特定技能「物流倉庫」追加!2027年開始の要件と派遣禁止の注意点を行政書士が解説

「求人を出しても反応がない」「繁忙期,派遣スタッフの確保すら難しくなっている…」といった切実な悩みを,物流倉庫の現場でお持ちではないでしょうか。
EC市場の拡大と「物流2024年問題」の影響を受け,倉庫業における人手不足は,もはや経営の根幹を揺るがす深刻な課題です。こうした状況を打破すべく,日本政府は大きな舵を切りました。
2026年1月23日,特定技能制度の対象に,待望の「物流倉庫」分野の追加が閣議決定されました。
この決定により,これまで「製造業」などの枠組みでの受け入れが主流だった倉庫作業において,正面から外国人材を雇用する道が明確に開かれます。ただし,新制度には「派遣禁止」や「DX要件」など,従来の雇用慣行とは異なる「独自のルール」が多数盛り込まれています。
本記事では,外国人ビザ申請の専門家である行政書士の視点から,2027年4月の施行に向けた最新スケジュール,そして絶対に踏んではいけない「落とし穴」を分かりやすく解説します。
Index
1.特定技能に「物流倉庫」分野が追加!【2027年4月施行予定】
特定技能制度は全19分野へと拡大されることになりました。物流倉庫での外国人材の受け入れを検討する際,まず把握すべきは「いつから,どれくらいの規模で」制度が始まるのかという全体像です。
(1)2026年1月閣議決定から就労開始までの流れ
2026年1月23日の閣議決定を経て,現在は2027年春の本格始動に向けた準備フェーズに入っています。
具体的なタイムラインは以下の通りです。
| 時期 | 内容 |
| 2026年1月23日 | 【完了】閣議決定。物流倉庫分野の追加が正式決定。 |
| 2026年度中 | 省令・告示の整備。技能試験および日本語試験の開始。 |
| 2027年4月 | 【施行】実際の就労開始(入国・配属)。 |
ここで注意が必要なのは,2027年4月になってから動くのでは遅いという点です。 特定技能ビザを取得するには,雇用契約の締結や登録支援機関との連携,入管への申請など,多くの準備期間が必要です。
※入管への申請期間の目安は他分野の実績から2〜3ヶ月程度ですが,新設分野のため余裕を持った体制整備が欠かせません。
(2)受入上限は3年間で11,400人。早期準備が鍵となる理由
政府は,2026年度からの3年間で,物流倉庫分野における受入上限数を「11,400人」と設定しました。
全国の倉庫業・運送業の事業所数を考えると,決して余裕のある枠ではありません。 このため,早い段階で「枠」の争奪が予想されます。
- 「育成就労制度」との連携: 新設される育成就労制度(旧・技能実習に代わる制度)からの移行も見込まれており,限られた枠を争うことが予想されます。
- 物流DXへの対応: 今回の改正の目的には「物流の効率化(DX)」が含まれています。ITシステムの利活用という要件に対応できる「質の高い人材」は限られているため,早期に受け入れ体制を整えた企業による確保競争が激化する
ことが予想されます。
枠が埋まってしまえば,どれほど人手が足りなくてもビザの許可は下りません。まずは制度を正しく理解し,自社が要件を満たせるか確認することが,2027年4月のスタートダッシュを決める絶対条件です。
2.自社は対象?受入可能な企業・事業所の要件とは?
