶ月~15ヶ月ほど

ということになります。
実際は,法務局の混雑状況や申請人やご家族の状況などによって期間は変動します。
2023年以降,東京や大阪など大都市部では期間が大幅に長引く傾向が続いています。帰化申請を検討されている方は,早めに動かれたほうがいいかもしれません。

行政書士法人第一綜合事務所では,大阪・東京を中心に帰化申請のサポートを行っております。
初回のご相談は無料ですので,お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 松原 桃子

・日本行政書士会連合会(登録番号第24261750号)
・大阪府行政書士会(会員番号第8991号)
兵庫県出身。大阪オフィスに所属し,日本国籍を取得するための帰化許可申請業務を専門としている。

ご相談は無料です。
お気軽にご相談ください。