今井 幸大

【解決事例】経営管理ビザを持つ外国人が家事使用人を呼ぶ方法

【解決事例】経営管理ビザを持つ外国人が家事使用人を呼ぶ方法

【事例】
中国で会社経営をしているAさんは,この度,日本に中国法人の子会社を設立し,経営管理ビザを取得して来日することになりました。しかし,Aさんには気がかりなことが…。
Aさんと中国人の夫Bさんの間には6歳になる娘Cちゃんがいます。
Aさんは,Cちゃんと一緒に来日することを希望していますが,仕事で多忙を極めることが予想され,身の回りのことやCちゃんの世話に不安を感じています。

そこで,長年住み込みで働いている家事使用人のDさんも一緒に来日できないものかと考え,行政書士に相談することにしました。

本ページでは,経営管理ビザを持つ外国人が家事使用人を呼ぶ方法について,事例を交えながらみていきます。

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1.はじめに

近頃は,益々グローバル化が加速し,日本法人の代表者が外国人というケースも珍しいものではなくなりつつあります。
今回は,経営管理ビザを持つ外国人経営者が,家事使用人(いわゆる家政婦さん)を本国から招へいする手続きについて解説していきます。

家事使用人の活動内容に該当するビザは,法務大臣が個々に活動を指定する特定活動ビザになります。
特定活動ビザとは,他の在留資格に該当しない活動の受け皿として,法務大臣が個々の外国人について活動を指定するという在留資格です。

雇用主の在留資格が「外交・公用」,「経営・管理」,「法律・会計業務」,「高度専門職」の4つのいずれかに該当する場合,個人的使用人として雇用されている家事使用人に対して,特定活動ビザが認められています。

注意が必要なのは,家事使用人に在留資格が認められるための要件は,上記4つの在留資格によって異なるということです。

本ページでは,経営管理ビザを持つ外国人経営者が雇用する家事使用人の要件を確認していきます。

2.経営管理ビザに雇用される家事使用人の要件とは?

経営・管理ビザを有する外国人が雇用する家事使用人に在留資格が認められるには,以下の7つの要件を満たす必要があります。

①経営・管理の在留資格をもって在留する雇用主が,事業所の長又はこれに準ずる地位にある者であること
②申請の時点において,雇用主が13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有していること
③当該外国人が雇用できる家事使用人は在留資格を求める1名のみであり,18歳以上であること
④雇用主が使用する言語により日常会話を行うことができること
⑤家事使用人は個人的使用人として雇用されていること
⑥家事使用人が月額20万円以上の報酬を受けていること
⑦雇用主の家事に従事する活動を行うこと

①の「事業所等の長又はこれに準ずる地位にある者」という意味については,地位の名称・肩書きといった形式によって判断されるのではなく,事業所等の規模,形態,業種,報酬額及び事業所等における権限等を考慮し,総合的に判断されます。例えば,代表者でなくても,代表者から直接指示を受けている場合や,一般職員と異なり権限の範囲が広く,所属部署自体が独立しているような場合については,本要件に該当する可能性があります。

②の「申請の時点において」とは,上陸許可申請の時点を指します。したがって,例えばビザ取得後に在留期間満了を迎えるに際して在留期間更新許可の申請を行った時点で,雇用主の子が13歳に達していた場合であっても,指定された活動に変更が生じたことにはなりません。
ただし,これは同一の雇用主に雇用される場合の取り扱いであり,雇用主が変更になった場合には,新たな雇用主との契約に基づいて在留期間更新等の申請を行った時が「申請の時点」となるので注意が必要です。

③当該外国人が雇用している家事使用人は,在留資格を求める1名のみであることが要件となっています。他に家事使用人を雇っている場合は,常勤,非常勤,日本人,外国人を問わず,家事使用人を呼び寄せることは出来ません。

④雇用主が使用する言語により日常会話を行うことができることの要件については,通常雇用主と家事使用人の国籍が同一である場合には特別な立証資料は必要ありません。雇用主と家事使用人の母語が異なる場合には,どのようにしてその言語を習得したかを立証する資料が求められます。

⑤家事使用人は個人的使用人として雇用されていること,⑥家事使用人が月額20万円以上の報酬を受けていること,⑦雇用主の家事に従事する活動を行うことの立証資料については,雇用主との契約書の写し等を提出します。本国での雇用条件を変更しなければならない場合も少なくありません。申請前に雇用契約の内容をチェックする必要があります。

また,⑤,⑥要件との関係上,雇用主に家事使用人の報酬を支払えるだけの資力があることの立証を求められることもあります。

3.家事使用人の招へいまでの道のり

Aさんは中国法人の子会社の代表取締役として来日していますので,①経営・管理の在留資格をもって在留する雇用主が,事業所の長又はこれに準ずる地位にある者であることの要件を満たします。また,娘Cちゃんは現在6歳ですので,②上陸申請の時点において,雇用主が13歳未満の子を有するという要件も満たします。
Dさんは中国でAさん夫婦の家事使用人をしていたため,日常会話の言語能力に問題はなく(要件④),来日後は唯一の家事使用人として雇用主の家事に従事する予定です(要件③,⑤,⑦)。

問題となる要件は,⑥家事使用人が月額20万円以上の報酬を受けていることです。
Dさんの場合,本国においては,要件⑥の水準に満たない給与で家事使用人として雇用されていましたが,告示の規定をAさんに示し,日本で雇用する間は契約内容を改定しました。

その結果,Dさんは無事に家事使用人として特定活動ビザを得ることができました。

4.経営管理ビザを持つ外国人が家事使用人を呼ぶ方法のまとめ

これまでに見てきたように,経営管理ビザを持つ雇用主が,仕事の多忙や子どもの世話を理由に,本国で雇用していた家事使用人を帯同することは可能です。

本国で雇用していた家事使用人と一緒に来日することができれば,来日後の雇用主の活動範囲は大いに広がるでしょう。本国で雇用していた家事使用人の雇用契約の内容等については,変更の必要がある場合もありますので,その点には注意が必要です。

経営管理ビザをお持ちの外国人の方で家事使用人を招へいされたい方は,ぜひ当社までお問い合わせ下さい。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

特定行政書士 今井 幸大

・日本行政書士会連合会(登録番号第18080677号)
・東京都行政書士会(会員番号第11843号)
東京都出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,永住権取得,国際結婚手続き,帰化許可申請など国際業務を専門としている。

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