コラム

COLUMN

特別高度人材制度(J-Skip)を徹底解説

1.特別高度人材とは? 特別高度人材とは,極めて優秀な外国人のことです。 この制度の前提となるのが「高度専門職」という在留資格です。 >>高度専門職 条件 はコチラ 高度専門職は,日本の経済成長を促すために2015年に創設されました。 我が国の産業に新たなイノベーションをもたらす 日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促す 日本の労働市場の効率性を高めることが期待される 高度専門職のイメージは上記のような人材です。 要するに日本的な働き方や研究の仕方や企業活動に風穴を開ける存在として,優秀な外国人に日本に来てもらいたいということです。 今回の新制度創設は,これまでの高度専門職の制度とは異なり,「学歴または職歴」と「年収が一定の水準以上」であれば「高度専門職」の在留資格が付与されるようになったのが大きな特徴です。 2.特別高度人材制度創設の背景 2015年の高度専門職創設から8年で特別高度人材制度が創設された背景には,岸田首相をはじめ現政権が「新しい資本主義」への適応と,「コロナ後の新しい社会を見据えた人材への投資」を喫緊の課題として捉えていることが挙げられます。 世界最先端の知識・技能を持った優秀な人材は「世界中で取り合い」になります。 岸田首相は2022年,「シンガポール,インドネシア,ニュージーランドなどの国々ではより高度な人材を取り込むため,在留資格制度(の見直し)、優遇する制度を取り入れている。(中略)日本も高度な人材を集めようという努力は続けてきましたが,世界の状況を見る限り,まだまだ足りない」という趣旨の発言をしています。 (出入国在留管理庁ホームページより部分的に引用) そして「教育未来創造会議」において,関係閣僚に対し,「世界各国で人材獲得競争が進む中,留学生に限らず,高度人材受入れについて,世界に伍する水準の新たな制度の創設を含め,改革を進めていく必要があります。本会議と『新しい資本主義実現会議』及び『外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議』が連携して,年度内に具体化してください」と指示しました。(教育未来創造会議議事録より引用) これを受けて誕生したのが特別高度人材制度です。 3.特別高度人材と認められる要件 「高度専門職」制度は,活動内容を,「高度学術研究活動」(大学教授や研究者等),「高度専門・技術活動」(企業で働く技術者等),「高度経営・管理活動」(企業の経営者等)の3つに分類。その特性に応じて「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイントを設け,ポイントの合計が70点以上であれば,高度外国人材と認められ,高度専門職ビザを付与する仕組みでした。 特別高度人材制度では,ポイント制とは別に,学歴または職歴と,年収が一定以上であれば,「特別高度人材」として高度専門職ビザが取得できるように要件を拡充したのです。 求められる職歴や年収は,「高度学術研究活動」の従事者(大学教授や研究者等),もしくは「高度専門・技術活動」の従事者(企業で新製品開発をする技術者,国際弁護士等)は, 学歴が修士号以上取得しており年収2,000万円以上 従事しようとする業務等の実務経験10年以上で年収2,000万円以上 のいずれかの条件を満たすことが必要です。 また,「高度経営・管理活動」の従事者(グローバルな事業展開を行う企業等の経営者等) であれば 事業の経営又は管理に係る実務経験5年以上で年収4,000万円以上 であることが条件です。 (出入国在留管理庁ホームページより) 4.特別高度人材に対する優遇措置とは 上記の表にある通り,特別高度人材と認められると,その人だけでなく家族にも優遇措置があります。 特別高度人材に最初に付与される在留資格は,原則として「高度専門職1号」です。 高度専門職1号の在留資格があると, 複合的な在留活動の許容 5年間の在留 永住許可要件の緩和(通常の在留資格では「引き続き」10年間の日本在留が必要だが,最短で1年に短縮される)…