コラム

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【解決事例】国際結婚して連れ子を呼び寄せる場合のビザ申請について

1.国際結婚して連れ子を呼び寄せるビザはあるのか? 外国人の配偶者を「日本人の配偶者等」のビザ(以下「配偶者ビザ」といいます。)で日本に呼び寄せる際に,配偶者の再婚前の子ども(連れ子)も一緒に日本へ呼び寄せるための方法はあるかというご相談をいただく事があります。 子連れの方の再婚は珍しいわけではなく,実際に国際結婚においても多く見受けられます。今回は,連れ子のためのビザ(以下「連れ子ビザ」といいます。)についてご説明いたします。 一般的に,配偶者の再婚前の子どもを招へいするビザは連れ子ビザという名称で呼ばれていますが,入管法上には,実は連れ子ビザという名称のビザは存在しません。連れ子ビザは,正確には定住者という在留資格に該当します。 定住者ビザは,「法務大臣が特別な理由を考慮し,一定の在留期間を指定して居住を認める者」と入管法上に規定されており,日本において相当期間の在留を認める特別な事情があると法務大臣が判断した方を受け入れるために設けられた在留資格です。 連れ子ビザが許可されるためには,日本人,永住者,特別永住者及び定住者(1年以上の在留期間を指定されている場合に限ります。)の配偶者で,「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ方の,扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子という要件が必要とされています。 2.連れ子ビザの申請ポイント 連れ子ビザの申請には,大きなポイントが2点あります。 まず1点目が外国人配偶者の実子であり,未成年者で,かつ未婚であることです。 そして,2点目が扶養を受けることです。 具体的な連れ子ビザの申請ポイントを下記に解説していきます。 (1)外国人配偶者の実子が未成年者で未婚であること 連れ子ビザを取得するには,「外国人配偶者の実子が未成年者であること」という要件が必要となりますが,その実子が未成年者であれば誰でも定住者のビザを取得し来日することができるわけではありません。日本の法律では現在満20歳までが未成年者と扱われますが(2022年4月1日以降は満18歳で成年となります。),中国における成人年齢は18歳であったり,シンガポールにおける成人年齢は21歳であったり,世界各国においてその成人年齢は異なっています。 基本的には,年齢が高ければ高いほど,連れ子ビザの許可取得は困難と考えられています。 その理由として,ある程度の年齢に達すれば,自身で稼働することが可能であり,親からの扶養がなくても生活能力が備わっていると判断されるからです。そのため,入管審査では,18歳以上の子どもや母国の法律で成年に達している場合の連れ子ビザ申請に対しては,「単に日本へ働きに来るつもりなのでは?」といった嫌疑を抱く傾向にあります。そして,独立の生計を営むことができる,すなわち扶養を受けて生活するとはいえないと判断する傾向にあるのです。 そのため,連れ子ビザは,できる限りその子どもが幼い時点で行うことが望ましいです。 ただ,成人年齢に近接している年齢の連れ子ビザ取得も,必ずしも不可能というわけではありません。下記でも記載する扶養の要件について,連れ子の扶養の必要性を立証資料と共に丁寧に説明していくことで,連れ子ビザの許可の可能性は高まります。 その他の要件として,連れ子ビザを得るためには,子どもは未婚でなければなりません。その理由として,結婚した以上,子どもであっても自身で家庭を築いていく生活能力を有していると入管に判断されるからです。そのため,連れ子ビザの許可を取得するためには,一方配偶者の子どもは未婚であることが必要です。 (2)扶養を受けること 連れ子ビザを取得するためには,外国人配偶者の未成年・未婚の実子というだけでは足りず,申請に至るまでの扶養状況に加え,日本に呼び寄せた後の経済的な基盤を立証しなければなりません。 申請に至るまでの扶養状況については,配偶者ビザと同時に申請する場合は,親権の所在や同居状況などを立証することが必要です。 ここで問題となるのが,既に日本人配偶者のビザを持って日本で暮らしている親が,長年にわたり離れて母国で暮らしている子ども(連れ子)を日本に呼び寄せる場合です。 この場合,連れ子ビザを申請するにあたり,申請に至るまでどのように子どもを扶養してきたのかなど,経済的な扶養の実態や長年にわたり離れ離れに暮らしていた子どもを呼び寄せるに至った経緯を説明する必要があります。 また,申請に至るまでの扶養状況を説明することができたとしても,現在の配偶者との結婚生活においても扶養能力を明らかにする必要があります。あまりにも世帯所得が低いと,来日した子どもを扶養していくことができないと判断されることになりますので注意が必要です。 したがって,連れ子ビザを申請する場合には,少なくとも夫婦のいずれかが定職に就いており,一般的な家庭として問題なく生活をすることができる世帯収入があることも必要となります。 3.国際結婚した夫婦の連れ子呼び寄せまでの道のり それでは,国際結婚した夫婦の連れ子呼び寄せまでの道のりを見ていきましょう。 Bさんの連れ子であるCちゃんは6歳であることから,上記でご説明した「未成年で未婚の実子」という要件は問題なくクリアしています。 それでは,扶養の要件についてはどうでしょう。 Aさん一家は,Aさんが海外赴任中一緒に住んでいたため,Aさんが連れ子のCちゃんを扶養していたことは明らかです。この点,Aさんの勤務先から海外赴任を命じられた辞令書やAさん一家がインドネシアで同居していたことがわかるKTP(Kartu Tanda Penduduk 住民登録証)などの資料を準備しました。また,Aさんの帰国後,Aさんが連れ子のCちゃんを呼び寄せても経済的に問題がないことを立証するために,Aさんの在職証明書や直近の給与明細書などの資料を準備しました。 そして,これらの資料と共に,具体的にこれまでのCちゃんの養育状況を明示し,今後の養育・生活設計などを記載した説明書を入管に提出しました。その結果,無事にBさんの配偶者ビザ,Cちゃんの連れ子ビザの交付を受け,現在,家族3人で仲良く日本で暮らしていらっしゃいます。 4.国際結婚して連れ子を呼び寄せる場合のまとめ 本ページでは,国際結婚して連れ子を呼び寄せる場合についてご説明いたしました。連れ子ビザは,上述のとおり,一方配偶者の子どもであれば必ず取得することができるというものではありません。お子様の状況によって,立証する内容が異なり,また立証する内容ごとに提出する書類も異なってきます。 当社は,申請にあたりお客様からヒアリングした内容をもとに,必要書類を検討し,説明書を作成,立証をしていきます。連れ子ビザの取得には,お子様を日本に呼び寄せるに至った経緯・今後の生活の展望の立証が重要なカギとなります。 連れ子ビザの申請をお考えの方々のご参考になれば幸いです。…