【2026年10月1日から】家族滞在の方がパチンコ店で働けるように?「個別許可」の要件を行政書士が解説

日本の国際化が進むにつれ、日本で働く外国人のご家族(配偶者やお子さん)が家族滞在ビザで生活するケースが増加しています。そうしたご家族の多くが、生活費の足しや社会参加のためにアルバイトを希望されていますが、実はビザのルール上、「どんな仕事でも自由にできるわけではない」という大きな制限が存在します。
特にこれまで、パチンコ店やスナックといったいわゆる「風俗営業」関連の店舗では、アルバイトをすることが一律で禁止されていました。
しかし、令和8年(2026年)10月1日より、このルールに大きな転換が訪れました。一定の条件を満たし、入管から「個別の許可」を受けることで、家族滞在の方がパチンコ店等の遊技場営業店舗でアルバイトできるようになりました。
「家族滞在の人がパチンコ店で働けるようになったって本当?」「どのような手続きや注意点が必要なの?」「店舗側は何に気を付ければいいの?」とお悩みの方やホール企業の採用担当者様に向けて、今回の制度改正・運用緩和のポイントを、入管業務専門の行政書士の視点からわかりやすく解説いたします。
Index
1.在留資格「家族滞在」とは?
まずは入管法)における「家族滞在」という在留資格の本来の目的と位置づけについて整理しておきましょう。
(1)「家族滞在」ビザの対象者と目的
在留資格「家族滞在」は、日本で就労資格(例えば「技術・人文知識・国際業務」や「教授」「経営・管理」など)をもって在留する外国人、あるいは「留学」の在留資格で学ぶ方の扶養を受ける配偶者または子に付与されるビザです。
ポイントは以下の通りです。
- 対象者:
扶養者(本体者)の「配偶者」または「子」に限られます(親や兄弟姉妹は含まれません)。 - 活動内容:
「扶養を受ける者として行う日常的な活動」と定められています。
つまり、家族滞在ビザは「日本で働く扶養者と一緒に暮らし、扶養を受けながら日常生活を送るため」に用意された在留資格なのです。
(2)原則として「就労禁止」
入管法上、外国人が日本で行うことができる活動は在留資格ごとに厳密に定められています。
「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを持つ人は、その専門分野で働くことが認められていますが、「家族滞在」ビザは「扶養を受けること」を前提としているため、原則として収入を伴う事業を運営したり、報酬を受ける活動(就労・アルバイト)を行ったりすることは禁止されています。
もし許可を得ずに働いて給料を受け取ってしまうと、入管法違反(資格外活動違反・不法就労)となり、最悪の場合は在留資格の取り消しや退去強制(強制送還)の対象となってしまいます。
2.アルバイトをするための「資格外活動許可」
「では、家族滞在の人は一切働けないの?」と思われるかもしれませんが、もちろん例外(救済措置)が存在します。それが「資格外活動許可」です。
(1)「資格外活動許可」とは?
家族滞在ビザを持つ方が、本来の活動(日常生活)の遂行を阻害しない範囲で、生活費や学費の補填などのためにアルバイトを行いたい場合、入管へ申請して「資格外活動許可」を取得することができます。
一般的に申請される資格外活動許可は「包括許可」と呼ばれ、一度許可を受けると、以下のルールのもとでアルバイトが可能になります。
- 労働時間の上限:
週28時間以内(複数のアルバイトを掛け持ちする場合も、全ての合計で週28時間以内) - 就労先:
特定の1社に限定されず、一般的なアルバイト先であれば変更可能
これにより、コンビニエンスストア、飲食店(居酒屋・ファミレス等)、スーパー、ホテル清掃、倉庫作業など、さまざまな場所で多くの家族滞在の方が活躍されています。
(2)包括許可では禁止されている「風俗営業」の範囲
包括許可を取得すれば基本的には自由にアルバイト先を選べますが、入管法施行規則第19条第5項第1号により、明確に一律禁止されている業種がありました。
それが、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」に規定する営業所での就労です。
具体的には、以下のような店舗・業種でのアルバイトは一切禁止されていました。
- 風俗営業(風営法第2条第1項)
- パチンコ店、スロット店、麻雀店、ゲームセンター等(遊技場営業)
※2026年10月1日から「個別許可」により就労可能 - キャバクラ、スナック、ホストクラブ、バー(接待飲食等営業)
※2026年10月1日以降も禁止
- パチンコ店、スロット店、麻雀店、ゲームセンター等(遊技場営業)
- 性風俗関連特殊営業…店舗型・無店舗型性風俗(ソープランド、デリヘル等)
- ※2026年10月1日以降も禁止特定遊興飲食店営業…深夜に客に遊興させ、酒類を提供するクラブやライブハウス等
※2026年10月1日以降も禁止
(3)なぜ「ホール清掃」や「カウンター接客」も禁止対象だったのか?
