行政書士法人第一綜合事務所

ベトナム人の帰化申請

日本に住むベトナム人は年々増加しています。
令和2年末時点での在留人数では,初めて韓国を抜き,中国に次いで2位となっています。また,全体の在留人数に占めるベトナム人の割合は15.5%で,日本にいる外国人のうち6~7人に1人がベトナム人という計算になります。
ちなみに,当事務所にもベトナム人が在籍しています。
日本に在留するベトナム人の中には日本国籍取得を目指す方も多く,ベトナム人からの帰化相談は当事務所にとっても珍しいことではありません。
そこで,本コラムでは,日本国籍取得を目指すベトナム人の方に向けて,ベトナム人の帰化申請を解説していきます。

1.ベトナム人の帰化申請の流れ

帰化申請の全体の流れは概ねどこの国も同じです。
しかし,各国の法律によって国籍喪失手続きのタイミングは異なります。
例えば,韓国は帰化許可後,中国は官報公告後~身分証明書発行前,といった具合です。

多くの国では国籍喪失手続きは帰化許可前が一般的であり,ベトナムも日本国籍取得の前に国籍放棄の手続きをすることとなります。

上記を踏まえて,ベトナム人の帰化申請の全体の流れを見ていきましょう。

(帰化申請受付までの流れ)

  • 法務局での事前相談
  • 必要書類の収集(日本の役所,ベトナムの役所)
  • 申請書類の作成
  • 法務局での点検及び修正指示
  • 追加の資料収集及び作成書類修正
  • 法務局での受付前点検
  • 書類最終修正
  • 法務局で申請受付
  • 審査官と面接(受付から3~4ヶ月後)
  • 担当官より国籍放棄手続きの指示
  • 完了後,官報に公示
  • 帰化後の各種手続き

帰化許可がほぼ確実になると,担当審査官から指示がありますので,法務局提供の書類を認証し,申請書と併せて在日公館に提出をしましょう。
そこから本国に転送され手続きが取られます。

ただし,ベトナムに租税債務がある場合や刑事責任を負っている場合,公務員や軍所属の場合は国籍を放棄できませんので事前の確認が必要です。

なお,ベトナムでは一定の条件下で二重国籍が認められますが,日本の国籍法が二重国籍を認めていないことから,帰化申請のためには必ず国籍放棄をしなければなりません。

2.ベトナム人の本国書類(一般)

次に,国籍による違いが一番大きく表れる,本国書類について説明します。

一般的に帰化申請に必要となる本国書類として必要な書類は,以下のようなものです。

(一般的な本国書類)

  • 国籍証明書
  • 出生証明書
  • 死亡証明書
  • 結婚証明書
  • 離婚証明書
  • 家族関係証明書

韓国や台湾は,これらに代えて大量の戸籍謄本を提出する必要がありますが,幸運なことに,ベトナム人は上記に対応する書類の全てを本国政府機関から取得することが出来ます。

(ベトナムの本国書類)

  • 国籍証明書
  • 出生証明書
  • 死亡登録の摘録
  • 婚姻証明書
  • 離婚公認証明書(協議離婚と関係者による合意に係る決定書)
  • 戸籍簿(家族本)

申請人が日本生まれである場合などは,上記通りの書類が取得できない場合があり,別途対応が必要になります。しかし,上記を揃えられる場合は,申請受理にあたって本国書類が問題になることは少ないでしょう。

3.ベトナム人の本国書類(難民)

次に説明するのは,インドシナ難民の方の本国書類です。
少数ではありますが,日本にお住まいのベトナム人には,いわゆるボートピープルと呼ばれた難民の方やその子孫がいらっしゃいます。
この方々はベトナムと縁を切っており,本国書類の取得が出来ません。

不思議なことに有効な旅券を持っている方もいらっしゃるようですが,基本的には旅券や国籍証明書の代替書類が必要となります。

(各種書類の代替書類)

  • 旅券⇛再入国許可書
  • 国籍証明書⇛定住経歴証明書
  • 出生証明書⇛出生地国政府機関発行の出生証明書(ベトナム出国後に出生した場合)

また,ベトナム出国時に自身の出生証明書や婚姻証明書は持って来たという方も多くいらっしゃると思います。
そのような方は,当該証明書の原本と写し2部を提出し,原本還付を受けることも可能ですが,そうでない方は別の対応が必要となります。

このように,難民として来日をされた方の帰化申請書類にはイレギュラーが発生するものの,難民として日本に来たからといって,帰化申請を諦める必要はないのでご安心ください。

4.ベトナム人の帰化申請の小ネタ

最後に,上記の他にベトナム人のお客様の帰化申請をサポートする際に,注意が必要な小ネタを2つご紹介します。

4−1.翻訳は全て日本語で

日本にあるベトナム大使館や領事館は翻訳サービスを提供しています。
但し,こちらに翻訳を依頼した場合,人物名についてはアルファベット表記のまま納品されます。
また,本国で翻訳を依頼した場合であっても同じ事象が散見されます。

帰化申請に添付する翻訳文は人名や地名も含め全てカタカナに変換する必要がありますので,ご自身で翻訳をする方も,この点にご注意ください。
※管轄法務局によって厳しさに違いはあります。

4−2.出生地は病院名ではなく住所を

ベトナム出生証明書の出生地欄には生まれた病院名のみが記載されていることが多いです。しかし,帰化申請書にそのまま病院名を記載してはいけません。
疎明資料を付けた上で出生地欄には生まれた地の「住所」を記載するように気を付けましょう。

なお,これらの注意点は他の国籍であっても共通して言えることですが,ベトナム人であればより一層出会う機会が多いポイントですので,ぜひ意識してみて下さい。

5.ベトナム人の帰化申請まとめ

本コラムで全てを網羅することは出来ませんが,概ねベトナム人の帰化申請で特筆すべき事項はお伝えできたのではないかと思います。

簡単にまとめると,ベトナム人の国籍放棄のタイミングは,帰化の許可が出る前です。
そのため,国籍放棄が出来ない事由に該当している限り日本国籍は取得できませんので,必ず事前の確認が必要になります。

次に,本国書類についてはベトナムの場合,特段難しいということはなく,難民の方の場合や日本生まれの場合にイレギュラーが発生するものの,帰国してご自身で取得あるいは本国の家族の協力が得られれば大きな問題はないでしょう。

このように,ベトナム人の帰化申請は比較的癖が少ないと言えます。
しかし,忘れてはいけないのが,帰化申請を一人で行うのは想像以上にハードであるということです。
帰化申請の手順の多さについては 帰化申請を自分でするメリット・デメリット でも解説をしておりますので,こちらも併せて参考にしてみて下さい。

私達は皆様の頼れるパートナーとして,帰化申請のお手伝いが可能です。
帰化申請をお考えの方はぜひ一度,行政書士法人第一綜合事務所までご相談下さい。