帰化申請の許可後に使用する名前について
本ページでは,帰化申請の許可後に使用する名前について解説します。
帰化申請が許可されたことをきっかけに,今までの名前で引き続き日本で生活される方,名前を変更して日本で生活される方がおられます。
名前を決めるにあたり後悔が無いように,帰化申請にかかる名前の手続きについて以下ご説明いたします。
これから帰化申請を検討されており,帰化許可後に使用する名前についてお悩みの方は,是非チェックしてください。
Index
1.帰化申請の許可後の名前について
帰化申請の許可後の名前については,帰化申請する前の名前をそのまま名乗ることもできますし,これまで使用してきた通称名を名乗ることもできます。
一方,帰化申請を契機に,ご自身で定めた名前を名乗ることも可能です。
日本の名前は,「氏」と「名」で分かれています。
山田 太郎さんという名前であれば,山田が「氏」であり,太郎が「名」となります。
さて,ここで一つ疑問が生まれます。
帰化申請が許可された後に使用する名前はいつ決めるのでしょうか。
答えは,”帰化申請時”になります。
帰化申請を行う際には,管轄法務局へ帰化許可申請書を提出します。
帰化申請の管轄については,帰化申請の法務局の管轄について で記載していますのでご参照ください。
上記でも記載したとおり,帰化申請の許可後に使用する名前については,帰化申請時に帰化許可申請書に記載する欄があります。
そして,官報の告示によって帰化許可を確認後,告示の日から1ヶ月以内に帰化後の本籍地を管轄する市区町村役場へ帰化届を提出し,自身の名前の登録を行います。
なお,仮に帰化申請を行った後,帰化後の名前を変更したい場合は,官報で告示が出るまでの間に,管轄の法務局へ行き,変更の申出書(任意書式)を提出すれば変更は可能です。
変更の際に,法務局の担当官から何故名前を変更するのか,変更するに至った経緯などを確認される場合があります。
帰化申請してから名前を変更することがないように,帰化申請時にしっかり帰化後の名前を決めておくことが重要です。
2.帰化申請の許可後の名前を決める際の注意点!
それでは,帰化申請が許可された後の名前はどのような名前でも良いのでしょうか。
日本では,名前を決める際の注意事項が2点あります。
まず1点目は,日本の法律上,名前に使用できる文字が決まっているということです。
戸籍法50条1項と2項では以下のように定められています。
「子の名には,常用平易な文字を用いなければならない。」
「常用平易な文字の範囲は,法務省令でこれを定める。」
常用平易な文字の範囲は,戸籍法施行規則60条で定められています。
戸籍法施行規則60条
一 常用漢字表(平成二十二年内閣告示第ニ号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては,括弧の外のものに限る。)
二 別表第二に掲げる漢字
三 片仮名又は平仮名
そのため,これから帰化申請を考えている方は,帰化申請の許可後の名前が,上記の法律の範囲内かどうか確認する必要があります。
漢字圏の国籍の方は,名前で使用することができない漢字を選択するケースが多く見受けられますので注意が必要です。
名前に使用できない漢字を記載している帰化許可申請書は,残念ながら受理されません。
帰化許可後に使用する名前が,法律上,使用できる文字かどうかを確認することも重要です。
名前に使用できる漢字かどうかチェックできるサイトがありますので,こちらを参考にしてください。
参考URL:戸籍 国籍:法務局 (moj.go.jp)
【出典:法務局ホームページ】
2点目は,日本人と結婚している人が帰化申請する場合,また外国人の夫婦が共に帰化申請する場合,日本の法律上では名前(氏)の使用制限があります。
民法750条では以下のように定められています。
「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する。」
日本の法律では,日本人の男女が結婚した場合,夫婦どちらかの氏に統一する必要があります。
そして,この法律は帰化後に使用する名前にも適用されます。
例えば,夫,妻で帰化申請を行う場合,夫の氏で統一するか,もしくは妻の氏で統一する必要があります。
3.帰化申請の許可後に使用する名前の変更について
官報の告示によって帰化許可を確認し,帰化届を市区町村役場へ提出してしまった後に名前の変更をしたいと思った場合,どのような手続きを行う必要があるのでしょうか。
名前の変更を行う場合は,変更を行いたい人の住所地を管轄する家庭裁判所に名前変更の申し立てを行う必要があります。
氏の変更については,戸籍法107条1項で下記のように定められています。
「やむを得ない事由によって氏を変更しようとするときは,戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は,家庭裁判所の許可を得て,その旨を届け出なければならない。」
また,名の変更については,戸籍法107条2項で下記のように定められています。
「正当な事由によって名を変更しようとする者は,家庭裁判所の許可を得て,その旨を届け出なければならない。」
つまり,氏と名の変更手続きは,管轄の家庭裁判所で手続きをおこなう必要があり,時間と手間が掛かってしまいます。
そのため,帰化申請の許可後に使用する名前については,帰化申請時に将来を見据えて決めることが肝要です。
4.帰化申請の許可後に使用する名前のまとめ
本ページでは,帰化申請の許可後に使用する名前についてご紹介しました。
名前は,生活する上で常に自分自身を表現する大切なものです。
これから帰化申請を考えられている方は,最初に,帰化許可後に名乗る予定の名前に使用する文字が使用可能かどうかを確認してください。
そして,一度決めた名前は変更することが難しいため,自分自身が愛着を持てる名前で申請することをおすすめします。
本ページがこれから帰化申請をご検討されている方にとって,少しでも参考になれば幸いです。