2024.05.09 藤澤 勇來 帰化申請帰化家族全員家族一緒家族同時 帰化申請は家族全員でするもの?専門行政書士が解説! 1.帰化申請は家族全員でしないとダメ? 日本に家族がいる方の帰化申請は,必ずしも家族全員で行う必要はありません。成人していて,帰化の条件をクリアしているのであれば,単独で帰化申請することも可能です。 ただ,もしご家族のみなさんが「帰化したい」と考えているのであれば,単独よりも家族全員で同時に帰化申請することをおすすめします。なぜなら,家族全員で帰化申請するほうが,メリットが多いためです。 2.家族全員で帰化申請するメリットとは? 家族全員で帰化申請する場合のメリットは大きく3つあります。 【メリット1】家族全員分の戸籍が作れる 外国籍の方は,日本の戸籍に入ったり,新たに作ったりすることができません。しかし,帰化して日本人となった場合には戸籍が作られます。家族全員で一緒に帰化申請した場合,全員で同じ戸籍に入ることができます。個別に帰化申請した場合は,戸籍も個別に作られるため,同じ戸籍にしたい場合は別途入籍の手続きが必要になってしまいます。 【メリット2】成人していない子も帰化申請できる 通常の帰化申請では「能力条件」というものがあり,母国の成人年齢に達していないと帰化申請できません。ただ,これには例外があり,父または母と一緒に帰化申請する場合であれば未成年でも申請できます。これは,父または母の帰化が許可されれば,その子は「日本国民の子」となることから,「国籍法第八条第一項」に該当するものとして同時に申請が認められているのです。 【第八条第一項】 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。 一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの 【第五条第一項第一号、第二号及び第四号とは?】 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。 一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。 二 十八歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。 (中略) 四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。 【メリット3】書類収集の工数や費用を抑えることができる 家族全員で帰化申請する場合,役所で取得する書類など一部省略できるものもあります。逆に,時間差でそれぞれ帰化申請する場合は,その都度書類一式を揃える必要があります。役所の書類取得が少なくて済むので,発行手数料も抑えられます。また,書類の作成を行政書士などに依頼する場合,二人目以降は報酬額を割引する事務所も少なくありません。帰化申請を専門に扱う行政書士法人第一綜合事務所でも,同時申請の場合は報酬額が半額以下となります。 3.家族同時に申請するデメリットはある? 家族同時に帰化申請するメリットがある一方で,デメリットになることはあるのでしょうか? 【結論】大きなデメリットはありません! 強いて言えば,単独で申請するときよりも少しだけ用意するものが増える程度です。 4.単独で申請しても世帯全員の書類は必要になる 帰化申請の審査のうち,生計面などの審査については「世帯」単位で行われます。このため,帰化申請をしない家族についても,同じ世帯なのであれば,提出が必要になる書類があります。 【同一世帯で帰化申請をしない家族でも必要になる書類の例】 住民票 課税証明書,納税証明書 両親の婚姻に関する書類 給与明細や源泉徴収票(働いている家族がいる場合) 確定申告の控え(確定申告している家族がいる場合) 韓国の除籍謄本(韓国籍の場合) 『帰化するつもりがない』ということなら仕方ありませんが,『いずれは帰化するつもりだけど,一緒にするかどうか迷っている』ということであれば,一緒のタイミングに合わせて申請することをおすすめします。 5.家族の中で帰化申請しない人がいると不利になる? 家族の中で帰化しない人がいる場合,その理由について説明を求められる場合があります。「帰化の要件をそもそも満たしていない」などの合理的な理由がない場合は,帰化が許可されないリスクも出てきます。…
