手数料コラム

COLUMN

外国人配偶者と日本へ再移住:永住権取得を見据えたビザ申請を行政書士が解説

1. 日本の入管行政の大きな変化:手数料値上げと審査厳格化 まず、入管行政における大きな2つの変化(法改正・ガイドライン改定)について押さえておく必要があります。 (1) 【2026年10月1日施行】在留許可手数料の大幅引き上げ 2026年(令和8年)10月1日より、改正入管法に伴い、入管へ支払う在留許可手数料の「法定上限額」が引き上げられ、実際の納付金額も改定されました。 改定前の手数料は、在留資格変更や期間更新が一律6,000円(オンライン5,500円)、永住許可が一律10,000円でした。しかし、改定後は「許可される在留期間が長くなるほど手数料が高くなる」構造へと変化しました。 【2026年10月1日以降の改定後手数料(窓口/オンライン)】 在留期間「1年」: 33,000円(オンライン:27,000円) 在留期間「1年超3年未満」: 48,000円(オンライン:42,000円) 在留期間「3年以上5年未満」: 64,000円(オンライン:56,000円) 在留期間「5年以上」: 75,000円(オンライン:65,000円) 永住許可: 200,000円(窓口申請のみ) これまで10,000円だった永住許可の手数料は「20万円」と20倍に引き上げられています。また、後述しますが、もし「1年ビザ」しか認められず、毎年更新を繰り返すことになった場合、毎回27,000円〜33,000円もの手数料を支払い続けなければなりません。 (2) なぜ厳格化されるのか? 在留外国人「413万人時代」の入管行政 政府がこれほどまでに手数料を引き上げ、審査や管理の姿勢を強めている背景には、日本における在留外国人数が過去最多の4,125,395人(約413万人・2025年末時点)に達したことがあります。 国は「不法滞在者ゼロプラン」を掲げてデジタル化や厳格な在留管理を推進する一方で、増収した手数料財源を日本語教育プログラムや多言語相談などの共生支援に投じる方針です。つまり、「ルールを守り、しっかりとした基盤を持って日本で生活する外国人には手厚い支援を行うが、審査においては適正な資産・公的義務履行の裏付けを厳しくチェックする」という時代に入っているのです。 2. 海外在留の日本人・外国籍配偶者が直面する「帰国・再移住」3つの壁 海外から日本へ拠点を戻す国際結婚のご夫婦(日本人+外国籍配偶者)が「日本人の配偶者等」のビザ(在留資格認定証明書交付申請・COE交付申請)を申請する際、現実的に直面する主なハードルが以下の3つです。 壁(1) :日本国内での収入・所得証明が得られない(海外収入・海外資産の証明) 日本国内で会社員として勤務し給与を得ている場合であれば、日本発行の「課税証明書」「納税証明書」「源泉徴収票」を提示すれば、継続的な生活能力(生計要件)を証明できます。 しかし、海外から日本へ帰国する場合、以下のようなケースが多いです。 海外で仕事を辞めて日本に帰国し、日本でこれから求職・起業する。 海外の企業に在籍したまま、フルリモートで海外収入を得つつ日本で暮らす。 配偶者や日本人が海外で蓄えた資産(預貯金・株式・不動産等)を取り崩しながら、当面の生活を送る。 入管の審査において「日本国内での前年所得(課税証明書)」が出ない状態は、原則として「生計の安定性に疑問あり」と判断されやすい状況にあります。そのため、海外での給与明細、雇用契約書、銀行口座の残高証明書などを単に提出するだけでなく、それらを「どのように日本国内の生活資金へ充てるのか」を「理由書」や「資金計画書」で説明する必要があります。 壁(2) :日本国内での協力者・身元保証人の不在 「日本人の配偶者等」のビザ申請では、日本人配偶者が配偶者を呼び寄せる「身元保証人」となります。 しかし、長年海外に滞在していた日本人自身が日本国内で職に就いておらず、住民票もまだ日本に戻していない場合、日本人配偶者単独では「十分な身元保証能力(経済的・社会的保証能力)がない」とみなされることがあります。 従来であれば、日本国内に住む日本人の親・兄弟・親族等に「身元保証人」や「受入協力者」として名前を出してもらい、課税証明書や住民票の提出を頼むことが定石でした。しかし、近年は以下のようなご相談も増えています。…

