ライブハウスコラム

COLUMN

ライブハウスの100人会場要件と興行ビザ実務を行政書士が解説

1. 興行1号ロの「100人会場要件」と飲食提供の審査基準 演劇、演奏、ダンス等の興行を行う場合、「興行1号」が適用されます。このうち、「興行1号ロ」の施設緩和規定は、小規模なライブハウスや小劇場等での海外演者の招へいを円滑化するための要件として設置されています。 基準1(飲食提供制限) 客席部分において飲食物を有償で提供しないこと(非営利目的の施設を除く)。 基準2(接待の禁止) 客の接待(風営法第2条第3項に規定する接待)をしない施設であること。 基準3(客席収容人員) 客席部分の収容人員が100人以上であること(または営利を目的としない公私の機関が運営する施設)。 (1) ライブハウス・クラブでのアルコール提供・フード販売の注意点 実務上、質問が多い点が「ドリンク代(500円~600円等)をとってアルコールやソフトドリンクを提供するライブハウスで1号ロが使えるか」という点です。省令上は「客席において飲食物を有償で提供せず」と規定されています。そのため、バーカウンターが客席エリアと明確に区分されており、客席内で飲食の給仕(客席販売や注文取り)を行わない態様であれば基準を満たすと判断されるケースがあります。 ただし、テーブル席で料理や酒類を給仕する居酒屋・レストラン型の店舗や、接待を伴う風営法許可店舗では1号ロは適用できず、より要件の厳しい1号ハ(一般要件:舞台面積13㎡以上、控室面積9㎡以上、客接待防止体制等)が適用されます。 (2) 図面および客席数証明資料の提出実務 申請時には、施設の構造と客席数を客観的に証明するため、以下の資料等を提出します。 施設平面図:舞台、控室、客席エリア、バーカウンターの位置関係・寸法を明記した図面。 客席収容人員の算定書:有効客席面積に対する座席数、または立ち見客の収容算定根拠(通常1㎡あたり2〜3名等で換算)。 飲食給仕を行わない誓約書・概要説明書:客席内での有償給仕を行わない旨を説明する資料。 2.海外YouTuber・インフルエンサー招へい(興行3号)の実務 近年、自治体のインバウンド観光誘致や新商品のPR、ゲームタイアップ等で、海外の人気YouTuberやSNSインフルエンサーを日本に招待し、動画撮影や撮影取材を行う案件が急増しています。このようなWeb動画プロモーション案件には「興行3号」が適用されます。 興行3号イ:商品または事業の宣伝に係る活動(CM撮影、企業PR動画出演、観光プロモーション撮影等) 興行3号ロ:放送番組(有線放送含む)または映画の製作に係る活動 興行3号ハ:商業用写真の撮影に係る活動(ポスター、雑誌、Web広告写真等) 興行3号ニ:商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音または録画を行う活動 興行3号の申請では、演者自身の過去の芸能実績やチャンネル登録者数・インフルエンサーとしての活動実績を示す資料、招へい機関(広告代理店や制作会社)との委託契約書、撮影仕様書(ロケ地、日程、撮影内容)、日本人が従事する場合と同等以上の報酬が支払われることを証する文書を提出します。 3. リアル店舗興行(1号)と店舗ロケ撮影(3号)の審査視点の違い ライブハウスや店舗で海外ゲストを迎える際、それが「観客を入れたリアル公演(興行1号)」なのか「店舗を利用したPR動画・PV撮影(興行3号)」なのかによって、入管がチェックする審査の着眼点は全く異なります。 店舗運営会社やイベント制作会社が押さえるべき、実務上の審査視点の違いは以下の通りです。 (1)会場・店舗設備に関する要求基準 興行1号ロ(リアル公演): 客席面積、座席数(100人以上)、舞台・控室の構造、客席での飲食給仕の有無(セルフ販売か否か)など、店舗の物理的構造や営業形態が基準を満たしているかが厳しく審査されます。 興行3号(店舗ロケ・撮影): 会場や店舗の広さ・客席数・客接待といった施設基準は一切問われません。個人のスタジオ、商業施設の貸し切り、屋外ロケ地など、撮影計画に沿った場所であれば自由に設定可能です。 (2)観客の有無と風営法該当性 興行1号ロ(リアル公演): 入場料を支払う観客(集客)が存在するため、不法就労防止や治安上の観点から、風営法(特定遊興飲食店営業等)の該当性や「客の接待の有無」が厳しくチェックされます。 興行3号(店舗ロケ・撮影): 原則として観客を集めない(または撮影エキストラのみ)前提であるため、店舗の風営法区分ではなく「どのような商品・事業のPR・収録活動であるか」という企画内容の適法性が審査の中心となります。…