行政書士法人第一綜合事務所

【特定技能ビザ】素形材産業分野の業種確認と従事可能な業務

素形材産業分野は,製造業3分野の中でも,最も多くの受入れ見込み数が公表されている分野です。
本記事では,素形材産業分野で特定技能外国人を受入れ可能な業種や,認められている業務例を紹介します。

1.特定技能「素形材産業分野」とは

素形材産業とは,主に金属素材に熱や力を加えて複雑な形状や高強度な部品を製造する産業で,特定技能外国人の受入れが認められている14分野の内,製造業では,素形材産業分野を含めた3分野での特定技能外国人の受入れが可能です。

特定技能の他分野と同様に,人手不足が深刻な素形材産業分野では,一定の技能をもつ特定技能外国人の雇用が認められています。

2.「素形材産業分野」に該当する業種

素形材産業分野にて,特定技能外国人の受入れをするためには,受入れする事業所が次の表のいずれかの業種に該当する必要があります。

鋳型製造業(中子を含む)
※けい砂により鋳造用鋳型・中子を製造する業種
銑鉄鋳物製造業(鋳鉄管,可鍛鋳鉄を除く)
※銑鉄から鋳鉄管,可鍛鋳鉄以外の機械用鋳物及び日用品などの銑鉄鋳物を製造する業種
可鍛鋳鉄製造業
※銑鉄から可鍛鋳鉄を製造する業種
鋳鋼製造業
※鋼鋳物を製造する業種
鍛工品製造業
※棒鋼などからハンマ,プレスなどで型鍛造などを行い鍛工品を製造する業種
鍛鋼製造業
※鋼塊を製造し,更に鋼塊からハンマ,プレスなどで鍛鋼品を製造する事業所をいう。他から受け入れた鋼塊,鋼半製品からの鍛鋼を製造する業種
銅・同合金鋳物製造業(ダイカストを除く)
※銅及び同合金鋳物(ダイカストを除く)を製造する業種
非鉄金属鋳物製造業(銅・同合金鋳物及びダイカストを除く)
※アルミニウム及び同合金,マグネシウム及び同合金などの非鉄金属鋳物(ダイカストを除く)を製造する業種
アルミニウム・同合金ダイカスト製造業
※アルミニウム・同合金ダイカストを製造する事業所をいう。非鉄金属ダイカスト(アルミニウム・同合金を除く)を製造する業種
非鉄金属ダイカスト製造業(アルミニウム・同合金ダイカストを除く)
※亜鉛,銅,マグネシウムなどの非鉄金属ダイカストを製造する業種
非鉄金属鍛造品製造業
※銅,アルミニウム等の非鉄金属及び合金からハンマ,プレス等で鍛造を行い鍛造品を製造する業種
作業工具製造業
※レンチ,スパナ,ペンチ,ドライバ,やすりなどを製造する業種
配管工事用附属品製造業(バルブ,コックを除く)
※主に鋳鉄製,真ちゅう製などの配管工事用附属品,すなわち,継手,ノズル,蒸気抜き,水抜きなどを製造する業種
アルミニウム・同合金プレス製品製造業
※アルミニウム,アルミニウム合金の打抜きによって,瓶の口金,調理用・家庭用・医療用器具の製造,打抜き又はプレス加工された自動車車体あるいは機械部分品などを製造する業種
金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)
※アルミニウム,アルミニウム合金以外の金属の打抜きによって瓶の口金,調理用・家庭用・医療用器具の製造,打抜き又はプレス加工された自動車車体あるいは機械部分品などを製造する業種
粉末や金製品製造業
※金属粉を混合し,それを金型内に充てんし,圧縮成形した後,焼結を行う粉末や金法によって機械部分品を製造する業種
金属熱処理業
※金属製品,機械部分品の焼入れ,焼なましなどの熱処理を行う業種
工業窯炉製造業
※石油,石炭,ガス及びその他の燃料を使用する工業窯炉を製造する業種
弁・同附属品製造業
※流体の通路においてこれを導入し,遮断などして流体の制御に用いられる弁,コック及びその部分品,附属品を製造する業種
鋳造装置製造業
※鋳造装置を製造する業種
金属用金型・同部分品・附属品製造業
※金属製品の塑性加工に使用される金属製の型(プレス用,鍛造用,粉末や金用,鋳造用,ダイカスト用など),部品(ガイドピンなど)及び附属品(ダイセットなど)を製造する業種
非金属用金型・同部分品・附属品製造業
※非金属製品の塑性加工に使用される金属製の型(プレス用,プラスチック用,ゴム用,ガラス用,窯業用など),部品(ガイドピンなど)及び附属品(ダイセットなど)を製造する業種
その他の産業用電気機械器具製造業(車両用,船舶用を含む)
※蓄電器(電子機器用を除く),電気窯炉類,熱装置を含む他に分類されない工業用及び商業用電気装置並びに他に分類されない車両用・船舶用電気装置を製造する業種
工業用模型製造業
※工業用の模型を製造する業種

参照:経済産業省(特定技能外国人材制度製造3分野ポータルサイト)

該当業種の中でも,「アルミニウム・同合金プレス製品製造業」と「金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)」については,建築用や建築用の金属製品の製造をしている場合は該当しない点は,誤解しやすいので注意が必要です。

