2020.03.04 行政書士法人第一綜合事務所 国際結婚日本人の配偶者等二重国籍英語配偶者ビザ結婚ビザ 【Case Study】Procedure for international marriage with a person with du 1. Which country’s law is applicable to the determination of requirements for international marriage? Article 38, paragraph 1 of the Act on General Rules for Application of Laws has the following provision. “Where a party concerned has two or more…
2020.03.04 今井 幸大 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等二重国籍日本語 【解決事例】二重国籍者(重国籍者)との国際結婚手続き 1.国際結婚の要件はどの国の法律で判断すればよい? 法の適用に関する通則法第38条第1項本文には,次のような規定があります。 「当事者が二以上の国籍を有する場合には,その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を,その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。」 上記の内容を簡単にまとめると, ①国籍を有する国のうちに常居所がある場合は,常居所地の法律で本国法を判断する。 ②上記①がない時には,密接関連性を基準として本国法の判断をする。 したがって,どの国のパスポートで入国したのかを基準とする役所の回答は誤りです。 まずは,常居所地を基準に判断してください(なお,常居所とは,一般に人が相当期間居住することが明らかな地をいいます。)。 2.1の常居所地の判断は難しくない ①の常居所地の判断にあっては,基本的には居住している国から発行される居住証明書(日本でいう住民票と考えてください。)の有無によって判断することになります。居住証明書が取得できれば,その国が常居所地と判断してもらって差し支えありません。 しかし,複数の国から居住証明書の発行があった場合や居住証明書をどの国からも取得できない場合には,少し判断が複雑になってしまいます。 このような場合は,上記②の密接関連地を基準として,国際結婚の要件を判断することになります。 3.2の密接関連地は婚姻要件具備証明書が鍵になる!? では,②の密接関連地はどのような基準で判断をするのでしょうか。 多くの国において,国際結婚手続きを行うにあたり,婚姻要件具備証明書という書面の発行を求めることができます。 簡単にご説明をすると婚姻要件具備証明書とは,外国人の方が本国の法律に従って結婚できる条件を満たしていることを明らかにした公的な文書です。 密接関連地の判断基準は,この婚姻要件具備証明書の発行を基準としています。 すなわち,婚姻要件具備証明書を発行した国に密接関連性があると判断し,その国の法律に従って国際結婚の要件判断を行うことになります。 4.婚姻要件具備証明書が取得できない場合には? 問題となるのは,②のケースで婚姻要件具備証明書の発行をいずれの国からも受けられなかったケースです。 このような場合には,密接関連地の判断は総合的に行うことになります。 例えば,実際はどの国に住んでいるかという点や親族がどの国に居るか等を総合的に考慮して判断していくことになります。 この段階までいくと,市区町村役場のみで重国籍者の本国法を判断するのは困難となることから,法務局に受理照会(※1)を行い,密接関連地を認定するのが通常です。 ※1 受理照会とは,市区町村役場で届出を受理するにあたって内容に疑義が生じた場合,その届出を受理してよいかを管轄法務局に助言を求めることをいいます。 5.二重国籍者(重国籍者)との国際結婚手続きで注意することは? 二重国籍者(重国籍者)との国際結婚手続きについて,よくご質問をいただく事項があります。それは,仮に特に役所から指摘を受けなかった場合には,単一国籍者として国際結婚手続きをしても問題ないか,というご質問です。 日本の市区町村役場では,提出された書面のみをもとに審査を行う形式的審査主義が採用されています。そして,結婚手続きに添付した書類や婚姻届に記載した内容から,一つの国籍のみが示されており,疑義が生じていないケースでは,単一国籍者として扱ってよいと基本通達が出されています。 上記の基本通達から市区町村役場では,提出書面から二重国籍であることが判明しなければ,単一国籍者と扱うことになります。 したがって,国際結婚手続きをする外国人が二重国籍の場合には,本来は自ら二重国籍であることを明らかにする必要がありますが,二重国籍であることを市区町村役場の職員には告げず,単一国籍者として国際結婚手続きをする方が多数おられるのが現状のようです。 しかし,二重国籍者(重国籍者)として国際結婚手続きを行わないと,後に問題となるケースがあります。例えば,それぞれの国によって婚姻状況が異なる(一方では既婚,一方では未婚)ことから,相続やお子様の出生時に様々な弊害が生じることが考えられます。 後に巻き戻して手続きをやり直すことは,時間も労力も相当掛かってしまいます。 そのため,役所から指摘がないからといって,単一国籍者として国際結婚手続きをするのではなく,ご自身の将来のために,法に沿った適切な手続きを執るようにしてください。 6.今回の事例について 今回の事例は,普段はモルドバ共和国に住んでいる方が,ルーマニアが査証免除国(※2)であったため,ルーマニア人として短期ビザで入国していたところ,相談した役所からルーマニア人として結婚するように指導を受けました。 しかし,正しくは上記のとおり,まずは常居所地を検討し,この方の本国法を判断しなければなりません。 今回の事例においては,モルドバ共和国から居住証明書の発行を受ける事が出来ましたので,国際結婚の要件はモルドバ共和国の法律で判断し,加えてルーマニア国籍を有していることの証明書を添付することで,適切な手続きが完了しました。 ※2 査証免除国については,外務省のホームページをご参照下さい。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html…