2024.05.08 松原 桃子 愛知県帰化申請帰化許可名古屋名古屋法務局 【愛知県】名古屋法務局で帰化申請するには?手続きの流れや必要書類を行政書士が解説! 1.愛知県在住の方はどこで帰化申請できる? 愛知県在住の方が帰化申請をする場合,管轄の法務局は「名古屋法務局」です。名古屋法務局には,名古屋市にある本局のほか,10の支局があります。現在住んでいる市区町村によって,本局なのか支局なのか申請先が変わります。 法務局のホームページで公開されているマップを見てみましょう。帰化申請できる局ごとに色分けされています。 (引用:名古屋法務局ホームページより) 現在住んでいる市区町村 帰化申請先 名古屋市,清須市,北名古屋市,長久手市,日進市,豊明市,西春日井郡豊山町,愛知郡東郷町 名古屋法務局 国籍課 TEL:052-952-8111 春日井市,瀬戸市,小牧市,尾張旭市 名古屋法務局 春日井支局 TEL:0568-81-3210 津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(蟹江町,飛島村,大治町) 名古屋法務局 津島支局 TEL:0567-26-2423 一宮市,稲沢市,江南市,岩倉市,犬山市,丹羽郡(大口町,扶桑町) 名古屋法務局 一宮支局 TEL:0586-71-0600 半田市,常滑市,大府市,東海市,知多市,知多郡(阿久比町,武豊町,南知多町,美浜町,東浦町) 名古屋法務局 半田支局 TEL:0569-21-1095/1952 岡崎市,額田郡幸田町 名古屋法務局 岡崎支局 TEL:0564-52-6415 刈谷市,知立市,安城市,碧南市,高浜市 名古屋法務局 刈谷支局 TEL:0566-21-0086 豊田市,みよし市 名古屋法務局 豊田支局 TEL:0565-32-0006/2960 西尾市 名古屋法務局…
2024.05.06 尾島 諒 関係者ビザ万博ビザ万博関連ビザ特定活動13号特定活動14号大阪万博 【2025年大阪・関西万博】外国人の関係者向けビザ「特定活動13号・14号」を国際行政書士が解説 1.大阪・関西万博の関係者のための「特定活動」ビザとは? 冒頭でも触れたとおり,この特定活動ビザは,2025年の大阪・関西万博に関連する業務に従事する外国人スタッフと,そのご家族が日本に滞在するためのビザです。特定活動ビザには活動内容によって様々な種類があり,その内容は法務省の「告示」で定められています。今回の万博関係者用の特定活動ビザは,「告示13号」「告示14号」で定められています。 ざっくり説明すると,告示13号が関係者本人向け,告示14号がそのご家族向け,という分類になっています。 それぞれ詳しく見ていきましょう。 ①特定活動(告示13号)ビザの対象になる方 特定活動(告示13号) 令和7年に開催される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の関係者であって、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が適当と認めるものが、当該博覧会に係る事業に従事する活動 特定活動13号ビザの対象となるのは,万博の企画,準備,運営およびイベント終了後の後片付けに携わる人です。公式のパートナー企業,後援者や出展者など,万博に直接関連する業務を行う個人や団体が含まれます。 「当該博覧会に係る事業に従事する活動」と指定されていますので,それ以外の活動は認められていません。 ②特定活動(告示14号)ビザの対象になる方 特定活動(告示14号) 前号に掲げる活動を指定されて在留する者の配偶者又は子として行う日常的な活動 特定活動14号ビザの対象となるのは,特定活動13号ビザのご家族(配偶者,子ども)の方です。 告示に『配偶者又は子』とありますので,「親」や「兄弟姉妹」を特定活動14号ビザで呼び寄せることはできません。 2.ビザ申請の代理人になれるのは誰? 万博関係者の外国人を日本へ呼び寄せる「在留資格認定証明書交付申請」は,日本国内にある出入国在留管理局で行います。ご本人は海外にいるので,誰かがご本人に代わってこの申請手続きを行う必要があります。 ご本人に代わってビザ申請できる「代理人」も,告示で定められています。 特定活動13号ビザ申請の代理人になれる人 ①博覧会協会の職員 ②大阪・関西万博の関係者であって,博覧会協会が適当と認めるもの 特定活動14号ビザ申請の代理人になれる人 ①13号対象者 ②博覧会協会の職員 ③大阪・関西万博の関係者であって,博覧会協会が適当と認めるもの 万博関係者の方であれば代理人として申請できますが,用意する書類や手続きが簡略化されるわけではありません。 