【2024年11月1日から】自転車の「ながらスマホ」と「酒気帯び運転」が厳罰化!ビザ申請での影響を行政書士が徹底解説
道路交通法が改正され,自転車を運転しながらスマートフォン等を操作する「ながらスマホ」の罰則が強化されます。
また,自転車の「酒気帯び運転」についても,新たに罰則の対象となります。
この2つは,2024年11月1日から施行となります。
日本で暮らす外国人のみなさんは,もし処罰を受けることになってしまった場合,今のビザが更新できず帰国することになる可能性もあります。また,永住ビザを持っている方は取り消しの対象になることもあります。
ビザ専門の行政書士がポイントを解説していきますので,ぜひ最後までお読みください。
Index
1.11月に施行される改正道路交通法とは?何が変わる?
自転車関連の交通事故は,2019年まで減少傾向にありましたが,2020年からは一転して増加傾向にあります。
こうした背景もあり,自転車の危険な運転の取り締まりを強化すべく,厳罰化されることになりました。
警察庁の公式サイト「自転車関連事故件数の推移」から(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html)
道路交通法改正で,厳罰化される自転車の危険な運転は以下の2つです。
①自転車の「ながらスマホ」(スマートフォン等を操作,通話しながら運転する)
②自転車の酒気帯び運転(一定量以上のお酒を飲んで運転する)
それぞれポイントを見ていきましょう。
(1)自転車の「ながらスマホ」の罰則強化
スマートフォンを操作しながら,通話しながら自転車を運転することを「ながらスマホ」と言いますが,自動車やバイクの運転ではすでに禁止されていました。2024年11月1日から,自転車の「ながらスマホ」も禁止されることになりました。
【禁止されること】
- 自転車運転中にスマホで通話すること
- 自転車運転中にスマホに表示された画面を注視すること
※どちらも自転車が停止しているときを除く。
自転車に取り付けたスマホを注視することも,禁止の対象となります。
違反した場合には,以下の罰則が適用されます。
【2024年11月からの罰則内容】
- 自転車運転中に「ながらスマホ」をした場合
⇒6か月以下の懲役または10万円以下の罰金 - 自転車運転中の「ながらスマホ」で交通事故などを起こした場合
⇒1年以下の懲役または30万円以下の罰金
イヤホンをすれば,通話しても大丈夫?
イヤホンやヘッドフォンを使用すること自体は道路交通法で禁止されていませんが,使用することで安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態になる運転は禁止されています(5万円以下の罰金等)。
ただし,東京都・神奈川県・埼玉県では「道路交通規則第8条」で,イヤホンをして自転車を運転すること自体を禁止しているので,地域によって差があることに注意が必要です。
(2)自転車の「酒気帯び」走行の罰則強化
次に,自転車の飲酒運転についてです。
これまでも,飲酒して自転車を運転することは道路交通法で禁止されていました。ただ,処罰の対象となるのは,酩酊状態で運転する「酒酔い運転」だけでした。
今回の改正で,酩酊状態ではないけれど,体内のアルコール値が一定の基準を超えている「酒気帯び運転」についても,処罰の対象となります。また,自転車の飲酒運転をさせることにつながる行為も禁止されることになりました。
【禁止されること】
- 酒気を帯びて自転車を運転すること。
- 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に種類を提供すること。
- 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供すること。
- 自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗すること。
飲酒した本人だけでなく,周りの人も処罰される可能性がある点に注意が必要です。
違反した場合には,以下の罰則が適用されます。
【2024年11月からの罰則内容】
- 酒気帯び運転
⇒3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 - 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に種類を提供すること。
⇒自転車の提供者に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 - 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供すること。
⇒酒類の提供者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 - 自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗すること。
⇒同乗者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
(3)何度も違反すると「自転車運転者講習」の受講が必要
自転車の危険な運転を繰り返すと「自転車運転者講習」を受講しなければいけませんが,「ながらスマホ」と「酒気帯び運転」もこの“危険な運転”に該当します。
3年以内に2回以上検挙された場合は,自転車運転者講習の受講を命じられることになります。
なお,自転車運転者講習を受講しなかった場合,5万円以下の罰金が科せられます。
画像:政府広報オンライン(https://www.gov-online.go.jp/article/202410/entry-6604.html)より
ビザの手続きに影響します!
自転車の「ながらスマホ」や「酒気帯び運転」の罰則強化は,日本で暮らす外国人の方々にとって,大きな影響がある法改正です。処罰された場合,ビザの更新や変更ができなくなる,永住権が取消しになる可能性があるからです。
ここからは,ビザの手続きにフォーカスを当てて解説していきます。
(1)ビザの更新,変更が不許可になるリスクも
ビザの更新や変更は,「法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可される」と入管法で定められています。具体的に,どんなときに許可・不許可とするかは,出入国在留管理庁が公表する「在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン」で確認できます。(出入国在留管理庁ホームページはこちら)
(1)行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
(2)法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
(3)現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
(4)素行が不良でないこと
(5)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
(6)雇用・労働条件が適正であること
(7)納税義務を履行していること
(8)入管法に定める届出等の義務を履行していること
自転車の飲酒運転や「ながらスマホ」を繰り返してしまった場合は,不許可になる可能性が高まってしまいます。
(2)永住ビザが取れなくなる・帰化できなくなる
出入国在留管理庁では,永住ビザの許可についてもガイドラインを公表しています。(こちらで確認できます)
そのなかで,道路交通法違反が影響しそうな部分を見てみましょう。
1 法律上の要件
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
罰金や懲役などの刑事罰を受けてしまうと,永住ビザの取得が難しくなってしまいます。
同様に,日本国籍を取得する「帰化申請」についても,不許可になってしまうリスクが高まります。
3.自転車の飲酒運転・ながらスマホ厳罰化まとめ
今回は,11月1日から施行される改正道路交通法で,自転車の飲酒運転・ながらスマホが厳罰化されることについて解説しました。
特に,自宅から駅まで自転車を使っている会社員のみなさん,学校まで自転車で通っている留学生のみなさん,「飲み会」がある日は自転車を使わないようにしましょう。
『飲んだら乗るな,乗るなら飲むな』という有名な標語がありますが,自動車やバイクだけでなく,いよいよ自転車も対象になります。くれぐれもお気をつけください!
ビザに関することでご不安や聞いてみたいことがある方は,行政書士法人第一綜合事務所までお気軽にお問い合わせください。