【2026年最新】経営管理ビザ・就労ビザ等の審査厳格化!入管最新動向と不許可対策を解説

日本政府はこれまで「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」等に基づき、各種ビザの審査基準の見直しや運用の厳格化を推進してきました。高市早苗首相が公式Xで投稿した最新実績(令和8年上半期)によれば、「経営・管理」のCOE(在留資格認定証明書)交付件数が前年同期比90%減少したほか、「企業内転勤」も15%減少するなど、従来の運用の変化が数値として顕著に表れています。
さらに2026年(令和8年)7月、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針2026)」を閣議決定し、法務省においても「第2次出入国在留管理基本計画」を策定しました(詳しくは「第二次出入国在留管理基本計画」を行政書士が解説〜外国人政策の厳格化が外国人と企業に与える影響〜もご参照ください)。これらは、これまでの厳格化の実績を踏まえた上で、「今後のデジタル技術を活用した適正な在留管理(マイナンバー連携・JESTA導入等)や不法滞在対策の中長期的な方向性」を提示するものです。
本コラムでは、これまでに実施された施策の実績・影響と、最新の政府基本計画(骨太方針2026・第2次基本計画)が示す今後の審査動向について、入管業務専門の行政書士の視点から解説します。
このコラムは高市早苗首相(@takaichi_sanae)が9月27日にXに投稿した以下の2ポスト内の数値を参考にしております。
入管庁からはまだ正式に公表されているわけではない旨、ご了承ください。
政府では、在留外国人数の増加に伴って不安や不公平感を感じる国民の皆様がいらっしゃることに向き合い、「外国人政策」を「秩序」あるものとし、国民の皆様と外国人の双方が安全・安心に生活していけるようにするため、本年1月、『外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策』を取りまとめ、幅広い施策に取り組んでいます。
それらの施策の中から、外国人の「在留資格」に関する取組の状況をご説明したいと思います。
<「経営・管理」の在留資格の許可基準の見直しについて>
「経営・管理」とは、貿易などの事業の経営や管理に従事することを目的とする在留資格です。
「経営・管理」については、諸外国の同様の制度に比べて、許可基準が緩く、移住目的の方法として悪用されているなどの問題が指摘されていました。
そこで、昨年10月に許可基準の見直しを行い、新たな基準に基づく厳格な審査を実施してきました。
その結果、令和8年上半期の「在留資格認定証明書交付件数」は、前年同期比90%減少(3,074件減少)となっています。
<「企業内転勤」の在留資格の審査の厳格化について>
「企業内転勤」とは、国外にある親会社の外国人職員が、国内の子会社に転勤する場合などに用いられる在留資格です。
「企業内転勤」についても、実態を欠いた悪用事例が一部で確認されていました。
そこで、本年4月から、国外・国内それぞれの事業所の存在を明らかにするための新たな資料の提出を求めるなど、厳格な審査を行うようにしました。
その結果、令和8年上半期の「在留資格認定証明書交付件数」は、前年同期比で15%減少(739件減少)し、より実態に即した運用が行われるようになっています。
<「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の審査の厳格化について>
「技術・人文知識・国際業務」とは、日本の会社などに雇用されて、自然科学・人文科学に関する技術・専門的知識や外国語の能力などを活かして働く場合に用いられる在留資格で、システムエンジニアや、経理・財務、通訳・語学教師など、幅広い分野で利用されています。
「技術・人文知識・国際業務」についても、在留資格該当性のない活動に従事する事案が散見されるとの指摘があります。
そこで、対策として、派遣元と派遣先の双方に対し、従事させる業務についての誓約書を求めたり、言語能力の確認(CEFR・B2相当の言語能力の確認)を行うことにしたりするなど、審査の強化に取り組んでいます。
本年7月には、出入国在留管理庁の入国審査官など226名を緊急増員することとしましたので、更に取組を加速してまいります。
<「永住許可制度」の適正化について>
「永住者」とは、在留活動・在留期間の制限がなく、最も安定した法的地位として創設された在留資格であるため、特に慎重な審査を行う必要があります。
こうした位置付けを踏まえ、『永住許可に関するガイドライン』を改定することとしました。
主な改定内容は、以下の2点です。
「永住者」の在留資格を得るためには、「独立生計要件」、つまり「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が必要となりますが、実際には、「永住者」の在留資格を得たにもかかわらず、独立の生計を営むことができないという事例が多くありました。