これまでビザ申請手続きをしたことがない場合は,準備に時間と工数がかかってしまうことも予想されます。 早めのご準備をおすすめいたします。 大阪・関西万博での申請スキーム 今回の大阪・関西万博関連ビザについては,万博協会にて申請を行うスキームが用意されています。 関係者のみなさまにおかれましては,万博協会の窓口へお問い合わせください。 3.大阪・関西万博のための「特定活動ビザ」:まとめ 以上が万博関係者のための特定活動ビザについての解説でした。今回の万博では,万博協会がビザ申請を行うスキームとなるため,当社にて直接サポートすることはございませんが,大阪・関西万博の応援の一環として,情報提供させていただきました。 海外の関係者の申請情報の取りまとめ等については,サポートしておりますのでご用命ございましたらご遠慮なくお問い合わせください。 行政書士法人第一綜合事務所では,2025年大阪・関西万博を応援しています。…
2024.04.18 今井 幸大 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等名前日本語 国際結婚後の名字(苗字)はどうなる?行政書士が解説します! 1.国際結婚における名前のルール 日本の民法第750条には「夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する。」と規定されているため,日本の名字に関する考え方は,夫婦同姓が原則となっています。 ところが,この規定は外国人と日本人との婚姻には適用されないことをご存知でしょうか?外国人と結婚した場合,日本人の名字は変わらずに夫婦別姓が原則となるのです。 国際結婚の場合においては「名字は夫婦それぞれに関する問題で,それぞれの国の法律によって判断されるべき」と考えられているからです。 2.国際結婚した場合の名前の決め方に関する手続きとは? 上記1で記載した通り,国際結婚の名前について夫婦別姓が原則となります。 そのため,外国人の方と一緒の名字にしようと思うと,日本人同士の結婚のように,婚姻届に記入して提出するだけでは自動的に変更はされず,決められた手続きを踏む必要があります。 こちらの手続きについて,以下①②の2パターンに分けて見ていきましょう。 ①日本人が外国人の名字を名乗るケース ②外国人が日本人の名字を名乗るケース の2パターンが考えられます。 どちらの方法を選択しても,配偶者の方と同じ氏になるという点で結果はほぼ同じですが,手続きの内容はまるで違うので注意が必要です。 (1)日本人が外国人の名字を名乗るケース まずは日本人が外国人の名字を名乗るケースについて解説します。 日本人:名前を変える(外国人と同じ名字にする) 外国人:名前は変えない このケースですと,日本人と外国人が結婚しても,国際結婚では夫婦別性が原則ですので,婚姻届を出すだけでは,外国人の名字に変更することができません。 婚姻後6か月以内に,本籍地または住所地の市区町村役場へ「氏の変更届」を提出します。その際に必要となる書類は以下の通りです。 【必要書類】 氏の変更届 戸籍謄本(本籍地以外の役所で手続きをする場合は必要) 身分証明書 印鑑 ※市区町村によって必要書類が異なる場合があるため,事前に役所へご確認ください。 これで受理されれば,日本人の名字が変わります。 婚姻後6か月を超えたら変更できない? 婚姻から6か月経過してから「氏の変更届」を提出する場合は,事前に家庭裁判所へ申し立てを行って変更許可を取る必要があります。許可が取れたら,「確定通知書」の交付申請を行い,交付された「確定通知書」も持参して市区町村役場で「氏の変更届」手続きを行います。 6か月を超えると手続きが増え,最終的に変更できるまで時間もかかります。結婚を機に夫婦同姓にしたいと考えている方は,6か月以内に届出することをおすすめします。 【参考】家庭裁判所へ申し立てを行う際の必要書類 申立人の戸籍謄本 氏の変更の理由を証する資料(なぜ名前を変更するのか,理由が分かるものです) 収入印紙800円分 ※家庭裁判所によって必要書類が異なる場合があります。事前にご確認ください。 ご自身の管轄地はこちらから調べられます。 (2)外国人が日本人の名字を名乗るケース 続いて,外国人が日本人の名字を名乗るケースについて解説していきます。 日本人:名前は変えない 外国人:名前を変える(日本人と同じ名字にする)…