「うちは大手倉庫の一部を借りて作業している下請けだけど,対象になるの?」「運送免許はあるけれど,倉庫業の登録はしていない……」
こうした疑問をお持ちの経営者・人事担当者の方は多いはずです。今回の特定技能「物流倉庫」分野は,門戸が広がった一方で,どの箱(事業形態)で申請するかが非常に厳格に定められています。
(1)倉庫業者・運送業者・受託事業者の3区分を徹底解説
新制度において,特定技能外国人を受け入れられる企業は,大きく以下の3つのいずれかに該当する必要があります。
1. 倉庫業者: 倉庫業の登録を受けた倉庫業者で,倉庫作業を自ら実施する事業者。
2. 貨物自動車運送業者: 自ら運送業の許可を持ち,その事業に附帯して倉庫内作業を行っている事業者。
3. 受託事業者: 上記1の「倉庫業者」から委託を受けて, 当該倉庫業者の占有する倉庫において作業を実施する事業者(いわゆる構内荷役会社など)。
(2)「構内荷役(下請け)」でも受入可能。ただし「協議書」が必須に
下請け・孫請けとして倉庫内作業を請け負っている企業にとって,今回の改正は大きなチャンスです。しかしながら,行政書士の実務目線で最も注意すべきは,「従来との違い」です。
それは,委託元と締結する「雇用の継続性に関する共同責任の協議書」の提出が求められる点です。
従来の就労ビザ申請では,自社の雇用契約書や決算書が中心でしたが,物流倉庫分野では以下の点が厳しくチェックされます。
- 契約の安定性: 元請けとの契約が突然打ち切られ,外国人が路頭に迷うリスクはないか。
- 共同責任の明文化: 万が一,受託事業者が倒産等をした場合,委託元も雇用の継続について協力的な姿勢を見せているか。
この「協議書」は,単なる事務的な書類として扱えません。元請け企業との権利義務関係に関わるため,「元請けにどう説明し,納得して判を押してもらうか」という高度な調整が必要不可欠です。もしここを疎かにすると,入管の審査で「雇用の安定性なし」と判断され,不許可となるリスクがあるのです。
申請時には,事業所が要件(倉庫業の登録やその委託など)を満たしていることを客観的に証明する書類の提出が求められることが予想されます。単に「倉庫として使っている場所」というだけでは要件を満たさない可能性があるため,厳密な確認が必要です。
3.【重要】特定技能「物流倉庫」で絶対に注意すべき3つの制約
「繁忙期の1ヶ月だけ人数を増やしたい」「今まで通り,派遣会社からスタッフを回してもらえばいいのでは?」
もしそうお考えであれば,少し立ち止まってください。特定技能「物流倉庫」分野には,これまでの業界の常識を覆す「3つの厳しい制約」が存在します。これらを知らずに計画を立ててしまうと,ビザが不許可になるだけでなく,コンプライアンス違反に問われるリスクすらあります。
(1)人材派遣はNG!「直接雇用・フルタイム」が絶対条件
物流現場の多くは,季節変動や荷物量に応じた「人材派遣」によって支えられています。それにもかかわらず,特定技能「物流倉庫」では,派遣労働による受け入れは一切認められていません。
- 改正の目的: 外国人労働者の権利を守り,中長期的なキャリア形成を支援するため,雇用主が責任を持つ「直接雇用」を前提としています。
- 実務上の違い: 従来のように派遣会社へ「明日〇〇人お願いします」といった柔軟な調整はできません。日本人と同等以上の給与額の証明や,社会保険への加入,適切な労働時間の管理が厳格に求められることになります。
(2)単純作業だけでは不可。WMS(倉庫管理システム)等の利用が必須条件に
「とにかく人手が足りないから,荷物を運ぶだけの作業を任せたい」というニーズは多いですが,国は今回の追加を認めた背景に「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」という意図を持っています。
- 求められる業務内容: ピッキング,仕分け,梱包といった保管作業に加え,ハンディターミナルを用いたWMS(倉庫管理システム)の操作や,在庫管理データの入力といった「管理補助」への従事やシステムの利活用が,要件として課されます。
- 審査のポイント:ITシステム(これに準ずるシステムを含む)の利活用と,それらと連携した省力化・労働安全衛生向上に資する機器・システムの継続的な利活用が「特定技能所属機関の条件」として明記されました。完全なアナログの現場では要件を満たさないため,システム利活用を前提とした現場構築が不可欠です。また,単にシステムを導入するだけでなく,特定技能協議会の入会から概ね1年を目途に,その利活用の状況を協議会へ報告し,確認を受けることも義務付けられています。
(3)フォークリフト免許の取得と「日本語」の壁
物流倉庫の即戦力として欠かせないのがフォークリフトの操作です。特定技能外国人もフォークリフト業務に従事できますが,ここには大きなハードルが立ちはだかります。
