仲野 翔悟

ミャンマーの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

ミャンマーの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

本記事では,ミャンマーと日本との間で締結された二国間協定について紹介します
二国間協定での誓約事項や,ミャンマー人の受入れフローを紹介した記事内容となっていますので,ぜひ最後までご一読下さい。

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1.特定技能の二国間協定とは

ミャンマーと日本との間で二国間協定が締結された目的は,特定技能制度を運用する上での2国間の役割を明確にし,適正な制度運用を実現することで,特定技能外国人の保護をするためです。

2.ミャンマー政府が誓約した重要事項

二国間協定で,ミャンマー政府が誓約した重要事項は次の通りです。

  • 送出し機関の審査・認定の実施
  • 送出し機関情報を日本政府へ報告
  • 日本政府からの情報に応じて送出し機関の調査などを実施
  • 指導などを受けた受入れ機関情報の公表
  • 日本政府からの依頼に応じて情報提供

〇送出し機関の審査・認定の実施
送出し機関について十分な審査を行い,基準を満たした機関のみを許可することが誓約されています。
なお,ミャンマーにいる人材を採用する場合は送出し機関を仲介することが必須となっています。

〇送出し機関情報を日本政府へ報告
送出し機関の許可を出した場合は,日本政府へ情報共有することが誓約されています。

〇日本政府からの情報に応じて送出し機関の調査などを実施
送出し機関の不正な活動について,日本政府より情報提供を受けた場合は,該当する送出し機関の調査・指導などを行うことが誓約されています。

〇指導などを受けた受入れ機関情報の公表
日本政府が受入れ機関などに対して改善命令などを行った場合は,ミャンマー政府にも情報共有され,ミャンマー国内でも公表することが誓約されています。
そのため,不正を行った受入れ機関は,今後ミャンマー人の受入れを希望する場合も人材獲得が難しくなることが想定されます。

〇日本政府からの依頼に応じて情報提供
ミャンマーの送出し機関などに関する情報照会を日本政府より受けた場合は,必要な情報を調査して日本政府へ提供することが誓約されています。

3.日本政府が誓約した重要事項

日本政府が誓約した重要事項は次の通りです。

  • ミャンマー政府からの送出し機関情報を日本国内で公表
  • ミャンマー政府からの依頼に応じて情報提供

〇ミャンマー政府からの送出し機関情報を日本国内で公表
送出し機関に関する情報や,認定取り消しなどが行われた情報について,ミャンマー政府より情報提供を受けた場合は,日本国内にて公表することが誓約されています。

〇ミャンマー政府からの依頼に応じて情報提供
ミャンマー政府より,特定技能外国人受入れに関する情報の照会を受けた場合は,必要な情報を共有することが誓約されています。

4.特定技能外国人の受入れフロー(呼び寄せ)

ミャンマーにいる特定技能外国人を呼び寄せする際の手続きは次の通りです。

①送出し機関との契約
②求人票の承認
③採用する人材の選定
④雇用契約の締結
⑤特定技能の在留資格認定証明書の取得
⑥ミャンマー労働省よりOWIC取得
⑦在ミャンマー日本大使館での手続き
⑧日本へ入国・就労開始

①送出し機関との契約
ミャンマー政府より認定を受けた送出し機関との特定技能外国人の呼び寄せ手続きに関する契約を締結します。
なお,契約に際して送出し機関との契約内容に関しての審査などはありません。

②求人票の承認
求人票を作成して,送出し機関を介して,ミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)へ提出します。
求人票の内容に問題がなければ,提出した求人票が承認されます。

③採用する人材の選定
承認された求人票の内容で,送出し機関がミャンマー国内の人材を募集します。
特定技能の要件を満たした応募者の中から,送出し機関仲介の下で人材の選定を行います。

④雇用契約の締結
特定技能外国人と雇用契約の締結をします。
この際に,特定技能制度で実施義務のある事前ガイダンスも兼ねて,雇用条件の内容や入国に関する手続きなどについて説明をします。

⑤特定技能の在留資格認定証明書の取得
特定技能の在留資格認定証明書交付申請に必要な書類を集めて,入管へ申請をします。
入管への申請は,日本にいない特定技能外国人本人に代わって,受入れ機関や登録支援機関などが行います。

⑥ミャンマー労働省よりOWIC取得
MOLIPより海外労働身分証明カード(OWIC)を取得します。

OWICは,日本へ出国する前に必ず取得することが必要となっています。

⑦在ミャンマー日本大使館での手続き
日本より郵送で受け取った在留資格認定証明書を在ミャンマー日本大使館へ持参することで,日本へ出国するための正式なビザの発給を受けることができます。
日本から郵送で受け取った在留資格認定証明書の有効期限は3ヶ月であるため,期間内に日本大使館での手続きを済ませるように注意して下さい。

⑧日本へ入国・就労開始
日本へ入国して,特定技能ビザ(在留カード)を空港で取得した日より,特定技能外国人としての就労を開始することができます。
実際の就労開始前でも,在留カードが発行された時点で特定技能(1号)のカウントは始まるため,最長5年の在留可能期間が消化される点には注意して下さい。

5.特定技能外国人の受入れフロー(日本にいるミャンマー人)

日本にいるミャンマー人を受入れする際の手続きは次の通りです。

①採用する人材の選定
②雇用契約の締結
③駐日本ミャンマー大使館でパスポート更新
④特定技能ビザの取得
⑤就労開始

①採用する人材の選定
日本国内にいる特定技能の要件を満たしたミャンマー人の中から,採用する人材を選定します。
人材を採用する方法としては,既に受入れしている技能実習生を特定技能ビザで延長する方法や,人材紹介会社を経由する方法に加えて,既に受入れしている外国人からの紹介などが想定されます。

②雇用契約の締結
特定技能外国人と雇用契約の締結をします。
この際に,特定技能ビザの申請に必要な納税関係書類なども取得サポートをする必要があります。

役所での手続きなどをサポートすることは特定技能制度で実施義務のある支援業務のひとつであるため,要望があれば付き添いなどをして必要書類取得などの手続き補助をする必要があります。

③駐日本ミャンマー大使館でパスポート更新
雇用契約の締結後,駐日本ミャンマー大使館で,パスポートの更新手続きを行う必要があります。

④特定技能ビザの取得
準備が整った段階で,特定技能ビザの申請手続きをします。
現在は,マイナンバーカードを使ってオンラインでのビザ申請をすることもできるなど,ビザ申請時の利便性も向上しているため,管轄の入管へ出向く手間なども考慮して最善の方法で手続きすることをお勧めします。

⑤就労開始
入管にて特定技能ビザを取得した日より,特定技能外国人としての就労を開始することができます。

6.まとめ:ミャンマーの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

本記事では,二国間協定での誓約事項や受入れ手続きのフローを紹介しました。

ミャンマー人の特定技能ビザの取得手続きをする際には,海外労働身分証明カードの発行が必要であるなど,他の国の外国人には無い手続きもあるため,手続きを進める際には注意が必要です。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 仲野 翔悟

・日本行政書士会連合会(登録番号第23260654号)
・大阪府行政書士会(会員番号第8637号)
大阪府出身。大阪オフィスに所属し,外国人ビザ申請,永住権取得,国際結婚手続き,帰化許可申請など国際業務を専門としている。

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