【特定技能ビザ】電気・電子情報関連産業分野の技能要件と試験概要
電気・電子情報関連産業分野を含む,特定技能の製造業3分野では,他分野と比べても難易度の高い技能試験が設定されていることで知られています。
本記事では,電気・電子情報関連産業分野の外国人の要件と,技能試験の内容を中心にご紹介します。
Index
1.特定技能「電気・電子情報関連産業分野」とは
電気・電子情報関連産業とは,主に電子機器やその周辺部品などを製造する産業です。
製造業では,電気・電子情報関連産業分野を含めた製造業3分野にて,特定技能外国人の受入れが認められています。
2.「電気・電子情報関連産業分野」に該当する業種
電気・電子情報関連産業にて,特定技能外国人の受入れをするためには,次の表のいずれかの業種に該当する必要があります。
主として管理事務を行う本社等 (電子部品・デバイス・電子回路製造業) |
その他の管理,補助的経済活動を行う事業所 (電子部品・デバイス・電子回路製造業) |
電子管製造業 | 光電変換素子製造業 |
半導体素子製造業(光電変換素子を除く) | 集積回路製造業 |
液晶パネル・フラットパネル製造業 | 抵抗器・コンデンサ・変成器・複合部品製造業 |
音響部品・磁気ヘッド・小形モータ製造業 | コネクタ・スイッチ・リレー製造業 |
半導体メモリメディア製造業 | 光ディスク・磁気ディスク・磁気テープ製造業 |
電子回路基板製造業 | 電子回路実装基板製造業 |
電源ユニット・高周波ユニット・コントロールユニット製造業 | その他のユニット部品製造業 |
その他の電子部品・デバイス・電子回路製造業 | 主として管理事務を行う本社等 (電気機械器具製造業) |
その他の管理,補助的経済活動を行う事業所 (電気機械器具製造業) | 発電機・電動機・その他の回転電気機械製造業 |
変圧器類製造業(電子機器用を除く) | 電力開閉装置製造業 |
配電盤・電力制御装置製造業 | 配線器具・配線附属品製造業 |
電気溶接機製造業 | ちゅう房機器製造業 |
空調・住宅関連機器製造業 | 衣料衛生関連機器製造業 |
その他の民生用電気機械器具製造業 | 電球製造業 |
電気照明器具製造業 | 蓄電池製造業 |
一次電池(乾電池,湿電池)製造業 | X線装置製造業 |
医療用電子応用装置製造業 | その他の電子応用装置製造業 |
電気計測器製造業(別掲を除く) | 工業計器製造業 |
医療用計測器製造業 | その他の電気機械器具製造業 |
主として管理事務を行う本社等 (情報通信機械器具製造業) | その他の管理,補助的経済活動を行う事業所 (情報通信機械器具製造業) |
有線通信機械器具製造業 | 携帯電話機・PHS電話機製造業 |
無線通信機械器具製造業 | ラジオ受信機・テレビジョン受信機製造業 |
交通信号保安装置製造業 | その他の通信機械器具・同関連機械器具製造業 |
ビデオ機器製造業 | デジタルカメラ製造業 |
電気音響機械器具製造業 | 電子計算機製造業(パーソナルコンピュータを除く) |
パーソナルコンピュータ製造業 | 外部記憶装置製造業 |
印刷装置製造業 | 表示装置製造業 |
その他の附属装置製造業 |
参照:経済産業省(特定技能外国人材制度製造3分野ポータルサイト)
3.「電気・電子情報関連産業分野」に該当する業務区分
電気・電子情報関連産業分野では,次の13の業務区分にて特定技能外国人の受入れが認められています。
機械加工 | 機械保全 | 塗装 |
金属プレス加工 | 電子機器組立て | 溶接 |
工場板金 | 電気機器組立て | 工業包装 |
めっき | プリント配線板製造 | |
仕上げ | プラスチック成形 |
参照:経済産業省(製造業における特定技能外国人材の受入れについて)
4.特定技能外国人に求められる要件
電気・電子情報関連産業にて就労を希望する特定技能外国人が満たすべき技能要件は,次の通りです。
4-1技能実習2号を良好に修了
就労を希望する業務区分に対応する技能実習の「職種・作業」で技能実習2号を良好に修了した外国人は,技能要件を満たします。
その場合でも,技能実習2号を良好に修了したと見なされるためには,最低でも技能実習を2年10ヶ月以上の実施が必要な点には注意して下さい。
2年10ヶ月以上の技能実習期間を終えた実績があれば,技能実習2号修了までに受験が義務である専門級の合格証書(実技試験のみも可)または技能実習生に関する評価調書の提出をすることで,特定技能ビザの申請が認められます。
4-2特定技能の技能試験と日本語試験に合格
それぞれの業務区分で設定された技能試験の合格と,日本語能力検定N4以上に合格または国際交流基金日本語基礎テストの結果でも技能要件を満たせます。
電気・電子情報関連産業分野で認められている13の業務区分では,それぞれで特定技能の技能試験が設けられており,試験に合格をすることで,別の業務区分の業務に従事することも可能となります。
4-3注意点
4-3-1技能要件を満たした業務区分のみ従事可能
特定技能外国人は,技能要件を満たした業務区分の業務のみに従事することが認められます。
そのため,同じ事業所内にある場合であっても,他の業務区分に関する業務への従事は禁止されています。
