2026.08.04 冨田 祐貴 Q&A改正第二次出入国在留管理基本計画 「第二次出入国在留管理基本計画」を行政書士が解説〜外国人政策の厳格化が外国人と企業に与える影響〜 1.データで見る現状:413万人時代に突入した在留外国人 新計画の文書では、近年の在留外国人数の大幅な増加が具体的なデータで示されています。 外国人入国者数の急増:2025年の外国人入国者数は約4,243万人に達し、過去最高を記録しました。 在留外国人の現状:2025年末時点での在留外国人数は約413万人(日本の総人口の3.35%、前年から0.31%増)に達しました。国籍・地域別では中国(約93万人)が全体の22.6%を占め、次いでベトナム、韓国、フィリピン、ネパールと続きます。 就労目的の在留資格の増加:専門的・技術的分野で就労する中長期在留者は増加傾向にあり、2025年末時点で「技術・人文知識・国際業務」が約47.6万人、「特定技能」が約39.0万人に達しています。 永住者の増加:一定の要件を満たした「永住者」の数も一貫して増加しており、2025年末時点で約94.7万人と、在留外国人全体の23.0%を占めています。 急増する申請に対する「迅速な審査」と、実態に即した「適正な管理」の重要性が、かつてないほど高まっています。 2.第二次出入国在留管理基本計画の「5つの重要ポイント」 新計画に盛り込まれた数多くの施策の中から、企業や外国人の皆様の実務に直結する変更点を5つに絞って詳しく解説します。 ポイント1:在留管理のDX推進とマイナンバー情報の連携 入管は「入管DX(デジタルトランスフォーメーション)」を強力に推し進めています。その目玉として、2026年6月から在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード等」の運用が開始されました(詳しくは【2026年6月】特定在留カードで在留更新の「二度手間」を解消!入管のあとに市役所へ行く必要がなくなる本当のメリットをご参照ください)。 さらに、2027年からは「公共サービスメッシュ」(行政機関同士がデータを安全にやり取りするためのネットワークシステム)を活用した、マイナンバーによる情報連携がスタートする予定です。これにより、国民健康保険料、国民年金保険料、地方税などの納付情報が入管に提供され、在留審査に活用されます。各種手続きのオンライン化や手数料のキャッシュレス決済も進められており、優良な企業・外国人にとっては利便性が大きく向上します。 ポイント2:永住許可制度の「適正化(厳格化)」 永住許可を受けた後でも、公租公課(税金や社会保険料)の支払いなどの義務を適正に履行しない事案が確認されたため、2024年の法改正でルールが厳格化されました(詳しくは【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説をご参照ください)。故意に公租公課を支払っていないと判断されると永住資格が取り消される可能性があります。 ただ、永住資格の取り消しについては、対象者や家族に与える影響が大きいため、今後、具体的な取消事例などを示したガイドラインが作成・周知され、予見可能性と透明性が高められます。 また、これから永住審査はより厳格に運用される方針です。永住者が社会に適応して安定した生活を送れるよう、一定水準以上の日本語能力を有していることや、日本のルールを学ぶ学習プログラムの受講を条件とすることも含め、永住ガイドライン上の独立生計要件や国益要件等の見直しが検討される予定です(詳しくは永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説をご参照ください)。 ポイント3:「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」「留学」の実態調査と審査適正化 これらの在留資格において、制度の趣旨と異なる活動を行う事案への対策として、実態把握の強化と厳格な審査が行われます。 「経営・管理」ビザ:事業実態のない事案を防ぐため、2025年10月に上陸許可基準等が見直されました。資本金・出資総額の要件が改められたほか、経営者の経歴(職歴・学歴)や常勤職員の雇用義務などが新設されています(詳しくは【2025.10.16~】経営管理ビザの許可基準が厳格化!資本金3,000万円に|行政書士が解説をご参照ください)。今後は実態調査等を通じた、より厳格な審査・処分が行われます。 「技術・人文知識・国際業務」ビザ:専門的な知識を要しない現場の単純業務に従事させるといった不適切な事案に対し、実態を把握した上で、受入れ機関(企業)の責任や指導の在り方を含めて厳正な措置が講じられます。また、従事可能な業務範囲に係る案内の充実を含めた運用の改善もなされる予定です。 