【解決事例】内定待機のための特定活動ビザ
日本の大学に留学している韓国人留学生のAさんは,大学卒業後は日本で働くことを希望し,在学中から就職活動を始めました。しかし,次々に周りの内定が決まる中,Aさんはなかなか希望企業の内定が決まらず,遂に3月の卒業を迎えることになってしまいました。
Aさんは卒業後すぐに就職活動のための特定活動ビザに変更申請をし,入管から在留期間6ヶ月(満了日は10月31日)の特定活動の在留資格に変更許可をもらいました。
Aさんは,今まで以上に就職活動をがんばった結果,希望の企業から内定をもらうことができました。しかし,入社時期は新入社員の一斉入社と合わせて,翌年4月からということになりました。
この場合,Aさんの在留期限は入社時期よりも前に到来してしまいます。Aさんは一旦韓国に帰国して,翌年4月まで待たなければならないのでしょうか。
こんな場合には,内定待機のための特定活動ビザを申請することができます。
本ページでは内定待機のための特定活動ビザをみていきましょう。
Index
1.内定後も日本で滞在し続けるには?
多くの日本企業は,3月の教育機関の卒業時期に合わせて,新入社員の入社時期を4月に統一しています。卒業前に内定が決まっている方は,4月の入社に何ら問題はありません。しかし,Aさんのように就職浪人をして卒業後に内定を得た場合,翌年4月の入社となると,入社までの待機期間が長期に及ぶ場合があります。
そこで,入管も日本企業の採用実態に合わせて,内定が決まった方の入社時期までの在留を認めています。それが,内定待機のための特定活動ビザといわれるものです。
内定後,入社までに在留期限が到来してしまう方が,入社まで日本で引き続き滞在を希望する場合には,内定待機のための特定活動ビザに変更する必要があります。
本ページでは,内定待機のための特定活動ビザを見ていきましょう。
留学生の方は必見です。
2.内定待機のための特定活動ビザの要件
内定待機のための特定活動ビザが変更許可されるための要件は,以下の4つが挙げられます。
①留学の在留資格,または就職活動のための特定活動の在留資格で在留していること
②就職先が内定し,内定後1年以内であって,かつ,卒業後1年6ヶ月以内に採用されること
③内定している企業等において従事する活動が「技術・人文知識・国際業務」等の就労に係るいずれかの在留資格への変更が認められるものであること
④在留中の一切の経費を支弁する能力を有すること
対象となる方が,②内定後1年以内であって,かつ,卒業後1年6ヶ月以内に採用される場合に限られていますので,内定後1年を超える日または卒業後1年6ヶ月を超える日以降に採用されることが決定している場合は,内定待機のための特定活動ビザの対象にはなりません。
また,内定待機のための特定活動ビザへの変更を希望する場合は,就職活動のための特定活動ビザの場合と異なり,卒業した学校からの推薦状は必要ありません。ただし,一定期間ごとに内定者と連絡をとること,内定を取り消した場合には出入国在留管理局に,遅滞なく連絡すること等を記載した内定先企業の誓約書を提出しなければなりません。
内定待機のための特定活動の申請を希望する場合は,あらかじめ内定先企業の合意を取り付けておくことをお勧めします。
なお,内定待機のための特定活動は,9月に卒業して,在学中に内定が決まっているものの,採用が翌年4月からという場合も対象になります。この場合は,留学ビザから内定待機のための特定活動ビザに変更することになります。
3.内定待機のための特定活動ビザはアルバイトできるの?
内定待機のための特定活動ビザで在留している間は,原則としてアルバイトが禁止されています。
しかし,留学ビザと同様に,資格外活動許可を取得すれば週28時間以内でアルバイトをすることができるようになります。
そのため,資格外活動許可を取得すれば,内定先企業で入社前インターンシップに参加することも可能になります。通常の資格外活動許可は週28時間ですが,インターンシップの内容を示す資料等を提出して個別の資格外活動許可を取得すれば,週28時間を超えるインターンシップに参加することもできるようになります。
4.内定待機のための特定活動ビザのまとめ
就職活動のための特定活動ビザも,内定待機のための特定活動ビザも,日本の企業で働きたいと希望する留学生は,有効に活用すべき在留資格です。また,2019年5月末から施行されたN1特定活動ビザは,留学生の就職を今まで以上に後押しするものと言えます。
誤った情報で将来を台無しにしないように,在留資格に関する情報は正確に理解することが重要です。日本で勉強した優秀な人材が,一人でも多く日本の社会で活躍してくれることを願ってやみません。