そこで、「独立生計要件」について、
・世帯年収の基準を「日本人世帯の平均年収を上回る水準」に見直すとともに、
・将来の年金見込み額を新たに考慮することとする予定です。
また、いわゆる「国益要件」、つまり「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」についても、
・一定水準の日本語能力を有しているか、
・我が国の制度・ルールなどへの理解が一定水準以上に達しているか
といった事項を新たに考慮することとする予定です。
『新ガイドライン』は、パブリック・コメントで寄せられた意見を踏まえて検討を行った上で、10月1日に改定を予定しています。
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) September 27, 2026
『外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策』に基づく施策の中から、国民の安全・安心に密接に関わる「不法滞在者対策」について、取組の状況をご紹介します。
政府では、難民該当性や人道配慮の必要性が認められないなど、制度の趣旨に沿わない「難民認定申請」を繰り返している者を含め、「退去強制事由」に該当する外国人を速やかに我が国から退去させるための『不法滞在者ゼロプラン』に取り組んでいます。
今年5月、不法残留者数の増減要因の分析に基づき、重点的に取り組むべき施策を『不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~』として取りまとめました。
具体的には、
・「護送官付き国費送還」の促進
・「摘発」の強化
・「難民認定審査」の迅速化
などの施策に取り組んでいます。
昨年の上半期と令和8年の上半期を比べると、
・送還全体の人数が15%増加(524人増加)
・特に、送還を拒んだり妨げたりするなど、送還に応じない者に対する「護送官付き国費送還」は、54%増加(65人増加)
・出入国在留管理庁が摘発した不法滞在者数は、64%増加(436人増加)
・我が国に不法に残留する者の人数は、8.4%減少(6,000人減少)
・「難民認定申請」の未処理件数は、47%減少(9,496人減少)
となっています。
『不法滞在者ゼロプラン』は、大きな成果を挙げています。
詳細については、こちら(https://t.co/4oPQvKU7oW)をご覧いただければと思います。
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) September 27, 2026
Index
1. 入管審査の全体像と「厳格化」が進む背景
近年、外国人入国者数および在留外国人数は過去最高を記録しています。2025年における外国人入国者数は約4,243万人、在留外国人数は約413万人に達し、我が国の総人口に占める割合は3.35%となりました(第2次出入国在留管理基本計画より)。
政府が推進する「秩序ある共生」の施策下において、法務省・出入国在留管理庁(入管庁)は「在留資格該当性」および「立証資料の客観性」に関する審査レベルを引き上げる運用へ移行しています。
審査厳格化の主な狙いは以下の通りです。
- 実態のない事業所や名義貸しの排除(経営・管理、企業内転勤)
- 不法就労・資格外活動の未然防止(技術・人文知識・国際業務)
- 社会保障・納税義務の完全履行の確認(永住許可)
これに伴い、申請者および受入企業側には、「従来と同じ書類構成では不許可や資料提出通知(理由書や補足説明の求め)のリスクが高まる」という現実的な影響が生じています。
2. 【すでに実施された施策①】在留資格「経営・管理」の審査基準見直しと対策
(1)90%減の実績が意味する審査運用の変化
「経営・管理」の在留資格は、日本で事業の経営や管理を行う外国人のためのビザです。実質的な移住目的による悪用やペーパーカンパニー設立が懸念されたことを背景に、基準の見直しが段階的に実施されました。
その結果、令和8年上半期の在留資格認定証明書(COE)交付件数は、前年同期比90%減(3,074件減)という大きな推移を示しています(高市早苗公式Xにて公表の数値)。このデータは、審査において「事業実態の客観的証拠」がより厳しく精査されていることを裏付けています。
(2)基準改正で引き上げられた要件
令和7年10月16日施行の省令改正により、「経営・管理」の許可基準は従来の要件から大きく引き上げられました。詳しくは【2025.10.16~】経営管理ビザの許可基準が厳格化!資本金3,000万円に|行政書士が解説もご参照ください。
- 資本金・出資総額の引き上げ(3,000万円)