留学生のアルバイト(資格外活動):週28時間の上限違反を防ぐため、2026年4月から日本語教育機関と連携した実態把握・指導が開始されています。マイナンバーの情報連携に合わせて所得情報も活用し、複数のアルバイト先を掛け持ちしているケースも正確に把握されるようになります。 さらに、ワーキングホリデーやインターンシップなど多様な活動が含まれる「特定活動」ビザ(詳しくは在留資格「特定活動」とは?種類一覧から要件・最新動向まで行政書士が徹底解説!をご参照ください)についても、運用状況を精査した上で制度の在り方が再検討される予定です。自社の従業員が「特定活動」で在留している場合、今後の制度変更の動向を注視しておく必要があります。 ポイント4:育成就労制度の運用開始(2027年4月〜) 「技能実習制度」が発展的に解消され、人材育成と人材確保を目的とする「育成就労制度」に切り替わります(2027年4月運用開始に向け準備中、詳しくは育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリットをご参照ください)。 悪質な送出機関や監理支援機関の排除を徹底するための二国間取決め(MOC)の作成や、外国人育成就労機構を含む支援・保護体制の整備が進められます。今後は地域協議会の設置・活用や地方公共団体の関与が促され、地方の受入れ企業に対する配慮施策も実施される予定です。 また、外国人の受入れ状況や転籍状況等を国が継続的かつ的確に把握し、特定の分野や地域への過度な集中を防ぐため、必要に応じて受入れの停止や受入れ見込数の再設定などを不断に検討し、適正な運用が確保されるとしています。 ポイント5:水際対策・不法滞在者対策の強化と難民等への適切な保護・支援 新計画では、「2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人」という政府目標を見据え、安全・安心な社会を実現するため、入国前(水際)から出国・送還に至る各段階での対策を抜本的に強化することが示されています。…
2026.07.31 渡邉 直斗 永住ビザ永住権永住許可に関するガイドライン改正 永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説 1. 【速報】永住ガイドラインが厳格化へ:いつから?なぜ? まずは、今回の永住ガイドライン改定がどのようなスケジュール感と背景で進められているのか、整理します。 (1)実施スケジュールの整理 読売新聞の報道によると、新しい永住ガイドラインの運用は、現場の混乱を防ぐため2段階のスケジュールで順次適用される予定とされています。 第一段階(2026年10月1日から) 「年収要件(日本人世帯平均以上)」の新基準を先行適用 第二段階(2027年4月1日から) 「年金受給見込額」「配偶者特例の見直し」「国益適合・素行善良要件の明確化」等を本格適用 (2)なぜ今、永住要件が厳格化されるのか? 近年、公的義務の履行(税金・年金の納期遵守)などで永住審査はただでさえ厳しく、直近の許可率も5割に落ち込んでいます。 (詳しくは【2026年最新データ】永住申請の許可率は約50%?半分近くが不許可になる理由と一発許可のための対策を専門家が解説をご参照ください。) 「なぜさらに厳しくするのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。その背景には、日本の在留外国人数の増加と、永住者を巡る社会問題が存在します。 入管が発表した統計によると、2025年末時点で、在留外国人総数は4,125,395人(約412.5万人)に達し、過去最多を更新し続けています。 このうち、中長期在留者の構成比を見ると、以下のような実態が浮き彫りになります。 在留外国人数の内訳データ(入管【令和7年末公表資料】より) 在留資格 在留外国人数(人) 構成比(%) 永住者 947,125 23.00% 技術・人文知識・国際業務 475,790 11.50% 留学 464,784 11.30% 技能実習 456,618 11.10% 特定技能 390,296 9.50% 家族滞在 352,875 8.60% 定住者…
