松原 桃子

横浜地方法務局での帰化申請【神奈川県での帰化】

横浜地方法務局での帰化申請【神奈川県での帰化】

神奈川県にお住いの方が帰化許可申請をする場合は,横浜地方法務局が管轄となります。本局である横浜地方法務局のほかに,6つの支局があります。神奈川県内の市町村によって,本局なのか支局なのかが変わります。
本コラムでは,神奈川県での帰化申請について,申請先と流れについて解説していきます。

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1.神奈川県の法務局一覧と管轄地域

神奈川県にある法務局と,市町村ごとの管轄地域について見ていきましょう。
神奈川県で帰化申請を取り扱っている法務局は,横浜地方法務局(本局)と,湘南・川崎・横須賀・西湘二宮・厚木・相模原の6つの支局です。県内には9つの「出張所」もありますが,出張所では帰化申請できません。
お住まいの市町村によって,申請する法務局が変わります。下の地図で確認してください。
横浜地方法務局 管轄のご案内

(出典:横浜地方法務局ホームページ)

帰化申請できる法務局 法務局の住所 管轄の市町村
横浜地方法務局(本局)
045-641-7464
横浜市中区北仲通5丁目57番地
横浜第2合同庁舎
横浜市
川崎支局
044-244-4166
川崎市川崎区宮前町12-11
川崎法務総合庁舎
川崎市
相模原支局
042-753-2110
相模原市中央区富士見六丁目10-10
相模原地方合同庁舎
相模原市
厚木支局
046-224-3163
厚木市寿町三丁目5-1
厚木法務総合庁舎
厚木市,海老名市,綾瀬市,座間市,大和市,伊勢原市,秦野市,愛川町,清川村
湘南支局
0466-35-4620
藤沢市辻堂神台二丁目2番3号 鎌倉市,藤沢市,茅ヶ崎市,寒川町
横須賀支局
046-825-6511
横須賀市新港町1番地8
横須賀地方合同庁舎
横須賀市,逗子市,三浦市,葉山町
西湘二宮支局
0463-70-1102
中郡二宮町二宮1240番地1 平塚市,小田原市,南足柄市,大磯町,二宮町,中井町,大井町,松田町,開成町,山北町,箱根町,真鶴町,湯河原町

詳しくは,横浜地方法務局のホームページ でもご確認いただけます。

2.帰化申請手続きの基本的な流れ

ここからは,帰化申請の基本的な流れについて確認していきましょう。
帰化申請は申請人ご本人が管轄の法務局へ行って申請する必要があります。他の人に申請の代行を依頼することができません。この点が,ビザ手続きと大きく違うところです。
※行政書士が同行することは可能ですが,ご本人様も必ず法務局へ行く必要があります。

①管轄の法務局へ「事前相談」の予約
予約は電話で行います。上の一覧表を見てお電話ください。
法務局によっては帰化申請の相談ができる曜日が決まっているところもあります。

②法務局にて事前相談
法務局の担当官と直接話せます。これまでの生い立ちや帰化したい理由,家族構成や現在の仕事内容など,いくつか質問されますので,できる限り正確に回答してください。この事前相談で,申請に必要となる書類の説明も受けられます。取得することが難しい書類がある場合は,ここで確認しておきましょう。

③必要書類の収集,申請書の作成
事前相談で指示された各種書類を集めます。役所で取得する書類には有効期限があります。せっかく取得しても,法務局へ申請する時点で有効期限が切れてしまうと再度取得することになります。申請の予定日から逆算して,計画的に取得していきましょう。また,集める書類だけでなく「作成する」書類もあります。

④法務局へ「書類点検」の予約
必要書類の収集,申請書作成の目途がある程度立った時点で,書類点検の予約を取りましょう。
法務局によっては,事前に書類一式の点検をしてからでないと申請を受け付けてもらえないところもあります。
事前相談の際に,「書類が揃ったらすぐ申請できるのかどうか」も確認しておきましょう。

⑤法務局で書類一式を点検
不足している書類,追加で用意する書類,申請書の書き直しが必要な箇所などを点検してもらえます。
この点検でOKとなれば,申請に進められます。横浜地方法務局の場合,点検と同日に申請が行える法務局と,申請は別の日に改めて予約しないといけない法務局があります。

⑥申請書類の完成⇒法務局へ申請
法務局での点検で指摘された内容をクリアにして,申請書類一式を完成させます。
完成したら,法務局へ持参して書類に不備がなければ「申請受付」となります。
受付となると,審査の担当官が決まり,これ以降は担当官から電話でやりとりすることになります。

⑦法務局で面接
申請が受付となってからしばらくしたあと,担当官から電話で面接の連絡が入ります。
指定された日時に法務局へ行って,担当官と面接をします。面接で聞かれる内容は人によってさまざまです。これまでの経歴や,帰化する理由ついて聞かれることが多いようです。また,日本語能力もここでチェックされます。