「パチンコ店で玉出しやカウンターの景品交換、フロアの清掃をするだけなら関係ないのでは?」と考えがちですが、これまでの入管法規則では「風俗営業が営まれている営業所において行う活動全般」が禁止対象とされていました。
そのため、職種(ホールスタッフ、清掃員、調理補助など)にかかわらず、従来は「パチンコ店の店舗内で働くこと自体がアウト」という厳しい運用がなされていたのです。
しかし、こうした従来の画一的な制限が見直され、事前の手続きを踏むことでパチンコ店等での就労が正式に認められるようになりました。
次章では、新たにスタートした「個別許可制度」の詳しい要件や手続きの流れを解説します。
3.【2026年10月1日解禁】パチンコ店で働けるようになる!新制度「個別許可」の解説
こうした従来の厳しい規制に対し、入管から大きな運用の変更が発表されました。
(1)何が変わるのか?(令和8年10月1日施行)
令和8年(2026年)10月1日より、在留資格「家族滞在」の方が、入管から「資格外活動の個別許可」を受けることで、遊技場営業店舗(パチンコ店、スロット店、麻雀店、ゲームセンター等)でアルバイト(娯楽場等接客員など)をすることが可能となります。
人手不足が深刻化する遊技業界や、働く選択肢を広げたい外国人にとって、朗報と言えます。
(2)「包括許可」ではなく「個別許可」が必要!
ここで注意しなければならない重要ポイントがあります。
現在すでに「週28時間以内 OK」の資格外活動許可を持っている人であっても、自動的にパチンコ店で働けるようになるわけではありません。
パチンコ店等の遊技場営業店舗で働くためには、勤務先の店舗をあらかじめ定めた上で、入管へ「個別許可」を申請し、事前に許可を得る必要があります。
(3)個別許可を受けるための「5つの要件」
入管の公表によると、個別許可を受けるためには以下の要件をすべて満たす必要があります。
要件①:一般原則への適合
「家族滞在」本来の日常的な活動の遂行を妨げるものではないこと(あくまで家庭生活、扶養関係が主であり、アルバイトが従であること)。
要件②:法令違反がないこと
申請に係る活動が、刑事・民事を問わず法令に違反すると認められる活動に当たらないこと。
要件③:風営法上の正しい許可店舗であること
アルバイト先が、風営法第3条第1項に規定する風俗営業のうち、「第2条第1項第4号および第5号の営業」の許可を受けている店舗であること。パチンコ店、スロット店、麻雀店、ゲームセンターなどがこれに該当します。
要件④:誓約書の提出(事業者・申請人双方)
雇用する事業者と、働く外国人本人の双方が、決められた誓約事項を遵守する旨の誓約書(参考様式)を提出すること。
- 外国人雇用状況の届出など、労働法規・法令上の規定を遵守すること
- 雇用した外国人に対し、特定在留カードの取得を推奨すること
- 複数のアルバイトを行っている場合は、すべての資格外活動の合計時間が週28時間以内であることを定期的に確認すること
【申請人(外国人本人)の主な誓約事項】
他のアルバイトも含め、すべての労働時間を合算して週28時間以内を厳守すること
要件⑤:労働時間が週28時間以内であること
包括許可・個別許可を問わず、行っているすべての資格外活動の合計時間が1週について28時間以内であること。
(4)アルバイト開始までの流れと手続き
実際にパチンコ店でアルバイトを始めるまでのステップは以下の通りです。
↓
【Step 2】資格外活動許可(個別許可)の申請準備・必要書類の作成
↓
【Step 3】入管へ「資格外活動許可申請」
↓
【Step 4】審査・個別許可の交付(在留カード等への記載)
↓
【Step 5】アルバイト開始
申請時に必要な提出書類一覧
個別許可の申請にあたっては、主に以下の6種類の書類が必要となります。