該当する業種としては,自動車の車体や機械部分品を製造している事業所が当てはまることが多いです。

3.「素形材産業分野」に該当する業務区分

素形材産業分野では,次の13の業務区分にて特定技能外国人の受入れが認められています。

鋳造 鍛造 ダイカスト
機械加工 金属プレス加工 工場板金
めっき アルミニウム 仕上げ
機械検査 機械保全 溶接
塗装

参照:経済産業省(製造業における特定技能外国人材の受入れについて)

4.該当する業種の確認方法

特定技能外国人を受入れる際には,受入れをする事業所ごとに協議会への加入が必須となります。

そのため,それぞれの事業所が該当する業種について,事前に確認する必要があります。

該当する業種を確認する2つの方法について,それぞれ紹介します。

〇日本標準産業分類から確認
日本標準産業分類表のサイトより,特定技能外国人を受入れする事業所にて製造している製品から該当する業種を確認することができます。

日本標準産業分類表の中から,製品の該当する業種を探して素形材産業分野での受入れ可能な業種範囲内であるかを確認します。

また,それぞれの業種の詳しい内容については,ページ内の「説明及び内容例示」を参照することで確認することができます。

〇相談窓口へ問い合わせ
該当する業種については,相談窓口で助言を受けることができます。

素形材産業分野を含む製造業3分野にて,特定技能外国人の受入れを検討している企業向けに電話などでの相談窓口が設置されています。

業種の該当性についても,相談をすることができるため協議会加入申請前に,問い合わせすることをお勧めします。

製造3分野企業向け特定技能外国人材制度相談窓口(株式会社インジェスター)
対応日時:平日10時00分~17時30分(土日・祝日・年末年始を除く)
電話番号:03-6838-0058
メールアドレス:seizou_tokuteiginou@injester.co.jp
※事前予約をしてのオンライン面談にも対応しています。

参照: 経済産業省(特定技能外国人材制度(製造3分野)に関するお問い合わせ先)

問い合わせ前には,日本標準産業分類表を事前に確認して,該当業種の目星をつけておくことで,より的確な助言が受けられるでしょう。

なお,相談窓口では業種の該当性についてあくまでも助言を得られるだけです。
実際の該当性の確定は,協議会へ加入が完了することでのみ,確かめることができます。

5.受入れ事業所の製品出荷額の要件

業種の該当性を証明するためには,受入れ事業所の該当業種にて,事業実態を証明するために一定の製品出荷額などが発生している必要があります。

製品出荷額などには,次の3つが含まれます。

  • 製造品の出荷状況
  • 製造品の加工賃収入額
  • その他の収入額

それぞれ見ていきます。

5-1製造品の出荷状況

事業所が所有している原材料で製造された製品の中の,直近1年以内に出荷した製品の出荷額の総額を証明として使うことができます。

また,次の製品についても製品出荷額に含まれます。

  • 同一の企業内の他の事業所へ配送した製品
  • 製造後,同じ事業所内で完成品に組み込まれた製品
  • 委託販売品にした製品(販売済みでない製品も含む)

5-2製造品の加工賃収入額

事業所の所有する原材料を使用して製造した製品や,他企業や事業所の製品に加工処理などを行った場合に得た加工賃でも証明ができます。

なお,加工処理をする業種として,塗装やめっきなどが考えられますが,塗装業やめっき業は素形材産業分野のみならず製造業3分野の業種に該当しません。

一方で,製造工程の中に塗装やめっきがある場合は,その工程のみで特定技能外国人を雇用することは認められているため,発生する加工賃で事業実態を証明することができます。

5-3その他の収入額

その他にも事業所内で行った製品に対する修理で発生した修理額などは事業実態の証明に使うことが認められます。

6.特定技能外国人が従事可能な業務

6-1従事可能な業務内容

素形材産業分野で,特定技能外国人が従事可能な業務は,素形材産業分野で認められた13の業務区分に該当する業務のみです。

加えて,それぞれの業務にて就労している日本人従業員が,通常従事している関連業務に付随的に従事することは認められています。

但し,その場合でも関連業務への従事が,業務の大半を占めるような状況は認められません。

関連業務になり得る業務例として,次の業務が想定されます。

  • 製品の製造に使う原材料の調達や配送業務
  • 従事する業務の前後工程作業
  • クレーンやフォークリフトなどを使用する業務
  • 清掃や保守などの業務

6-2業務内容の注意点

素形材産業分野では,特定技能外国人が従事する業務の注意点を紹介します。

〇同じ作業場で違う製品製造への従事は不可
特定技能外国人を2つの業種の製品製造に従事させたい場合は,事業所が2つそれぞれの業種で協議会加入をしている必要があります。

そのため,たとえ同じ業務であっても製造される製品が協議会から許可を得ていない別業種の製品であれば,特定技能外国人に従事させることはできません。

〇日本人が従事する他の業務区分の作業への従事は不可
特定技能外国人は,日本人従業員が通常従事している関連業務に付随的に従事できますが,その場合でも,他の業務区分の作業へ従事することはできません。

例えば,同じ職場で就労している日本人が機械加工と溶接の業務に従事している場合でも,特定技能外国人は技能要件を満たしている業務区分でのみに従事することが認められます。

7.まとめ:【特定技能ビザ】素形材産業分野の業種確認と従事可能な業務例

本記事では,素形材産業分野での該当業種の確認方法や証明する方法,従事可能な業務例を紹介しました。

素形材産業分野を含む製造業3分野では,特定技能ビザ申請前の協議会加入が義務であるため,該当する業種を正しい方法で確認した上で,余裕をもって加入手続きを進めることをお勧めします。