但し,特定技能外国人が,同じ業務区分の業務に従事する場合は,製造業3分野のいずれの分野での業務にも従事可能です。
なお,技能試験に合格して技能要件を満たすことで,複数の業務区分の業務に従事することが認められています。
4-3-2各業務区分の対応範囲
特定技能の業務区分には,技能実習の職種・作業との対応関係があります。
機械加工の業務区分を例にすると,対応する技能実習の職種・作業は次の通りです。
特定技能(業務区分) | 技能実習(職種) | 技能実習(作業) |
機械加工 | 機械加工 | 普通旋盤作業 |
フライス盤作業 | ||
数値制御旋盤作業 | ||
マシニングセンタ作業 |
技能実習では,普通旋盤作業に従事する外国人がフライス盤作業を行うことはできませんでしたが,特定技能では機械加工の全ての作業に従事可能となります。
なお,特定技能の業務区分に対応する技能実習の職種・作業については,外国人技能実習機構(移行対象職種情報)のサイトで確認することができます。
4-3-3旧制度の技能実習を修了した外国人
現在の技能実習制度(新制度)は,2017年11月に施行されていますが,それ以前の旧制度下で技能実習を修了した外国人の中にも,特定技能ビザで日本に再来日を希望する外国人もいると思います。
旧制度において,技能実習を2年10ヶ月以上修了した実績でも,特定技能ビザの要件を満たすことができます。
但し,旧制度下では専門級の受験が義務ではなかったため,ほとんどの場合専門級の合格証書は保有していません。
そのため,特定技能ビザの申請をする前に,技能実習生時に所属していた監理団体や受入れ機関に技能実習生に関する評価調書の作成を依頼する必要があります。
4-3-4特定技能ビザ申請時の一時帰国は不要
技能実習2号から3号へ移行する際には,一定の期間内に1ヶ月以上の一時帰国をする必要がありますが,技能実習2号を修了後に特定技能ビザへの切り替えをした場合は,一時帰国は不要となります。
また,技能実習生が一時帰国する際の渡航費用を,外国人本人へ負担させることは認められませんが,特定技能ビザへ切り替えをした後の渡航費用は,原則本人負担となる点について,事前に周知徹底しておきましょう。
5.特定技能「電気・電子情報関連産業分野」の試験概要
ここからは,電気・電子情報関連産業分野を含む製造業3分野の,特定技能の技能試験について,紹介していきます。
なお,電気・電子情報関連産業分野を含む製造業3分野では,試験概要が共通であるため,製造業3分野の試験概要として紹介します。
5-1試験内容
製造業3分野の特定技能の技能試験は,国内外で不定期開催されています。
試験については,業務区分ごとに設置されており,製造業3分野ごとに設置されているわけではありません。
また,19ある業務区分それぞれで,学科試験と実技試験にコンピューターを使用して回答する方式で行われます。
そのため,実技試験についても作業内容の写真から正しい内容のものを選択するなど,実際に作業を行う実技試験ではありません。
なお,溶接の試験については,製作等作業による実際の実技試験がある点には注意して下さい。
また,試験の難易度は技能検定3級(専門級)程度とされています。
5-2申し込み方法
技能試験には,「製造分野特定技能1号評価試験」のサイトより申し込みをすることが
できます。
試験情報が公表され次第,先着順で申し込みが可能となります。
申し込み情報の入力・受験料の支払いなどを済ませると試験の1週間ほど前に,登録したメールアドレスへ受験票が届きます。
試験結果については,受験後3ヶ月以内にメールにて通達されます。
結果を知ることができるまで,時間がかかるため,特定技能ビザの申請を進める際は,余裕をもったスケジュールを立てる必要があります。
なお,国内試験については、同じ試験について同時期に複数の地域で試験が開催されますが,同時期に同じ試験を別の地域にて受験することは認められません。
5-3試験対策
「製造分野特定技能1号評価試験」のサイトにて,業務区分それぞれのサンプル問題が公表されていますが,他分野の技能試験と比べると試験対策に使えるテキストなどは少ないと言えます。
試験対策としては,技能検定3級試験の過去問題なども参考にすることができます。
試験の難易度も他分野と比べて高く,国内試験の結果をみると,数十人の受験者に対して合格者がいない試験も少なくありません。
そのため,製造業3分野にて就労している特定技能外国人のほとんどが,技能実習2号を良好に修了して,特定技能ビザを取得しているのが実情です。
特定技能の試験については,特定技能ビザ 試験のページでも解説していますので,宜しければご参照ください。
6.まとめ:【特定技能ビザ】電気・電子情報関連産業分野の技能要件と試験概要
本記事では,電気・電子情報関連産業分野で求められる要件や特定技能の技能試験について紹介しました。
電気・電子情報関連産業分野を含む製造業3分野では,技能試験の難易度が非常に高く,試験に合格することを前提として特定技能ビザ申請の準備を進めるのは,難しい分野と言えるでしょう。
そのため,電気・電子情報関連産業分野を含む製造業3分野で特定技能ビザを取得するためには,しっかり計画立てて準備を進める必要があります。