芸術ビザとは?
芸術ビザとは,別名アーティストビザなどと言われ,その名のとおり芸術家を対象とした就労ビザの一種です。就労ビザであることから,芸術活動のみで生計を立てられることが許可要件の一つとなっています。このことから,相当程度の実績を有する芸術家が対象となります。
一般的に,芸術ビザがどのような場合に取得できるのかというは知られていません。
また,芸術ビザを取得するための実績は,どの程度必要なのかというのもご質問が多い内容です。
本ページでは,芸術ビザの職業や審査上のポイントを専門行政書士が解説していきます。
Index
1.芸術ビザに該当する具体的な職業は?
芸術ビザの活動内容は,収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動と入管法で定められています。
具体的な職業としては,下記の方が対象とされています。
①創作活動を行う作曲家,作詞家,画家,彫刻家,工芸家,著述家および写真家等の芸術家
②音楽,美術,文学,写真,演劇,舞踏,映画その他の芸術上の活動についての指導者
なお,上記はあくまで一例で,その他の芸術上の活動に該当するのであれば,芸術ビザを取得できる可能性はあります。
2.芸術ビザの入管審査のポイントは?
芸術ビザを取得するためには,以下のポイントが重要です。
一つ目のポイントは,芸術上の活動のみにより,日本で安定した生活を営むことができるという点です。入管審査においても,社会生活を送ることが可能な収入を得ることという点は,許可と不許可を分けるポイントとして認識されています。
二つ目のポイントは,芸術上の活動において,安定した収入を得ることができる実績があるということです。これまでの芸術上の活動での実績,例えばコンクールでの入賞,展覧会での入選など,安定収入を得られることを予見させる実績を示す必要があります。仮に,実績が全くない場合には,芸術上の活動で安定収入を得る信憑性が低いとして,芸術ビザが不許可になってしまう可能性もあります。
三つ目のポイントは,他の在留資格との関係です。行う業務内容,活動拠点,収入の有無によって,芸術ビザになるのか,はたまた他のビザになるのかという点が重要です。4.芸術ビザQ&A に具体的事例を記載していますのでご確認ください。
3.芸術ビザを申請する場合の必要書類
芸術ビザを申請する場合の必要書類は以下のとおりです。
※リンク先は,法務省出入国在留管理庁ホームページ
(在留資格認定証明書交付申請)
http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_zairyu_nintei10_02.html
(在留資格変更許可申請)
http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_henko10_02.html
(在留期間更新許可申請)
http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_zairyu_koshin10_03.html
4.芸術ビザQ&A
芸術ビザについて,ご質問の多い事項を以下にまとめています。
Q 大学に所属して芸術に関する研究の指導を行う予定なのですが,この場合のビザは芸術ビザになるのでしょうか?
A 大学における芸術上の研究の指導又は教育を行う活動については,芸術ビザではなく,教授ビザに該当します。
Q 芸術ビザの在留期間を教えてください。
A 5年,3年,1年,3月の在留期間が付与されます。
Q 日本で写真家として活動する予定としています。しかし,過去に芸術上の活動での実績がありません。そのため,最初は無報酬で業務を請け負うつもりなのですが,このような場合でも芸術ビザは取得することが出来ますか?
A 芸術上の活動のみによって,日本で安定した生活を営むことが出来ない場合には,芸術ビザは取得することが出来ません。もっとも,本件のように収入を伴わない芸術上の活動を行う場合には,文化活動ビザに該当する可能性はあります。
Q オペラ指揮者の仕事で来日を予定しています。この場合のビザは,芸術ビザで間違いないでしょうか。
A 収入を伴う芸術上の活動であっても,活動内容が興行ビザに該当する場合には,芸術ビザではなく,興行ビザが優先適用されることになります。
Q 自ら創作した絵画を日本で販売したいと考えています。この場合に,芸術ビザを取得することは出来ますか?
A 自ら創作した絵画を日本で販売する活動は,芸術ビザを得るために必要とされている創作活動には当たらず,今回のケースでは芸術ビザを取得することは出来ません。
Q 芸術ビザの申請書についてのご質問です。所属機関等作成用という書面がありますが,私の場合には所属機関や契約機関が存在しません。この場合,どのように対処するべきでしょうか。
A 芸術ビザの場合には,所属機関,契約機関が存在しないことも想定されます。このような場合には,申請する方ご自身で申請書を作成していただいて問題ありません。
5.芸術ビザの相談&解決事例
芸術ビザに関する当社の相談&解決の事例をご紹介します。
- ①創作活動を行う写真家として芸術ビザを取得したい
②演出家として来日する際の就労ビザの種類がわからない
③創作活動を行う画家として芸術ビザを取得したい
④教育機関で芸術に関する研究の指導を行う場合のビザの種類がわからない
⑤芸術上の活動の傍ら,大学で週一回講師をすることになった際の手続きを知りたい
⑥芸術ビザから永住ビザを申請したい
⑦芸術上の活動を今後も日本で行うため家族を呼びたい
6.芸術ビザのまとめ
芸術ビザの活動範囲は広く,また他のビザとの関係については複合的な理解を要することから,判断に迷う局面もあるかと思います。また,芸術上の活動での具体的な収入金額,実績がわからないことを理由に,芸術ビザの取得を諦める方もいると耳にします。
当社では,芸術ビザの目的である芸術分野の国際交流を図ることを主眼に置き,芸術ビザの取得が困難と判断した場合には,他の就労ビザの可能性も全て検討するようにしています。
芸術ビザ取得を目指す方,判断に迷った方は,ご遠慮なく行政書士法人第一綜合事務所までお問い合わせください。