2024.04.16 冨田 祐貴 経営管理ビザ資本金日本語 経営管理ビザの資本金500万円の考え方 1.経営管理ビザを取得するには資本金500万円を出資する必要がある? 当社にご相談に来られる方の多くは,「経営管理ビザを取得するには,自らが資本金の500万円を出資する必要がある。」と考えておられます。 確かに,2015年4月1日以前は,経営活動を行う事業に対し,外国人又は外国法人の出資がなければ,投資経営ビザ(現経営管理ビザ)は取得できませんでした。 しかし,日本企業において,事業の経営活動や管理活動を行う外国人を広く迎え入れることができるよう,2014年に入管法が改正され,2015年4月1日からは,経営活動を行う事業に対し,外国人又は外国法人の出資がなくても,ビザを取得できるようになったのです。 そのため,たとえご自身で資本金500万円の出資をしていない場合であっても,入管法に適合しないということはありません。 この点,非常に誤解が多い点ですので,注意してください。 では,どのようなケースでも資本金の出資がなくても経営管理ビザを取得できるのでしょうか。 例えば,資本金の出資をすることなく,友人が作った会社の経営に参画できるのか考えてみましょう。 経営管理ビザがスタートした頃は,資本金の出資がなくても,代表取締役や取締役などの執行機関に就けばビザが取得できるという誤解があり,名ばかり代表取締役の経営管理ビザの申請が,かなり多くあったと聞いています。 当初は,親を呼びたい,友人を呼びたいなどで,既存会社の代表取締役に就任させるような事例が散見されました。 しかし,経営管理ビザでは,代表取締役や取締役という名目を求めているのではなく,実質的に経営に参画していることを求めています。 つまり,事業の運営に関する重要事項の決定,業務執行など,その会社の意思決定に関与している必要があるのです。 次に,そもそも経営経験がない人を経営者として招へいすることができるか,ということについて解説します。 経営管理ビザでは,経営経験は要件としていません。 したがって,留学生であっても,就労ビザの方であっても,経営活動を行うことを目的として経営管理ビザは取得できるのです。 しかし,友人の作った会社に経営者として招へいする場合,通常,その経営者に何らかの実績があり,その経営者を招へいすることが会社にとってのメリットがあるはずです。 そのため,何らの実績なく,会社にとっての利益が明らかでない場合には,申請人が経営活動を行う信憑性に疑義があると判断され,経営管理ビザの入管審査をクリアするのは困難とご理解ください。 ここまでのお話をまとめると, 経営管理ビザを取得するためには,ご自身で500万円の資本金出資は不要 会社の意思決定に参画していないと判断される場合には,経営管理ビザの取得は困難 経営者として経営管理ビザを取得するためには,経営経験は不問ただし,経営活動を行う信憑性に疑義があると判断されるような場合には,経営管理ビザは取得できない ということになります。 2.出資金の500万円は借りたお金でも経営管理ビザの取得は可能? 結論からいうと,資本金の500万円は自ら準備したものだけではなく,借り受けたお金でも経営管理ビザを取得することは可能です。 もっとも,見せ金のような形では経営管理ビザの取得はできませんし,仮に入管が気づかずビザを取得できたとしても,申請内容が虚偽として,後に問題になっているケースが多々あります。 出資金の500万円を借り受けて経営管理ビザを取得する際には, 実態に即した契約書や借り受けの事実がある 生計維持が問題にならないような返済計画が立てられている 500万円を貸した人の資金の出どころが証明できる(後ほど3で記載します) が特に重要になります。 仮に,出資金の500万円を「もらった」場合には,贈与税が課税されますので,その旨もご認識ください。 3.新株予約権の発行により調達した500万円でも経営管理ビザの取得は可能? 令和6年3月,経営管理ビザのガイドラインがアップデートされ,新株予約権の発行による払込金によって集められた500万円でも一定の条件が整えば,経営管理ビザの資本金要件に適合するようになりました。 そこで,まず新株予約権についてご説明いたします。 新株予約権を簡単に説明すると,以下のようになります。 「あらかじめ定められた条件で、会社から株式の交付を受けることができる権利」 上記は 以下のようにも言い換えられます。 「一定の期間内であれば,企業が事前に決めた価格で株式を買うことができる権利」 具体例を紹介します。…
