渡邉 直斗

日本版「デジタルノマドビザ」の取得要件と申請方法を行政書士が徹底解説!

日本版「デジタルノマドビザ」の取得要件と申請方法を行政書士が徹底解説!

「デジタルノマド」とは、ITを活用して仕事をしながら長期で旅をするというライフスタイルです。コロナ禍の際には、日本では会社に出社せず自宅で仕事をこなす「在宅勤務」が普及しましたが、在宅勤務との大きな違いは、自宅に限らず自分の好きな場所で仕事をするという点です。海外で仕事をする場合は、その国に滞在するためのビザが必要になりますが、すでにヨーロッパやアジアの一部の国では、デジタルノマドワーカー向けにビザを用意している国があります。日本政府もデジタルノマドワーカーを誘致すべく、新たにビザを用意しました。2024年3月31日の制度開始以降、多くのノマドワーカーに活用されています。

2026年現在では、世界的なデジタルノマド誘客競争に遅れをとらないよう、国を挙げて長期滞在に適した受入環境の整備や、日本国内の複数地域を周遊・滞在する仕組みづくりが進められています。

本コラムでは、そんな日本版のデジタルノマドビザについて、国際業務専門の行政書士がわかりやすく解説します。

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1.デジタルノマドビザの概要

まずは、デジタルノマドビザの概要について大枠を抑えましょう。
このビザは、

  • 外国の企業に所属(またはフリーランスを)していて
  • 日本に滞在しながらITを活用したリモートワークをしたい外国人とその家族

…のために用意されたビザです。
取得にはいくつか条件があって、申請すれば誰でも許可されるというわけではありません。
また、取得したあとも「アルバイトできない」「更新できない」などの制約があります。
まずは取得要件から確認していきましょう。

2.デジタルノマドビザの取得要件は?

ノマドワーカー本人向けのビザとして「特定活動(告示53号)」ビザが用意されています。
このビザの取得要件は以下の4つです。

【ビザ取得要件】
(1)日本への滞在期間は6か月を超えないこと
(2)査証免除国かつ租税条約を締結している国・地域の外国人であること
(3)申請時点で年収が1,000万円以上あること
(4)医療保険に加入していること

それぞれ詳しく見てみましょう。

(1)日本への滞在期間は6か月を超えないこと

デジタルノマドビザで許可される在留期間は「6か月」となります。厳密には、「任意の1年(12か月)の期間において、滞在期間が通算して6か月を超えないこと」と定められています。
このビザは、更新することができない点に注意が必要です。また、中長期滞在者に通常交付される「在留カード」についても、このビザでは交付されません。

(2)査証免除国かつ租税条約を締結している国・地域の外国人であること

デジタルノマドビザは、取得できる外国人の国籍が限定されています。
以下のいずれかの国・地域の国籍等を持っている方のみ、ビザ取得の対象となります。

【対象の国・地域】
アイスランド共和国、アイルランド、アメリカ合衆国、アラブ首長国連邦、イスラエル国、イタリア共和国、インドネシア共和国、ウルグアイ東方共和国、エストニア共和国、オーストラリア連邦、オーストリア共和国、オランダ王国、
カタール国、カナダ、ギリシャ共和国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、クロアチア共和国、
シンガポール共和国、スイス連邦、スウェーデン王国、スペイン王国、スロバキア共和国、スロベニア共和国、セルビア共和国、
タイ王国、大韓民国、チェコ共和国、チリ共和国、デンマーク王国、ドイツ連邦共和国、トルコ共和国、
ニュージーランド、ノルウェー王国、
ハンガリー、フィンランド共和国、ブラジル連邦共和国、フランス共和国、ブルガリア共和国、ブルネイ・ダルサラーム国、ベルギー王国、ポーランド共和国、ポルトガル共和国、
マレーシア、メキシコ合衆国、
ラトビア共和国、リトアニア共和国、ルーマニア、ルクセンブルク大公国、
台湾、香港

(3)申請時点で年収が1,000万円以上あること

デジタルノマドビザは年収規定があり、ノマドワーカー本人の年収として、申請時点で1,000万円以上あることが必要です。
年収の証明として、就労した国で発行された納税証明書や所得証明書を提出します。

(4)医療保険に加入していること

デジタルノマドビザを取得するには、海外旅行傷害保険などの医療保険に加入していることが必要です。
補償内容としては、以下の3点すべてをクリアしているものでなければいけません。

  • 死亡、負傷や疾病に係るもの
  • 負傷や疾病への治療費補償額が1,000万円以上あるもの
  • 日本に滞在予定の全期間をカバーできるもの

3.家族も一緒に来日できる

デジタルノマドビザには、家族向けのビザとして「特定活動(告示54号)」も用意されています。
このビザを取得することで、家族も一緒に来日することが可能です。
ちなみに「家族」とは、ノマドワーカー本人の配偶者と子どもです。親や兄弟姉妹などは対象外です。