- 免許取得の難易度: 国内でフォークリフトを運転するには,日本の技能講習を修了し,学科試験をクリアする必要があります。
- 日本語の壁: 試験は基本的に日本語で行われます。日常会話レベルの日本語能力があっても,専門用語が並ぶ学科試験に落ちてしまうケースは少なくありません。
「フォークリフトが使えないと現場が回らない」という企業様は,入国前からフォークリフトの専門用語を重点的に学習させるなど,独自の教育カリキュラムを組む必要があります。
行政書士法人第一綜合事務所では,こうした「入国後の定着」を見据えたアドバイスも行っています。お気軽に無料相談をご利用ください。
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4.物流倉庫での「特定技能」活用がビジネスにもたらすメリット
「派遣スタッフが定着せず,教育コストばかりがかさんでいないか?」
「現場が常に『今日の人員』を回すことだけに必死になっていないか?」
こうした自転車操業の状態から脱却したいと願う経営者の方にとって,特定技能の導入は単なる人手不足の補填以上の価値を持ちます。厳しい要件をクリアしてでも,今この制度に取り組むべき「攻めのメリット」を整理しましょう。
(1)“2024年問題”の解決と長期安定雇用の確保
物流業界を揺るがしている「2024年問題」の本質は,労働時間の制限によって,これまで通りのやり方では荷物が回らなくなることです。ここで特定技能外国人材が大きな武器になります。
- 最長5年の安定就労: 特定技能1号は最長5年の在留が可能です。派遣労働のように「明日から来なくなる」リスクを抑え,自社の戦力として長期的に育成できます。
- 「戦力」としての育成: 直接雇用だからこそ,社内のノウハウをしっかりと伝承でき,自社の戦力として長期的なキャリア形成を支援できる点も強みです。
(2)業務マニュアルの標準化・多言語化による生産性向上
「外国人を受け入れるのは手間がかかる」と思われがちですが,逆にこれが「現場のムダ」を削ぎ落とす絶好のチャンスになります。
| メリットの項目 | 具体的な効果 |
| 業務の「見える化」 | 外国人に教えるために曖昧な手順を言語化することで,日本人にとってもミスが少ない現場に変わります。 |
| 多言語マニュアルの整備 | 多言語マニュアルの作成や業務手順の言語化が進むことで,結果として現場のオペレーションが高度に標準化されることが期待できます。 |
| DX化の推進 | 要件として検討されている「システム利用(WMS等)」などを導入することで,結果として在庫管理の精度向上やペーパーレス化に繋がることが期待できます。 |
特定技能外国人材の受入れは,いわば「現場のOSを最新にアップデートする」行為です。アナログな管理から脱却し,誰が作業しても高い品質を保てる「強い倉庫」へと進化するきっかけになるのです。
5.なぜ特定技能「物流倉庫」のビザ申請は専門家へ相談すべきか
「制度の概要はわかったけれど,結局うちの現場で何から手をつければいいのか……」
「入管のホームページを読んでも,専門用語ばかりで具体的な準備が進まない」
そんな焦りを感じていませんか?
特定技能「物流倉庫」はこれから新設される分野であり,スタート直後は入管の審査官も慎重に書類をチェックすることが予想されます。ここでは,自力で申請する場合の「高い壁」と,行政書士法人第一綜合事務所が提供できる「解決策」を対比してご紹介します。
(1)複雑な「契約スキーム」と「DX要件」を突破するプロの視点
物流倉庫分野の申請には,他の分野にはない独自の難所がいくつも存在します。
| 想定されるハードル(自力申請のリスク) | 第一綜合グループに依頼する「真の利点」 |
| 元請けとの「協議書」作成の停滞: どのような文言を入れれば元請けの判をスムーズにもらいつつ,入管の要件を満たせるか分からず,準備が止まる。 | 法的根拠に基づいた書面作成: 元請け企業にも納得感のある,責任範囲を明確にした「協議書」のドラフトを作成。取引先との交渉をスムーズにします。 |
| 「DX要件」の解釈ミス: 自社が使っているシステムが「システムの利活用」という要件を満たすか判断できず,要件不適合とされるリスクがある。 | 審査基準を見据えた業務疎明: システムの活用状況を「入管が納得する形」で書面化。どの端末をどう使うのか,実務に即した説明資料を構成します。 |
| 労働法・社会保険の不備:直接雇用への切り替え時,雇用契約書の記載内容等により「日本人と同等以上の報酬等」が明確に証明できず,要件不適合とされるリスクがある。 | 入管・労基署双方に強い体制構築: 特定技能の審査基準と日本の労働法,双方をクリアする雇用契約書・就業規則の適正化をトータルでサポートします。 |
