松原 桃子

帰化許可後の手続き

帰化許可後の手続き

本ページでは,帰化許可後の手続きについて説明をしていきます。

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1.帰化許可後の手続きについて

帰化が許可され日本国籍を取得した場合,帰化後には様々な手続きが必要になります。帰化が許可されると,法務局から身分証明書が交付され,市区町村役場への帰化届出や各種名義変更等,行わなければならない手続きが数多くあります。

以下においては,帰化許可後に必ずしなければならない手続きをご紹介します。

Ⅰ.市区町村役場への帰化届の提出

帰化が許可されると,官報に氏名と住所が掲載されます。その後,2週間程度で法務局から許可の連絡があり,法務局で「帰化者の身分証明書」が交付されます。これを帰化許可申請時に本籍地とした地を管轄する市区町村役場に,帰化届と一緒に提出してください。帰化届を提出する事で,戸籍が編製されます。

帰化届を提出する上で,気を付けなければならない点が提出期限です。帰化届は,官報掲載日から掲載日を含めて1ヶ月以内に提出しなければなりません。

帰化届の提出に必要な書類は以下の通りです。
・帰化届書
⇒日本人の配偶者がいる場合は,配偶者の署名・捺印が必要となります。
・届出人の印章(ハンコ)
⇒日本人の配偶者がいる場合は,配偶者の印章も必要です。
・帰化者の身分証明書
⇒法務局から交付されます。

上記の必要書類は一般的なものになりますので,実際に帰化届を提出される場合は,管轄の市区町村役場へ事前に確認してください。

Ⅱ.在留カードもしくは特別永住者証明書の返納

帰化許可により日本国籍を取得した時点で,外国人ではなくなります。住所地を管轄する地方出入国在留管理局に在留カードを返納してください。特別永住者の場合は,市区町村役場に特別永住者証明書を返納してください。

なお,在留カードまたは特別永住者証明書の返納は,身分証明書の交付から14日以内に行わなければなりません。帰化届の提出期限よりも短いので,身分証明書が交付されてから速やかに返納するようにしましょう。

上記2つの手続きは帰化許可後,必ず行う手続きになります。
そのため,期限内に手続きを行わなければ,罰金刑を科されることがありますので,期限には十分に注意して手続きを行いましょう。

2.国籍による手続きの違いについて

帰化届の提出,在留カードまたは特別永住者証明書の返納以外にも,本国の国籍離脱の手続きを行う必要がある場合があります。
本国の国籍離脱手続きは国によって様々ですので,大使館または領事館に国籍離脱方法を事前に確認する必要があります。

以下では,帰化許可申請の主要国である韓国と中国の国籍離脱手続きをご紹介します。

【韓国の場合】

韓国の法律上,韓国の国籍を喪失した者は,法務部長官へ国籍喪失届を提出しなければならないと定められています。
具体的には,在日韓国大使館または総領事館へ国籍喪失届を提出します。国籍喪失届を提出しないまま放っておくと,韓国の登録簿に依然として韓国籍のまま記載が残ったままになり,相続等の際に大きな支障が生じることになります。

【中国の場合】

中国の場合は,帰化許可申請時に国籍証明書を法務局へ提出し,中国国籍の離脱意思があることを法務局に提出します。
国籍証明書は,管轄の在日中国大使館または領事館に,退出中華人民共和国国籍証書を申請して手に入れることができます。

中国は中国国籍法第9条で,「外国に定住している中国公民で,自己の意思によって外国の国籍に入籍し又は取得した者は自動的に中国国籍を失う。」と定めています。
つまり,中国も日本と同様に二重国籍を認めておらず,中国以外の国籍を取得した時点で自動的に中国国籍を失うことになります。

自動的に中国国籍を失うということは,国籍証明書以外の手続きは行わなくて良いのか?というとそういう訳ではありません。以前は国籍証明書を取得した時点で中国旅券(パスポート)が失効する扱いになっていましたが,平成28年5月以降から,国籍証明書を発行しても中国旅券(パスポート)は失効しなくなりました。つまり,帰化許可申請後も中国旅券を使用することが可能になりました。

これに伴って,帰化許可を取得した方は,中国旅券の失効手続きを行わなければならなくなりました。また,中国旅券の失効手続きと一緒に,中国国籍を離脱した報告を行うことで,中国側へ日本国籍を有していることを示すことになります。

このように,中国国籍の方の国籍離脱は平成28年以降から手続きが変わっていますので,注意してください。

3.帰化不許可時の対応について

次は,帰化許可申請の不許可時の対応をご紹介します。

実は,帰化許可申請の不許可は,あまり想定されていません。何故かと言うと,帰化の許可要件に適合しない事項があれば,「申請が受理されない」か「申請後に申請取り下げ」を法務局から指示されるからです。帰化許可申請は,審査に辿り着くまでの申請を事前に絞っているため,帰化許可申請の許可率は,入管での永住許可申請に比べると非常に高くなっています。

しかし,帰化許可申請後の審査中に,長期出国,交通事故および刑事犯罪などで消極的事由があるために,不許可になるケースもあります。
また,不許可理由の中で最も懸念されるのは,申請内容と実態との間に齟齬があった場合です。この場合は,もちろん今回の帰化許可申請は不許可処分となり,次回以降の帰化許可申請を検討するときも,書類審査のハードルが上がりますので,実態との齟齬のある申請は絶対に行わないようにしましょう。

また,帰化許可申請の不許可は,申請人の自宅への不許可通知書の郵送によって通知されます。
不許可の理由は,通知書にも記載されておらず,法務局へ行っても教えてくれません。
しかし,なぜ不許可になったのかを理解しなければ,次回の帰化許可申請を検討することができません。多くの場合は,申請内容に実態との齟齬がある場合,もしくは審査中の素行不良が原因ですので,ご自身が一番不許可の理由を理解されているかもしれません。

帰化許可申請は,いつでも何度でも再申請することができます。
しかし,前回の不許可理由をしっかり補填する必要がありますので,再申請をご検討中の方は慎重に手続きを進めることをお勧め致します。

4.まとめ

本ページでは,帰化許可後の手続きをご説明しました。
帰化許可後の手続きでは,期限が異なる手続きがありますので,それぞれの期限を意識して準備することを心がけてください。
当社では,帰化許可後の手続きもトータルサポートをしております。お気軽に当社までお問合わせください。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 松原 桃子

・日本行政書士会連合会(登録番号第24261750号)
・大阪府行政書士会(会員番号第8991号)
兵庫県出身。大阪オフィスに所属し,日本国籍を取得するための帰化許可申請業務を専門としている。

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