【2026年10月施行】改正入管法による在留手数料の大幅値上げの影響を行政書士が解説

1. 2026年10月1日施行の改正入管法による「手数料引き上げ」の全貌 (1) 2026年10月1日からの手数料について 今回の法改正における最大の変更点は、入管手続きの際に入国管理局へ支払う「手数料」の見直しです。法律で定められた「上限額」が大幅に引き上げられたことを受け、改定後の実際の徴収額が変更されました。 特に永住許可については、1万円から「20万円」まで引き上げられました。 具体的にいくらになるのかは、以下の入管公式サイト上の表の通りです。 入管公式サイト「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」より抜粋 今回の改正により、手数料は許可される「在留期間」が長くなるほど高くなります。 (2) 実務上の注意点①新手数料が適用される基準は「受付日」 「10月1日以降に許可が出たら、新しい高い手数料を払わなければいけないの?」と不安に思う方も多いでしょう。 入管によると、新しい手数料が適用されるかどうかは「許可日」ではなく「申請の受付日」で判断されます。 2026年9月30日までに受付完了した申請: 許可が下りる日や手数料の納付が10月1日以降になっても、改定前の手数料(窓口6,000円〜10,000円)が適用されます 2026年10月1日以降に受け付けられた申請: 新手数料(改定後料金)が適用されます つまり、改定後の高額な手数料負担を避けるためには、2026年9月30日までに申請手配を済ませ、入管での受付を完了させることがポイントとなります。 (3) 実務上の注意点②オンライン申請の手数料納付方法変更 2026年10月1日以降に申請する在留手続きについては、手数料の支払い方法も変わります。 従来の収入印紙による納付から、以下のように変更されます。 納付方法:コンビニ決済または銀行決済のみ(クレジットカード決済、QRコード決済には対応していません) 納付の流れ: 在留申請オンラインシステムから審査完了メールが届く 後日、案内用メールアドレス(no-reply@service-dgft.com)から決済案内メールが届く メールの案内に従ってコンビニまたは銀行で支払う(※紙の納入通知書は送付されません) オンライン申請を行う際は、あらかじめ指定のメールアドレス(no-reply@service-dgft.com)からのメールを受信できるようドメイン設定を確認しておくこと、そして支払いにはクレジットカード決済やQRコード決済が使えないことに注意が必要です。 2.なぜ値上げされるのか?在留外国人「413万人時代」のトレンド 国がこれほどまでに手数料を引き上げ、適正な管理の手を強める背景には、日本における在留外国人の急増と、それに伴う行政コストの増大があります。 (1)過去最高を更新し続ける在留外国人数 出入国在留管理庁が発表した統計データによると、日本に暮らす中長期在留者や永住者などの外国人数は2025年末時点で4,125,395人(約413万人)に達し、過去最高を更新し続けています。日本の総人口が減少する一方で、特定技能などの就労ビザを持つ労働者や、日本に定住する永住者が急増しているのが2026年現在のトレンドです。 (2)政府が推進する「不法滞在者ゼロプラン」 外国人が増えることは日本社会の活性化につながる一方で、比例して増えるのが「不法滞在」や「不法就労」のリスクです。そこで政府(出入国在留管理庁)が掲げているのが、「不法滞在者ゼロプラン」という強力な行動計画です。 「不法滞在者ゼロプラン」とは、日本の安全と利便性を両立させつつ、ルールに違反する外国人を徹底的に削減するために作られた国の基本方針です。具体的には、以下のような施策が盛り込まれています。 不法滞在者ゼロプランのポイント 適切な在留管理と送還の手続き: ルールに則った厳格な運用を行い、非正規滞在の解消を進める 在留管理のデジタル化:…