2026.07.08 行政書士法人第一綜合事務所 短期滞在ビザ観光ビザ改正 「短期滞在ビザ」の基礎知識と「日単位指定」法改正を行政書士が解説 1.そもそも「短期滞在ビザ」とは? 一般的に「観光ビザ」や「親族訪問ビザ」「ビジネス出張ビザ」などと呼ばれているものは、すべて法律上の正式名称である「短期滞在」という一つの在留資格に含まれています 。日本の入管法において「観光ビザ」という独立した資格は存在しません 。 短期滞在ビザの対象となる主な来日目的は以下の通りです。 観光・保養・スポーツ: いわゆる一般的な観光旅行など 親族訪問・知人訪問: 海外の家族や婚約者に会いに来る、冠婚葬祭への出席など 短期の商用(ビジネス): 出張、商談、市場調査、アフターサービスなど パスポートに「Temporary Visitor」とスタンプが押されている場合や、オンラインで申請する電子ビザシステム「JAPAN eVISA」を利用して入国した場合も、すべて法律上は一括して「短期滞在ビザ」として扱われます 。また、短期滞在ビザの対象者は「中長期在留者」から除外されるため、空港等で在留カードが交付されません。 在留カードが交付されないことに伴い、短期滞在ビザの外国人は日本滞在中に「常にパスポートを携帯する義務」が課せられます。これを怠ると処罰の対象となるため、注意が必要です。 2.2026年9月施行:短期滞在ビザ「在留期間」の法改正内容 改正の概要 規則別表第2を改正し、短期滞在の在留資格に伴う在留期間を「90日、30日 又は15日(法務大臣が個々の外国人について90日を超えない範囲内で日を単位 とする期間を指定する場合にあつては、当該指定する期間)」に改める。 今回、e-Govで公開されたこちらのパブリックコメント(出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令案)により、2026年9月上旬に短期滞在ビザの在留期間の決定方法が大きく変わります。 これまでのルールと、法改正によって導入される新しいルールを比較してみてみましょう。 項目 改正前(従来の運用) 改正後(2026年9月上旬施行) 在留期間のパターン 原則として「15日」「30日」「90日」の3種類のみ 従来の期間に加え、「法務大臣が個々の外国人について90日を超えない範囲内で、日を単位とする期間を指定する」ことが可能に 期間の決まり方 画一的に「15日」「30日」「90日」のいずれかが付与される 来日目的や個別の事情に合わせて、「45日」「60日」など柔軟な日数が指定される 今回の規則改正(規則別表第2「短期滞在」の項の改正)により、一律の期間設定だけでなく「個々の外国人ごとに日単位で期間を指定できる仕組み」へと移行します。これは、より柔軟な出入国管理を行うための審査適正化の一環と言えます。 3.法改正がもたらす盲点と実務上の注意点 今回の「日単位での期間指定」が可能になる改正は、一見すると柔軟で便利に思えますが、実務においては非常にシビアなタイムリミット管理を迫られる盲点となります。 これまでのように「とりあえず一番長い90日をもらえるだろう」という安易な予測が通用しなくなるため、以下の2点に強く留意する必要があります。 注意点①:「特例期間」が適用されないリスクが高まる 日本に短期滞在ビザで入国した後に、別の在留資格(配偶者ビザや就労ビザなど)へ国内で変更申請を行う場合、審査中に在留期限が到来しても最長2ヶ月間は日本に滞在できる「特例期間」という救済制度があります 。 しかし、この特例期間は「短期滞在ビザの在留期間が30日以下」の場合には法律上、適用されません…
2025.10.27 仲野 翔悟 ガイドラインビザ変更ビザ更新改正 【2025最新】ビザの変更と更新のガイドラインを行政書士が解説 1.ガイドラインとは? 冒頭でも触れたとおり,「ガイドライン」とは,許可の判断基準の一部をある程度明確にしたものです。 変更や更新の手続きだけでなく,「永住ビザ」や「経営・管理ビザ」,「特定技能ビザ」などでもガイドラインが公表されています。 ビザの変更または更新ガイドラインには,以下の8つの項目について基準が公表されています。 1)行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること 2)法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること 3)現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと 4)素行が不良でないこと 5)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること 6)雇用・労働条件が適正であること 7)納税義務等を履行していること 8)入管法に定める届出等の義務を履行していること それぞれの項目について,解説していきます。 1)行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること >>変更または更新するビザが,今後の滞在目的と合致していないとダメ ビザ(在留資格)は,それぞれ活動内容が入管法で定められています。その内容と合致していない場合は,変更または更新申請しても許可されません。 【例えばこんなケース】 日本人と結婚して「日本人の配偶者等」ビザで滞在していたが,離婚した。 ⇒日本人の配偶者ではなくなったので,配偶者ビザを更新することはできません。 2)法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること >>入国審査の基準もちゃんとクリアしていないとダメ 上陸許可基準とは,外国人が日本の空港などに到着したあとに行われる入国審査の基準のことで,省令として定められています。上記1のとおり,日本に在留するには「在留資格の活動内容に合致していること」が必要ですが,それにプラスして上陸許可基準に該当していなければ日本に入国できません。2つの関門があるイメージです。 上陸許可基準は入国するときの審査基準ですが,入国したらもう関係なし!…ではなく,変更または新の審査でも確認しますよ,ということがガイドラインに明記されています。 3)現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと >>今持っているビザの活動をしていないならダメ ビザにはそれぞれ活動内容が決まっていることを解説しましたが,今持っているビザの活動状況についても確認されます。定められた活動をしていなかった場合,変更または更新の審査でマイナスの評価となります。 【例えばこんなケース】 留学ビザを取って専門学校に入学した方が,半年後に退学してしまい,「留学」ビザのまま在留し続けている ビザを取った後,長期にわたって日本を出国していた ⇒許可された活動をしていないという判断になり,変更または更新が不許可になる可能性があります。 これまでは,長期出国していた場合についてガイドラインには明記されていませんでしたが,実務上は不許可になるケースが多くあり,「暗黙の事実」として知られていました。直近の改正で,長期出国はマイナス評価になることがハッキリと記載されるようになりました。 4)素行が不良でないこと >>法律違反や犯罪をしていたらダメ これはイメージしやすいかもしれませんが,犯罪やそれに近いことをしていた場合,変更または更新の審査ではマイナスになります。 【例えばこんなケース】 退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為…
2025.10.10 渡邉 直斗 経営管理改正経管基準省令3000万 【2025.10.16~】経営管理ビザの許可基準が厳格化!資本金3,000万円に|行政書士が解説 1.経営管理ビザの許可基準改正が公布されました! ニュースや新聞などで報じられてきた「経営管理ビザ」の厳格化について,経営管理ビザの許可基準を定めた法務省令の改正が2025年10月10日に公布されました。 これに伴って,提出書類や審査フローなども変更されます。 この記事では,省令改正の内容だけでなく,それによって変更されることも含めて総合的に解説していきます。 2.許可基準の改正ポイント4つ 早速ですが,経営管理ビザの許可基準の改正内容を見ていきましょう。 今回の改正ポイントは4つあります。現在の基準との比較表で概要を確認してください。 現在の許可基準 新しい許可基準 ①資本金・出資総額 500万円 3,000万円 ②経歴・学歴(経営者) なし 経営・管理の経験3年以上 または 経営管理や経営する事業分野に関する修士相当以上の学位を取得 ③雇用義務 なし 常勤職員を1人以上雇用 ④日本語能力 なし 申請者または常勤職員のいずれかが,相当程度の日本語能力が必要 5つのポイントを,それぞれ詳しく見ていきましょう。 ①資本金は3,000万円以上必要! 資本金等の基準が大幅に引き上げられ,3,000万円以上必要になります。 【改正前】500万円以上必要 【改正後】3,000万円以上必要 株式会社は資本金の額,合同会社・合名会社・合資会社は出資の総額をさします。 個人事業主の場合は,事業所の確保や雇用する社員の1年分の給与,設備投資など事業を行うために必要なものとして使った総額をさします。なお,法人の設立は必須ではありません。現在と同じく個人事業でも経営管理ビザの取得は可能です。 ②3年以上の経験か修士以上の学歴が必要! これまでは許可基準にありませんでしたが,今回の改正で追加されることになりました。 【改正前】(なし) 【改正後】ABCどれかに該当すること A:経営・管理の経験が3年以上ある B:経営管理に関する博士,修士,専門職のどれかの学位を持っていること C:行う事業に関する博士,修士,専門職のどれかの学位を持っていること Aの期間には,経営管理ビザを取る前の準備期間用に取得した「特定活動」での在留期間もカウントできます。 A,Bは,外国で取得した学位も対象になります。 A,B,Cはどれか1つ該当していればいいので,学位を取って申請するか,実務経験を3年積んでから申請するか,どちらかになりますね。…