【配偶者・子のビザ取得要件】
(1)査証免除国の外国人であること
(2)ノマドワーカーに扶養されていること
(3)医療保険に加入していること

ノマドワーカー本人の場合との違いに注目しながら、以下解説します。

(1)査証免除国の外国人であること

家族(配偶者・子)の場合も、取得できる国籍が限定されています。
ただし、家族の場合はノマドワーカー本人よりも対象の国・地域が広がります。

【対象の国・地域】
アイスランド共和国、アイルランド、アメリカ合衆国、アラブ首長国連邦、アルゼンチン共和国、アンドラ公国、イスラエル国、イタリア共和国、インドネシア共和国、ウルグアイ東方共和国、エストニア共和国、エルサルバドル共和国、オーストラリア連邦、オーストリア共和国、オランダ王国、
カタール国、カナダ、北マケドニア共和国、キプロス共和国、ギリシャ共和国、グアテマラ共和国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、クロアチア共和国、コスタリカ共和国、
サンマリノ共和国、シンガポール共和国、スイス連邦、スウェーデン王国、スペイン王国、スリナム共和国、スロバキア共和国、スロベニア共和国、セルビア共和国、
タイ王国、大韓民国、チェコ共和国、チュニジア共和国、チリ共和国、デンマーク王国、ドイツ連邦共和国、ドミニカ共和国、トルコ共和国、
ニュージーランド、ノルウェー王国、
パナマ共和国、バハマ国、パラグアイ共和国、バルバドス、ハンガリー、フィンランド共和国、ブラジル連邦共和国、フランス共和国、ブルガリア共和国、ブルネイ・ダルサラーム国、ペルー共和国、ベルギー王国、ポーランド共和国、ポルトガル共和国、ホンジュラス共和国、
マルタ共和国、マレーシア、メキシコ合衆国、モーリシャス共和国、モナコ公国、モンテネグロ、
ラトビア共和国、リトアニア共和国、リヒテンシュタイン公国、ルーマニア、ルクセンブルク大公国、レソト王国、
台湾、香港、マカオ

(2)ノマドワーカーに扶養されていること

帯同する家族は、ノマドワーカーである申請人に扶養されていることが必要です。
ちなみに、デジタルノマドビザでは、日本でパートやアルバイトができる「資格外活動許可」を取ることができません。

(3)医療保険に加入していること

ノマドワーカー本人と同様の補償内容で、帯同する家族も全員、医療保険に加入していることが必要です。

4.デジタルノマドビザの申請方法

デジタルノマドビザの申請手続きは、申請を行う時点で「海外にいる場合」と「すでに日本国内にいる場合」でルートが大きく異なります。それぞれの具体的な流れと注意点を解説します。

(1) 海外にいる場合

これから日本への来日を予定している方は、海外にある日本の在外公館(大使館・領事館)へ直接ビザ申請を行うルートです。

【申請の流れ】

  1. 本国または居住国にて、申請に必要な書類(年収証明や保険証書など)を準備する
  2. 居住地を管轄する海外の日本の大使館や領事館へ、直接ビザ(査証)申請を行う
  3. 在外公館での審査を経て、パスポートにデジタルノマドビザ(査証)が発給される
  4. ビザ発給後、日本へ来日・入国する

デジタルノマドビザは事前のCOE(在留資格認定証明書)がなくても直接申請を行うこと自体は可能ですが、このルートは在外公館を管轄している外務省と、ビザを管轄している法務省(入管)との間で審査に関するやりとりが生じることになります。そのため、許可されるまでに数か月程度という長い時間がかかってしまう可能性があり、実務上は次の(2)のルートが推奨されます。

(2)短期滞在で来日してから申請する場合(実務上の推奨ルート)

デジタルノマドビザを取得できる方は「査証免除国」の方であるため、まずは観光などの「短期滞在」で日本に入国し、日本の入管窓口で手続きを進めるルートが実務上推奨されています。

【申請の流れ】

  1. 本国で取得する書類を準備する
  2. 短期滞在として来日する
  3. 申請書類を準備する
  4. 滞在先の住所地を管轄する入管へ「在留資格認定証明書交付申請」を行う
  5. 在留資格認定証明書が交付される

航空券さえ確保できれば、②は好きなタイミングで来日できます。
ここで注意したいのは、来日後の③④です。
デジタルノマドビザは2024年3月に運用が開始したばかりなので、入管側も審査に時間を要する場合があります。
短期滞在の期間中に結果が出るよう、来日したらできるだけ早く申請することをおすすめします。

行政書士法人第一綜合事務所では、デジタルノマドビザの申請もサポートさせていただいております。
お客様にとって最適な申請方法をご提案いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

ご相談は無料です。
お気軽にご相談ください。

5.デジタルノマドビザの申請で必要になる書類

デジタルノマドビザ取得の申請で必要になる書類は、以下の通りです。
ノマドワーカー本人と、その家族に分けて表にしました。

【ノマドワーカー本人(特定活動53号ビザ)】

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • パスポート
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(簡易書留の切手貼付※電子交付を希望する場合は不要)
  • 滞在中の活動予定を説明する資料
  • 年収額を証明できる納税証明書、所得証明書など
  • 民間医療保険の加入証書及び約款の写し
【ノマドワーカーの配偶者・子(特定活動54号ビザ)】