(2)単なる「書類作成」ではない,パートナーとしての支援
私たち第一綜合グループの役割は,単に申請書を作成することではありません。
- 「物流現場のリアル」を理解したアドバイス: 現場の忙しさを理解しているからこそ,担当者様の負担を最小限に抑える効率的なヒアリングを行います。
- 最新情報のキャッチアップ: 2027年4月の施行に向け,国から随時発表される「運用要領」の細かいニュアンスをいち早く解析し,お客様の申請に反映させます。
「とりあえず自分でやってみて,ダメだったらプロに頼もう」という判断は,繁忙期までの貴重な数ヶ月を無駄にし,結果として優秀な人材を他社に奪われることになりかねません。だからこそ,まずはリスクを最小限に抑えるための「地図」を手に入れてください。
6.特定技能「物流倉庫」に関するよくある質問(FAQ)
「結局,うちは何から始めればいいの?」「こんな細かいケースはどうなるの?」 検討段階に入ると,制度の概要だけでは解決できない具体的な疑問が次々と湧いてくるものです。ここでは,当事務所に寄せられることの多いご質問と,今すぐ取り組むべき対策を簡潔にまとめました。
A1. 2027年4月からの就労開始を予定しています。 ただし,2027年4月に「即戦力」として配属するためには,2026年度中に行われる技能試験の合格者を確保し,数ヶ月かかるビザ申請を逆算して進める必要があります。「制度が始まってから探す」のでは,他社に優秀な人材をすべて取られてしまうため,今からの準備を強くお勧めします。
A2. できません。特定技能「物流倉庫」は直接雇用が絶対条件です。人材派遣による受け入れは認められておらず,安定した条件での直接雇用(フルタイム)が必須となります。現在,派遣に頼っている現場は,この機会に「自社雇用への切り替え」に向けた労務規定の整備(就業規則の見直し等)に着手しましょう。
A3. はい,対象になります。 ただし,本文でも触れた通り,委託元(元請け)と「雇用の継続性に関する共同責任の協議書」を締結する必要があります。元請け企業に協力を仰ぐ必要があるため,早めに契約関係の整理を行ってください。
A4. 対象となる企業の主たる事業の内容や,当該業務が全体の業務に占める割合などによって判断されることが予想されます。 現時点では明確な境界線の定義が待たれる状況です。判断を誤ると要件不適合とされるリスクがあるため,詳細が確定次第,専門家へご相談いただくことをお勧めします。
A5. 「単純作業のみ」にならない工夫が必要です。 国の狙いは物流DXの推進です。ハンディターミナルでの検品や在庫管理ソフトへの入力など,何らかのシステム利用を業務に組み込む必要があります。今の作業工程を見直し,「どの部分にシステム操作を組み込めるか」を棚卸しすることから始めてください。
1.現在の業務が「システム利用」を含んでいるか確認する
2.派遣から直接雇用へ切り替えた場合のコストシミュレーションを行う
3.(委託の場合)元請け企業に「特定技能」検討の意向を伝え,協力体制を確認する
7.まとめ:2027年4月のスタートダッシュに向けた次の一手
「2027年なんて,まだ先の話だ」と思っていませんか? あるいは,「要件が複雑すぎて,うちにはハードルが高すぎる」と諦めかけてはいないでしょうか。
特定技能「物流倉庫」分野の追加は,物流業界にとって「人手不足」という慢性的な病を治療するための特効薬になり得ます。しかし,薬に必ず「用法・用量」があるように,この制度も正しく活用しなければ,不許可やコンプライアンス違反という副作用を招きかねません。
今回の重要ポイントを改めて振り返りましょう。
- 2027年4月施行: 準備(社内規定整備や試験対策)は2026年からスタートします。
- 派遣利用は不可: 直接雇用への転換と,それに見合う労務管理体制が必要です。
- DX・システム要件: 単純作業だけではない,付加価値の高い現場作りが求められます。
- 「協議書」の壁: 委託・受託の関係性を入管に証明する高度な書類作成が必要です。
「3年間で11,400人」という限られた枠を奪い合う椅子取りゲームは,すでに始まっています。優秀な外国人材は,制度を熟知し,受け入れ態勢をいち早く整えた企業へと流れていきます。
まずは「無料で要件診断」から始めましょう
行政書士法人第一綜合事務所では,「自社が特定技能を受け入れられる条件を満たしているか」の無料診断を随時実施しています。
- 「うちはこの事業形態で申請できる?」
- 「今のWMS(システム)で要件はクリアできる?」
- 「直接雇用に切り替えた場合の契約書はどう作ればいい?」
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