ビザ申請の標準処理期間とは?審査期間を長引かせない秘訣と注意点

入管でビザ申請をしたあと,審査にどれくらいの期間がかかるか?気になる方も多いと思います。出入国在留管理庁では,手続きごとに目安となる標準処理期間を定めています。また,実際にかかった日数の平均値も,ビザの種類別に毎月公開しています。本コラムでは,処理期間の実態について詳しく解説していますので,ぜひ最後までお読みください。
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標準処理期間とは?
標準処理期間とは,役所など行政庁が申請を受け付けてから,処分(許可や不許可など)を行うまでに一般的にかかる期間を指します。申請しようとする人たちが,計画を立てやすいように公開されているものです。
出入国在留管理局(=入管)でも,手続きの種類ごとに標準処理期間を公開しています。
手続きの種類 | 標準処理期間 |
在留資格認定証明書交付申請(ビザの新規取得) | 1か月~3か月 |
在留期間更新許可申請書(ビザの期限延長) | 2週間~1か月 |
在留資格変更許可申請(ビザの種類変更) | 1か月~2か月 |
永住許可申請(永住権の取得) | 4か月~6か月 |
標準処理期間はあくまで「目安」です。この期間で必ず結果が出ることを約束するものではありません。
特に,東京や大阪など大都市の入管では,標準処理期間よりも審査期間が長引いてしまうことが多くあります。
ビザの種類別処理期間
入管では,標準処理期間とは別に,実際にかかった日数について全国平均値を毎月公開しています。
ここでは,主なビザの種類ごとに実際にかかった日数を見てみましょう。
(1)就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)
在留資格認定証明書交付 申請(ビザの新規取得) |
在留期間更新許可申請 (在留期限の延長) |
在留資格変更許可申請 (他のビザへ変更) |
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交付まで | 審査終了まで | 告知まで | 審査終了まで | 告知まで | |
令和7年6月 | 62.8日 | 30.2日 | 39.9日 | 39.1日 | 48.3日 |
令和7年5月 | 64.9日 | 29.8日 | 41.4日 | 31.3日 | 42.4日 |
令和7年4月 | 48.9日 | 22.3日 | 32.3日 | 25.7日 | 36.0日 |
(2)経営・管理ビザ
在留資格認定証明書交付 申請(ビザの新規取得) |
在留期間更新許可申請 (在留期限の延長) |
在留資格変更許可申請 (他のビザへ変更) |
|||
交付まで | 審査終了まで | 告知まで | 審査終了まで | 告知まで | |
令和7年6月 | 81.7日 | 25.9日 | 35.8日 | 45.8日 | 53.1日 |
令和7年5月 | 93.7日 | 28.7日 | 40.0日 | 38.7日 | 48.0日 |
令和7年4月 | 96.3日 | 28.9日 | 37.8日 | 39.8日 | 47.0日 |
(3)配偶者ビザ(日本人の配偶者等)
在留資格認定証明書交付 申請(ビザの新規取得) |
在留期間更新許可申請 (在留期限の延長) |
在留資格変更許可申請 (他のビザへ変更) |
|||
交付まで | 審査終了まで | 告知まで | 審査終了まで | 告知まで | |
令和7年6月 | 67.0日 | 31.3日 | 43.5日 | 44.8日 | 55.0日 |
令和7年5月 | 68.9日 | 30.9日 | 44.5日 | 44.9日 | 57.2日 |
令和7年4月 | 63.3日 | 23.8日 | 40.7日 | 38.6日 | 49.0日 |
(4)永住ビザ
永住許可申請 (永住ビザへ変更) |
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審査終了まで | 告知まで | |
令和7年6月 | 265.9日 | 277.5日 |
令和7年5月 | 254.6日 | 268.5日 |
令和7年4月 | 274.4日 | 313.8日 |
ビザ申請手続きは,申請する地域や時期によって審査期間が大きく変わるため,平均日数そのものよりも,3か月を見比べて,少しずつ短くなっているのか,長くなっているのか,あまり変わらないのか,という傾向を参考にしていただくといいかもしれません。
審査期間が長引いてしまう要因とは?