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(簡易書留の切手貼付※電子交付を希望する場合は不要)
  • 滞在中の活動予定を説明する資料
  • 申請人の配偶者又は親との身分関係を証する文書
  • 民間医療保険の加入証書及び約款の写し
  • ノマドワーカー本人のパスポートの写し

6.デジタルノマドビザの注意点

デジタルノマドビザは、他のビザと少し違った点があるので注意が必要です。以下に5つの注意点を挙げます。

注意点①更新(延長)はできない

許可される場合は在留期間が「6か月」となりますが、これを更新してさらに6か月…といったことはできません。
上限の6ヶ月間フルで滞在した後に再度デジタルノマドビザで滞在したい場合は、まず在留期限までに日本を出国して、6か月経過した後であれば再度申請することが可能です。

注意点②在留カードは交付されない

入管法施行規則において例外的に「中長期在留者に当たらない者」として明確に規定されているため、デジタルノマドビザは「在留カード」が交付されません。
このため、日本国内で身分証が必要になるシーンで、不便なケースもあります。

注意点③住民票は登録できない

「在留カード」が公布されないため、日本の役所で住民票を登録することもできません。 住民票が作成されないため、マイナンバーカードの取得や、日本国内の銀行口座の開設、通常の携帯電話のポストペイド(後払い)契約などは原則としてできませんのでご注意ください。

注意点④アルバイトはできない

ノマドワーカー本人も、その家族も、日本でアルバイトをすることはできません。
また、ノマドワーカー本人は、新たに日本の企業や団体と契約を結んで仕事をするといったこともできません。

注意点⑤原則納税義務はない

住民票が作成されないため「住民税」が課税されることはありません。
「所得税」に関しては、日本の企業から報酬を得るわけではなく、海外の企業等からリモートワークの対価(海外源泉所得)を得る形になるため、原則として日本での納税義務は生じないとされています(租税条約の規定や、個人の居住者・非居住者の判定により異なる場合があります)。ただし、本国との間で二重課税にならないよう、事前に自国の税理士等へ確認しておくことを推奨します。

7.デジタルノマドビザのよくあるお問い合わせ

ここからは、デジタルノマドビザについてよくあるお問い合わせを5つご紹介します。

【Q1】デジタルノマドに該当するのはどんな仕事ですか?


【A1】ITエンジニア、デジタルデザイナー、デジタルマーケター、プログラマー、ライター、オンライン秘書、オンライン語学講師、外国企業の事業経営を行う個人事業主など、ITを活用した仕事であれば幅広く対象になります。

【Q2】滞在中に一時出国できますか?


【A2】できます。
出国する際に「再度入国する」ことを伝え、再入国用のEDカード(出国記録)を提出する手続きを行うことで、再入国できます。ただし、再入国できるのは在留期限までなので注意しましょう。

【Q3】滞在中に他のビザへ変更できますか?


【A3】一部を除き、他のビザへ変更することもできます。
ただし、変更するビザの種類によっては、ご家族が帯同できないビザもあるのでご注意ください。

【Q4】滞在中にできた日本の知人から、仕事のオファーを受けることはできますか?


【A4】フリーランスの方はできません。
フリーランスではなく外国企業に所属している方であれば、日本の知人が外国企業へオファーを出して、外国企業がオファーを受け、外国企業での業務として日本でリモートワークをする…という商流であれば可能です。

【Q5】フリーランスとして、日本国内の商品を買い付けて海外向けにネット販売する仕事は対象になりますか?


【A5】対象外となる可能性が高いです。
特定活動告示では、「日本に入国しなければ提供・販売できないサービスや業務」は明確に除外されています。あくまで「本来は海外や自国でできるリモートワークを、たまたま日本に滞在しながら行う」ことが前提となるため、日本国内での物理的な仕入れや活動が必須となるビジネスは認められません。

7.日本版「デジタルノマドビザ」まとめ

ここまでデジタルノマドビザについて解説しましたが、いかがでしたか?
このビザは制度開始から期間が経過し、入管や在外公館での審査傾向、具体的な許可事例も徐々に蓄積されてきました。しかし、個別の状況に応じた実務判断が求められる場面も少なくありません。
行政書士法人第一綜合事務所は、ビザ申請を専門に扱う国内最大級の行政書士法人です。毎週入管へ出向き情報収集も行っていますので、デジタルノマドビザに関する最新情報をお尋ねになりたい方は、弊社の無料相談をご利用ください(英語、中国語、ベトナム語にも無料で対応しております。)。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 渡邉 直斗

・日本行政書士会連合会(登録番号第19260365号)
・大阪府行政書士会(会員番号第7712号)
兵庫県出身。大阪オフィス長として,大学や自治体,企業向けのセミナーにも登壇。外国人ビザ申請,国際結婚,帰化許可申請などの国際業務を専門としている。

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