- 資格外活動許可申請書
- 活動内容や活動時間、報酬等について説明した文書(任意様式)
- 勤務先作成用の誓約書(参考様式)
- 申請人作成用の誓約書(参考様式)
- 要件に適合することを証する活動先に係る営業許可証等
- その他の資格外活動状況を説明する文書
4.事業者(パチンコホール企業)が押さえるべき雇用管理の注意点
今回の運用緩和は、人手不足に悩むパチンコホール業界にとって新たな人材を確保する大きなチャンスとなります。しかし、受入れ側となる事業者には厳格なコンプライアンス管理が求められます。
不法就労トラブルを防ぎ、安心して外国人スタッフを雇用するために、事業者が特に押さえておくべきポイントを整理しました。
(1)労働時間の「合算管理」を定期的に行う
「家族滞在」のアルバイト時間上限である「週28時間以内」は、自店舗での勤務時間だけでなく、他社でのアルバイト時間も含めた合計時間です。事業者は、採用時だけでなく雇用期間中も定期的に、対象の従業員が他でアルバイトをしていないか、合算して週28時間以内に収まっているかを定期的に確認する義務があります。
(2)許可前のフライング就労は「不法就労助長罪」リスク
注意すべきなのは、「雇用契約を結んだから」「申請を出したから」といって、入管の許可が出る前にシフトに入れてしまうケースです。
個別の資格外活動許可が出る前に働かせてしまうと、外国人は不法就労となり、事業者側も「不法就労助長罪」に問われるおそれがあります(詳しくは不法就労助長罪とは?罰則や企業がすべきことを専門家が解説!をご参照ください)。必ず許可が交付されたことを確認した後に勤務を開始させてください。
(3)法令上の届出と特定在留カードの取得推奨
外国人労働者を雇用・離職した際は、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が義務付けられています。
また、前述のように、事業主の誓約事項として、雇用した外国人に対して「特定在留カード」の取得を推奨することなどが定められています。適切な雇用管理体制を整えておくことが、自社を守ることにつながります。
特定在留カードについて詳しくは【2026年6月】特定在留カードで在留更新の「二度手間」を解消!入管のあとに市役所へ行く必要がなくなる本当のメリットをご参照ください。
5.家族滞在ビザのパチンコ店等の就労解禁まとめ
令和8年(2026年)10月1日からスタートする「家族滞在ビザの方のパチンコ店等での就労解禁」について、ポイントを最後におさらいしましょう。
従来の「一律禁止」から、事前に申請して「個別許可」を取得することで、パチンコ店等の遊技場店舗でのアルバイトが可能になります。
対象店舗
風営法上の第2条第1項第4号・第5号の許可を受けた遊技場営業店舗(パチンコ店、スロット店、麻雀店等)に限られます。
注意すべきルール
包括許可を持っている方でも改めて「個別許可」の申請が必要です。また、他社を含めた全アルバイトの合計時間が「週28時間以内」であることや、事業者・本人双方による誓約書の提出が求められます。
手続きの鉄則
申請から許可までは一定の時間がかかります。必ず「許可が交付されてから」勤務を開始してください。
今回の見直しにより、外国人のご家族にとっては就労の選択肢が広がり、ホール企業にとっては意欲ある人材の採用機会が広がります。
一方で、個別許可の申請手続きや事前の要件確認、雇用後の労働時間管理など、実務上で注意すべきポイントも多岐にわたります。
「自店舗の営業許可が要件を満たしているか確認したい」
「申請書類や誓約書の作成方法がわからない」
「外国人雇用の管理体制を見直したい」
とお悩みの店舗様や外国人の方は、ぜひ入管業務を専門とする行政書士法人第一綜合事務所へご相談ください。