同じタイミングで申請すれば,結果も同じタイミングで出るというわけではありません。申請の仕方によっては,審査期間が長引いてしまうことがあります。ここでは,審査期間が長引いてしまう要因とその対策について解説します。
【要因1】申請書類に不備がある
申請に必要な書類は,手続きの種類にもよりますが,大まかに言うと「入管指定のフォーマット」と「添付資料」の組み合わせです。
手続きごとの必要書類は,入管のホームページに掲載されています。
① 在留期間更新許可申請書
② 証明写真(縦3cm×横4cm)
③ パスポート及び在留カードの提示
④ 申請人と扶養者の身分関係を証する文書
⑤ 扶養者の在留カードまたは旅券の写し
⑥ 扶養者の職業及び収入を証する文書
提出したものが足りない,間違っている場合は再提出が必要になり,再提出されるまで審査がストップすることになります。
【要因2】追加の資料提出が必要になる
前述のとおり,申請に必要は書類は手続きごとに入管のホームページに掲載されています。
しかし,実際はここに掲載されている書類が全てではないのです。
ビザ申請の審査では,これまでの経歴や現在の状況など細かくチェックされます。経歴や現在の状況は人によって様々ですので,チェックする内容も人によって変わります。しかし,入管のホームページ上ですべてのパターンを掲載することはできません。そのため,審査の途中で「もっと詳しく確認したい内容」について,追加で資料の提出を求められることがあります。ビザ申請の審査には面接がなく,すべて書面で提出する必要があります。入管のホームページには,最低限必要なものが載っていると認識してください。
追加の資料提出が必要になると,その通知書が普通郵便で届きます。追加の資料が役所書類だった場合,すぐには取得できないこともあります。そうなると,追加資料を用意するだけで数日~数週間かかってしまうことも珍しくありません。その間は当然審査はストップしますので,その分長引いてしまいます。
【要因3】審査に関係のない資料も出している
「足りなくて追加提出になるくらいなら,最初からあれもこれも出しておこう」と考える方もいらっしゃいます。
しかし,それはそれで審査期間が長引く要因になってしまいます。
入管では,提出された資料は一通りすべてチェックすることになっています。
本来は審査に必要がない資料であっても,提出されたらチェックしなければいけないので,必然的に時間がかかることになります。
また,本来は不要だった資料が原因で,別の確認事項が生じてしまい,結局追加で資料提出を求められる…というリスクもあります。
審査期間を長引かせない秘訣
審査期間を長引かせないためのポイントはズバリ,申請書類を過不足なく提出することです。
この「過不足なく」が重要なポイントでして,少なくてもダメ,多くてもダメで,ちょうどいい塩梅で提出することです。
書類は不備や不足がないように整えましょう
提出する申請書類に不備や不足があると,そもそも申請を受付してもらえない場合もあります。
・申請書類の記入漏れや誤記はありませんか?
・ホームページに掲載されている書類はすべて揃っていますか?
・添付する資料の有効期限は大丈夫ですか?
・原本が必要なものをコピーで用意していませんか?
追加で求められそうなものは提出しましょう
どういう場合にどんな資料が追加で必要になるのか?は,入管で公開していないのでなかなか判断が難しいと思います。しかし,ビザ申請を専門に扱う行政書士であれば,これまでの申請実績から判断することができます。
行政書士法人第一綜合事務所では,これまでの経歴と現在の状況について詳しく伺います。ご依頼いただいたお客様には,スムーズに審査を進めるために必要な書類リストをお一人ずつ作成しております。少しでも早く,そして確実に許可を取りたい場合は,ビザ専門の行政書士法人第一綜合事務所の無料相談をぜひご利用ください。
ご相談は無料です。
お気軽にご相談ください。
申請する時期にも注意しましょう
毎年年度末近くになると,就労審査部門が混雑します。日本は4月が新年度となる会社や大学が大半ですので,新卒採用者の就労ビザ申請などが急激に増え,通常時よりも審査期間が長引く傾向にあります。
ビザが取れなければ就労できませんので,新年度4月1日から入社したい,させたい場合は,スケジュールに余裕をもって申請の準備をしましょう。
専門家のサポートも検討してみてください
「この時期までにビザを取得したい」という場合は,ビザ申請に精通した行政書士などの専門家にご相談いただくことも検討してみてください。
行政書士に依頼すると審査が優先されるといった優遇措置は特にありません。
ただ,行政書士に依頼すると,申請までの準備期間をグッと短縮できます。また,審査がスムーズに進むよう書類を整えますので,途中でストップするリスクを最小限に抑えることができます。
「ビザ申請の標準処理期間」まとめ
今回はビザ申請の標準処理期間について解説しました。
各手続で標準処理期間は公表されているものの,特に大都市部の入管では実際の審査期間と大きく乖離があります。
どのビザであっても,早めに準備を始められることをおすすめします。