⑧法務省でも審査
法務局での審査が終わると,続けて法務省(本省)でも審査されることになります。
改めて質問や書類の追加提出を求められることもありますので,法務局からの電話には出られるようにしておきましょう。

⑨官報に掲載
帰化が許可されると,日本政府発行の「官報」に掲載されます。この時点で,日本国籍を取得したことになります。法務局からも許可の連絡が入り,「帰化者の身分証明書」が発行されます。

⑩国籍離脱手続き・在留カードの返納
元母国の大使館・領事館で国籍離脱の手続きを行います。日本国籍を取得した時点で,自動的に国籍離脱になる国もありますので,手続き方法について大使館または領事館へお問い合わせください。
※帰化許可前に国籍離脱手続きをする場合もあります。(例/台湾など)
これまで持っていた「在留カード」は,帰化許可から14日以内に入管の窓口または郵送で返納が必要です。

⑪市区町村へ「帰化届」を提出
市役所へ「帰化者の身分証明書」を持参して「帰化届」を提出すると,戸籍が編さんされます。
この帰化届は,帰化許可から1か月以内に提出しなければいけません。

どれぐらいの期間がかかる?

①事前相談~⑥法務局へ申請までに2~3か月程度,⑥法務局へ申請~⑨官報に掲載までに,10か月程度かかるので,トータルで1年以上かかる手続きになります。また,許可後に行う手続きも多いので注意が必要です。

行政書士に依頼するメリット

帰化申請を専門に扱う行政書士に依頼した場合,申請までの行程をスムーズに進めることができます。
完成度の高い書類を提出できますので,何度も法務局へ行ってチェックしてもらう…のようなことがありません。
また,帰化申請は申請される方の経歴や現在の状況によって,提出する書類が変わってきます。法務局から提出を求められた書類のなかに,本国でも取得できないものが出てくることもあります。そういった際に,間に入ってより専門的な話ができる行政書士は,心強い存在になるでしょう。

3.横浜地方法務局での帰化申請は他と違う?

ここからは,横浜地方法務局の特徴について解説します。
実際に当社でお手伝いさせていただいた内容をもとにまとめていますので,申請するタイミングと担当官によって多少異なる場合があることだけご容赦ください。

書類が揃っていればいきなり申請予約を取ることもできる

横浜地方法務局では,「相談」と「申請受付」の予約を区別しています。
申請に必要な書類が一式揃っていれば,「相談」を省略して「申請受付」の予約を取ることも可能です。
一方で,「相談」の予約をとった場合は,たとえ当日までに書類が揃えられたとしても,申請受付してもらえません。

厚木支局は原則として事前の書類点検が必要

横浜地方法務局のなかで,厚木支局だけは運用が異なる場合があります。
書類が揃っていたとしても,初回から申請の予約は取ることができず,「点検」を挟まないと申請できない場合があります。すべての方に該当するわけではありませんが,厚木支局へ行く回数が一回多くなることがある点にご注意ください。

4.横浜(神奈川県)での帰化申請は混んでいる?

出入国在留管理庁が2024年3月に公開した「令和5年末現在における在留外国人数について」によると,神奈川県の在留外国人数は約26万人で,全国で4位でした。
【令和5年末現在の在留外国人数】

順位 都道府県 在留外国人数(合計) うち中長期在留者数 うち特別永住者数
1位 東京都 663,362人 624,289人 39,073人
2位 愛知県 310,845人 288,580人 22,265人
3位 大阪府 301,490人 229,973人 71,517人
4 神奈川県 267,523 251,976 15,547
5位 埼玉県 234,698人 226,561人 8,137人

全国で4番目に人口が多いということで,帰化申請を希望される方も相対的に多くなります。相模原市など混み合っている地域もありますので,帰化申請を検討されている方は管轄の法務局へ混雑状況を確認いただくことをおすすめします。

5.神奈川県での帰化申請まとめ

本コラムでは,横浜地方法務局をはじめ,神奈川県での帰化申請について解説しました。
繰り返しになりますが,帰化申請はお住まいの住所によって提出する法務局が決まっています。「空いている法務局を選んで申請する」ということができません。法務局によっては,申請の受付まで数か月待ちとなるケースも珍しくありません。帰化申請を検討されている場合は,早めのご準備をおすすめします。
行政書士法人第一綜合事務所では,横浜地方法務局へ同行するサービスもご用意しております。ひとりで帰化申請の準備を進めることにご不安がある方は,ぜひ当社の無料相談をご利用ください。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 松原 桃子

・日本行政書士会連合会(登録番号第24261750号)
・大阪府行政書士会(会員番号第8991号)
兵庫県出身。大阪オフィスに所属し,日本国籍を取得するための帰化許可申請業務を専門としている。

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