従来の「500万円」から「3,000万円」へと引き上げられたほか、その資金の形成プロセス(給与蓄積、資産売却、合法的な送金ルート等)に関する立証が厳密に求められます。 - 経営者の経歴・学位要件の新設
経営者本人に対し、「3年以上の経営・管理経験」または「経営/事業分野に関する修士相当以上の学位」が必須化されました。 - 1人以上の常勤職員の雇用義務化
日本人や永住者等の常勤職員を最低1人以上雇用することが義務付けられました。 - 日本語能力要件(CEFR B2相当等)の追加
申請者または常勤職員のいずれかに相当程度の日本語能力(CEFR B2相当等)が求められます。 - 専門家による事業計画の確認義務
新規申請時には、経営に関する専門的知識を有する者(診断士・公認会計士等)による事業計画の確認・証明が義務化されました。
3. 【すでに実施された施策②】「企業内転勤」の立証厳格化と対応策
(1)15%減に見る手続き精度の向上
海外の親会社・子会社から日本拠点への出向・転勤に用いられる「企業内転勤」ビザにおいても、実態を伴わない異動を防ぐための実務変更が適用されました。これにより、令和8年上半期の交付件数は前年同期比15%減(739件減)となっています(高市早苗公式Xにて公表の数値)。
(2)実務上の追加要求書類と注意点
以前は簡易な転勤命令書や事業概要書で認められていたケースでも、2026年現在は国内外双方の拠点に関する詳細な実態立証が求められます。
- 海外現地の送出側事業所の実態証明
- 海外現地の法人登記簿、直近の決算書
- 現地事務所の賃貸借契約書および内観・外観写真
- 転勤者の職務経歴・期間の立証
- 転勤前1年以上の継続勤務を裏付ける給与支払証明書・社会保険加入履歴
- 日本側で従事する業務と現地での業務との継続性・関連性の説明
グローバル企業の人事担当者様におかれては、現地法人側での書類取り付けに想定以上の期間を要するケースが増えているため、配属予定日の3〜4ヶ月前からの準備開始が推奨されます。
4. 【現在進行中の施策】「技術・人文知識・国際業務」等の適正化と審査体制の強化
(1) 「技人国」および「留学」において適正化が進む背景
2025年末時点で475,790人と、就労ビザの中で最も取得者数の多い「技術・人文知識・国際業務(技人国)」はITエンジニアや通訳、専門職などを対象としています。しかし、名目は「技人国」でありながら、実際には専門性を要しない現場作業や単純労働に従事させるといった「在留資格該当性」を欠く実態が散見されるとして、問題視されてきました。
また、在留資格「留学」においても、週28時間の法定上限を超えてアルバイト(資格外活動)を行う違法稼働などの問題が指摘されており、双方の適正化が同時に推し進められています。
(2) 具体的な「審査・管理の適正化施策」
こうした乖離を防ぐため、入管庁は以下の取り組みを順次開始しています。
- 派遣元・派遣先双方への「誓約書」義務化(技人国)
派遣や請負などの就労形態において、実際に従事させる業務内容が資格該当性を満たしているか、派遣元と派遣先双方が詳細を明示・誓約する運用が強化されています。 - 客観的な「言語能力」の確認(技人国)
職種や業務内容に応じ、日本語または英語等の客観的な能力資格(CEFR B2相当など)の提示が要求されるケースが増加しています。 - 教育機関と連携した資格外活動の実態把握(留学)
留学生の資格外活動のオーバーワークを防ぐため、日本語教育機関等と連携し、外国人雇用状況届出等を活用した指導・確認運用を2026年4月より開始しています。
(3)入国審査官226名増員による影響
出入国在留管理庁では、2026年7月より入国審査官等226名の緊急増員が行われています。審査現場の体制が強化されたことで、以下のような実務上の変化が生じています。
| 変化のポイント | 実務への具体的内容 | 申請者側の対策 |
| 資料提出通知書の頻発 | 提出書類の整合性や過去の職歴について詳細な補足資料が要求される | 最初の申請時に説明書(理由書)を充実させる |
| 実地確認・調査の増加 | 勤務先事業所や派遣先への電話確認・訪問確認の実施 | 受入企業側での受入態勢・業務内容の周知徹底 |
| 審査期間の変動 | 補足調査に伴い、標準処理期間を超えるケースが発生 | 入社時期から逆算した早期申請の手配 |
5. 【これから実施される施策】永住許可ガイドラインの改定(10月1日施行予定)
(1)改定の全体骨子と背景
法的制限のない安定した法的地位である「永住者」について、制度の公正性と公的義務の履行徹底を図るため、2026年10月1日に改定ガイドラインの施行が予定されています(詳しくは永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説もご参照ください)。