2024.04.15 尾島 諒 就労ビザ専門学校専門卒高校高卒 就労ビザは専門学校卒業でも取得できる?国際行政書士が解説! 自由に働ける外国人と,自由に働けない外国人がいる 日本に住む外国人は,就労活動が「制限されている人」と「制限されていない人」がいます。これは,持っているビザ(在留資格)によって決まっていて,留学ビザで在留している外国人は「制限されている人」に該当します。 就労活動が制限されていない人 ※在留カードに「就労制限なし」と記載されています。 ・日本人の配偶者等 ・永住者 ・永住者の配偶者等 ・定住者 …など。 就労活動が制限されている人 ・上記以外の在留資格で日本に在留している場合 就労活動が制限されている人は,就労活動が行える就労ビザに変更する必要があります。 就労ビザは,仕事の内容によって細かく分類されており,社員として働く外国人の大半が取得している就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」には,学歴の要件があります。 >>就労ビザ 種類 はこちらをご覧ください。 就労ビザを取得するために必要な学歴とは? 会社員として働く外国人の大半が取得している就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」で,取得に必要となる学歴要件について確認していきましょう。 技術・人文知識・国際業務ビザを取得するには,以下の学校を卒業または修了している必要があります。 【日本にある学校】大学院,大学,短期大学,専門学校(専修学校) 【海外にある学校】大学院,大学,短期大学 海外にある専門学校は,就労ビザ申請の学歴としては見られないことに注意が必要です。 卒業または修了していることの証として,学位を取得していることが必要です。 大学院:博士,修士 大学:学士 短期大学:短期大学士(旧「準学士」) 専門学校:高度専門士,専門士 上記いずれかの学位を取得していない場合は,卒業という扱いになりません。 日本にはたくさんの専門学校がありますが,たとえ卒業していても「専門士」または「高度専門士」の学位を取得していないと,技術・人文知識・国際業務ビザの学歴要件は満たしません。 最終学歴が「専門学校卒」の場合は,学位の取得についてもしっかり確認しましょう。 専門学校の「専門士」と「高度専門士」の違いは? 専門学校で取得できる「専門士」と「高度専門士」の違いについて解説しておきます。 専門士 以下①②③をすべて満たした課程で,文部科学大臣が認めた専門学校の修了者 ①修業年限が2年以上 ②総授業時数が1,700 単位時間( 62 単位)以上…
2024.04.15 今井 幸大 高度人材日本語永住ビザ永住権高度専門職 高度人材ポイント制を利用した永住申請とは?永住権取得までの流れを徹底解説! 1.高度人材とは? はじめに,出入国在留管理庁が定める「高度人材」の定義をご紹介します。 「国内の資本・労働とは補完関係にあり,代替することが出来ない良質な人材」 「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに,日本人との切磋琢磨を通じて 専門的・技術的な労働市場の発展を促し,我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」 (平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書より) この定義を端的にまとめると, 『新しいアイデアやスキルによって,日本経済を発展させることのできる優秀な人材』 と,言い換えることができます。 高度人材には大きく3つのジャンルが用意されており,各ジャンルでの評価項目も異なるため,自分に合った活動を確認する必要があります。 ①高度学術研究分野 研究,研究の指導又は教育をする活動する活動(例:大学教授など) ⇒「高度専門職1号イ」 ②高度専門・技術分野 知識又は技術を要する業務に従事する活動又は教育をする活動する活動(例:ITエンジニアなど) ⇒「高度専門職1号ロ」 ③高度経営・管理分野 事業の経営を行い又は管理に従事する活動(例:会社経営者など) ⇒「高度専門職1号ハ」 高度人材として認定されるためには,入管が定めるポイント計算表で計算を行った結果,一定以上のポイントを有することが必要になります。