行政書士法コラム

COLUMN

【行政書士法改正】「報酬」規定を徹底解説!無資格業者が陥る「3つの違法類型」や「グレーゾーン」と対策

1.「報酬」規定の厳格化と理由 (業務の制限) 第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。 改正行政書士法第19条第1項において、資格を持たない者が他人の依頼を受けて「官公署に提出する書類」を作成すること(第一条の三で規定)は原則として禁止されています。この規制が適用されるには、「業として」かつ「報酬を得て」という2つの要件を満たす必要があります。 今回の法改正の背景と、それぞれの要件が実務上どう解釈されるのかを整理しておきましょう。「報酬を得て」の部分に関しては第2章以降で詳述します。 (1) ビジネスに組み込んだ時点で該当する「業として」とは 法的な解釈における「業として」とは、「反復継続して、または反復継続する意思を持って行為を行うこと」を指します。 「1回しかやっていないから業ではない」という論理は通用しません。自社のサービスメニューや規約に「書類作成をサポートします」と組み込んでいる時点で、それは「反復継続する意思がある」とみなされ、自動的に「業として」の要件を満たすことになります。 (2) 改正の背景:横行する「申請代行コンサル」への規制強化 近年の深刻な社会問題として、民間コンサルティング会社やITベンダーなどが「補助金申請代行」や「各種許認可の取得サポート」を謳い、実質的な書類作成を無資格で行うケースが多発していました。これに伴い、不適切な申請や高額な手数料トラブルが相次いだことが、今回の法改正の直接的な契機となっています。 こうした「抜け穴」を利用した違法ビジネスを根絶するため、今回の改正では条文内に「いかなる名目によるかを問わず」という文言が明記されるに至りました。これにより、行政や警察側は「名目(建前)ではなく、実態としてお金が動いているか」だけで違法性を判断できるようになりました。 2.「報酬」に該当する3つの典型類型 前提として、行政書士の独占業務は「建設業許可」「宅建業免許」「飲食店営業許可」などの許認可申請や、「補助金申請」に伴う事業計画書等の官公署提出書類が該当します。以下に改正法において違反とみなされる主な3つのパターンを解説します。 (1)手数料型 「手数料型」は、事業者が顧客に代わって書類作成を行い、その対価として「書類作成料」とは明示せずに、「事務手数料」や「代行料」といった名目で費用を徴収するケースです。 (例) 「申請書作成は無料ですが、事務手数料として1万円いただきます」 「システム利用料(または代行料)として費用を頂戴します」 名目が何であれ、実質的に書類作成の対価として金銭を徴収していると判断されるため、明確な違法行為となります。 (2)本来業務対価一体型 「本来業務対価一体型」に該当するのは、コンサルティング会社、不動産業者、設備機器業者などが、自社のメインサービスの一環として書類作成を行うケースです。 書類作成自体を「無償」と謳っていても、以下のような名目で金銭を受け取っていれば、業務全体の対価として「報酬を得て」いるとみなされます。 業種 受け取っている名目例 なぜ違法とみなされるか コンサルティング会社 コンサルタント料、顧問料 顧問契約の中に書類作成業務が実質的に含まれているため 不動産業者 仲介手数料、業務委託費 仲介という本来業務と書類作成が一体化し、利益を得ているため 設備機器・工事業者 設置工事費、システム導入費 工事や導入の対価として実質的に書類作成費用が内包されているため 以上のような該当事業者は、顧客に対し、「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成は、行政書士の法定独占業務なので所要の官公署提出書類その他権利義務・事実証明書類作成業務については、顧客自らが行政書士に依頼しなければならない」ということを説明する必要があります。 (3) 会費(サブスクリプション)型…