改定の柱は、「独立生計要件」と「国益要件」の基準明確化・厳格化です(高市早苗公式Xにおいてもこの方針が公表されています)。
(2)改定の主要要件と具体的なチェックポイント
【永住許可審査の主要改定項目(10月1日施行予定)】
1. 独立生計要件の再整理
├─ 「日本人世帯の平均年収」を考慮した収入水準の審査
└─ 将来の「年金受給見込み額」に関する考慮要素の追加
2. 国益要件の具体化
├─ 一定水準の日本語能力の提示
├─ 社会保険料・税金の適正かつ期限内の納付(過去一定期間)
└─ 公的義務および日本の法令・ルールの遵守状況
① 世帯年収と年金見込み額(独立生計要件)
世帯年収の判断基準として、「日本人世帯の平均年収を上回る水準」といった客観的な指標が意識されるようになります。
- 扶養人数の影響:同居親族や海外扶養親族の人数に応じた年収水準の確保が必要。
- 年金記録:厚生年金・国民年金の未納・滞納がないことに加え、将来的な受給権の確保状況が確認される。
② 日本語能力と法令遵守(国益要件)
- 日本語能力:日常会話レベル以上のコミュニケーション能力や社会適応性が評価される。
- 納期遵守の徹底:住民税、所得税、公的年金、健康保険料について、「過去数年間にわたり1度も納期限を破っていないこと」が厳密に判定される。
6. 行政書士が解説する「不許可リスク」を回避するための実践ガイド
審査が厳格化する環境下において、申請をスムーズに通過させるための実務上の重要ステップをまとめます。
[Step 1] 要件の客観的診断(年収、納税歴、事業実態等の事前照合)
↓
[Step 2] 立証資料の収集(公的証明書・取引契約書・金融機関記録等)
↓
[Step 3] 整合性の検証(過去の申請履歴・決算書・各種申告書との矛盾チェック)
↓
[Step 4] 理由書・事業計画書の作成(専門家による論理的立証の補強)
↓
[Step 5] 申請提出および補正要請への迅速な対応
※上記は、特に専門的立証(理由書や事業計画書の作成)が必要となる「就労ビザ」「経営・管理ビザ」「永住許可申請」における標準的な準備手順です
(1)整合性チェックの徹底(過去の申請履歴・国税情報との照合)
入管庁には、過去提出された全ての申請書類(在留資格変更申請、更新申請、資格外活動許可申請等)のデータが保管されています。
さらに、国税庁との相互情報連携(在留情報や税情報のデータ照合)の対象が拡大されたことで、在留資格(ビザ)の種類ごとに以下のようなポイントが確認されます。
- 履歴の整合性: 過去の更新時や変更時に申告した「学歴・職歴・年収・職務内容」と、今回の申請書や雇用契約書の記述に食い違いがないか
- 企業側の整合性: 企業が提出する「法定調書合計表」や「決算書」の売上・給与額と、申請者の実際の報酬額・源泉徴収票が一致しているか
- 資金の整合性: 資本金(3,000万円等)の出所に関する立証資料と、個人の過去の課税・納税証明書に矛盾がないか
- 法人税・社会保険料納付: 法人としての法人税、消費税、社会保険料の納付状況が適正か
- 納税義務の完全履行: 住民税・所得税だけでなく、公的年金や健康保険料について、過去一定期間、納期限(納期日)を1日も遅れずに納めているか
- 世帯単位での照合: (世帯全員の収入・扶養状況や納税実績が入管・国税の双方で照合されるため)世帯全員の納税や年金の納付に不備がないか
(2)「理由書」による客観的な説明
指定された必要書類(法定添付書類)を出すだけでは、審査官に十分な立証が伝わらないケースが増えています。ビザの種類に応じた「理由書」の作成が審査の可否を分けるポイントとなります。
- 就労ビザ(技人国等)で必要な説明の例
単なる職種名だけでなく、「なぜその企業でその外国人が必要なのか(専門性と業務の関連性)」「提示報酬が日本人と同等以上である根拠(給与体系の説明)」を具体的に論述します。 - 経営・管理ビザで必要な説明の例
「事業の継続性」について、取引予定先との契約書面や定量的根拠に基づいた収支計画書を作成します。 - 永住許可申請で必要な説明の例
「独立生計要件(世帯年収や年金見込み額)」や「公的義務の履行」「日本社会への適応状況」等を、過去の経緯を含めて論理的に説明します。
7. まとめ:変化する入管実務への適切なアプローチを
各在留資格における数値の推移や審査方針の変化が示しているのは、「法令・運用の基準に沿った高度な立証手続きが不可欠になった」という実務上の現実です。
制度の見直しは、ルールを遵守して正しく手続きを行う企業や申請者様にとっては、予測可能性と透明性を高める側面も持っています。従来通りの簡易な申請から、「客観的証拠に基づいた丁寧な立証」へとアプローチをシフトさせることが何より重要です。
自社の外国人雇用のスキームや、ご自身の永住・起業申請について不安や疑問がある場合は、最新の入管審査実務に精通している行政書士法人第一綜合事務所へ早期にご相談ください。




