コラム

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未来創造人材制度(J-Find)がわかるコラム

1.未来創造人材とは? 未来創造人材とは,「海外のトップクラスの大学・大学院を卒業し,優秀かつ将来日本で活躍するポテンシャルを秘めた若い外国人材」です。 優秀であることの基準は,海外で「世界大学ランキング」の上位に入るような大学・大学院を卒業(修了)した若者ということです。 これらの若者たちは当然,「どの国で働けば自分の培って来た知識や技術を生かせるか」,あるいは「どの国で暮らせば自分も含めた『家族』が幸せに生きられるか」を考え,世界各国で就職・起業先を探しています。 一方,日本の企業等は,その生き残りと発展のため,常に日本人学生のみならず海外にも優秀な人材を求めています。 こうした学生側・企業側のニーズがあるにもかかわらず,従来は海外の若者が日本で就職活動をしたり起業をしたりする上で,日本に滞在するための資格(在留資格)がネックになっていました。 外国人の在留資格は通常,「何をするために日本に居るのか」によって細かく分かれています。 例えば日本で働くなら,「技能」「技術・人文知識・国際業務」「教育」など就労の内容によって細分化されていますし,日本で学ぶなら「留学」ビザです。 認められた活動内容と実際の活動内容が合わないと,在留資格が取り消される可能性もあります。 このため,従来は海外の優秀な若者が「日本で就職活動をしてみたい」「お試しで日本企業において働いてみたい」と思ったとしても,実現するには大きなハードルがありました。 つまり,優秀な外国人材が日本で余裕をもって自身の将来の進路選択をするには就職活動をすること,起業準備をすることに柔軟に対応できていない状況がありました。 そこで創設されたのが,今回ご紹介する未来創造人材制度です。 日本政府はこの度,特定活動の中に「未来創造人材」を新たに加えました。 未来創造人材と認められると,最長で2年間の在留が可能となります。 2.未来創造人材制度ができた背景 AI(人工知能)など,デジタル化の急速な発展,あるいは地球温暖化に対応するための脱炭素化が世界の潮流です。 将来はこれまで当たり前だった働き方や産業構造が大きく変わるでしょう。 世界ではこのことを踏まえて最先端の知識・技術を持った人材の「取り合い」が起こっています。 優秀な人材獲得のネックになっているのは1でも書いた通り,入国審査や在留資格であることはどの国も同じで,すでにフランス等の国々では在留資格を取得しやすくしたり,「我が国に来てくれるならその他の優遇措置もしましょう」という政策が取られています。 一方,日本では少子化高齢化が進んでいるのに,優秀な若者の海外流出が増えています。 これに危機感を覚えた日本政府が打ち出したのが未来創造人材制度です。 経済産業省は2022年5月に発表した「未来人材ビジョン」で,2030年,2050年を見据えた人材育成が必要だと示しました。 岸田首相は2022年9月の「教育未来創造会議」で,留学生を含む外国人の高度人材の受け入れに向けて,年度内に新たな制度の具体策をまとめるよう指示しました。 これを受けて創設されたのが未来創造人材制度です。 同時期に「特別高度人材制度」も創設されました。 特別高度人材制度(J-Skip) のご説明はコチラ 特別高度人材がすでに世界で活躍している優秀な大人だとしたら,未来創造人材は「未知の可能性を秘めたこれからが楽しみな若者」だとお考え下さい。 その両方の人材にどんどん日本に来てもらわなければ,これから大変なことになるという考え方が日本政府にはあるのです。 3.未来創造人材と認められる要件 未来創造人材だと判断されるためには,下記の3つの要件を全て満たす必要があります。 (1)3つの世界大学ランキング(クアクアレリ・シモンズ社公表の「QS・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス」,タイムズ社公表の「ワールド・ユニバーシティ・ランキングス」,シャンハイ・ランキング・コンサルタンシー公表の「アカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシティズ」)の中で,2つ以上で100位以内にランキングしている大学を卒業。又はその大学の大学院の課程を修了して,学位又は専門職学位を授与されていること。 要するに海外のいろんな機関が間違いなく優秀な大学・大学院だと判断した学校を卒業して学位を得た人だということです。 対象となる大学は現在のところ以下です。 https://www.moj.go.jp/isa/content/001394994.pdf (出入国在留管理庁HPより引用) (2)上記の対象大学・大学院を卒業し,学位を授与されてから5年以内であること。 日本が求めているのは,旧来の発想では全く思いつかないような斬新さと今後の可能性を持った人材ですから,大学で学んだ最新の知識や技術を持っていることが前提です。「 高学歴だけど大学を卒業してずいぶん経つ」ような人は未来創造人材とはしないということです。 ただし,一つの大学で学んでから別の大学でMBA(経営学修士)を取るなど,学びを重ねることもあるでしょうから,年齢制限はありません。…