ポイントの加算方法は3つのジャンルで異なります。 (1)高度人材ポイント制について では,実際に高度人材として認定されるためにはどのようにすればいいのでしょうか。 それは,下記ポイント表において「70点」以上のポイントを達成することが一つの条件となります。 詳しくは,以下のコラムで解説していますのでお読みください。 >>高度専門職 取得条件 はコチラ 上記のコラムで解説した通り,「学歴」,「職歴」,「年収」,「日本語能力」など項目ごとにポイントが設定されており,各項目を満たすことでポイントが積み重なります。 そして,高度人材として認定されるためには,まず「70点」を目指していくことになります。 (2)高度人材の優遇措置について 高度人材として認定され,「高度専門職」ビザを取得した際にはどんなメリットがあるのでしょうか。 高度人材の優遇措置として,入管庁では以下の7つを定めています。 高度人材の優遇措置 ①親の帯同の許容 ②配偶者の就労 ③家事使用人の帯同の許容 ④複合的な在留活動の許容 ⑤現行の最長期間である在留期間「5年」の付与 ⑥入国・在留手続の優先処理…
2024.04.05 尾島 諒 採用理由書雇用理由書理由書就労ビザ日本語 就労ビザの申請で「理由書」は必要?書き方のポイントを行政書士が解説! 1.就労ビザ申請で必要になる「理由書」とは? 就労ビザの申請で提出が必要になる「理由書」とは,読んで字の如く『申請人を採用することに決めた理由を説明するもの』です。 説明する相手は,もちろん入管の審査部門です。審査官に「この申請人に就労ビザを交付しても良い」と判断してもらう材料として提出するものです。 申請人のスキルや経歴,人柄だけでなく, ・従事させる業務が適法であること ・外国人を採用することになった背景 など,企業側の事情や状況についてもわかりやすく説明する必要があります。 2.入管の審査部門が重視するポイント 就労ビザの審査で入管が重視しているポイントは,就労活動が適正かどうかという点です。 日本人の場合と違って外国人は,本人にいくらやる気があったとしても,従事できる仕事内容が法律によって制限されています。あらかじめ決められている枠に収まらない業務は「不法就労」になります。入管では,不法就労に該当しないかどうかを念入りに審査しています。 ここでひとつポイントになるのは,「白黒ハッキリしない,疑わしいものは許可されない」という点です。 虚偽の申告をしないことは大前提ですが,虚偽ではなくても,入管の審査部門で『これは怪しいな』と判断されてしまえば,就労ビザの許可は取れないのです。 就労ビザは「ジョブ型」がベース 日本は,採用したあと本人の適性を見て業務内容を変えていく「メンバーシップ型」の働き方が主流ですが,就労ビザは業務内容ごとに区分けされている「ジョブ型」がベースになっています。 外国人を雇用する際は『とりあえず採用して,適性を見てから配属先を決める』ということができない点に注意が必要です。 3.理由書の書き方 ここからは「理由書」の具体的な書き方について解説していきます。 理由書には決まったフォーマットはありません。これまで数多くの就労ビザ申請で許可を取得してきた行政書士法人第一綜合事務所では,以下の4つを軸に理由書を作成しています。 ぜひ参考にしてください。 (1)申請人の概要について書く まずは申請人の概要がわかるように書きます。 氏名 国籍または地域 生年月日 学歴(大卒,専門卒の場合は学部や専攻も必要です) 職歴(在籍期間と業務内容も必要です) 申請人が就労ビザの要件を満たしている人物であるということがわかるように書きます。 (2)所属機関の概要について書く 所属機関の概要も書きます。 企業名,団体名 本社所在地 主な事業内容 設立年月日 資本金,直近期の売上高 (3)申請人の業務内容について書く 申請人が実際に従事する業務内容をわかりやすく書きます。 配属予定の部署名,実際の勤務地 担当する業務内容の詳細(複数ある場合はそれぞれの業務割合も記載する必要があります)/li申請人の学歴または職歴と関連性があること 先に述べた通り,就労ビザで雇用する外国人は「ジョブ型雇用」になります。業務が明確に決まっていることが前提ですので,その業務内容を書いてください。…
