2026.09.29 冨田 祐貴 特定技能ビザ特定技能1号特定技能2号造船・舶用工業 造船・舶用工業分野で外国人を雇用する要件・業務内容・試験内容を行政書士が解説 1.造船・舶用工業分野の要件 造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、出入国管理及び難民認定法(入管法)や特定技能基準省令に基づく全分野共通の要件に加え、国土交通省の告示により定められた本分野固有の基準を厳格に満たす必要があります。 (1) 特定技能所属機関(受入企業)に求められる主な要件 受入企業は、単に雇用契約を結ぶだけでなく、自社および契約内容が法令基準に適合していることを証明しなければなりません。主に以下の4点と、次章で述べる「協議会への事前加入」が満たすべき要件となります。 ① 造船・舶用工業分野に係る事業者であることの確認 受入企業は、造船法第6条第1項の事業を営む者、小型船造船業法第2条第1項に規定する小型船造船業を営む者、あるいはその他の造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であることが求められます。在留資格の申請前に、国土交通省海事局船舶産業課から「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること」の確認を受け、確認通知書を取得する必要があります。 ② 雇用形態と労働条件の基準 直接雇用の限定: 特定技能外国人の雇用形態は「直接雇用」に限られます。労働者派遣事業者からの派遣受入や他社への派遣は一切認められていません。 日本人と同等以上の報酬待遇: 報酬額は、同じ業務に従事する日本人労働者と同等以上でなければなりません。また、外国人であることを理由とした差別的取扱いの禁止、所定労働時間の日本人と同等化、一時帰国希望時の有給休暇取得保障が義務付けられています。 法令遵守と適正な履行体制: 過去5年以内に労働法規や出入国関連法令の違反がないこと、過去1年以内に同種業務の日本人労働者を会社都合退職(非自発的離職)させていないこと、受入企業の責に帰すべき行方不明者を発生させていないことが求められます。また、報酬の支払いは預貯金口座への振込等で行う必要があります。 ③ 支援体制の整備と支援計画の策定(特定技能1号) 受入企業は、1号特定技能外国人が日本で安定的・円滑に生活・就労できるよう、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、実施しなければなりません。支援内容は、入国前の生活情報提供、入出国時の送迎、住居確保の支援・保証人の手配、生活オリエンテーションの実施、公的手続の同行、日本語学習機会の提供、定期面談の実施など10項目に及びます。受入企業自らが支援を行う場合は、過去2年間に中長期在留者(就労資格)の受入・管理実績があること等の条件を満たす必要があります。自社での支援体制構築が困難な場合は、入管に登録された「登録支援機関」へ支援計画の全部の実施を委託することが可能です(詳しくは【登録支援機関の総まとめ】行政書士の解説!をご参照ください)。 ④ 共生施策への協力(市区町村への「協力確認書」提出) 地域社会における外国人との共生を推進するため、受入企業は特定技能外国人が活動する事業所および居住地が属する市区町村に対し「協力確認書」を提出し、自治体が実施する防災、ゴミ出しルール、地域イベント等の共生施策に協力する旨を在留諸申請時に申告する必要があります。 (2) 「造船・舶用工業分野特定技能協議会」について 造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる企業および登録支援機関には、「造船・舶用工業分野特定技能協議会(以下、協議会)」への加入と、協議会に対する必要な協力が義務付けられています。加入や協力を行わない場合、特定技能外国人の受入手続を行うことができません。 ① 協議会の設置目的と位置付け 協議会は、国土交通省海事局船舶産業課を事務局として設置された機関です。その目的は、構成員相互の緊密な連携と情報共有を図り、造船・舶用工業の実情に応じた特定技能および育成就労制度の適正な実施、ならびに外国人の保護に資する取組を推進することにあります。 ② 協議会の主な活動内容 協議会規約第3条に基づき、以下の活動が行われています。 制度趣旨・優良事例の周知と人権問題への対応: 制度の適正運用のための情報周知や、受入に伴う人権上の課題・予防策の検討。 法令遵守の啓発と公租公課納付の推進: 受入企業に対する労働・入管法令の遵守啓発、および外国人労働者・受入企業双方に対する税金・社会保険料(公租公課)の納付啓発。 倒産時等の転職支援: 受入企業が倒産等により雇用を継続できなくなった際、企業自らが支援義務を果たせない場合において、協議会が連携して情報提供や転職支援の協力を行う。 大都市圏等への集中回避・過度な引き抜きの防止(重要):…