2024.04.04 松原 桃子 審査期間期間日本語帰化申請 帰化申請にかかる期間について帰化の専門家が解説! 1.帰化申請の許可が出るまでにかかる期間はどれぐらい? 管轄の法務局へ帰化許可申請を行って,官報に掲載される(=許可となる)までにかかる期間は,概ね1年程度です。いま持っている国籍から離脱して,日本国籍を取得する手続きですので,入管局でのビザ申請よりも慎重な審査となるため時間がかかります。 ただ,冒頭でも述べた通り,在留資格や身分などによって審査期間は前後します。 当社でサポートさせていただいたお客様の事例 永住ビザを保有している方が1人で帰化申請:1年程度で許可 日本人の配偶者等ビザを保有している方が1人で帰化申請:1年程度で許可 特別永住者の方が1人で帰化申請:8ヶ月程度で許可 審査期間は上記の通り「概ね1年程度」ですが,帰化申請の場合,法務局で申請が受付になるまでの「準備期間」にもそれなりに時間がかかります。本国や役所から取り寄せる書類が多い方だと,準備期間に数か月かかる場合もあります。トータルで見ると,帰化申請は1年以上かかる手続きになります。 2.帰化申請にかかる期間の内訳を流れに沿って理解! ここからは,帰化申請の流れに沿って,どれぐらい期間がかかるのか見ていきましょう。 【Step①】管轄の法務局へ相談予約を入れる(スタート) まずは,現在お住まいの住所地を管轄する法務局へ,帰化申請の事前相談を予約します。 帰化申請の事前相談は予約制となっており,混雑状況によって予約が取れる時期が変わります。人口が多い東京などでは2~3ヶ月待ちになる場合もあります。逆に人口が少ない法務局では,事前相談できる日が毎日ではなく,「毎週火曜日の午前中」のように決められている場合もあります。 まずは,管轄の法務局へ電話して空き状況を確認してみましょう。 【Step②】予約した法務局にて事前相談 予約した日時に法務局へ行って,事前相談をします。 ここで,帰化申請で提出が必要な書類について説明を受けられます。 何かわからないことや聞きたいことがあれば,このときに質問しましょう。聞きたいことを漏れなく確認できるように,あらかじめメモなどを用意しておくといいかもしれません。 【Step③】帰化申請に必要な書類を収集 事前相談で必要書類のリストがもらえたら,そのリストに沿って書類を準備します。 必要書類には以下の3タイプがあります。 ①手元にある(あるはずの)書類 ②役所から取り寄せる書類 ③作成する書類 ①は,大学の学位記や日本語能力試験の合格証,過去のパスポート,日本の運転免許証などです。 普段からよく使うものであればコピーを取るだけなのですぐ用意できると思いますが,学位記や過去のパスポートなどは探す必要があるので時間がかかるかもしれません。 ②は,日本の市役所や税務署,法務局などで取り寄せる書類と,本国で発行される書類などです。 日本にある大使館や領事館では発行できない本国書類もあり,本国にいる親族などに取得を依頼しなければいけない場合もあります。役所から取り寄せる書類には通常,有効期限が設定されています。『本国書類の取り寄せに時間がかかりすぎて,先に取得した日本の役所書類の有効期限が切れてしまった…』のようなことも珍しくありません。 このStep②で時間がかかりすぎてしまい,帰化申請を諦める方もいらっしゃいます。計画的に取得していけるかどうかがひとつポイントになります。 【Step④】帰化申請書類の作成 必要書類が揃ったら,帰化の申請書類を作成します。 申請書類には法務省指定のフォーマットがありますが,このフォーマットはデータではなく「紙」で渡されます。このため,手書きで記入するか,紙を見ながらWord等の文書作成ソフトでそっくりに作成していく必要があります。 このStep③も,書き方がわからず時間がかかってしまう方が少なくありません。もちろん,法務局で書き方を教えてもらえますが,それにも予約が必要です。混雑している法務局では,書類の書き方相談でも1ヶ月以上先になってしまう場合があります。 【Step⑤】法務局で帰化申請の受付 〔スタートから1~2ヶ月〕 すべての必要書類が揃ったら,法務局へ申請予約を入れて,書類一式を持参します。 なお,法務局によっては「法務局で書類一式のチェックを受けてからでないと申請予約が取れない」という運用にしているところもあります。 この場合は,申請予約の前にチェック予約を入れて,チェックがOKになったら改めて申請の予約を入れるという流れになり,1~2ヶ月長くなります。 【Step⑥】法務局で面接 〔スタートから3~4ヶ月〕…
2024.03.06 渡邉 直斗 オーバーステイ出国命令制度出頭申告解決方法日本語 オーバーステイ(不法滞在)とは?解消方法を徹底解説 1.オーバーステイとは? オーバーステイとは、在留期間を過ぎた外国人がそのまま日本に留まっている状態を指します。どんな事情があったとしても、在留期間が1日でも越えてしまうとオーバーステイ(不法滞在)になります。 また、オーバーステイは違法になるため、逮捕されたり強制送還の対象となってしまいます。 オーバーステイには大きく不法入国で在留するタイプと在留期間を超えて滞在するタイプの2つが存在します。 それぞれのタイプについて、くわしく見ていきましょう。 ①不法入国で在留 1つ目は、有効なパスポート等を所持しないで日本に入国する「不法入国」で在留するものを指します。不法入国でのオーバーステイが発覚した場合、悪質とみなされたり強制送還されたりする可能性が高いです。 強制送還をされると、以降は日本に入国しにくくなったり、入国拒否期間が設定されたりします。 不法入国の場合はできるだけ早く、適切な対処が必要です。 ②在留期間を超えて滞在 2つ目は、在留期間を超えて滞在してしまうもので、よく見られるタイプです。 短期間の滞在を目的としている 中長期在留者がうっかり期限を超過している 変更・更新手続きを怠っている 上記のいずれの類型であっても、滞在期間を超えている状態でこちらも違法であることに変わりはありません。 そのため、強制送還の可能性はありますが、気付いてからできるだけ早く誠意的な対応を行えば在留資格を得られる可能性が少しだけあがります。 オーバーステイ状態に気付いたら、専門家へ相談して今後の対処法を相談しましょう。 2.オーバーステイの解消方法 1日でも在留期間を過ぎてしまうと、オーバーステイになり、違法な状態になってしまいます。オーバーステイ状態と気が付いた場合、素早い対応が必要になります。 仮に在留期間を過ぎた際には、素早く誠意を持った対応をすることを心がけましょう。 ここでは3つの解消方法を紹介します。 ①退去強制処分 退去強制処分は、強制的に国外に退去させるものであり、できれば避けたい解消方法です。ただ、退去強制処分は、オーバーステイを隠して放置し続けた場合の処分になるため、正確には解消方法とは言えないでしょう。 退去強制処分を受けると1度目で5年間、2度目以降で10年の上陸拒否となります。上陸拒否期間が経過した場合、必ず日本に再入国できるわけではありません。 オーバーステイなどの違反経歴は在留資格の審査の際にチェックされます。その審査結果によっては上陸拒否期間が終わっていたとしても再入国ができない可能性があります。 ②出国命令制度(母国に一定期間帰国する) 出国命令制度は、自分で在留期間を超えている事に気付き、警察や出入国在留管理局へ出頭した場合に利用できる解消方法です。出国命令制度で一度日本を出た場合、上陸拒否期間は1年になります。 退去強制処分の場合と同様に、上陸拒否期間が経過したからといって必ず日本に再入国できるわけではありません。ただ、退去強制処分よりも再入国できる可能性は高いです。 出国命令制度を利用する際には、以下の条件を満たす必要があります。 自ら警察や出入国在留管理局局に出頭し、速やかに帰国する意思がある オーバーステイ以外の退去強制事由に該当しない 日本国内にて犯罪行為が理由の懲役や禁固刑を受けていない 過去に退去強制処分や出国命令を受けていない 速やかに日本から出国することが見込まれる すべての要件を満たしていれば、出国命令制度の対象者としての認定を受けられる可能性があり、認定されれば入管に収容される心配はありません。認定を受けるまでの期間は2週間〜1ヶ月程度かかります。 ③在留特別許可を受ける 在留特別許可とは、日本から退去強制で出国する方を対象に特別に認められる在留許可です。 本来は退去強制事由に該当する場合でも、日本人と結婚していたり日本国籍を持つ子どもがいたりといった特別な事情がある場合に例外的に日本に滞在できます。違反調査の中でどうしても日本を出国できない事情がある場合に限り認められるものです。 簡単に許可が下りるものではなく、個別条件などによって異なりますが、以下の条件に当てはまれば許可が下りる可能性があります。 日本人と結婚している・日本国籍を持つ子どもの親などの特別な事情がある…